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酔雲のほろ酔い気分で歴史夜話 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017年12月11日

[] 第二部 14.富楽院の桃の花 16:29  第二部 14.富楽院の桃の花を含むブックマーク

サハチ(尚巴志)たちは三姉妹と一緒に杭州に向かいます。

明国は思っていたよりもずっと広く、杭州まで14日も掛かりました。

宋の時代に首都だった杭州は、元の時代には貿易港として栄え、人口が百万を超えた大都市でした。

街は城壁に囲まれていて、その城壁は百年ほど前に、三姉妹の祖父であるヂャンシーチォン(張士誠)が再建したのよと三姉妹は自慢します。


三姉妹と別れたサハチたちは明国の首都、応天府(南京)を目指します。

城壁に囲まれた応天府の都は広く、ファイチは故郷に帰って来たと感慨深げです。

サハチも景色を眺めながら、明国のも都に来たと感動しています。


宿屋に荷物と馬を預けて、サハチたちは「富楽院」という有名な歓楽街に行きます。

大通りを挟んで妓楼がいくつも並んでいます。

サハチとウニタキはどこかの妓楼から美人の妓女が出て来ないかとキョロキョロしています。

ファイチが急に立ち止まって、妓楼の前にある桃の木を見つめました。

その桃の木はファイチが八年前に植えたものだと思うけど、妓楼の名前が違っていると言います。

ファイチが首を傾げて去ろうとした時、妓楼から女が出て来て、ファイチに声を掛けました。

ファイチもその女も驚いているようですが、サハチとウニタキには何を話しているのかわかりません。


女に誘われて、サハチたちはその妓楼に上がります。

その妓楼は以前、ファイチが通っていた妓楼で、馴染みだった妓女のタオファは五年前に病死してしまったようです。

妓楼から出て来た女はリィェンファといって、当事、富楽院で一、二を争っていた有名な妓女で、今はこの妓楼の女将をしていて、タオファのためにファイチが帰って来るのを待っていたと言います。

サハチたちはおいしい料理を御馳走になり、若い妓女たちも現れます。

サハチとウニタキは片言の明国の言葉で妓女たちと話をしながらお酒を飲みます。

ファイチは亡くなったタオファが残した詩を読んで涙ぐんで、返事の詩を書きます。

ファイチがサハチとウニタキに、タオファとの思い出を話していると男が入って来ました。

その男とファイチは驚いた顔をして見つめ合い、再会を喜びました。




登場人物


・サハチ(尚巴志)

島添大里按司

父は中山王の思紹。

妻は伊波按司の妹、マチルギ。

父を中山王にして、明国に旅立つ。


・ウニタキ

表向きは地図を作っている重臣の三星大親。

中山王の裏の組織「三星党」の頭領。

妻は尚巴志の叔母のチルー。

尚巴志を守るために一緒に明国に行く。


・ファイチ(懐機)

中山王の客将。

久米村からアランポー一族を追い出し、長史のワンマオと一緒に新しい久米村を造っている。

旧友に会うために尚巴志と一緒に明国に行く。


・メイファン(張美帆)

福州の海賊ヂャンルーチェンの三女。

父と敵対している海賊リンジェンフォンの長男駆け落ちして琉球に行き、ファイチと出会う。


・メイユー(張美玉)

福州の海賊ヂャンルーチェンの次女。

広州の海賊に嫁ぐが、敵討ちのため離縁して戻って来る。

尚巴志といい仲になる。


メイリン(張美玲)

福州の海賊ヂャンルーチェンの長女。

杭州の海賊に嫁ぐが夫は戦死して、息子を嫁ぎ先に残し、娘を連れて帰る。

ウニタキといい仲になる。


・スンリー(孫里)

三姉妹の配下。


・ファンボ(范波)

三姉妹の配下。


・シュルン(徐輪)

三姉妹の配下。


・リィェンファ(蓮華)

富楽院の妓楼「桃香楼」の女将。

富楽院で一、二を争う有名な妓女で、偉い文人の妾になる予定だったが、その文人は建文帝に殺される。

内乱のあと、富楽院に戻ると屋敷は無事で、ファイチが植えた桃の木も無事だった。

亡くなったタオファのためにも妓楼の女将になって、ファイチが帰って来るのを待とうと決心する。

妓楼の名を「春香楼」から「桃香楼」に変える。


・タオファ(桃華)

「春香楼」の妓女。

ファイチの馴染みだったが、ファイチが行方知れずになってしまい、心配しすぎて病になる。

内乱の時、避難した蘇州で亡くなる。


リーファ梨華

「桃香楼」の妓女。


ランファ(蘭華)

「桃香楼」の妓女。


・ジュファ(菊華)

「桃香楼」の妓女。


・ヂュヤンジン(朱洋敬)

科挙に合格して、ファイチと一緒に宮廷に仕えたファイチの親友。

政策を批判して、宮廷から追放されるが、永楽帝皇帝になると宮廷に戻り、永楽帝に仕える。




―酔雲庵― 長編歴史小説 尚巴志伝 第二部 14.富楽院の桃の花

長編歴史小説 尚巴志伝

2017年12月5日

[] 第二部 13.首里のお祭り 17:01  第二部 13.首里のお祭りを含むブックマーク

思紹王が首里グスクに入って一年が経った2月9日、首里でお祭りが行なわれました。

ヤマトゥ旅から帰って来たマウシとシラーは首里の城下に屋敷をもらい、ジルムイは首里にできた島添大里按司の屋敷で暮らし、午前中はナンセン寺で読み書きを習い、午後は武術道場に通っていました。

