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魂の売れ残り このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-01-13 今年も多分こんな感じ

正月気分の抜けていない私ですが、皆さんいかがお過ごしですか。

自分で読み返しても何が何だかな映画の感想。

[] 2081 『妖艶霊鬼 艶鬼発狂』 (DVD/84年香/デヴィッド・ライ監督)  2081 『妖艶霊鬼 艶鬼発狂』 (DVD/84年香/デヴィッド・ライ監督)を含むブックマーク

《解説》

後に『神鳥伝説』『神鳥聖剣』などのアンディ・ラウ主演作品を監督するデヴィッド・ライ(リー・ターウェイ)によるホラー。

前年に『猛鬼出篭』という映画を作っていて、コレが日本では『妖艶霊鬼2』のタイトルでソフト化されとります。

脚本はその『妖艶霊鬼2』にも名前が見えるジョン・オー。

原題『艶鬼発狂』。


窓から裏の墓地が見下ろせる、毎晩のように幽霊達の宴会が行われているマンションの一室に、何も知らない一家が引っ越してくる。

殺人課の刑事であるシュウは、妊娠中の嫁ホーとの夫婦仲が険悪な状態になっており、外に愛人を作って家庭を顧みない。

小学生の娘リンリンは両親に仲直りしてくれと頼むのだが、娘の必死な懇願さえも無視するシュウと夫への愛情が消えかかっているホーは、離婚に向かって猛スピードで関係を悪化させていく。


シュウは仕事中に愛人を連れて人里離れた山の中へと向かい、そこで豪雨の中カーセックスに及ぼうとするが、パトロール中の駐在に発見されて阻止された挙句、駐車していたのが崖ギリギリの場所だったせいで死にかける。

同じ頃、産婦人科の検診を受けに行ったホーは医者から「お腹の子は男児の可能性が高い」と告げられ、男を産めばシュウの気持ちが自分に戻ってくるかもと浮かれるのだが、帰宅時に女の幽霊に襲撃されてマンションの階段を転げ落ちて流産してしまう。

報せを受けて病院に駆けつけたシュウは、悲しみに暮れるホーに「お前が俺の子を殺したんだ!この人殺しが!」と怒鳴りつける。


この事件を皮切りに、シュウ一家とその周辺では怪事件が続発。

やがてホーとリンリンは親子の悪霊にとり憑かれてしまい、ホーは肉屋を逆ナンしてセックスの後でブチ殺したり、娼婦のような格好で出かけて声をかけてきた黒人をセックスの後でブチ殺したりと、まとまりのない行動を開始。

リンリンもまた、自分をいじめた同級生を人間離れした不思議パワーで撃退して重傷を負わせたりする。


家族を半ば捨てかけていたシュウだが、さすがに普通ではないことに気付いてどうにかしようと、叔父のボーに悪霊祓いができる奴はいないかと相談。

そこで紹介された霊能警官デーは、以前にカーセックスを咎められて揉めた駐在だったが、シュウはその時のことを謝罪して問題解決を依頼。

デーの各種呪法を組み合わせた儀式によって悪霊はどうにか封印できたかに思えたのだが、封印は失敗していてホーは再び暴れ始める。

完全に詰んだかと思われたシュウだったが、突然現れた(劇中では意味ありげにちょいちょい顔を出していたが)ハレ・クリシュナの男によって危ないところを救われる。


男は「今起きている怪現象はルーシーという女の呪いだ」と語り、米軍人に息子と共に捨てられたルーシーが軍人に呪いをかけつつ死んだが、その軍人と誕生日が一緒だった上に、ルーシー親子が住んでいた部屋に偶然住んじまったシュウにもとばっちりで呪いがかかったと説明。

軍人からルーシーの呪いを解くことを依頼されている男は、ルーシー(がとり憑いたホー)を退治するために面白マシンの数々を有無を言わせずシュウのマンションにセッティングし、シュウや助手と共に科学とオカルトを組み合わせた作戦で決戦に臨む……(役者は調べてもよくわからないので省略。それと、展開が意味不明になっているのは私のせいじゃありません)


