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2010-06-18

おもしろ論文は三度読む。高専〜大学生くらいからの論文の読み方

 論文を読みたい、読んでみたい、読まなきゃいけない、けど読み方が分からない、っていうか論文に読み方なんてあるの?っていう高専〜大学生向けのお話です。おもしろ論文を見つけたら、とりあえずその論文を、ざっと、ひととおり、しっかり、の三回くらい読んでみることをおすすめします。


今回の構成

  • 論文を手に入れる方法。
  • 英単語は英辞郎とライフサイエンス辞書(どちらも無料)でほとんどカバーできる。
  • ざっと読む時のテクニック
  • ひととおり読む(ふつう)
  • しっかり読むための勘所
  • メモ

論文を手に入れる方法。

 当館は医学・生命科学関連分野の学術資料を所蔵する図書館です。当館の所蔵資料の利用を希望する方は、本学の教育研究に支障のない範囲内でご利用いただけます。

というわけで一般の方も利用できます。

いちおう名大図書館も紹介


○英単語は英辞郎とライフサイエンス辞書(どちらも無料)でほとんどカバーできる。


○ざっと読む

  • まずは著者の主張、その根拠および証拠とそれに至る論理展開をだいたいつかむためにポイントを絞ってざっと読む。
  • おもしろそうな論文サーベイするときなど、たくさんの論文に目を通しておく時にはこれだけで済ませることもある。
  • 神経科学関連の論文はいわゆるIMRAD(Introduction, Methods, Results And Discussion)に表題(Title)、要旨(Abstract、だいたい最初に書いてある)と参考文献(References、だいたい最後に書いてある)が付く構成で書かれることが多い。レター(Letter)形式では明示されていないことがあるけど、構成は一緒。
  • 著者の主張表題(Title)、要旨の最後の一文(the last sentence of the Abstract)、考察の第一段落(the first paragraph of the Discussion)にまとまっている(ことが多い)ので読む。著者の主張はどのくらい確からしいのかを以下の点に気をつけて吟味する。
  • 主張の根拠はだいたい要旨と、考察の第一段落にまとまっており、証拠図と表(Figures and Tables)およびその説明文(Legend)に示されている。提出された証拠は根拠を支えるために十分な説得力があるか、たとえば、数は十分か、統計処理に瑕疵は無いかなど検討する。
  • 図や表がどのようにして得られたのか分からない場合(自分でやったことがない場合とか)は、結果の対応する部分(Fig. xなど結果の本文中に明示してある)および手法(Methods)を読む。証拠を導くために使った手法は妥当か、たとえば、手法に書いてある通りの方法でその結果を得ることは可能かを判断する。
  • 手法を読んでも分からない場合は、参考文献(References)の手法を参照する。それでも分からない場合は参考文献の参考文献の手法を参照する。これで分からなかったら知っていそうなひとに聞く(実験した本人とか)。
  • 根拠から主張へ至る論理展開結果(Results)の各段落の最初と最後の一文(the first and the last sentence of each paragraph、この部分に赤ペンなどで下線を引いておくと読みやすいですよ。)に書いてある(ことが多い)ので、そこを連続して読む。よく分からなかったら、その段落の残りの部分を読む。論理展開が破綻していないか気をつけて読む。

ここまでで著者の主張、その根拠および証拠とそれに至る論理展開をだいたいつかむ。


○ひととおり読む

  • 論文をざっと読んで自分がつかんだ内容を確認するために、最初から最後までひととおり読む。
  • ざっと読んで流れをつかんでおいた方が、ひととおり読んだ時に内容を理解しやすいと思う。
  • ざっと読んだだけでは間違って理解していることも多いので、上記の気をつける点を参考にして批判的に読む。特に、ざっと読んだ段階と印象が違うところを重点的に。
  • 読む順番は読みやすい順番でよいと思う。たとえば、要旨、図表、導入(Introduction)、考察、結果、手法とか。

○しっかり読む

  • 導入で引用されている参考文献をざっと読んで、研究の背景を知る。そして、その研究背景における論文の位置づけを考える。
  • 考察で引用されている参考文献をざっと読んで、著者の議論に説得力があるか否かを吟味する。たとえば、「著者が引用して述べている内容が、参考文献の主張や記述と異なる(そんなこと言ってない)」場合などに議論は説得力を失う。
  • 上記を踏まえた上で、もういっぺん論文をひととおり読む。
  • この段階が終わる頃には、「その論文をあたかも自分が書いたかのように他の人に説明する」ことも出来るかもしれない。

○メモ

  • 分かるまで調べる。(ひとに聞くのも含む。)
  • 上司(教員や先輩など)や知っているひと(実験をした本人とか)に聞いたほうが早いことも多いですよ。
  • もちろんこれが全てではないので、いろいろ改善して自分なりの論文の読み方をつくりあげるのがいいんじゃないですかね。

まとめると

  1. ざっと読んで、分かった気分になり
  2. ひととおり読んで、さっき読んでたのと違うと気付き
  3. しっかり読んで、まだまだ勉強が足りないなと思う

ってとこですかね。


ほなまた

大学院入学希望者向けの研究室情報。名大環研神経系1(視覚神経科学)


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