サグルーは島添大里の若按司として、按司になるための修行を始め、一緒に遊べなくなっていました。


今日はお祭りなので、読み書きも武術の修行も休みです。

マウシは苗代大親の娘のマカマドゥを誘って、お祭り見物を楽しもうとウキウキしています。

出掛けようとしたらササが訪ねて来ました。

庶民の格好をして、お祭りの警固をするとササは言います。

マウシとシラーはぶつぶつ文句を言いながらも、ジルムイを誘って、ササと一緒に首里グスクに行きます。


首里グスクは朝早くから賑わっていました。

普段は入れないグスクの中に入って、噂の宮殿が見られるというので、城下に住む者は勿論の事、佐敷や島添大里からも見物に来ていました。

広い西曲輪内には舞台が作られ、あちこちに炊き出しの屋台が置かれて、酒や食べ物が振る舞われていました。

シラーの父親のマサルーが屋台で酒を配りながら怪しい者がいないか見張っていました。

マカマドゥも餅を配りながら見張りをしていました。

舞台ではヤマトゥの着物を着た佐敷ヌルが開演の準備をしていて、娘のマユとその父親のシンゴも一緒にいました。


正午まで、見回りを続けたましたが怪しい者は見つかりませんでした。

西曲輪の中は人であふれていますが、武器らしい物を持っている者はいないし、怪しい素振りを見せる者もいませんでした。

舞台では村娘たちが陽気に踊っています。

ササは王様の側室たちがいる御内原が危険なような気がすると言って、マウシとジルムイを連れて御内原に向かいます。

マチルギと会って、ササたちは百浦添御殿(正殿)に入ります。

女子サムレーがあちこちにいて見張りをしていました。

一人のヌルが二階に行くのを見届けていたら、二階から「誰か来てくれ」と声がしました。

マチルギとササたちが二階に行くと、囲碁をしていた王様が倒れていて、ヌルも倒れていました。

馬天ヌルがやって来て、大変な事になったと慌てます。

マチルギが倒れている王様の顔を上げると王様によく似ていますが、王様ではありませんでした。


王様の思紹はとにかくグスクから外に出たかったのです。

ウニタキに頼んで身代わりを見つけて、今日はお祭りで政務はないので、外に出てもわかるまいと外に出たのでした。

この事を知っているのはウニタキの配下のイーカチとマチルギ、偽者と囲碁をしていた志佐壱岐守だけでした。


ササたちは馬天浜に行きました。

思紹はヤマトゥンチュの船乗りたちと一緒に楽しそうに酒を飲んでいました。




登場人物


・マウシ

山田按司の次男。後の護佐丸。

祖父今帰仁按司だったが、羽地按司に殺され、今帰仁按司の座を奪われる。

祖父は中山王の察度が今帰仁を攻めた時に、今帰仁按司(羽地按司)を殺すが戦死してしまう。

マウシは祖父が戦死した頃に生まれ、祖父の生まれ変わりに違いないと皆から期待されて育つ。

島添大里で苗代大親の娘のマカマドゥに一目惚れする。

ジルムイ、シラーと一緒にヤマトゥ旅に行く。


・シラー

久良波のマサルーの次男。

マウシの幼馴染みで、マウシと一緒に首里で修行する事になる。

マウシ、ジルムイと一緒にヤマトゥ旅に行く。


・ササ

馬天若ヌル。父親は水軍大将のヒューガ、母親は馬天ヌル。

幼い頃から母親に剣術を習い、娘たちの師範代を務めるほとの腕を持っている。

ヌルとしても強い霊力を持っていて、尚巴志と懐機を出会わせたのもササだった。

山田に行って、久良波のマサルーの息子、シラーに一目惚れをする。


・ジルムイ

尚巴志の次男。後の尚忠。

真面目な性格で、サグルーやササとは付き合わない。

マウシ、シラーと一緒にヤマトゥ旅に行く。


・久良波のマサルー

山田按司の家臣。マウシの武術の師匠

マウシの供をして首里に行く。


・マカマドゥ

苗代大親の三女。

幼い頃から父に剣術を習い、自分よりも弱い男には見向きもしない。

マウシが自分と互角の腕を持っていたので、気になる存在になる。

マウシがヤマトゥ旅に出た時、ササと一緒にマウシの無事を祈る。


・苗代之子

苗代大親の長男

島添大里のサムレー大将。


・佐敷ヌル

尚巴志の妹。シンゴと結ばれて、マユという娘がいる。

娘たちの剣術の師範で、女子サムレーたちの師範でもある。

強い霊力を持っているが、本人はまだ気づいていない。


・シンゴ

早田新五郎。対馬のサイムンタルー(早田左衛門次郎)の弟。

兄の左衛門太郎が朝鮮に投降したため、お屋形様の代理を務める。

佐敷ヌルと結ばれ、娘が生まれる。


・ウミチル

ヤグルー(平田大親)の妻。

玉グスク按司の娘。笛と琴ができ、舞も舞う。


・マチルギ

尚巴志の妻。伊波按司の妹。

女子サムレーたちの総大将

島添大里按司の奥方だが、首里にいる事が多い。

尚巴志が明国に行くと言い出したので、女たちを連れてヤマトゥに行こうと考える。


スズナ

首里のヌル。

以前は浦添のヌルだった。

中山王を殺して、自害する。


・志佐壱岐守

壱岐島倭寇の大将。

サハチがヤマトゥに行った時にお世話になった。


・馬天ヌル

中山王思紹の妹。

霊力が高く、各地のヌルたちに慕われている。

娘のササも霊力が高い。

新年の儀式のために先代の中山王に仕えていたヌルたちを集めて指導する。


・思紹

中山王。尚巴志の父親。

佐敷按司を隠居して、東行法師を名乗り、慶良間の島で若い者たちを鍛える。

一千人の兵を育て、その兵力によって、中山王武寧を倒し、中山王となる。

王となってもじっとしているのは苦手で、兵たちの指導をしている。


・ジクー禅師

京都妙心寺の禅僧だったが、妙心寺が将軍義満につぶされ、志佐壱岐守と一緒に琉球に来る。


・イーカチ

三星党」の副頭。

絵を描くのが得意。

ウニタキの留守を守っている。




―酔雲庵― 長編歴史小説 尚巴志伝 第二部 13.首里のお祭り

長編歴史小説 尚巴志伝

2017年11月27日

[] 第二部 12.島影に隠れた海賊船 20:24  第二部 12.島影に隠れた海賊船を含むブックマーク

サハチ(尚巴志)たちは三姉妹と一緒に中洲の隠れ家を引き払って、海賊船を隠している島の近くまで馬に乗って行きました。

半日掛かりで着いた所は小さな漁師の村でした。

