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風の跡地 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2015-12-31

2015年版 個人的にはこのマンガがすごいと思ったんだけど

 一昨年ぐらいから思ってたんですけど、「なぁ……」はなんか冗長ですよね。なので今年から省きます。


過去記事

 以下、今年の私的漫画備忘録です。越すぞ年を。


 選考要件

  • 2014/12/26〜2015/12/25の間に単行本が発行された作品から選びます……という規定を毎年設けていましたが、ちょうど境目の時期に発売された作品については、今後柔軟に対応していこうと思います。
  • ノンジャンルでやります。結果として特定ジャンルばかりになったとしたら、それは単なるぼくの趣味趣向です。
  • 総合部門と、そのほかに一巻部門(期間内に1巻が出た作品対象)、完結部門(期間内に完結巻が出た作品を対象)、一冊部門(短編集および一冊の単行本でまとまってるもの)に分けて1位から5位まで順位をつけます。
  • 以上の条件のもとで、あとは基本的にぼくの好き嫌いを基準に、ぼくが読んだ作品の中から、1位から5位までを選出します。
  • 一応成人向け作品は除外。



 例によって、まずは一巻部門からやります。

一巻部門第5位「ダンジョン飯/九井諒子/KADOKAWA」

 なんというか、すでに評価されまくってるんで今更感があるんですが、九井作品はずっと物語(ファンタジー/フィクション/虚構)におけるリアリティ、あるいは物語ることによってふつうは適度にデフォルメされて捨象される卑小な要素―例えばダンジョンにおける生態系、食事、みたいなもの―への疑義を大きなテーマとして描いてきていて、そういう今までは散発的に提起されてきた疑義が、こうして続き物の作品として結実してくると、やっぱり感動しますね。ずっとブレずにひとつの問題意識をつねに持ち続けているというのがすごい。

一巻部門第4位「イチゴイチハチ!/相田裕/小学館

 あの『GUNSLINGER GIRL』の相田裕が今度はまるで人畜無害な青春漫画を描きだしたというのではじめは仰天していたんですが、2巻ぐらいからやっと絵柄が話に馴染んできたような感じがします。でもびっくりですよね、本当に。

一巻部門第3位「波よ聞いてくれ/沙村広明/講談社

波よ聞いてくれ(1) (アフタヌーンKC)

波よ聞いてくれ(1) (アフタヌーンKC)

 この『おひっこし』ともまた違う、このゆったりとして地に足のついた、それでいてどこから何が出てくるかわからない感じはなんなんでしょうか。沙村作品としてはかなり新感覚な気がします。まさかミツオがあんな感じで出てくるとは思わなかった。

一巻部門第2位「世界八番目の不思議/宇島葉/KADOKAWA」

 これはめちゃくちゃ面白いですね。ハルタ本誌で読んだ「言葉はいらない。それがうどんコミュニケーション」にやられました。なんなんだよそれは。

一巻部門第1位「バトルスタディーズ/なきぼくろ/講談社

バトルスタディーズ(1) (モーニング KC)

バトルスタディーズ(1) (モーニング KC)

 日本の野球文化におけるPL的なものについての賛否は正直特にないんですが(この作品はそういうところを自分の過去への愛憎に流されすぎないで極力フラットに描こうとしてるような印象があって好感を持てます)、このなきぼくろという作者の方はめっちゃ野球を描くのがうまいですね。野球の動きというか流れというか、野球漫画の文法みたいなものの扱い方がすごく上手くて、特に試合中の表現については近年稀に見るほどの才能を持ってるような気がします。




 続いて一冊部門。

一冊部門第5位「いないときに来る列車/粟岳高弘/駒草出版」

いないときに来る列車

いないときに来る列車

 静岡県西部が誇れない漫画家粟岳高弘の(たぶん)全年齢向け同人作品集。この人の作品世界は本当にすごいので、特にSF者の方はロリコンでなくても読んだほうがいいと思います。