《感想》

前作『妖艶霊鬼2』でも似たようなコトを感じましたが、“プロットを作らずに支離滅裂な脚本を書き殴り、深く考えずにそれをそのまんま撮影する”という暴挙によって作られた気配が濃厚でして、とにかく展開がメチャクチャでストーリーを追うのも一苦労です。

上のワヤクチャなあらすじでもかなり整頓した結果の産物で、実際の映画では意味や意図は頑張って考えればわからんでもないが、演出として明らかにおかしいだろっていうイベントが頻出し、観客をひたすらに混乱させてくるのですよ。


例を挙げると、中盤で理由はよくわからんがビルに立てこもって警察に抵抗し、シュウが説得しようとするも失敗して転落死(というか転落途中にアンテナが体中に刺さって惨死)するスーサンというババアが登場します。

で、こいつとルーシーとの間に過去に深刻な因縁があって、その死にも関わっているのはどうにか伝わって来るものの、具体的に何があったのかを無意味にボカしているせいで、スーサン絡みのエピソードが伏線として機能しなくなっている。


他にも、わざわざ前フリ用エピソードまで作って登場させた霊能警官が話の途中で突然消えて、代わりにクリシュナ教徒のおっさんが部下と共に登場して、物語に関する全ての謎をセリフで説明した後に科学の力で悪霊と戦う、という終盤の流れには頭を抱えるしかありませんし、その先の“何だかよくわからんがとりあえず派手な絵面にしときゃいいんだろ”的なアバウトさがスパークした、何が爆発しているのかサッパリわからない爆発シーンの連続に至っては、私がプロデューサーなら脚本家のアバラを2桁へし折っているヒドさです。


一言でまとめると“どうしようもないゴミ映画”で終わってしまうのですが、低予算なのに特撮・特殊メイクは頑張っている(粗を隠すために全体的に画面が暗い、という問題も引き起こしていますが)こともあり、簡単に切り捨ててしまうのは惜しいようなそうでもないような。

ルーシーの存在を早い段階で明示し、呪われる理由に説得力のあるモノを用意し、重要キャラじゃないのに尺を取りすぎている愛人の出番を大幅カットし、ついでに本筋とほぼ無関係で不愉快なだけの流産エピソードも全カット、それからホーの逆ナン殺人セックスに何らかの意味を持たせ、シュウを助ける霊能者は駐在かクリシュナのどっちかに絞る……という感じで再構成すれば、だいぶマシになるような気がしますが、それでも基本設定がかなりグズグズなので焼け石に水な感は否めません。【-6】

2016-12-11 なぜボンヤリとした邦題をつけてしまうのか

フとした瞬間に各種問題が噴出する毎日に気の休まる暇がない私ですが、皆さんいかがお過ごしですか。

相変わらずの選んだ基準が自分でもよくわからない映画の感想。

[] 2080 『君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956』  (DVD/06年洪/クリスティナ・ゴダ監督)  2080 『君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956』  (DVD/06年洪/クリスティナ・ゴダ監督)を含むブックマーク

《解説》

『反恋愛主義』で長編監督デビューし、コレが二作目となったクリスティナ・ゴダ監督による、1956年に起きた“ハンガリー動乱”と“メルボルンの流血戦”という二つの事件を軸に展開される、史実ベースのドラマ。

脚本・原案は、『氷の微笑』を大ヒットさせ『ショーガール』で全世界を呆れさせた、ハンガリー出身のジョー・エスターハス。

脚本には他に『反恋愛主義』に参加しているレーカ・ディヴィニと、エーヴァ・ガールドシュ、ゲーザ・ベレメーニという名前が見えます。

原題『SZABADSAG, SZERELEM』 、米題『CHILDREN OF GLORY』。


第二次大戦で枢軸国側であったハンガリーは、敗戦後ソヴィエト連邦の支配下に置かれることとなり、強引な共産化によって国内の政治・経済が混乱。

それに伴う貧困と不自由に人々は不満を燻らせていたが、反抗分子を監視する国家保衛庁(秘密警察)と国内に駐屯するソ連軍の存在が、不満の表面化を力ずくで押さえ込んでいる。