海の方を見ると大小様々な島がいくつもあって、海賊船はあの島のどこかに隠れているようです。

小さな家々が建ち並ぶ中に大きな屋敷があって、そこが三姉妹の屋敷でした。


サハチたちはメイファンから、配下の海賊、リュウジャジンとジォンダオウェンを紹介されます。

リュウジャジンはパレンバンに行っていて助かり、ジォンダオウェンは琉球に行っていて助かったのでした。

メイファンはパレンバンの商品を琉球に持って行って、中山王と取り引きをすると言います。

サハチたちはパレンバンの事や明国の海賊の事などを三姉妹から聞きます。

その夜、久し振りに酒を飲んだサハチは酔っ払ったわけではありませんが、自然の成り行きでメイユーと夜を過ごしていました。


翌日、サハチたちは海賊船を見に行きます。

岩陰に隠れていた海賊船には鉄炮(大砲)が積んでありました。

海賊船に乗って沖に出て、ジォンダオウェンは鉄炮を撃ってみせてくれました。

物凄い音がして、サハチとウニタキは驚きます。

ジォンダオウェンは鉄炮と火薬を手に入れると約束してくれました。



登場人物


・サハチ(尚巴志)

島添大里按司

父は中山王の思紹。

妻は伊波按司の妹、マチルギ。

父を中山王にして、明国に旅立つ。


・ウニタキ

表向きは地図を作っている重臣の三星大親。

中山王の裏の組織「三星党」の頭領。

妻は尚巴志の叔母のチルー。

尚巴志を守るために一緒に明国に行く。


・ファイチ(懐機)

中山王の客将。

久米村からアランポー一族を追い出し、長史のワンマオと一緒に新しい久米村を造っている。

旧友に会うために尚巴志と一緒に明国に行く。


・メイファン(張美帆)

福州の海賊ヂャンルーチェンの三女。

父と敵対している海賊リンジェンフォンの長男駆け落ちして琉球に行き、ファイチと出会う。


・メイユー(張美玉)

福州の海賊ヂャンルーチェンの次女。

広州の海賊に嫁ぐが、敵討ちのため離縁して戻って来る。

尚巴志といい仲になる。


メイリン(張美玲)

福州の海賊ヂャンルーチェンの長女。

杭州の海賊に嫁ぐが夫は戦死して、息子を嫁ぎ先に残し、娘を連れて帰る。

ウニタキといい仲になる。


・リュウジャジン(劉嘉景)

三姉妹の配下。パレンバンに行っていて助かる。


・ジォンダオウェン(鄭道文)

三姉妹の配下。琉球に行っていて助かる。

山北王と密貿易をするために運天泊に行き、メイファンと再会して連れて帰る。


・ラオファン(老黄)

三姉妹の武術師匠


・リェンリー(黄怜麗)

ラオファンの次女。

三姉妹の仲間に加わる。



・チェンズーイー(陳祖義)

広州の海賊で、広州を追い出されて東南アジアで暴れ、進貢船も襲ったので洪武帝永楽帝の怒りを買う。

永楽帝がパレンバンに送ったジェンフォに捕まって処刑される。


・リャンダオミン(梁道明)

広州の海賊。

パレンバンの王となるが、配下のシージンチンに譲って故郷に帰る。


・シージンチン(施進卿)

リャンダオミンの配下。

チェンズーイーが捕まったあと、ジェンフォによってパレンバンの宣慰司に任命される。


・ジェンフォ(鄭和

永楽帝の命令で大船団を率いて大航海に出た宦官の武将。




―酔雲庵― 長編歴史小説 尚巴志伝 第二部 12.島影に隠れた海賊船

長編歴史小説 尚巴志伝

2017年11月20日

[] 第二部 11.裏切り者の末路 17:38  第二部 11.裏切り者の末路を含むブックマーク

サハチ(尚巴志)たちは三姉妹と一緒に福州の街に行きました。

福州の街も泉州と同じように城壁に囲まれていました。

三姉妹の敵であるチェンイージュンは三姉妹の父親から奪い取った立派な店の主人になっていました。

ファイチが店内の様子を探り、サハチとウニタキは店の周囲を探りました。

サハチがキョロキョロしながら歩いていると刀を腰に差した男に声を掛けられました。

勿論、サハチには言葉がわかりません。

ヤマトゥの刀を差しているので日本人かと思って、日本語で話し掛けたら相手は驚きました。

男は五島松浦党の者で、松尾と名乗り、ある人に命を救われて、今はその人のために働いていると言いました。


チェンイージュンの店の偵察のあと、サハチたちは福州の街を見物します。

サハチはメイユーから明国の言葉を教わりながら楽しい時を過ごします。

ウニタキはメイリンと、ファイチはメイファンと楽しくやっていました。


明日の夜、チェンイージュンが密貿易をするので、そのあとに襲撃しようと決めました。

チェンイージュンが隠れ家に使っているのは以前、三姉妹が暮らしていた屋敷でした。


次の日、サハチとウニタキは三姉妹から明国の言葉を教わって必死になって覚えていましたが、ファイチは何かをじっと考えていました。

日が暮れて、いよいよ、襲撃の時が迫って来ましたが、ファイチは「おかしい」と言いました。

チェンイージュンは利用されただけで黒幕がいて、その黒幕が今夜、チェンイージュンを殺すかもしれないと言います。

サハチたちはファイチの意見に賛成して、もう少し様子を見る事にしました。


ラオファンという三姉妹の武術師匠が偵察に行き、やはり、リンジェンフォンの襲撃があったと知らせます。

夜が明ける前、サハチたちはチェンイージュンの隠れ家に向かいます。

隠れ家の中はまるで地獄絵のように、血の臭いが充満していて死体の山となっていました。




登場人物


・サハチ(尚巴志)

島添大里按司

父は中山王の思紹。

妻は伊波按司の妹、マチルギ。

父を中山王にして、明国に旅立つ。


・ウニタキ

表向きは地図を作っている重臣の三星大親。

中山王の裏の組織「三星党」の頭領。

妻は尚巴志の叔母のチルー。

尚巴志を守るために一緒に明国に行く。


・ファイチ(懐機)

中山王の客将。

久米村からアランポー一族を追い出し、長史のワンマオと一緒に新しい久米村を造っている。

旧友に会うために尚巴志と一緒に明国に行く。


・メイファン(張美帆)

福州の海賊ヂャンルーチェンの三女。

父と敵対している海賊リンジェンフォンの長男駆け落ちして琉球に行き、ファイチと出会う。


・メイユー(張美玉)

福州の海賊ヂャンルーチェンの次女。

広州の海賊に嫁ぐが、敵討ちのため離縁して戻って来る。


・メイリン(張美玲)

福州の海賊ヂャンルーチェンの長女。

杭州の海賊に嫁ぐが夫は戦死して、息子を嫁ぎ先に残し、娘を連れて帰る。


・ソンフェイ(松尾)

リンジェンフォンに助けられた五島の倭寇、松尾新三郎。

リンジェンフォンの配下になり、チェンイージュンを見張っている。


・ラオファン(老黄)

三姉妹の武術の師匠。


・チェンイージュン(陳依俊)

ヂャンルーチェンの配下。

ヂャンルーチェンを裏切って、役人に密告して、ヂャンルーチェンの店を手に入れる。


・リンジェンフォン(林剣峰)

ヂャンルーチェンと敵対していた福州の海賊。

チェンイージュンを利用して、ヂャンルーチェンを滅ぼす。




―酔雲庵― 長編歴史小説 尚巴志伝 第二部 11.裏切り者の末路

長編歴史小説 尚巴志伝

2017年11月13日

[] 第二部 10.麗しき三姉妹 20:47  第二部 10.麗しき三姉妹を含むブックマーク

メイファンの配下のスンリーは頼まれた荷物が今日のうちに届くので、明日出発すると言いました。

急いでやって来たサハチ(尚巴志)たちは気抜けしますが、お陰で、泉州の街を見物する事ができました。

無事の船旅のお礼を言わなければならないと、天妃宮に行きましたが、その門の華麗さにサハチとウニタキは驚きます。

不思議な形をして、石で造られた回教寺院がいくつもあり、開元寺という仏教寺院には石でできた大きな塔が建っていました。

その日は見る物すべてが驚きの連続でした。


思っていた以上に、明国は偉大な国でした。

山南王のシタルーの父、汪英紫が明国に行ってから考えを変えたのも当然だと思えました。

あんな小さな島国で戦をするより、交易をして明国から様々な事を吸収しなければならないと思ったに違いありません。

サハチも様々な知識を身に付けて帰ろうと決心します。


泉州の街を歩き回って来遠駅に帰ると、身分証明書が用意されていました。

ファイチはサハチとウニタキに、琉球に逃げて行ったいきさつを話します。

ファイチの父親は龍虎山の道士で、幼い頃の永楽帝に学問や武術を教えていました。

ファイチは科挙に受かって宮廷に仕える事になり、燕王と呼ばれていた頃の永楽帝とも会っていました。

洪武帝が亡くなり、跡を継いだ孫の建文帝は何人もいる叔父たちを排除します。

永楽帝とつながりがあると思われたファイチの両親は殺され、ファイチも命を狙われて琉球に逃げたのでした。


次の日、サハチとウニタキはファイチと同じ道士の格好をして、スンリーと一緒にメイファンがいる福州に向かいます。

山の中で山賊に出会いますが簡単に倒してしまいます。

その山賊たちは弟子にしてくれと言って付いてきます。

山を抜けると大きな川に出て、筏に乗って川を渡り、中洲にあるメイファンの屋敷に向かいます。


見るからに海賊といった格好の三人の美女が出迎えてくれました。

メイファンの姉のメイリンとメイユーで、二人とも嫁いでいましたが、父親の敵を討つために戻って来たのでした。

三姉妹の父親はヂャンルーチェンという有名な海賊でした。

ヂャンルーチェンの父親はヂャンシーチォンといって、洪武帝と覇を競い合いますか敗れます。

ヂャンルーチェンは海賊になって、洪武帝が造った明国を相手に戦っていたのでした。

メイファンが琉球から帰って来ると、両親も兄弟も皆、殺されて、財産もすべて没収されていました。

父親を役人に売ったのはチェンイージュンという父親の配下の者でした。


三姉妹たちは御馳走で持て成してくれましたが、言葉がわからないサハチとウニタキは美人を前にして声を掛けられないと悔しがります。




登場人物

・サハチ(尚巴志)

島添大里按司

父は中山王の思紹。

妻は伊波按司の妹、マチルギ。

父を中山王にして、明国に旅立つ。


・ウニタキ

表向きは地図を作っている重臣の三星大親。

中山王の裏の組織「三星党」の頭領。

妻は尚巴志の叔母のチルー。

尚巴志を守るために一緒に明国に行く。


・ファイチ(懐機)

中山王の客将。

久米村からアランポー一族を追い出し、長史のワンマオと一緒に新しい久米村を造っている。

旧友に会うために尚巴志と一緒に明国に行く。


・スンリー(孫里)

メイファンの配下。


・サングルミー

与座大親。中山王の正使。

山南王のシタルーと一緒に明国の国士監に留学して、帰国後、中山王武寧の正使となる。

明国から帰国すると武寧は亡くなっていて、思紹が中山王になっていたが、思紹に仕える。


・メイファン(張美帆)

福州の海賊ヂャンルーチェンの三女。

父と敵対している海賊リンジェンフォンの長男駆け落ちして琉球に行き、ファイチと出会う。


・メイユー(張美玉)

福州の海賊ヂャンルーチェンの次女。

広州の海賊に嫁ぐが、敵討ちのため離縁して戻って来る。


・メイリン(張美玲)

福州の海賊ヂャンルーチェンの長女。

杭州の海賊に嫁ぐが夫は戦死して、息子を嫁ぎ先に残し、娘を連れて帰る。


・ヂャンルーチェン(張汝謙)

三姉妹の父親。

海賊になって洪武帝に反抗する。

鄭和大航海に加わろうとして、福州の街中に店を開くが、配下に裏切られて役人に捕まり、処刑されてしまう。


・ヂャンシーチォン(張士誠)

三姉妹の祖父

船による塩の運搬と塩の密売をしていたが、挙兵して江北の要地を占領する。

蘇州を都として呉王を名乗り、朱元璋(洪武帝)と覇を競うが敗れる。


・チェンイージュン(陳依俊)

ヂャンルーチェンの配下。

ヂャンルーチェンを裏切って、役人に密告して、ヂャンルーチェンの店を手に入れる。


・リンジェンフォン(林剣峰)

ヂャンルーチェンと敵対していた福州の海賊。




―酔雲庵― 長編歴史小説 尚巴志伝 第二部 10.麗しき三姉妹

長編歴史小説 尚巴志伝

2017年11月6日

[] 第二部 9.泉州の来遠駅 17:11  第二部 9.泉州の来遠駅を含むブックマーク

泉州湾に入った進貢船は何艘もの小舟に引っ張られ、広い川をさかのぼって港に入ります。

港は街のはずれにあって、サハチ(尚巴志)たちは川船に乗り換えて、泉州の街に向かいます。

泉州の街は高い城壁に囲まれた城塞都市でした。

サハチとウニタキは広い川に架かった石の橋を見て驚きます。

琉球人の宿泊施設である「来遠駅」は城壁に囲まれた街の外にあり、川から運河がつながっていて船に乗ったまま行けました。


石垣で囲まれた「来遠駅」は思っていたよりも広く、建物がいくつも建っていて、宿泊施設も二階建ての立派な建物でした。

サハチとウニタキとファイチは三人で一部屋に入ってくつろぎました。

別の建物には、先に来ていた山南王の者たちが滞在していました。

山南王の使者は宇座按司の息子で、すでに応天府(南京)に向かっていました。


憧れの明国に来たサハチとウニタキはじっとしていられず、ファイチと一緒に外に出ました。

広い道には石が一面に敷かれてありました。

景色を眺めながら広い道を真っ直ぐ行くと城塞都市に入る大きな門がありました。

街全体を城壁で囲むなんて、サハチたちには考えられない事でした。


その夜、歓迎の宴が開かれて、会場を明るく照らしているローソクに驚きます。

豪華な料理を食べて、綺麗所の妓女たちも参加して、楽しい宴となりました。


翌朝、ファイチを訪ねて来た者がありました。

メイファンの手下で、メイファンの家族が皆殺しにされたと言います。

サハチとウニタキとファイチはメイファンを助けるために使者たちとは別行動を取ります。




・泉州の歴史

1087年、泉州に貿易管理機関である福建市舶提挙司(市舶司)が置かれる。

1250年、蒲寿庚、泉州の提擧市舶になる。

1276年、元、南宋を滅ぼす。

1279年、クビライは楊州、湖南、贑州、泉州四省において日本侵攻用の戦艦600艘の造船を命じる。

1290年、マルコ・ポーロが泉州に来る。

1345年、モロッコ生まれの旅行家イヴン・バトゥータが泉州に来る。

1351年、白蓮教徒の集団が各地で反乱を起こし、紅巾の乱が勃発する。

1352年、城壁を拡張する。

1368年、洪武帝、明国を建国する。

1370年、洪武帝、寧波・泉州・広州に三市舶司を設置する。

1374年、洪武帝、三市舶司を廃止して民間貿易を全面的に禁止する。

1385年、琉球の進貢船が泉州に初めて来る。宿泊施設は寺院。

1403年、永楽帝、三市舶司を復活させて朝貢国の入朝に備える。

1405年、大食(タージー)の屋敷跡に「来遠駅」が設置される。

1469年、福建市舶提挙司が、泉州から福州に移り、「柔遠駅」が設置される。




登場人物


・サハチ(尚巴志)

島添大里按司。

父は中山王の思紹。

妻は伊波按司の妹、マチルギ。

父を中山王にして、明国に旅立つ。


・ウニタキ

表向きは地図を作っている重臣の三星大親。

中山王の裏の組織「三星党」の頭領。

妻は尚巴志の叔母のチルー。

尚巴志を守るために一緒に明国に行く。


・ファイチ(懐機)

中山王の客将。

久米村からアランポー一族を追い出し、長史のワンマオと一緒に新しい久米村を造っている。

旧友に会うために尚巴志と一緒に明国に行く。


・サングルミー

与座大親。中山王の正使。

山南王のシタルーと一緒に明国の国士監に留学して、帰国後、中山王武寧の正使となる。

明国から帰国すると武寧は亡くなっていて、思紹が中山王になっていたが、思紹に仕える。




―酔雲庵― 長編歴史小説 尚巴志伝 第二部 9.泉州の来遠駅

長編歴史小説 尚巴志伝

2017年10月30日

[] 第二部 8.遙かなる船旅 19:59  第二部 8.遙かなる船旅を含むブックマーク

中山王思紹が初めて送る進貢船が浮島(那覇)から船出して行きました。

正使はサングルミーで、護衛のサムレー大将は宜野湾親方、副大将は當山親方でした。

サハチ(尚巴志)、ウニタキ、ファイチ(懐機)も従者として乗っていました。

按司たちは明国に行く従者として、若按司を選んだ者が多かったのですが、八重瀬按司のタブチは留守を若按司に任せて、本人がやって来ました。


サハチが明国に行く目的には火薬を手に入れる事も含まれていました。

ファイチが親しくしていたメイファンは海賊の娘で、先に明国に帰っていました。

明国でメイファンと会って、海賊と火薬の取り引きができればいいとサハチは胸を膨らませます。


二日目に久米島に着いて、三日目の午過ぎに久米島を出帆します。

久米島を過ぎると明国まで途中に島はありません。

毎日、海しか見えない景色にも飽きた、ある夜、ウニタキが三弦を弾き始めます。

皆がウニタキの歌を聴いて、故郷に残してきた家族たちの事を想います。

翌日、嵐がやって来て、船が転覆するのではないかと思うほど恐ろしい経験をします。

黒潮も無事に乗り越え、船は順調に走りましたが、明国にはなかなか着きません。

船出してから十五日目に、今頃、首里ではお祭りをやっているなとサハチとウニタキが話していると、小琉球台湾)が見えて来ました。


次の日、ようやく大陸が見えて来ました。

海に突き出した半島の上にグスクのような石垣が見え、そのグスクの下に泊まっていた船が進貢船に近づいて来ました。

進貢船が止まって、明国のサムレーが乗り込んで来ました。

明国のサムレーたちはサングルミーたちと会って、船から降りると進貢船を護衛して泉州の港まで誘導してくれました、



進貢船の大きさ


長さ34.8m、幅9.7m、舟高5,4m、艫高8.2m、舳高7.6m、総重量2300t。

帆柱 高さ30m、廻りが4.5m

本帆 長さ22m、幅15.4m(17反帆)

艫帆 長さ7.6m)、幅4.5m

前帆 長さ14.5m、幅7.2m

楫柱 長さ9m、廻り2,4m、葉長さ4.5m、葉幅3m

旗  進貢旗(帰国時には「奉旨帰国」の旗となる)、三角籏(黄色地に赤丸)、

   七ツ星籏(北斗七星)、モカズ籏(ムカデ)、五色籏、菩薩籏(媽祖)、

   御紋籏(青地に三つ巴)、舳籏、関帝王籏、艫黄色籏




登場人物


・サハチ(尚巴志)

島添大里按司。

父は中山王の思紹。

妻は伊波按司の妹、マチルギ。

父を中山王にして、明国に旅立つ。


・サングルミー

与座大親。中山王の正使。

山南王のシタルーと一緒に明国の国士監に留学して、帰国後、中山王武寧の正使となる。

明国から帰国すると武寧は亡くなっていて、思紹が中山王になっていたが、思紹に仕える。


・宜野湾親方

明国から帰ってきた進貢船のサムレー大将。

思紹に仕える。


・當山親方

當山之子。中山王のサムレー大将。

越来按司(美里之子)の弟。


・ウニタキ

表向きは地図を作っている重臣の三星大親。

中山王の裏の組織「三星党」の頭領。

妻は尚巴志の叔母のチルー。

尚巴志を守るために一緒に明国に行く。


・ファイチ(懐機)

中山王の客将。

久米村からアランポー一族を追い出し、長史のワンマオと一緒に新しい久米村を造っている。

旧友に会うために尚巴志と一緒に明国に行く。


・タブチ

八重瀬按司。

汪英紫長男。山南王(シタルー)の兄。

中山王の武寧と組んでシタルーを倒し、山南王になるつもりだったが、尚巴志に邪魔される。

尚巴志を恨むが、父も弟も行った事のある明国に行ってみようと考え、中山王に従って明国に行く。


・玉グスク若按司

妻は尚巴志の妹。

従者として明国に行く。


知念若按司

妻は尚巴志の妹。

従者として明国に行く。


浜川大親

勝連の重臣。サンラー、尚巴志の幼馴染み。

従者として明国に行く。



―酔雲庵― 長編歴史小説 尚巴志伝 第二部 8.遙かなる船路

長編歴史小説 尚巴志伝

2017年10月24日

[] 第二部 7.首里の初春 09:51  第二部 7.首里の初春を含むブックマーク

年が明けて、永楽5年(1407年)になりました。

思紹が中山王になって初めての正月は、明国の堅苦しい着物を着ての新年の儀式から始まりました。

浦添御殿(正殿)を背にして、中山王思紹、王妃、世子のサハチ(尚巴志)、世子妃のマチルギが正装して座り、その前の御庭に家臣たちがずらりと並ぶ中、馬天ヌルが率いるヌルたちによって華麗な儀式が執り行われました。

二日には久米村の唐人たちが来て、中山王に新年の挨拶をしました。

ファイチ(懐機)も明国の礼服を着てかしこまっていました。

三日には中山王に従っている按司たちが挨拶に来ました。

東方(あがりかた)の按司たちか来るのは当然ですが、八重瀬按司のタブチが来たのにはサハチは驚きました。

挨拶が終わると新年の宴が催され、タブチは中山王に従うと言いました。

サハチは思紹と相談して、挨拶に来た按司たちを従者として、明国に連れて行く事に決めました。


正月の20日、進貢船の出帆の儀式が行なわれ、翌日、馬天浜にシンゴとクルシの船がやって来ました。

サハチの弟のヤグルー、次男のジルムイ、甥のマウシ(護佐丸)、マウシの友達シラーが無事に帰国しました。

ヤマトゥの国を見てきたヤグルー、ジルムイ、マウシ、シラーの顔付きは変わっていました。

四人は博多から京都まで行っていて、話を聞いて、サハチも行ってみたいと思いました。


明国に行く二日前、サハチはウニタキに呼ばれて、城下にある「まるずや」に行きます。

「まるずや」に行くとウニタキはいなくて、ナツがいました。

ウニタキの配下のナツは島添大里の侍女を辞めて、今は「まるずや」を一人でやっていると言いました。

勢力範囲が広がったので、ウニタキの「三星党」も人手不足のようです。

ナツはサハチの唐旅を心配して、送別の宴を催したいと言います。

サハチはナツの話を聞いて、ナツがずっとサハチを慕っていた事を知ります。

サハチはナツがいじらしく思えて、ナツを抱きしめます。




登場人物


・サハチ(尚巴志)

島添大里按司。

父は中山王の思紹。

妻は伊波按司の妹、マチルギ。

父を中山王にして、明国に行こうと考えている。


・思紹

中山王。サハチの父親

佐敷按司を隠居して、東行法師を名乗り、慶良間の島で若い者たちを鍛える。

一千人の兵を育て、その兵力によって、中山王武寧を倒し、中山王となる。

王となってもじっとしているのは苦手で、兵たちの指導をしている。


・ミチ

中山王妃。サハチの母親。

越来按司の姉。


・マチルギ

尚巴志の妻。伊波按司の妹。

女子サムレーたちの総大将

島添大里按司の奥方だが、首里にいる事が多い。

尚巴志が明国に行くと言い出したので、女たちを連れてヤマトゥに行こうと考える。


・馬天ヌル

中山王思紹の妹。

霊力が高く、各地のヌルたちに慕われている。

娘のササも霊力が高い。

新年の儀式のために先代の中山王に仕えていたヌルたちを集めて指導する。


・ファイチ(懐機)

