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2016-01-29

「人生の約束」感想

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 池中玄太80キロ等、数々の名作ドラマを手がけた演出家・石橋冠初劇場監督作品。富山県新湊を舞台に、周囲を省みず仕事一筋に生きてきた男が、たった一人の友人の死をきっかけに人生を見つめ直す、ヒューマンストーリー。

 ドラマは年に数本観る程度なので、正直同監督についてはまったく存じ上げなかったのだが、世間的にはかなり著名な方らしい。うーむ、子供の頃からテレビはほとんどアニメしか観ていないので、詮方ないといえばない事だが、得意分野のすぐ隣にあるようなジャンルでも、こうも分からんもんか。未だにあまり映画に出ていない俳優さんの事とか、よく知らなかったりするし…。
 とはいえ、主演の竹野内豊をはじめ、江口洋介西田敏行、さらに松坂桃李くんといった主役級の俳優陣が顔を揃えたという事は、それだけリスペクトされる仕事をなさってきた御仁である証左なのだろう。

 さておき。全体の印象としては、古き良き昭和のテレビドラマ然といった具合。地元の伝統行事である曳山祭を背景に、会社の利益のみに執着してきた男と、四十物町(あいものちょう)に住む人々等、それぞれの理念や生き方、あるいは葛藤、失意、諦念といった心の動きを丁寧にくみ取り、物語の進行とともに一つに束ねていく事で、静かな、しかし熱い血の通った人間のドラマを形成している。

 豪華俳優陣の演技も素晴らしく、主人公・中原演じる竹野内氏の、常にビジネスライク物事を考えていた男が、徐々に人間らしさを取り戻していく過程はもちろん、当初彼を目の敵にするも、最後はお互いを認め合い、固い友情で結ばれる曳山総代・渡辺演じる江口氏、そんな彼らを見守る四十物町町内会長演じる西田氏といった面々が、各ポジションで十全にその力を発揮し、物語をより奥深いものへと押し上げていると感じられた。
 中でも特に注目したいのが、中原の秘書・大場を演じる優香。あくまで中原をサポートする、常に一歩引いた立場でありながら、メインの登場人物を邪魔せず、それでいて知性と女性的な情念を漂わせる、ほどよい大人の存在感を好演。
 癒し系巨乳グラドルとしてブイブイ言わしていた過去もすっかりなかった事になり、長年演技面で渋い評価を受ける事の多かった彼女だが、この数年は脇でキラリと光る名バイプレイヤーとして、徐々にその地位を確固たるものにすつつあると私見。ああいう女優を正しく使いこなす事こそが、日本映画復興のカギであると、勝手に断じてみる。

 とは言うものの、これが初の映画監督作品だったにせい、場面の構成がテレビドラマほぼそのままだったのは、非常に痛い。当然の事ながら、平均2時間前後のフィルムにまとめなければならない映画と、1時間ずつ1クール近く放送するテレビドラマでは、そもそもの製作論が違うわけだが、その辺の折り合いがお世辞にも上手くいっているとは言えず、シーンのシーンの間に、なんとも言えないリズムの悪さを覚えてしまった。
 加えて、やりたい事をとにかく詰め込んだのか、一つ一つのエピソードがくど過ぎて、観ていてグッタリしてしまう事もしばしば。どれかいらないエピソードを端折ればよかったのに、なんて単純な話ではないとはいえ、こうも矢継ぎ早に濃いのが来られると、こちらとしては胃もたれを起こすし、その分体感時間も長く感じられてしまう。もう少し全体がマイルドになる工夫がほしかったところ。

 また個人的な意見を言わせていただくと、ネットで四十物町の状況を日本中に発信するのはヨシとして、それであんなに大騒ぎになるだろうか、そもそもどこに投稿したんだ?と、首を傾げてしまった。
 いくら彼がIT企業のCEOといっても、大した説得力はなく、百歩譲って真実はどうあれ、あんな文章ネットで流したら名誉棄損じゃね?とか、そればかりが気になった。頭いい人なら、もっと上手いやり方思いついたのでは?


 地元県民、あるいは富山に所縁のある方なら、何かしら込み上げてくるモノもあるかと察するが、極悪非道の小生の見解は、これが限界。とはいえ、昔ながらのこうした演出法を後世に残すという意味では、大いに意義のある作品かもしれない。

 あと、刑事演じるビートたけしが出てきた時は、どこからか藤竜也が子分引き連れて暴走バスで殴りこんできて、大乱闘の挙句その場で「全員、逮捕ーー!!」ってなるかなーと思ったけど、何にも起こらなかった。残念(アタリマエダ)。



 ☆☆☆★★++

 余談だけど、新人の高橋ひかるもよかった。ああいう子は大事に育てるべき。星3つプラスプラス!!









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ここなつここなつ 2016/03/01 16:38 こんにちは。
私は最近までかなりの頻度で仕事で富山を訪れる機会が多かったので、この作品は結構胸に染みました。
おっしゃるように、竹野内豊の「ビジネスライクに物事を考えていた男が、徐々に人間らしさを取り戻していく過程」は、良かったです。彼の演技、見直しました。
所で新湊は北陸のベニスと言われているそうです。風情があって良かったです。

synkronized417synkronized417 2016/03/01 21:31  ここなつさん、コメントありがとうございます。

 竹野内さん、一昔前は正直あんまり好きじゃなかったんですけど、最近はいろんな表情や側面が見えるようになって、いい俳優だなーと思えるようになりました。今回の役にもベストでしたね。

 富山は一度訪れたいと思っている場所の一つです。新潟同様、あの辺は美味しいお酒がたくさんあるそうなので、いつか飲み比べの旅に行きたいですね(笑)。

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