そんな状況下にあった1956年、同じソ連の衛星国であるポーランドで6月に発生した大規模デモ(ポズナン暴動)を始めとする活発な反ソヴィエト運動は、自由を求める学生たちに行動を決意させようとしていた。


一方、メルボルンオリンピックを控えたハンガリー代表の水球チームは、ソ連チームとのアウェーの練習試合で相手のインチキが原因で乱闘騒ぎを起こす。

帰国後、チームの中心選手であり乱闘の首謀者でもあるサボー・カルチ[〜イヴァーン・フェニェー]は、保衛庁の幹部フェリ[〜ペーテル・ホウマン]に呼び出され、逮捕された人々の拷問・尋問シーンをわざとらしく見せつけられた挙句、「自分と家族が大事なら余計なことはするな。とにかくソ連に反抗するな」とキツめに釘を刺されるハメになり、ソ連への怒りと政府への嫌悪を一層強めていく。


やがて、学生を中心とする市民は改革を要求しての集会やデモを禁止令を無視して行うようになり、ブダペストには不穏な気配が広がり始める。

サボーもそんな状況と無縁ではいられず、友人のイミ[〜タマーシュ・ケレステシュ]の誘いで学生の集会に参加し、そこで学生達の中心人物であるファルク・ヴィクトリア(ヴィキ)[〜カタ・ドボー]と出会って一目惚れ。

どうにか彼女の気を惹こうとするサボーだったが、生活の優遇されているスポーツ選手を体制側と見做すヴィキのそっけない態度と、水球のスター選手という立場を捨てられない事実もあって、どうしても思い切って踏み込むことができない。


改革派の政治家ナジ・イムレを首班とする政府の樹立と、ソ連軍の撤退を要求の柱とするデモは急速な広がりを見せ、市民からの参加者も激増。

サボーは様々な危険があることで参加を躊躇うが、結局はヴィキへの興味が勝って自分もデモに参加することに。

次々に市民の要求が通り、このまま全てが平和裏に収まるかと思われたのだが、保衛庁がデモを鎮圧するために催涙弾と放水を使う強攻策に出たことで銃撃戦にまで事態は悪化し、デモを先導していたイミが銃弾を胸に受けて死亡してしまう。


その後、ソ連軍は事態への本格介入を開始し、ヴィキは自分も銃を手に戦いに身を投じる。

サボーも迷いに迷った末に市民軍に参加、紆余曲折の末にヴィキとは恋人同士に。

その後、市民に多数の犠牲を出したがソ連軍は国内から撤退し、ハンガリーはついに自由を取り戻す。

水球チームに復帰したサボーは、オリンピック後の再会を約束してヴィキと別れ、大会本番前の合宿へと出発。

だがチームメイトと共にバスで移動している途中、サボーは撤退したはずのソ連軍がブダペストに向けて再侵攻しているのを目の当たりにする……


他の主な登場人物に、サボーのチームメイトで幼馴染のティビ[〜シャーンドル・チャーニ]、水球チームの監督[〜カーロイ・ゲステシ]、カルチの母[〜 イルディコー・バンシャーギ ]、カルチの祖父[〜タマーシュ・ヨルダーン]、カルチの弟ヨージ[〜ダーニエル・ガーボリ]、ヴィキの友人で武装蜂起を指揮するエステル[〜ヴィクトーリア・サーヴァイ]、その恋人で学生達のリーダー格ヤンチ[〜ツェルト・フサール]など。



《感想》

ガバガバ設定とトンチキ展開で悪名高いジョー・エスターハス原案・脚本なので、かなり濃いめの色眼鏡を装着した気分で観始めたのですが、エンターテイメントとしての軸は残したまま歴史に埋もれかけた半世紀前の悲劇にスポットを当てようとの気骨が感じられる、いい意味で意外性のある仕上がりでした。

戦車を登場させての市街戦に砲撃で吹き飛ぶ町並み、そして集会やデモに参加する大量の群衆などをキッチリと用意しているのは、ヴィジュアル的なキャッチーさという面でも重要なのですが、それ以上に市民の不満が暴発するまでの経緯と、それが武力によって圧殺されるまでの流れを“絵面”で簡単に理解できるようにしてある、という意味で気が利いています。