中山王の客将。

久米村からアランポー一族を追い出し、長史のワンマオと一緒に新しい久米村を造っている。

思紹の初めての進貢船を出すために忙しい。

旧友に会うためにサハチと一緒に明国に行く。


・中グスク按司

クマヌ。

ヤマトゥの山伏で、長い間、思紹に仕えて、中グスク按司になる。


・越来按司

美里之子。尚巴志の叔父。


・サム

勝連の後見役。マチルギの兄。クマヌの娘婿。


・伊波按司

マチルギの兄。妻は今帰仁の研ぎ師ミヌキチの娘。


・山田按司

マチルギの兄。妻は宇座按司の妹。


・安慶名按司

マチルギの兄。妻は勝連按司の娘(ウニタキの妹)。


北谷按司

妻は先代越来按司の妹。


・大グスク按司

妻は越来按司の娘。


・玉グスク按司

南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。


・知念按司

南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。

大グスク按司の叔父。


・垣花按司

南部東方の按司。

大グスク按司の叔父。


・糸数按司

先代の糸数按司の母親違いの弟。

察度に仕えて護衛隊長を務め、上間按司になる。

兄の糸数按司を倒して、糸数按司になる。


・タブチ

八重瀬按司。

汪英紫長男。山南王(シタルー)の兄。

中山王の武寧と組んでシタルーを倒し、山南王になるつもりだったが、尚巴志に邪魔される。

尚巴志を恨むが、父も弟も行った事のある明国に行ってみようと考え、中山王に従う。


・シンゴ

早田新五郎。対馬のサイムンタルー(早田左衛門次郎)の弟。

兄の左衛門太郎が朝鮮に投降したため、お屋形様の代理を務める。

佐敷ヌルと結ばれ、娘が生まれる。


・クルシ

早田左衛門太郎の重臣。

倅に跡を譲って隠居し、尚巴志の家臣になる。


・ヤグルー

尚巴志の弟。

平田グスクを任され、平田大親を名乗る。


・ジルムイ

尚巴志の次男。後の尚忠。

真面目な性格で、サグルーやササとは付き合わない。

ヤマトゥ旅に行って、自分に自信を持つ。


・マウシ

山田按司の次男。後の護佐丸。

祖父は今帰仁按司だったが、羽地按司に殺され、今帰仁按司の座を奪われる。

祖父は中山王の察度が今帰仁を攻めた時に、今帰仁按司(羽地按司)を殺すが戦死してしまう。

マウシは祖父が戦死した頃に生まれ、祖父の生まれ変わりに違いないと皆から期待されて育つ。

叔父の尚巴志を頼って、首里に行き、サムレー大将になるために修行に励む。

島添大里で苗代大親の娘のマカマドゥに一目惚れする。

ジルムイと一緒にヤマトゥに行ってくる。


・シラー

久良波のマサルーの次男。

マウシの幼馴染みで、マウシと一緒に首里で修行する事になる。

マウシと一緒にヤマトゥに行ってくる。


・ササ

馬天若ヌル。父親は水軍大将のヒューガ、母親は馬天ヌル。

誰だかわからないが、誰かが来るのを予見して、木の上で待っていて、マウシと会う。

幼い頃から母親に剣術を習い、娘たちの師範代を務めるほとの腕を持っている。

ヌルとしても強い霊力を持っていて、尚巴志と懐機を出会わせたのもササだった。

山田に行って、久良波のマサルーの息子、シラーに一目惚れする。

マカマドゥと一緒に、ヤマトゥ旅に出たシラーとマウシの無事を祈る。


・マカマドゥ

苗代大親の三女。

幼い頃から父に剣術を習い、自分よりも弱い男には見向きもしない。

マウシが自分と互角の腕を持っていたので、気になる存在になる。

ササと一緒に、ヤマトゥ旅に出たマウシとシラーの無事を祈る。


・サグルー

尚巴志の長男。島添大里の若按司。

二年前に、ヤマトゥ旅に行き、京都にも行っている。

山田に行き、マウシの妹、マカトゥダルに一目惚れする。


ナンセン禅師

ヤマトゥの禅僧。

察度に仕えて、察度の子供たちに読み書きを教えていた。

思紹に仕え、首里のナンセン寺で、子供たちに読み書きを教えている。


・マグサ

クルシの配下として尚巴志の家臣になる。

クルシが引退したあと、船長になる。


・ナツ

ウニタキの配下。佐敷の重臣、津堅大親の娘。

尚巴志の妹のマカマドゥと一緒に剣術の稽古に励む。

尚巴志に憧れ、尚巴志を守るために「三星党」に入る。

島添大里グスクの侍女になって、尚巴志とウニタキの連絡役を務める。

侍女を辞めて、島添大里城下の「まるずや」を任される。

尚巴志が明国に行くと聞いて、もう二度と会えないかもしれないと思い、自分の気持ちを打ち明ける。




―酔雲庵― 長編歴史小説 尚巴志伝 第二部 7.首里の初春

長編歴史小説 尚巴志伝

2017年10月16日

[] 第二部 6.宇座の古酒 16:18  第二部 6.宇座の古酒を含むブックマーク

攻め落とした中グスクにはクマヌが入って、中グスク按司になりました。

越来グスクには美里之子が入って、越来按司になりました。

勝連グスクは8歳の若按司が成人するまで、サムが後見役として入りました。

クマヌは娘婿のサムが勝連に行ってしまったので、サムの弟のムタを養子に迎えて跡継ぎとしました。


宇座按司は御隠居(泰期)の次男で、2月の戦の時、兵を引き連れて山田から宇座に寄った時、サハチ(尚巴志)は初めて会いました。

使者として明国に何回か行っていて、サハチが御隠居と会っていた頃は浦添にいたようです。

今は隠居して、牧場で馬を育てているので、サハチは叔父の苗代大親を誘って会いに行ってみました。


宇座按司はサハチたちを歓迎してくれ、御隠居がサハチと飲もうと思っていたという高級な酒を出してくれました。

サハチは宇座按司から話を聞いて、宇座按司が山南王の使者だった事を知って驚きます。

宇座按司の息子たちは山南王に仕えているとの事でした。


12月になって、ヤマトゥの商人たちが続々と浮島にやって来ました。

その中に懐かしい顔がありました。

サハチがヤマトゥに行った時にお世話になった志佐壱岐守でした。

思紹の話し相手に丁度いいと思って、サハチは志佐壱岐守を首里グスクに連れて行きます。




登場人物


・サハチ(尚巴志)

島添大里按司。

父は中山王の思紹。

妻は伊波按司の妹、マチルギ。

父を中山王にして、明国に行こうと考えている。


・思紹

中山王。サハチの父親

佐敷按司を隠居して、東行法師を名乗り、慶良間の島で若い者たちを鍛える。

一千人の兵を育て、その兵力によって、中山王武寧を倒し、中山王となる。

王となってもじっとしているのは苦手で、兵たちの指導をしている。


・ソウゲン

ヤマトゥの禅僧で、島添大里の城下に住んで、子供たちに読み書きを教えている。


・ファイチ(懐機)

