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流浪の狂人ブログ〜旅路より〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2015-10-30

「ギャラクシー街道」感想

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 ステキな金縛り」「清須会議三谷幸喜監督&脚本最新作。西暦2265年、木星土星の間に浮かぶスペースコロニー「うず湖」地球を結ぶスペース幹線道路ギャラクシー街道の中央でひっそりと経営するハンバーガーショップを舞台にした、登場人物オール宇宙人のスペースロマンティックコメディ(監督曰く)。

 一言で表現するなら「無」。面白いとかつまらないとか、ストーリーがどうだとか演者の芝居がどうとか以前に、文字通り何も無い。一条の光すらも存在しない、漆黒にして絶対零度、虚無の宇宙空間へ放り込まれたような約2時間。
 これまで数々のヒット作を世に送り出してきた同監督にしては…などという生易しいレベルではなく、冗談抜きでそれまで積み上げてきたキャリアすらも危うくさせる、ある意味ブラックホール級の破壊力を持つ、恐ろしい出来だった。

 まず何が酷い…というより、画面に映る全てのモノが絶望的に酷いので、どこから手を付けたらいいのか分からない有様。宇宙を舞台にしながら、半世紀以上前のホームドラマを髣髴とさせる、レトロを通し越してただただ古臭いだけの雰囲気に、今日日三流大学映画サークルの自主製作映画だって使わないような安っぽいセット。登場する宇宙人はキャストの豪華さに反比例して、そこいらのハロウィンコスプレの方がまだマシと思える、やっつけ仕事。

 ストーリーもあってないようなモノで、監督お得意の細かい伏線や、バラバラのパーツが終盤一気に収束していく爽快感も皆無。キャラクターに至っては何のためにいるのか存在理由が不明な上、まるでネタ見せ番組で一瞬だけ出てきて一瞬で消えていく自称お笑い芸人のような出オチ重視がほとんど。ただうるさく、ただウザいだけで、面白くないどころか観ていて不快な気分になる事もしばしば。

 宇宙の隅っこの寂れたハンバーガーショップにたまたま集まった人々、と言えば聞こえはいいが、実質まとまりや必然性は全くなく、オチから逆算して無理やりそこにポジショニングされた観アリアリ。かつてステキな金縛りで、落ち武者の幽霊を裁判の証人として召喚するという前代未聞のアイデアを、完璧以上に使いこなして我々を驚かせてくれた監督が、こんな素人じみたミスを犯すとは、真に信じがたく、受け入れ難い。
 せっかくの豪華キャストも、あれでは顔を揃えるだけ制作費のムダ。いっそ、オーディションで全員無名の新人を連れてきて、顔をメイクとマスクで隠して演じた方が、少なくとも経歴に傷がつかない分、まだマシだったかもしれない。
 何かしらの思惑があったにせよ、「バック・トゥ・ザ・フューチャーPart2」で描かれていた未来であるこの時代に、あんな80年代初頭の大林宣彦監督作品みたいな道化師や、どこのローカルCMだよってレベルのしょぼいアニメ合成で、一体誰が笑うと思われたのか。一度マウントポジションから顔面パンチを見舞いながらお伺いしたい。

 遠藤憲一の産卵シーンや、キャプテンソックスの件等、多少なり笑える箇所もなかったわけではないにせよ、そのどれもが低俗なバラエティ番組の延長のような、おおよそ映画館で金を払って観る程度には及ばず。会話劇については言わずもがなで、ましてギャグは滑り倒し、というより、ギャグである事にすら気がつかないお粗末さ加減。ありとあらゆる歯車が、どれ一つとして噛み合う事なく、ひたすら錆び軋んだ異音を響かせながら回り続けている様は、下手なホラーを遥かに凌駕する悪寒と恐怖の坩堝であった。


 邪推してみる。あの天下の三谷幸喜監督が、物語の基本5W1Hをしっかりと守りつつ、その奇想天外な発想で常に最上級のエンターテイメント作品を提供してくれた、あの日本映画界が誇るトリックスター三谷幸喜監督が、本作で意図した事は何か。
 かつてロックバンド「LUNASEA」は、自分達の音楽性を極限まで追求するために、一度それまで培った技術やテクニックを捨て去り、「これがLUNASEAオリジナルの音だ」とそれぞれが納得できるまで奏法を磨き直したという(ドラムの真矢・談)。熟練の料理人が、素材の味を最大限に生かすために、あえて最小限の調理と味付けに留めるように、ベテランレスラーが、マットレスリングとドロップキックだけで観客を沸かせる試合を見せるように、監督もまた、己の映画道・コメディ道を突き詰めるため、あえて今までの技法テクニックを捨てたのだとしたら。
 広大な宇宙を舞台にしながら、その片隅にある小さなお店をメインに置く天邪鬼な発想と、舞台劇を思わせるオーバーなリアクションと台詞回しと同じく、このネタに対しこういう返しが来るだろうとする観客の予想を、あえて裏切る、あるいはまったく関係のない方向へと投げ飛ばすような作風を見るにつけ、おそらくは予定調和やお約束を破壊し、もう一度「観客を笑わせるとは何か」という原点に立ち返った、監督なりの仮説が、本作なのではないだろうか。

