「ガールズ・ステップ」感想


 「映画ひみつのアッコちゃん川村泰祐監督「ソロモンの偽証」石井杏奈主演。クラスでも地味な女の子達、通称「ジミーズ」が、とあるきっかけから始めたダンスを通じて、徐々にお互い友情を深めつつ、成長していく青春ダンスストーリー。

 ちなみに小生、本作が初主演となる石井杏奈を、「がんばるけん」で知られる広島出身の歌手と勘違いしており、「へぇ、あの子歌だけじゃなくてダンスもできるんだー。活動範囲広いなー」などと、本気で思っていた(笑)。後に、E-girlsの最年少メンバーだと知り、どおりで顔が違うなと、一人納得した次第。
 そういえば昔、キノの旅というアニメで、主演声優を女優の前田愛ちゃん(現:六代目中村勘九郎夫人)を務めた際、同じく声優にも同姓同名の前田愛さん(現:置鮎龍太郎夫人)がいらっしゃるため、ファンが混乱したという事態があったが、きっと小生と同じような勘違いをした広島近郊在住者は、少なくないと察する。多分。

 まあ、そんなどうでもいい話はさておき。

 特に取柄もなく、大してイケてもない寄せ集めの少女たちが、一つの目標に向かって努力する。小生の好きな書道ガールズに代表される、JK青春モノのド定番的な設定であり、中身もやはりド定番の、大体予想通りに物語が展開し、大体予想通りの結末を迎える、悪く言えばありがちな内容。ただそれだけに、基本を大きく外さない安定した作りとも言え、その意味では割と好印象の出来だった。

 いわゆるアニメ的な「萌え」の要素は少なく、代わりに(あまり好きな表現ではないが)等身大の彼女らならではの悩みや葛藤、あるいは恋したり傷ついたりといった、少女漫画を髣髴とさせる設定は、おそらくは主人公達と同年代をターゲットにしたのであろう点を考えてもベター。ために、オッサン目線にはエグさというか、「ああ、そこまでやっちゃうんだ…」と眉間をしかめてしまう描写も見受けられるが、ヘタに手を広げてどっちつかずになるよりは良いと、この場合は断ずる。

 メインキャラを演じる若手女優5人も、決して上手いとは言えないものの、逆にその初々しさが作品にマッチしていてグッド。特に、ガリ便メガネどじっ子・環演じる秋月三佳と、純情ヤンキー娘・美香演じる上原実矩は、何となくだが未知のポテンシャルにも似たモノを感じた。残りの3人も含め、どうか今の若さだけに頼らず、10、20年後もその時々の自分にしかできない武器を、身に着けていただきたい。
(なお、秋月クラシックバレエ上原は空手をそれぞれ特技としているそうなので、元の運動神経は悪くないらしい。念のため)

 欲を言えば、主人公・あずさを友達という名のパシリにしていたチアリーディング部との関係を、もう少し上手く使っていただきたかったところ。少々ネタバレになってしまうが、当初疎ましく思っていたダンス部を、クライマックス直前になってようやく認めるシーンは、個人的にはすごくグッと来たものの、そこに至るまでに小さなドラマを2,3入れてほしかった。
 ここに限らず、全体的にストーリーの作り込みがやや薄味気味で、掘り下げが足りないように思える部分も多々あるが、上記したとおり対象年齢を考えると、これくらいがちょうどいいのかもしれない。まあ、オッサンとしては「できればちょっと醤油かけたい」ぐらいの味付けだが(笑)、これがJKとの感性の差なのだろう、ウン。

 とはいえ、今まさに青春真っただ中の、特に大小コンプレックスを抱えるシャイなボイズンガールズには、共感できる点、思わず感情移入してしまう場面の目白押しと察する。つまりは、同年代なら観て損なし。そうでない人も、当時を懐かしむ意味でも是非。まあ、小生に青春期なんて、1秒もなかったけどね(猛毒)。

 ☆☆☆★★++

 ところで、あずさが片思いする幼馴染・保演じる磯村勇斗くん、「仮面ライダーゴースト」にレギュラー出演するらしいよ。星3つプラスプラス!!


 繰り返しますが、本作主演の石井杏奈と、↑の曲を歌っている歌手の石井杏奈はまったくの別人です(笑)。でも、いい曲でしょ?