中山王の客将。

久米村からアランポー一族を追い出し、長史のワンマオと一緒に新しい久米村を造っている。

思紹の初めての進貢船を出すために忙しい。


・安謝大親

中山王の重臣。三人の大役の一人。


・嘉数大親

中山王の重臣。三人の大役の一人。


・与那嶺大親

中山王の重臣。三人の大役の一人。


・苗代大親

中山王思紹の弟。武術師範。

サムレーたちの総大将


・ヒューガ(三好日向)

中山王の水軍の大将。

妻は馬天ヌル。娘にササがいる。

奥間の一夜妻との間に、ユリという娘がいて、ユリは武寧の長男カニムイの側室になる。

浦添グスクが焼け落ちた時、ユリはウニタキに助けられて、佐敷の馬天ヌルの屋敷で娘と一緒に暮らしている。


・クマヌ

中グスク按司。

ヤマトゥの山伏で、長い間、思紹に仕えて、中グスク按司になる。


・美里之子

越来按司。尚巴志の叔父。


・サム

勝連の後見役。マチルギの兄。クマヌの娘婿。


・ムタ

先代の伊波按司の五男。マチルギの弟。

クマヌの養子となる。


・宇座按司

泰期の次男。

中山王の正使、山南王の正使を務め、今は隠居して牧場で馬を育てている。


・マジニ

宇座按司の三女。


・ハリマ

ヤマトゥの山伏。

浮島の宿屋の主人。


・志佐壱岐守

壱岐島倭寇の大将。

サハチがヤマトゥに行った時にお世話になった。


・ジクー禅師

京都妙心寺の禅僧だったが、妙心寺が将軍義満につぶされ、志佐壱岐守と一緒に琉球に来る。




―酔雲庵― 長編歴史小説 尚巴志伝 第二部 6.宇座の古酒

長編歴史小説 尚巴志伝

2017年10月9日

[] 第二部 5.ナーサの遊女屋 17:06  第二部 5.ナーサの遊女屋を含むブックマーク

首里城下町造りを始めてから半年余りが経って、大通りに面して建つ屋敷はほとんど完成して、ようやく都らしくなってきました。

浦添グスクの侍女だったナーサの念願もかなって、「宇久真」という立派な遊女屋もできました。

「宇久真」の開店の日、中山王の思紹は重臣たちの懇親の宴を催します。

佐敷からの重臣たちと寝返った浦添の重臣たちの間にある溝を埋めなければならないと思ったからです。


浦添の重臣たちは「宇久真」の女将になっているナーサを見て、腰を抜かさんばかりに驚きます。

浦添の重臣の中で、平戸親方が欠席しました。

宜野湾親方が、平戸親方が何かをたくらんでいるようだとサハチ(尚巴志)に知らせますが、サハチはナーサから平戸親方の事を聞いていて、すでに対策を打ってありました。


サハチはウニタキと一緒に宴を抜け出して、浮島(那覇)に向かいます。

すでに、平戸親方はヒューガと當山之子に捕まっていました。

サハチとウニタキはヒューガを連れて、「宇久真」に戻ります。

宴席に遊女たちの姿はなく、佐敷と浦添の重臣たちが仲よく騒いでいました。



登場人物


・サハチ(尚巴志)

島添大里按司

父は中山王の思紹。

妻は伊波按司の妹、マチルギ。

父を中山王にして、明国に行こうと考えている。


・思紹

中山王。サハチの父親

佐敷按司を隠居して、東行法師を名乗り、慶良間の島で若い者たちを鍛える。

一千人の兵を育て、その兵力によって、中山王武寧を倒し、中山王となる。

王となってもじっとしているのは苦手で、兵たちの指導をしている。


・ナーサ

首里の遊女屋「宇久真」の女将。

先代の中山王、武寧の王妃の侍女として、浦添グスクに入り、御内原の侍女たちを仕切っていた。

ウニタキの殺された先妻ウニョンの実の母親。

ウニョンの敵を討つために望月党の事を調べていて、ウニョンの夫だったウニタキと再会する。

生まれ故郷の奥間のために生きようと決心して、サハチの味方となり、浦添の重臣たちを寝返らせる。


・マユミ

「宇久真」の遊女。

サハチに一目惚れするが奥間ヌルに取られてしまい諦めて、中グスク按司の側室になる。

中グスクがサハチに攻められた時、助け出されて奥間に帰り、ナーサの遊女屋の遊女となる。

「宇久真」の開店の日にサハチと出会えて大喜びをする。


・宜野湾親方

明国から帰ってきた進貢船のサムレー大将。

思紹に仕える。


・新垣大親

シャムから帰ってきた交易船の正使。

思紹に仕える。


・サングルミー

与座大親。明国から帰ってきた進貢船の正使。

思紹に仕える。

山南王のシタルーと一緒に明国の国士監に留学している。


・又吉親方

明国から帰ってきた進貢船のサムレー大将。

思紹に仕える。


・ウニタキ

表向きは地図を作っている重臣の三星大親。

中山王の裏の組織「三星党」の頭領。

妻は尚巴志の叔母のチルー。


・ユシヌ

「宇久真」の遊女。

ウニタキの相手をする。


・ヒューガ(三好日向)

中山王の水軍の大将。

妻は馬天ヌル。娘にササがいる。

奥間の一夜妻との間に、ユリという娘がいて、ユリは武寧の長男カニムイの側室になる。

浦添グスクが焼け落ちた時、ユリはウニタキに助けられて、佐敷の馬天ヌルの屋敷で娘と一緒に暮らしている。


・當山之子

中山王のサムレー大将。

越来按司(美里之子)の弟。


・平戸親方

先代の中山王、武寧のサムレー大将。

交易船の護衛をして、シャム(タイ)から帰って来る。

帰国したら武寧が殺されていた事に驚き、進貢船を奪って山北王のもとに行こうと計画するが、サハチに知られて捕まり処刑される。




―酔雲庵― 長編歴史小説 尚巴志伝 第二部 5.ナーサの遊女屋

長編歴史小説 尚巴志伝