しかし意気込みは伝わってきても映画としては構成が若干マズいというか、主な内容である動乱の推移・サボーとヴィキの関係の発展・水球絡みのエピソードの全てを描くには、2時間の尺ではまるで足りていません。

据わりのいい作劇を目指すならば、サボーを水球から完全に離れさせてヴィキと常に行動を共にするようにし、焦点をソ連との戦闘に合わせて水球絡みの諸々を添え物にしてしまうか、サボーをあくまでも傍観者(政府やソ連に反発しながらも戦闘に参加しなかった大多数の国民)の立場に置いて、武器に頼らない反抗のありようを水球を通して見せるか、そのどちらかの方向性を選ぶべきだったと思われるのですけど、コレはバランス良くいいトコ取りをしようとしてしくじっている感があります。


動乱と水球にガッツリとリソースを持っていかれた結果、双方をつなぐ役割を果たすべきサボーとヴィキの掘り下げ(背景描写・心理描写・恋愛描写)も甘くなっており、それが物語にチグハグ感を漂わせる原因となっているのも否めません。

サボーが自分や家族の危険を顧みず戦場に身を投じる理由が、ドコまで行っても“ヴィキに一目惚れしたから”の域を出ないのはちょっとアレなので、せめて保衛庁によって両親を殺害されたヴィキと同様にサボーにも家族や友人を失った過去を持たせるなどして、動機の強化をしておくべきだったんじゃないでしょうか。


一方で、怪我をしてサボーの前に現れた親友のティビが、「保衛庁にやられたが大したコトない」と言い張っていたのに、実際は拷問で心を折られてサボーとその家族のスパイ役を買って出ていたとか、改革・解放を目指す学生や市民の心の支えになっていたラジオ・フリーヨーロッパ(自由欧州放送)が、単なるアメリカの都合で勝手なことをタレ流すだけのプロパガンダでしかなかったとかの、当時のハンガリーの情勢に根差した描写には光る部分が多々あります。

チラホラと粗はありつつも水準以上のクオリティなのは確かですので、題材となっている事件や忘れられつつある東側諸国の闇に興味がありましたら。【3】

2016-10-15 見飽きた町並みが不意に色を変えて 瞬きの翳あなたを見失う

酒量が激増中の私ですが、皆さんいかがお過ごしですか。

珍しく1ヶ月のインターバルで更新です。

[] 2079 『LOVEDEATH ラブデス』 (DVD/06年日/北村龍平監督)  2079 『LOVEDEATH ラブデス』 (DVD/06年日/北村龍平監督)を含むブックマーク

《解説》

『VERSUS ヴァーサス』が高評価され、一時は『あずみ』『ゴジラ FINAL WARS』といった大作映画(邦画にしては)を任されるようになっていた北村龍平による、コメディ成分大盛りのドタバタ血みどろアクション。

原作は、北村がかつて監督した『スカイハイ』の作者でもある高橋ツトムの短編マンガ『69』(高橋はプロデューサーとしても名を連ねています)。

脚本は北村と、『荒神』『山手線デス・ゲーム』など北村との仕事が多かったが、コレ以降に映画関係で名前が見当たらない桐山勲


チンピラの青年サイ[〜武田真治]はある日、一年ほど前に三日間だけ恋人のような何かだったことのある女シーラ[〜NorA]の自宅に呼び出される。

何か知らんがシーラを運命の女だと決めてしまったサイは、人生を変えるターニングポイントとなる運命の日“クリサリス・デイ”をサイと過ごしたい、と難解な詩を吐くシーラの提案を受け入れる。

しかし、寝室のクローゼットに頭のおかしいストーカー(マサオ)[〜六平直政]を閉じ込めてある、と衝撃の事実を告げられたサイはそいつと死闘を繰り広げることに。


その戦闘中、突然に乱入してきたジュウモンジ[〜大友康平]率いるクロガネ会のヤクザ達によってストーカーは蜂の巣に。

事情が飲み込めずに困惑するサイに、ジュウモンジは射殺された男がストーカーなどではなく悪徳刑事で、シーラはクロガネ会の会長クロガネ[〜船越英一郎]の愛人、そして二人が組んで三億五千万以上の金をクロガネ会から持ち逃げしたのだと語る。

