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流浪の狂人ブログ〜旅路より〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2016-03-30

「マネー・ショート 華麗なる大逆転」感想

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 俺たちニュースキャスターアダム・マッケイ監督クリスチャン・ベールスティーヴ・カレルライアン・ゴズリングブラッド・ピット他出演マイケル・ルイス「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」を原作に、サブプライム住宅ローン危機による経済破綻をいち早く見抜き、巨額の利益を得た人々の奮闘を描くノンフィクション

 ちなみに「ショート(short selling)」は、空売りの意味。原題「The Big Short(大きな空売り)」に対して、この邦題だと「お金がショート(電気回路的な意味で)」みたいな感じでダブルミーニングっぽくなるが、あながち間違ってないので別にヨシとしよう(エーー)。

 さておき、「華麗なる大逆転」というサブタイからして、世界中が経済危機で大混乱の中、意外な方法で大儲けに成功したインテリアウトロー軍団の痛快劇かと思いきや、この上なく残酷で重い現実をあらゆる角度から捉えつつ、そこに携わる人々の悲喜こもごもを丁寧に掬い上げた、ある種のドキュメンタリー的側面の強い作品だった。

 元がノンフィクション、しかも毎日日経読んでるような人じゃないと理解不能経済用語が飛び交うだけに、お世辞にも山あり谷ありの分かりやすい内容とは言い難く、はっきり言えば地味。また、上記したとおりスカッと爽快なオチがあるわけでもなく、むしろ世の中の一番汚い部分を垣間見せられ、ドンヨリとした気分で劇場を後にする事ウケアイ。
 が、そこはコメディを得意とする監督らしく、主要人物それぞれをパート分けし、緩急をつける事で格段に観易くしたり、場面カットに遊び心を加える等、観客を飽きさせないよう工夫がなされていた点は、評価したいところ。
 同時に、小難しい金融用語や、からくりがよく分からない金融商品を、料理やカジノの例を使ってうまく説明してくれたのも非常にグッドで、必要最小限の知識をその場で得る事で、いい意味で敷居の引き下げに成功していたと評したい。

 しかし、小生みたいな高卒低所得には到底理解できない事は十分承知しているが、なぜ銀行や証券会社は、既に破綻寸前で回収不可能と分かり切っていた金融商品を、数値を改ざんしてまで売り、世界中を騙し続けていたのだろうか。自らの保身か、混乱を避けるためか、はたまた内部でもごく一部の者にしか知られていなかったのか、その辺りは素人でも思いつく言い訳だが、どこかの時点で、これ以上ウソを重ねると大パニックになると、ちょっと頭のいい人達なら気づいていたはず。

 混沌の只中にいると、自分が狂っている事にも気がつかないとはよく言ったものだが、彼らも飲み屋でストリッパーの姉ちゃんのパンツに捻じ込んだおひねりが、どこかの低所得層の組んだ法外なローンで得た利益と、知らないわけではあるまい。返すアテもないまま借りた一部の債務者も自業自得だ、と言えなくもないとはいえ、結果的に時限爆弾と化したバブル景気に、火薬を追加投入したに等しい。

 作中、ブラピが若いトレーダー二人に経済が破たんすれば、何万人という人が家や職を失い、命を奪われる事になるんだ。それを忘れるな」と叱るシーンがあるが、彼等が手にした莫大な利益、そしてバブルとともに消失した何億、何兆という金は、そうした人々から絞り出された血と汗と涙に違いない。この一連の出来事は、究極的に経済とは誰のためにあるのか、金とは何のためにあるのかを、今一度考え直す法外な授業料であったと、思えてならない。

 とまあ、適当な事を書き殴ってしまったが、実際のところ本当はどうだったのか。こんなアホでも理解できるように優しく解説してくださる方、よろしければご教授願います(エー-)。

 毎度の事ながら、こういった作品を観ると、いかに自分がアホなのかを思い知らされるが、多少なり経済に興味を示すきっかけになれば。


 ハイ、今回はこの辺で。

 ☆☆☆★★+

 そういや本作の原作者、ブラピ主演で映画化された「マネー・ボール」書いた人なんだって。星3つプラス!!













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ふじき78ふじき78 2016/04/08 10:54 そもそもの出だしは正しい商品だったのでしょう。
返済担保として土地と家が付いてくる。ちゃんと損しない作りになっている。ただ、一軒一軒の勘定は正しくても、不況で低所得者が増えて、不動産その物の資産価値が下がる事までは想定していなかった。その仕組みに気づいた人もいた事だと思うが、それでも、「まだ儲ける事が出来る」という波に乗ってしまった。人間、儲かっている時に、この儲けは誤りだから、もう儲けるのは止めましょうとはなかなか言いだせないものです。で、一気に大逆転しちゃうんてすね。

隆 2016/04/10 12:55 金融商品の存在の希薄さ、というのは、銀行家とかの説明能力によって、その格付けが揺らぐ事があるという事で、商品としての完成度の高さ、というよりは、駄目なものを、高尚な弁術で、一流品に仕立て上げてしまった事でしょう。そして、資本主義の自由市場の危ういところ、歴史は繰り返す、という、過去との絆は、法制化によって、失敗が禁じられないからでしょう。不動産という、本来は実業ですが、そのスキームの連続によって、虚業となった事は、同時に市場が求めるものでもあったのでしょう。市場と管理のバランスの難しさが見えました。

synkronized417synkronized417 2016/04/10 19:50  ふじき78さん、いつもありがとうございます。

 土地の値段は下がらないという神話が崩壊するまでは、問題なかったんでしょうね。なんと言いますか、ギャンブルで大金突っ込んでる状態と一緒で、いくら負けてても次で取り返せるとどこかで思ってた観もあります。
 日本でバブルが弾けた時も、おそらく似たような状況だったのではと察しますが、過去から何も学ばないんですね、インテリって…。

synkronized417synkronized417 2016/04/10 20:03  隆さん、コメントありがとうございます。余談ですが、実兄と同じ名前なので、ヤツからコメントが来たのかと一瞬驚いてしまいました(笑)。

 さておき。なるほど、普通なら売ってはいけないような危険な商品を、さも安全であるかのように口八丁で売りさばいてしまった、というわけですね。それにまんまと騙されてしまう買う側の勉強不足も非常に大きいと察しますが、実際ローン組まないと家が買えない人がほとんどですし、何より、そんなに細かく金融の仕組みを知らない、また学ぶ時間も余裕もないのが現状ですからね。結局、売る側を信用するしかない。
 ちょっと精神論的になっちゃいますが、こういった商品だからこそ、信頼と誠実さがものすごく重要になるんじゃないかと。甘い理想かもしれませんが、いかに客を損させず、自分達も儲けようと思ったら、少なくとも本作以前のやり方は通用しなくなるでしょうね。

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