 とはいえ、その結果出てきたコレを、小生は音楽とは程遠い不気味な不調和音を奏でる、肉や魚を薄い塩水で煮ただけの半生の、オチもカタルシスもない、もはやコメディと呼ぶべきなのかさえ判別不能の、意味不明な何かと、評さざるを得ない。ともすればこれは、日本映画史に残る、新しい形の悲劇なのかもしれない。一ファンとして楽しみにしていただけに、ただただ、残念としか言いようがない。


 余談を言えば、例えば「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」よろしく全編ワンカット、または作中の時間が上映尺とリアルタイムで進行する、とすれば、少しは観られるモノができたのではないか。…いや、元がダメだから、何を足しても無駄か。

 全編通して、良かったのは綾瀬はるか優香オッパイだけ。もし諸兄姉の中に同監督のファンがいらしたら、悪い事は言いません、今回はやめときましょう。時間とお金だけじゃなく、あなたの内側にある大事な何かまで、一緒に失われていく事必至です。

 みんな、命は大切に!!

 ☆★★★★

 今年のワースト3入り、ほぼ確定。星1つ!!
(ちなみにぶっちぎりのワースト1位は「ストレイヤーズなんちゃらクロニクル」ね)













2015-07-05

「ストレイヤーズ・クロニクル」感想

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 本多孝好原作。人体実験によって特殊能力を得た事で、20歳前後までしか生きられない宿命を背負った少年達の死闘を描いたベストセラー小説を、「ヘヴンズ ストーリー」瀬々敬久監督偉大なる、しゅららぼん岡田将生主演で映画化。


 ギレン・ザビじゃないが、あえて言うなら「カス」日本映画の悪いところを全て寄せ集めて撮ったような、いわばダメ要素の見本市とも言うべき内容。本作に利用価値があるとするなら、後進に「こんなクソみたいな映画を作ってはいけませんよ」という、反面教師的に観せる用途しか思いつかない、今日日ここまでダメなのも珍しいほどに、近年では某ガッチョメンと肩を並べるレベルの、とにかく何もかもがダメダメダメのダメダメ映画。

 映画というメディアが誕生して100年以上、21世紀に入って10年以上が経過したこのご時勢に、人体実験で特殊能力だの、寿命が20年前後だの、捻りも面白みも何にもない厨二設定もさる事ながら、自分達を生み出した人間に復讐だーとか、人類の進化がーとか、俺達の存在意義はーとか、90年代初頭のラノベで散々使い古された極寒ストーリーもまた失笑モノ。
 ために、次の展開がだいたい読めてしまうのはもちろんとして、そのいちいちが当然のごとく意外性も緊張感もヘッタクレもないグッダグダの連続で、15分過ぎた辺りからは睡魔と闘いながら「一刻も早く終わればいいのになー。マジでこのまま帰ろうかなー。誰か、スタンド能力で時間を早送りしてくれんかなー」と、そればかり考えていた。

 加えて、「クソみたいなキャメラワークとクソみたいな編集」「尺合わせのためのムダに間延びしたダラダラ演出」「カッコつけようとして逆に死ぬほどカッコ悪くなってるショボアクション」「感情論任せの適当な泣かせエピ大量投入による、白け薄っぺらシナリオ」「なんか深い事言おう、いい事言おうとしてスベり倒してるヘボ台本」等々、考えつく限りのダメ映画テンプレートをわざとぶっこんだとしか思えない、ポンコツ要素のオンパレードで、本当にこれを真面目に作る気があったのか、もしかしたら人間がどれだけつまらない映画が撮れるのか、そのつまらなさに人間がどれだけ耐えられるのかという、人体実験の一環ではないかと、妙な勘ぐりすら覚えてしまった。

 等身大の少年少女を描きたかったのか、ムダにチャラくて軽い口調も鼻につき、キャラクターもブレブレ。行動理念もことごとく理解不能で、徹頭徹尾茶番としか言いようがない。そもそも、施設から脱走して人目を避けて暮らしてるはずの連中が、暢気にカフェでお茶してるわ、デカい声で暗殺計画話してるわ、学校に通ってるわでは、リアリティの欠片もない。そうした彼らのバックボーンを含め、全てにおいて「普通、当たり前」が欠如したこんな作品が、果たして面白いわけがない。
 能力者バトルものなんだから、普通や当たり前じゃなくて当然?バカ言っちゃいけない。物語とは、人間が自身の置かれた状況、置かれた場所で何を考え、何をするかに集約される。それは普通の人間だろうが、能力者だろうが、宇宙人だろうが関係ない、普遍にして不変の定義だ。そんな、創作者としての基本中の基本をすっとばして、何が「未来の希望」だボケ。はっきり言うが、こんなものは金を払うどころか、衆目に晒す価値すらないと断ずる。

 ついでに言うなら、公園のベンチで人が血ぃ流して倒れてたら、よほど人がいないか真夜中でもない限り、さすがに誰だって気づくわ。まして、車椅子乗った男にイカツいオッサンが拳銃突きつけて、そのすぐ傍でイケメンが血まみれのサマージャケット着て立ってたら、どんなバカでも分かるだろ。この本を書いた人は、生まれてこの方外に出た事がないのか?自分以外の人間に会った事がないのか?正直、そんな根本的なレベルで破綻してると言わざるを得ない。

 ぶっちゃけ、ダメなところを挙げればキリがない、というより、ダメなところしかないので、これ以上細かいツッコミは割愛。「日本でもこんだけのアクション映画が撮れるんだぜー。おまけにこんな感動劇もできちゃうんだぜー」といったドヤ顔が透けて見えるが、ぶっちゃけ全尺合わせてもGo!プリンセスプリキュアの一話分にも及ばない。
 時間の無駄、金の無駄、上映シアター確保と光熱費の無駄、有望若手俳優の無駄。まさに「有り余る」どころか何もかもが欠落した、無駄と無駄とが重なり合って出来たガン細胞のような、「ザ・ワールド」ばりに無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァ!!!映画。


 何度も言う事だが、こんなクソ映像撮るヒマあったら、なんで日本映画が衰退しているのか、もっと真剣に考えんかい!!


 ☆★★★★

 で、「ストレイヤー」はともかく、何が「クロニクル」なんだよ。別に「年代記」でも「記録」でも、まして「新聞」でもないだろ、アホなの?星一つ!!


 追記でもう一つ。途中で何度か出てきた、80年代の素人ロックバンドみたいなフォント、今日日とてつもなくダサい上に何の効果も得られてないから、今後未来永劫使わない方がいい。そういうところがつくづく「安っぽい」ってのに、いい加減気づけよ。













2013-08-24

「ガッチャマン」感想

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 タツノコプロ原作の、日本を代表するヒーローアニメ「科学忍者隊ガッチャマン」を、「カイジ」佐藤東弥監督、「侍戦隊シンケンジャー」松坂桃李主演で実写化映画化。2050年代、謎の組織ギャラクターによって侵略された世界を救うべく戦う、不思議な力を宿す石に選ばれた適合者達の活躍を描く。

 製作発表と同時に、映画ファン・タツノコファンの間で「悪い事言わないからやめとけ」の大合唱、さらには某批評サイトにて「100点満点中4点」という異例の評価を得、ある意味公開前から多くの話題を振りまいた本作。いざ蓋を開けてみると、なるほど噂の次元を遥かに越える、まさに聞きしに勝る、否、聞きしに劣るガッカリ映画だった。

 まず何が酷いって、脚本が絶望的に酷い。謎の石の力だの、選ばれた者は兵器として生きるだのの痛設定もさることながら、驚くほどもっさりした、しかしまったく厚みのないスッカスカのストーリーと構成で、その出来たるや、ぶっちゃけヒマな中二病患者が授業中ノートに書き連ねた、あとで読み返して布団の中で赤面しながら身悶える痛妄想と同等のレヴェル。
 矛盾、未回収は当たり前。個性もヘッタクレもなく、主義主張がコロコロ変わる登場人物はもちろん、地名ではなく「ヨーロッパ」「中央アジア」と超アバウトな舞台説明に、「残りあと○分!!」という状況下で暢気におしゃべりを始めるゆるさ加減。さらに、一つも面白みのない、悪い意味でマンガ的なセリフと冗長なやりとりに加え、要所要所にぶっこまれる眠たいヒューマニズムやら、甘っちょろい正義論やら、青臭いラブコメ要素のオンパレードが輪をかけ、もはや失笑すらできない。
 一体誰がこんな本を書いたんだと思いきや、ナントこれが「ドラゴンボールZ 神と神」と同一人物だと言うから驚きを隠せない。向こうは鳥山先生の監修があったとはいえ、何をどうしたらこんな酷い本が出来上がるのか、日活東宝は本当にこの内容でOKを出したのか、日本映画界にまた新たなる疑惑が残されてしまった。