急展開の連続に呆然とするサイだったが、シーラが横領の首謀者はサイだと言い張って保身を図ったので、クロガネ会の事務所に連行され金の在処を吐かせるための拷問を受けるハメに。


事務所の地下で拷問係のファーザー[〜森本レオ]から『リーサル・ウェポン』式の電撃拷問を受けるサイだったが、金のことなど知らないので白状のしようがなく、延々と電流を流され続ける状況に陥る。

だが隙を見てファーザーと助手のシスター[〜インリン・オブ・ジョイトイ]を倒したサイは、クロガネからエロ調教を受けようとしていたシーラを救出し、ついでにクロガネの男性機能に致命傷を与えて逃亡。


事態の早期収拾を大親分のジンノ[〜泉谷しげる]から厳命されたクロガネは、ガモウ[〜IZAM]がリーダーを務める殺し屋軍団を招聘してサイとシーラの身柄確保を依頼。

一方、重傷を負いながらも防弾チョッキで一命を取り留めていたマサオは、部下の刑事ゴン[〜寺島進]とホシ[〜池内博之]、そして昔馴染みの警官クニアキ[〜北見敏之]らを使って二人の行方を追う……


他の主な登場人物に、サイの元恋人ユマ[〜杉本彩]、サイに喧嘩のノウハウを伝授した兄貴分コウ[〜竹内力]、シーラの兄[〜小沢仁志]、ジュウモンジの部下ミノル[〜金澤太朗]、クロガネの主治医[〜KAN]、殺し屋のチョウ[〜船木誠勝]、カオリン[〜川村カオリ]など。


《感想》

長い……長すぎる。

内容的には80〜90分でも尺が余りそうな話だってのに、コレに158分って頭オカシいのか。

しかも、サイとシーラの逃走劇とそれに関連して発生する事件をメインに話が進むのかと思いきや、ヤクザ・刑事・殺し屋が中心になって各自勝手にイベントを起こし、それらがちょっとした寄り道ではなくガッツリと手間隙かけて描写されるモンで、本筋が軽やかに行方不明になる事故を何度も起こしています。


基本設定が“ヤバい相手から金を盗んだカップルの逃避行”というシンプル極まりなさなのも、作中エピソードの大部分に極上の贅肉感を与えるコトに。

サブキャラがしゃしゃり出るエピソードは殆ど全部が酷いのですが、殺し屋がサイとシーラだと勘違いしてカップルを見境なく射殺するネタの繰り返しは本気で苦痛。

それが最終的に重要イベントのトリガーになるとは言え、工夫のないギャグを何度も見せられるストレスはハンパじゃありません。

ココだけではなく、全体に鏤められたギャグ(と思しき)シーンは片っ端からダダ滑りしていて、監督のセンスのなさに愕然とさせられること請け合いです。


僅かに面白味を感じさせるのは、時々勃発するサイとシーラの気取りまくったトンチキ会話くらいのもの。

しかしながら、ココに関しては笑わそうとしているのではなく、純粋にカッコイイと思ってやっているフシがあるので、コチラとしては困惑の色を深めるばかり。

で、そのサイ役の武田とシーラ役のNorAの演技が酷い有様なのも、この映画の如何ともし難さに拍車をかけまくっています。

特にNorAの、ド素人が与えられたセリフを読んで言われた通りに動いているだけの、演技もへったくれもない泥人形ぶりは壮絶なコトになっており、放送事故を見てしまったような変な緊張を観客に強いてきます。


悲惨な過去のせいで感情を喪失した女、みたいな設定があるならまだ理解もできるのですけど、別にそんなんでもないようなので起用の意図がサッパリです。

ルックスが突き抜けて美形だったり印象的だったりするでもなく、男を狂わせる魅力に関しても作中での描写はからっきしなので、完全にファム・ファタール失格。

監督やプロデューサーのオトモダチが主役級に抜擢された結果、大変なことになってしまった(と予想される)映画は何本も観てきましたが、コレはその死屍累々の中でも屈指のヘボさだと思われます。