一冊部門第4位「お尻触りたがる人なんなの/位置原光Z/白泉社

お尻触りたがる人なんなの

お尻触りたがる人なんなの

 あんまりこういうことは言いたくないんですけど、「楽園」誌を買ったらいちばん最初にこれを読みますね。変な気負いが要らないのがいいんでしょうか。

一冊部門第3位「花はニセモノ/仙石寛子/白泉社

花はニセモノ

花はニセモノ

 重そうにしようとすればいくらでも重そうにできるような話をあえてさらっと描くというのはたぶん結構難しくて、それをかなりさらっと、コメディすれすれのでもコメディじゃないところで描くというのが相変わらずすごいですね。今年は地味に仙石寛子イヤーで、1年の間に3冊も単行本が出たというのはたぶん初めてなはずなんですけど、夢かと思いました。

一冊部門第2位「誰でもないところからの眺め/いがらしみきお/太田出版

誰でもないところからの眺め

誰でもないところからの眺め

 ホラー作家としてのいがらしみきおが、ものすごいホラーの具現化としての「震災」をどう消化していくのか、ということに僕はずっと興味があって、『I(アイ)』は正直よくわからなかったんですけど、この作品まできて、ああ、この人はたぶん、自然災害を「消化しない」ことにしたんだな、というのがなんとなくわかった感じがして、なんでホラー漫画として読むと終盤の展開に物足りなさを感じてしまうと思うんですが、僕はかなり強い感慨を覚えました。

一冊部門第1位「ビーンクとロサ/模造クリスタル/イースト・プレス

ビーンク&ロサ

ビーンク&ロサ

 これも物語ることについての物語というか、模造クリスタル的な物語創造論みたいな側面の大きい作品だと思うんですが、ところどころに挿入される「車の魅力」みたいな小噺(?)がすごく良くて、そういう一見無駄で冗長な小噺のコラージュとしてひとつの大きな世界像が浮かび上がってくるみたいな感じが僕はすごく好きでした。




 続いて今年完結作品ですが、昔と較べて観測範囲が狭まってきていてだんだん年間5位まで選出するのが厳しくなってきている感じがします。

完結部門第5位「秋津/室井大資/KADOKAWA」

 「房総半島一周しようぜ サイコーだぞ! 湿気が強くて情が薄くて」打ち切り感がやばいですけど、『秋津』ほど打ち切りが似合ってる漫画もなかなかない気がします。

完結部門第4位「イエスタデイをうたって/冬目景/集英社

 やっと終わった。11巻の表紙の、二人が目線をくれている感じがいかにも罪作りな風情ですね。

完結部門第3位「リューシカ・リューシカ/安倍吉俊/スクウェア・エニックス

 リューシカはなんだか急に物わかりが良くなって終わるんですけど、こわいですね。人が育つってことは本質的に怪現象なのかもしれない。

完結部門第2位「やさしいセカイのつくりかた/竹葉久美子/KADOKAWA」

 女の子たち的にも大団円なんですけど、これは朝永先生や小野田先生とかの大人まで含めた成長物語でもあるんだよなと思うと、なんかすごいうまいことやったなという感じがしてくる。

完結部門第1位「WORKING!!/高津カリノ/スクウェア・エニックス

 そっか、八千代さんの刀は初っ端の出オチのネタをひたすら引っ張ってるんじゃなかったんだな、と思ったらなんかじんわりくるものがありました。やっぱりコメディの根底にはある種の切実さがないといけないんだなというか。




 さいごに総合部門です。毎年代わり映えしないので、コメントとかは特にいいですよね。良いお年を。

総合部門第5位「ぼのぼの/いがらしみきお/竹書房

ぼのぼの 40 (バンブーコミックス)

ぼのぼの 40 (バンブーコミックス)


総合部門第4位「壬生義士伝/ながやす巧浅田次郎/集英社


総合部門第3位「乙嫁語り/森薫/KADOKAWA」


総合部門第2位「よつばと!/あずまきよひこ/KADOKAWA」


総合部門第1位「娘の家出/志村貴子/集英社

娘の家出 3 (ヤングジャンプコミックス)

娘の家出 3 (ヤングジャンプコミックス)

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