 また、オリジナルに準じたとはいえ、松坂くん演じる主人公ケン綾野剛演じるジョー、そしてもう一人以外はほとんどただそこにいるだけ、松本人志氏の言葉を借りるなら「将棋の駒で五角形の裏表に何にも書いてないようなヤツら」で、他のメンバーそれぞれの作中の役割を含めても「ホンマにお前、この絵に必要か?」と胸ぐら掴んで問い質したくなる程度に、完全な員数合わせ状態。
 特に、ネット界隈で圧倒的人気を誇るゴーリキー綾芽演じるジュンは、存在感が極めて薄いのにキャラがウザいという、ヒロインにあるまじき謎スキルを如何なく発揮。しかも、他人の演技まで邪魔をする、例えるなら沸騰させたポカリスエットのような、大して味もないのにどんな料理にも合わないというミラクルっぷりを披露。南部博士演じる岸谷五朗氏の変な髪型も相俟って、演技力がどうとか以前に、生まれ持った素質の部分で、正直あの子はメインを張れる女優ではないと確信した。

 そもそも、わずか17日で世界の半分を制圧したにも関わらず、それから10年近く経って未だに完全制圧できていないギャラクターもおかしな話しであるし、そのギャラクターにあらゆる近代兵器が通用しないとやはり何年も前から分かっているのに、未だに同じ武器で立ち向かう軍もまたおかしい。
 石(これもまた、漠然とした表現だな…)の力が唯一それに対抗でき、且つ巨大な衛星レーザーに応用できるのなら、適合者じゃなくても使える銃の一つでも開発した方が早かったのでは?そういう素人でも気づきそうな部分にさえディテールがさっぱり。出来損ないのドロンジョ様みたいなベルク・カッツェはさておいても、結局あの人を殺したのは誰なんや、最初に出て来たアレは何やったんやと、観終わった後に残るのは理不尽な疑問のみ。そんな作品が、はたして面白くなるわけがない。


 この際だからはっきり書くが、これをわざわざ「ガッチャマン」として撮った意味が分からない。共通点らしいのはメンバーと敵方の名前ぐらいで、もはやモチーフ、あるいはオマージュと呼ぶ事さえ憚れる。さらに言うなら、こんなのに金を突っ込むぐらいなら、シンケンレッド変態仮面の競演でも撮った方がまだマシ。スパイダーオルフェノクと少年期のゴーカイレッド、何ならターちゃんの中の人までいる事だし、よっぽどまともなモノが出来そうな気がするのは小生だけか?(実現できるかどうかは別にして)


 少しぐらい褒める所を探そうと思ったが、ここまで何もないとは思わなかった。そこそこのコスト使ったコスプレムービーといった具合で、ぶっちゃけ人から金を取って見せる商品として成立していない。今一番の若手注目株にして、特撮ファンから「殿」の愛称で親しまれる松坂桃李くん、否、松坂桃李きゅんの俳優人生の中で、間違いなく大きな汚点になるであろう本作、どうやらハナから続編を作る気満々のようだが、そんなもん誰も観たくないだろうし、彼も内心もう勘弁だろうと察する。
 という事で、自ら進んで地雷を踏もうなんて無謀な方はいらっしゃらないとは思うが、ネタ以外ではくれぐれも近づかないよう、どうか十分注意されたし。お金と時間は大切に!!


 ☆★★★★


 こっちのブログに引っ越してきて初めての、星1つ!!



 ところで本作に限った事ではないけども、敵側の女が主人公(もしくはその仲間)の周りをウロウロ歩きながら語り出す例のアレ、いい加減やめてくれんかな?特に、組織の成り立ちとか、事件の真相とか勝手にベラベラしゃべるの、正直かなりウザい。それから、あとちょっとでトドメって画面で、ゆっくり近づきながらトリガーに手をかけ〜、あるいは銃口にビームの光が〜、みたいなのも。
 見飽きたってのもあるけど、思ってるような効果は何一つ得られてない上に、間が冗長になるだけ。セリフ的なセリフ(例:「貴方は一つ大事な事を忘れている。人は心がある、という事を…!!」「お、おい、待てよ!!」)と同じで、現実にあんなヤツいてないし、もしいたらちょっと頭おかしい子だし、ガチで禁止してほしい。
 機会があったら、ぜひ一度意識して観ていただきたい。断言するけども、そんな演出を多用する映画は、十中八九つまんないから。









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