更には、クライマックスのアクションシーンが終わった後、まだ40分も残っている構成のマズさも大問題……と、ツッコミ所が多すぎてキリがありません。


ベタな逃走劇に自分流の味付けを施して“誰も観たコトがない斬新な映画”にするつもりが、謎調味料と珍食材ブチ込みすぎて“誰も観たがらない苦しょっぱい映画”にしてしまった、あからさまな失敗作ですね。

100分以内に収めてあれば、まだ何とか観ていられる仕上がりになった可能性は無きにしも非ずなんですが……

人生が順風満帆すぎるんで退屈ってのがどんな気分だったか思い出したい、というような特殊な悩みを抱えている方だけどうぞ。【-9】

2016-09-15 苦労人デース

中途半端な気候で調子を崩している私ですが、皆さんいかがお過ごしですか。


2ヶ月に1回くらいしか更新しないのに、今日もまた相当にアレな感じのソレ。

いや、『シン・ゴジラ』とか『君の名は。』とかも観てるのですけど、真面目に感想書いてるヒマが……

[] 2078 『スモーキン・エース 暗殺者がいっぱい』 (DVD/06年米/ジョー・カーナハン監督)  2078 『スモーキン・エース 暗殺者がいっぱい』 (DVD/06年米/ジョー・カーナハン監督)を含むブックマーク

《解説》

『NARC ナーク』で評価され、後に『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』の監督も任されるジョー・カーナハンの監督・脚本によるアクション。

原題の『SMOKIN' ACES』まんまだとフックがなさすぎるとはいえ、鬼ダサい日本語サブタイトルを考えた奴と通した奴は、もうちょっと自分の仕事というものを真剣に考えた方がいい。


ラスベガスを拠点とするマフィアのボスであるプリモ・スパラッザ[〜ジョセフ・ラスキン]の動向を探っていたFBIの捜査チームは、スパラッザが100万ドルの賞金をかけてバディ・“エース”・イズラエル[〜ジェレミー・ピヴェン]の処刑命令を出したとの情報を入手。

ベガスの有名マジシャンだったイズラエルは、スパラッザに気に入られてその周辺をウロチョロしている内に自身も犯罪に手を染めるようになるが、素人特有の粗くて荒い仕事を繰り返した結果、スパラッザの組織にまで警察やFBIの追求が及ぶようになった、というのが処刑が命じられた原因だった。


状況を察知して焦ったイズラエルは、アイビー[〜コモン]、ヒューゴ[〜ジョエル・エドガートン]、ビーニー[〜クリストファー・マイケル・ホーリー]といった手下を引き連れて逃亡し、タホ湖畔にあるホテルに潜伏しつつFBIとの司法取引でもって身の安全を図ろうとする。

しかし、イズラエルの居所はすぐさまバレてしまい、その命を狙って女殺し屋コンビのジョージア[〜アリシア・キーズ]とシャリス[〜タラジ・P・ヘンソン]、元傭兵のアコスタ[〜ネスター・カーボネル]、変装の名人ラズロ[〜トミー・フラナガン]、頭のおかしい殺し屋兄弟として悪名を馳せているダーウィン[〜クリス・パイン]、ジーブス[〜ケヴィン・デュランド]、レスター[〜モーリー・スターリング]のトレモア3兄弟、という名うての7人が次々とホテルに潜入。


一方、保釈中なのに行方を晦ませたイズラエルの身柄確保を依頼された、バウンティハンターのジャック・デュプリー[〜ベン・アフレック]は、仲間のピート[〜ピーター・バーグ]とホレス[〜マーティン・ヘンダーソン]と共にホテルへと向かう。

そして、スパラッザの組織壊滅作戦を指揮していたFBI副長官ロック[〜アンディ・ガルシア]は、イズラエルを保護するために捜査官のメスナー[〜ライアン・レイノルズ]とカラザース[〜レイ・リオッタ]を中心とする部下達を送り込み、ホテルは程なくしてイズラエルを奪い合う凄惨な死闘の場と化していく……


