sutanka

2017-01-02

七曜歌




月光のきざはし昇る帰りみち明日におもねる答えは捨てて         明日:あす



うなされて起きてまた寝る月曜の戦場にかかる橋を渡らず



緩やかな楕円をえがく火の星の紅とマニキュアきみを見つける



まだまだだやる気のでない火曜日のコーヒー自販機うなりをあげる



わが星が水の惑星なら水星はなに星ならん宇宙の一滴           惑星:ほし  宇宙:そら



息継ぎのターン美し水曜へ伸ばした腕の指先のさき



ホルスト右脳の果てを思いつつ眼閉じおりジュピターまでを       眼:まなこ



「だいじょうぶ」数値示され木曜の机をはさみ相対したり



明星は独りを写すピンホール天に向かいて人ならびおり



おざなりの仕事をおえて金曜の路地へと消えし男の猫背



外輪のしじまに留まるヤママユを纏いて立てりサートゥルヌスは



土曜日は通院と心得しかばけんけんぱ石ころ一つ拾ってゆかん



日輪の沈み昇りて同じ日にふたたび会えぬ歌を聴きおり



昼までをだらだら寝ており日曜の篠突く雨にくじけておるよ

追慕に沈むとしても




青空はやがて抱きしむ菜の花をわれに落ちくる恋に理由なく        理由:わけ



抱きしむる勝利もあれどわれはもう頭をたれる漢でありたし        頭:こうべ



窓ガラス一枚割れてその向こう空あることのしあわせ思う



ねえあなたあしたに空が割れるのよ風ふきわたり花そよぎおり



見えるまま絵にする狂気また詠う狂気もあらむ双頭の蛇



ウロボロス 震えているのは何のため血まで流して爪を噛むきみ



天秤の右へ傾きパラフィンに革命ひとつ包まれゆけり



薬包紙ひらく朝をきらめいて溶けてゆきしは累々たる今         朝:あした



未完という花ことばあり明日からは吹きわたるべし風の托卵



夏をゆく猫背のわれよ追憶よ未完のままに湧き立つ雲よ



二つぶの向精神薬ころがせば指の谷間に薄日は差せり



いち日をたった二つぶの錠剤で仕舞いと致すずんだ餅もとむ



水無月の小舟とならむ紫陽花をめぐる追慕に沈むとしても



延命のボートを降りし手の首のIDナンバー羅列となりき