2011-04-05 当然ながら本家とは無関係
一仕事終わった感のある私ですが、皆さんいかがお過ごしですか。
ふはