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所長サンの哲学的投資生活 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2015-12-01

[]中国が割れても投資はできる。

フィリピンから引き揚げて西安生活を満喫しております。
しばらくぶりの西安はじつに進歩的でして、
国が停滞するとひとが輝くもんでありましょう。
中国人は躓きを経験してとてもいいかんじになってきました。


さて久々に最近読んだ本の紹介を。


【光と影】渡辺淳一
このひと、途中から生臭い方向へ突き進んでしまったけれど、昔はスジのいい医療モノ書いてたんです。医学博士という箔も効いていた。表題の「光と影」は大正期に首相も務めた寺内正毅元帥と同期の小武敬介との医療が人生の明暗を分けた話。短編ってネタが勝負なんだけど、切り口がいい短編に出合うと一生覚えているもんです。何度も読めるし。長編はあまりそれがない。長編の感動はプロセスにあってそれをもう一度踏むことはけっこうむつかしいから。「光と影」以外の3篇もいい。とくにぼくが好きなのは「薔薇連想」。梅毒をうつされた女の歪んだ感情と行動の話であります。ああ歪んでるよぉ…でもこの嫌悪感って潜在下で共感してるのかも…そんな葛藤を味わえまする。

光と影 (文春文庫)

光と影 (文春文庫)




【0葬】島田裕巳
島田さん、新興宗教の分析で一家言あるひとなんだけど、このひとの思想ぼくキライじゃないんです。0葬の名前で判るように「かんたんに葬儀を済ませたら?」という本。ぼくはもともと、父親の葬式ですら「こんな面倒は不要だよな」と思ってたくらいなんで、自分が死んだら海に散骨してもらいたいとマナミに話しています。さてこの本では「直葬」やら「家族葬」のやりかたを説明するだけでなくてですね、葬式って何なの?というレベルから哲学しており、仏教やらキリスト教やらの宗教観を引き合いに「死」のコストについて思考の杭ができるようになっております。ぼく個人の考えを述べさせて頂くと、激しい人生の荒波を経験した人間は無常観を身につけるため「モノ」に執着しなくなるんで、「死」に際してもじつにあっさりしてきてですね、そういう死に方に共感できる。死の準備とまではいかなくとも、終の心得みたいなもんは「どう生きるべきか」で磨かれるので、この本は生き方の本でもあります。この本の価値は提案よりも論理に軸をおいてるところですよ。

0葬 ――あっさり死ぬ (集英社学芸単行本)

0葬 ――あっさり死ぬ (集英社学芸単行本)




【日本人の死に時】久坂部羊
「寝たきり」なんて誰もまさか自分がなるとは思ってないのではないか。ところが日本人の男性は平均6.1年、女性で平均7.6年の寝たきり人生になるらしい。「ぴんぴんころり」がいいねなどと話すぼくらにとって、その望ましい死に方は高確率で訪れない。高確率で待っているのは平均寿命と健康寿命の差である7年間の苦しい時間。著者はこの「生かされる時間」が本当に必要なの?という問いをする。うーむ。で驚くことに国民の一生に使う医療費の約半分が死の直前の2か月に使われるらしい。著者は小説家で医師。言葉のえらびかたが上手いのでずっしり読み手の臓腑に染み込みます。がんは余命が計算できる点では「死に方」としては便利な点があるかもしれないという思考は軸の1本くらいにしてもいいのでは。ある年齢から病院に行かないという選択は、ありであります。

日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか

日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか



【村の名前】辻原登
さいきんですね、中国って中国らしさがどんどんなくなっているんです。買い物すれば両手でお釣りをよこすし、エレベーターも出る人が先だし、道をたずねても3人目くらいで辿り着く。人前で100元札を平気で出すし、いったいどーしちまったんだぁ?とお嘆きのかたにおすすめ。ああ、この感覚。。うんうん、10年前いや15年前はそうだったよなーと感慨に耽っていただきたい。登場人物は仕事である村に訪れる。みんな酒と食事で歓迎歓迎。いやそれよりですね仕事のほうを、という声は届かない。あれ、言うことちがうよね。没問題。あれ、担当がいつのまにか変わってる。没問題。電話ある?没有。こう書くといまではコミカルになってしまうんですが、この小説はじつにシリアスな展開でもって不条理が進行するサスペンス小説でして、まだ共産党の文革の余波が残っている地方でおきた恐ろしい(中国人はそうではない)事件であります。



【中国私論】橘玲
最近ちとつまらない橘さんですが、実際に現地に視察して書いたらしい労作。いわく鬼城が大量生産されていると。まあそれはその通りでして、アホな地方政府によって無軌道につくられたかなりのマンションは悲惨な目に遭う。けれどまあ根っこはぜんぜん違いますが日本の空き家問題との社会的損失規模を比較してみてどっちもどっちでしょう。むしろ衝撃としては日本のほうが心配ではなかろうか。地方問題としても。さて、鬼城。できたものはしょうがない。現地に住んでると鬼城とそれ以外くらいの判別はふつうならできますので、ふつうでないデべと買主で倒産や損切りをして幕引きでしょうね。地方政府は借金を抱えつつも消えてなくなるわけでなし。もし余波で不動産価格が暴落すれば千載一遇のチャンスが到来します。社会はつづく。国は立ち直る。今がすべてで投資をするかたはレバを1方向に張りすぎじゃあないでしょうか。ちなみにぼくは中国が分裂したっていいとおもってまして、関中・中原の一部である西安は漢民族の拠りどころだし、ソ連が割れてロシアが残ったように西安はロシア的部分になるんだろうなと想像しております。中国人はむしろユニットが小さくなるとダントツ世界一の能力を発揮します。シンガポール、香港、台湾、すべて小ユニットにされたがために超高生産社会をつくってしまいました。ぼくらはいつだって投資ができるんであります。




気がつけばもう12月。
今年はアセットロケーションを見直した振り返りの年でした。
小規模ではありますが仲間のおかげでこうして旅をつづけていられることに感謝します。