他の主な登場人物に、スパラッザの組織の幹部セレナ[〜アレックス・ロッコ]、パディチェ[〜デヴィッド・プローヴァル]、イズラエルのマネージャー・メクレン[〜カーティス・アームストロング]、かつてスパラッザの組織にスパイとして潜伏していたものの処刑されたFBI捜査官ヘラー[〜マイク・フォーコウ]など。


《感想》

次から次へと大量に登場するキャラと、筋立てはシンプルなのにそこにゴテゴテと設定を盛っている話の組み立てからして、序盤でもう「ダメだこりゃ」と察知できてしまう、かなり残念なクオリティの一本。

その予感は最後まで覆ることなく、騒々しい出来事が次々に起きて展開もスピーディーなんだけど、話そのものに興味が持てないせいで観ていて感情が全く動かされない、という如何ともし難い状態が延々続くことになります。


しくじっているポイントは20箇所くらいあるのですが、その中でも目立っているのは“主要登場人物に魅力のあるキャラが一人もいない”のと、そのせいで“100万ドルのギャラ≒イズラエルを巡っての争奪戦が盛り上がらない”という地獄めいたコンボ。

主人公を用意せず、多数の視点人物のエピソードを重ねて物語を紡ぐスタイルはいいにしても、キャラが多すぎてどういつもこいつも薄味になっていて、誰が死のうが誰を殺そうが本格的にどうでもよくなってしまい、観ているコチラのテンションが微動だにしません。


この芯のなさをどうにかするには、殺し屋たちによる技術と知能の限りを尽くした騙し合い・殺し合いを話の中心にして、イズラエル関係の諸々やFBIの思惑といったモノを脇に追い遣ってしまうキャラ重視の演出か、逆にイズラエルとスパラッザの2人の対立を掘り下げつつ、トラブルに乗じて組織壊滅を目指すFBIの暗躍を中心に置いて、殺し屋のドタバタは進行上の障害物としてだけ利用する設定重視の演出、そのどちらかを選ぶべきでしたね。

キャラと設定を同時に上手いこと捌ける能力があれば問題なかったのですけど、この監督にはちょっとばかり荷が重かったようです。


そのままフワッと終わっていれば“若干まとまりに欠ける粗いドンパチ映画”程度の評価で落ち着いたのでしょうが、コレは最後の最後にまたやらかします。

実は事件の真相はこんな感じだった、とFBIサイドから唐突にネタバラしが入り始めるのですけど、これがもう「無理ありすぎ」としか思えない。

一応は伏線エピソードも用意されているものの、その時点から不自然さがハンパないので、ドヤ顔で話を進められてもシラケさせられるコトこの上なし。

諸事情(プロデューサーの思惑とか宣伝のための見所作りとか)で強引にドンデン返しを捻じ込まざるを得なくなった、とかそんな事情があったりするのかも知れませんが、観客としてはそこまで斟酌する義理はないですね。【-3】

2016-07-16 まるでダメ

金にならないのにやたら忙しい日々に神経をすり減らしている私ですが、皆さんいかがお過ごしですか。

超久々なのに何でこんな映画をチョイスしてしまうのか、自分でもよくわからない感想文。

[] 2077 『全然大丈夫』 (DVD/07年日/藤田容介監督)  2077 『全然大丈夫』 (DVD/07年日/藤田容介監督)を含むブックマーク

《解説》

コレが劇場用長編デビュー作となる、藤田容介の監督・脚本によるコメディ。

どうやら、大人計画の演劇などで使われる映像なんかを手がけていた人のようです。


古本屋の息子で植木屋のバイトをしている遠山照男[〜荒川良々]は、“世界最高のお化け屋敷を作る”という野望を胸に、おどろおどろしいオブジェを制作したり、仲間とダメな自主制作映画を撮ったりと、30手前だというのにボンクラ絶好調な日々を送っている。

照男の幼馴染の小森久信[〜岡田義徳]は、照男の趣味に付き合わされつつも清掃会社の現場責任者として真っ当な社会人生活を送っていたが、八方美人な性格のせいでいらん苦労を背負い込むことに疲れ始めていた。


