ハン・ソロ

見てきた。
平日・レイトショー。観客は10人ぐらいだったかな?

キャラクター:最高
ストーリー:地味だが練られている
雰囲気:いい
映像:なんか安っぽい
総合:70点

ダイ・ハードとミッション・インポッシブルを足して、そこにブラスター銃撃戦と宇宙船とチューバッカを加えた感じの映画。なにそれ最高かよ。
アメリカでは大いにコケたとの噂。
俺も半年前にエピソード8を見たばかりだし、別に見なくてもいいんじゃ、とも思ったけど。
旧3部作を楽しんだ人なら見て損はない。
旧3部作にはあって、前日譚3部作には不足していた、素敵な何かがきっとあるはずだ。

以下、ネタバレあり。



惑星コレリア。
レディ・プロキシマという権力者が、燃料の売買で得た富と恐怖とによって、貧しい人々を支配していた。
若いカップルのハンとキーラは、盗んだ燃料を売って惑星から脱出しようと試みるも、惜しいところで失敗。生き別れになる。

ハンは追っ手から逃れるため帝国軍アカデミーに入るも上官と合わず。
戦場で出会ったベケット率いる盗賊団についていく。
好意的に迎えられたわけではなかったが、偶然出会ったウーキー族のチューバッカとともに少しずつなじんでいく。

一味の大仕事、コアクシウム燃料の強奪に参加したハンは、念願だったパイロットとしての腕を認められるものの、とっさの危機を回避するため盗んだコアクシウムを放棄してしまう。
今回のコアクシウム強奪は依頼を受けたもので、約束の燃料を調達できなければ命はないという。
雇い主のドライデンと面会し、精製前のコアクシウムを惑星ケッセルで強奪、惑星サヴァリーンで精製することを約束する。
監視役としてつけられたのは、かつての恋人で今はドライデンの副官のキーラだった。

精製前のコアクシウムは不安定で、サヴァリーンの精製所まで運ぶには速い船が要る。
速い船を持つギャンブラー、ランドと船をかけて勝負するも失敗。
キーラとベケットの交渉によりミレニアム・ファルコン号を貸してもらえることになる。

コアクシウムの強奪は、ランドの右腕のドロイドL3-37を失ったものの、成功。
急いでサヴァリーンに向かうが、すったもんだがありまして、うっかりケッセル・ランを(およそ)12パーセクで走破してしまう。

無事コアクシウムの精製を果たした一行だったが、そこに現れたのはエンフィス・ネスト率いる強盗団。
しかし彼らの話すところによれば、コアクシウムで富をなして銀河を支配する犯罪組織に抵抗しているのだという。
ハンはドライデンとの面会に臨むが、ベケットの裏切りにあい、コアクシウムを持ち去られる。
ドライデン、キーラとの争いののち、ハンはベケットに追いつきコアクシウムを奪い返し、エンフィスに渡す。
分け前の燃料を種銭にしてランドに勝負を挑み、ついにミレニアム・ファルコンを手に入れる。


アクション・シーンはすごく良い。90年代のハリウッド映画をほうふつとさせる。線路の爆破や、宙づりの貨物を飛びながら引っ張りあうなど、無茶苦茶すんなぁ、というシーンが多くてよかった。冒頭のカーチェイスも迫力がある。
ドラマシーンは、なんか全体的に軽い。宇宙船に乗っているとそれなりに雰囲気があるけど、酒場のギャンブルシーンとか、なんかもうちょっと殺伐としていてもいいんじゃないだろうか。なんか、軽妙なテレビドラマを見ているようだった。

キャラクターはもう最高。
ハンソロの人は、若者らしさもあるけど、時々本当にハンソロに見えてくる。チューバッカと一緒に捕虜役で鎖につながれてるところとか、似合いすぎて笑けてしまう。
ベケット。何者も信じない男。しかし彼は生き抜き、彼の元には人が集まる。偉大ではないが、ハンの師であり友であった。
キーラ。いい。男の子のロマンが詰まっている。切ない。そして侮れない。これはファムファタールと言わざるを得ない。レイアとか選んでる場合じゃない。
ランド。いい。洒落てるし抜け目ない。いい表情をする。後にハンを裏切ったり救ったりすると思うととても感慨深い。
ドライデン。893。ビジネスができる893。パーティ中にキレて人を殺してしまう893。キーラに依存する893。ナイス893。

最終盤に出てくるアイツ。若干老けてる? 時期的にはエピソード1の22年後、エピソード3の9年後、エピソード4の10年前らしい。
キーラの報告を聞くホログラムのアイツ。手には棒状のものを持っている。(あっ、悪い予感がする。まさか、ここで?こんなしょうもないところで出すの?)
・・・出した―! 赤い光刃出しちゃったー! ホログラム越しに部下の女にすごんで見せるためだけのために! エピソード1の武術の達人が、このザマだよ!
ローグワンのライトセーバーは最高の使い方だったのに、こっちは最低だよ! 小物にしか見えないよ! もうシスでもないただのイキった悪党だよ!
もうちょっとなんか、生理的に縮み上がるような、恐ろしい演出とか無かったんですか?

FFの6とか7をプレイした時に、きっと開発者の人たちは子供のころにみた旧3部作がよっぽど面白かったんだろうなぁと思うくらい、スターウォーズ的な要素がちりばめられていた。
今回の貨物列車を襲うあたりを見ていて、頭にアバランチのメンバーが思い浮かんだ。
冴えない貧しい粗暴な若者が、大冒険を経て成長し、やがて世界を救う英雄になる。これは旧3部作の重要なモチーフだと思う。
前日譚3部作は、騎士物語的というか、才能ある若者が愛する姫と強いパワーの間で揺れるみたいな英雄譚で、旧3部作の反乱軍の要素が好きだった人には物足りなく感じられたのではないか。そういう人たちにとって、今回のスピンオフは、これぞ求めていたもの!と思うのではないだろうか。
どこかで見たシーンの焼き直しが連続でうんざりしたとしてもだ。重力井戸のあたりを見ていて、(これは旧3部作のリメイクなのでは?)と思った。ローグワンの時も思った。きっとスピンオフを見るたびに思うだろう。エピソード9でそう思うことがないことを祈るのみだ。