無駄1

店の前の大通りは石畳て、中央に側溝がある。「中央」に「側」溝とは変な日本語だが、とにかく真ん中に水路がが埋まっていて5mおきに鉄の蓋が付いている。冬にはここを開けて積もった雪を浚(さら)い込む仕掛けだ。
ところが2年前の大雪で、クッションの役割をしていた裏ゴムが千切れてしまい、以来鉄蓋は道路の鉄枠に直に乗っかっている状態だ。おかげで車が通過する度にグワングワンと音を立てる。蓋は5mおきなのでグワングワンが連打されて、やかましいことこの上ない。
一年待っても全く改善してくれないので、今年の春から折を見ては蓋の裏に新聞紙を敷いている。まぁ、グワンがグワになる程度だし、一雨降れば効果は無くなるんだが、それでも少しは役に立つんで続けている。
今月になって、改修のための予算が下りたと新聞に出ていたらしい。近所のオバサンが「予算付いたし、そんな無駄なことやらんでいいやろ」といつもどおりのチャチャを入れてくる。
しかし待ってくれ。俺のやっている事は無駄なのか?
車が通るたびに「うるさいやかましい」と手をこまぬいているばっかりで全て行政に任せ、町内や幼稚園の送迎に徐行を呼びかけたり、今出来ることを考えたりしない、あんたらの愚痴のほうが無駄じゃないのか??

無駄2

病院にて。
「静かにして。ふらふらしない。裸足で歩かない。静かにして。こっち来なさい。外行かれんな。大声を出さない。」
待合室で騒ぐ子供に、延々と母親の注意が飛ぶ。
ジャージ姿でベンチにずり落ちるように腰掛けて、M字開脚で本から目を離さない、そんな格好で一歩たりとも動かない金髪の母親の注意が飛ぶ。
抑止力を持たない注意なんてものは、無駄だろ。
つーか一番声の大きいのはあんただ。