そんなある日、サブカルを拗らせたアーティスト志望の娘・木下あかり[〜木村佳乃]が久信の会社にバイトとして入社。

とんでもない不器用さでありえない失敗を繰り返したあかりは、自分でも早々に限界を感じてバイトを辞めてしまうのだが、あかりのことが気になっていた久信は、照男の父で店主の英太郎[〜蟹江敬三]の唐突な出奔によって手が足りなくなっていた古本屋の仕事を紹介する。


女っ気の乏しい生活を送っていた照男は、あかりの登場に舞い上がって結婚秒読みくらいの気分になり、将来のことを真面目に考え始める。

一方、あかりへの好意を深めていた久信も、照男に負けじとアプローチを試みるのだが、あかりはトコトン鈍いのか意図的にスルーしているのか、二人の気持ちに反応を見せずに淡々と過ごしている。

照男と久信があかりとの関係を深められない一方、二人の知らぬ間に古本屋の常連客だった湯原[〜田中直樹]が、あかりの描いた絵に興味を示したのをきっかけにして、急速にイイ雰囲気になっていく……


他の主な登場人物に、照男の姉・智子[〜伊勢志摩]、大金持ちな照男の叔父[〜小倉一郎]、川原で謎のオブジェを作る女ホームレス[〜白石加代子]、その世話をしているホームレス[〜大久保鷹]、英太郎が旅先でゲットする若い恋人[〜鳥居みゆき]など。


《感想》

一昔前、何かしらのノルマでもあるのかって勢いで作られていた“ユルい日常コメディ”というヤツですね。

今になって改めて鑑賞してみるのはどうだろうか、という思い付きでコレに手を出したワケですが、結果を端的に述べると時間の無駄でした。

全体の雰囲気だとか、役者の演技だとかをユルくするのは分かるんですけど、何故にプロットまでグダグダにしてしまうのですかね、この手の映画は。


しょうもない日常を送っている照男と久信の前に、やはりどん詰まりな日々を送っているあかりという女性が現れ、彼女の存在が二人の停滞した人生を掻き回すことになるのだが、《あかりにも日常を打破する湯原という存在が現れて、結局あかりだけが新たな道を選んで照男と久信は変われないまま取り残される》という構成は、脚本を書いている段階で何かオカシいと思わなかったのでしょうか。


ブレのないテーマが必要だとかキャラの成長・変化が必須だとか、そういう教科書通りの話を作りたくない気持ちがあったのかも知れません。

しかしながら、ただでさえボンヤリとしたメリハリに欠ける話なのに、明確なゴール地点が用意されていないのでは観客は困惑するばかりです。

せめて、作中のギャグのキレ味だけでも鋭ければ誤魔化しも効いたのでしょうが、照男の奇天烈な行動とあかりの底抜けのドジっぷりを中心にした笑いドコロは、コメディテイストではなく特殊学級風味を醸し出してしまい、どうにもこうにも気まずい雰囲気に。


あかりへの感情を大っぴらにできない照男と久信が、自主制作映画の格闘シーンの撮影で本音をぶつけ合ったり、湯原を探していたあかりが「こういう人を見なかったか」と通行人に訊ねる時に、一番の特徴である“顔の半分を覆う赤痣”について触れないようにしていたりと、キャラの性格が表に出ているエピソードにはいくつか光るモノがあったのですが……

私にはとことん合わないノリでしたが、出演者のファンならば楽しめる可能性は無きにしも非ずです。【-2】

やんやん 2016/07/19 19:09 最近こちらの素敵なブログ様を発見し、拝見させて頂いております。(ポケモンゾロアーク記事から入りました)
目の付け所や視聴者でありながら製作側の思惑(視聴者をこう誘導しようという意図)まで考察されていて本当に勉強になります。
また、提案なども面白いです。(こうすればもっとよかったのでは、など)
どのような姿勢で映画を観ていけばそのような推察力が身に付くのでしょうか……?

syounisyouni 2016/07/20 22:33 コメントありがとうございます。
思春期に変な映画ばかり観て過ごしていると、こんな感じのヒネた生き物になりがちです。

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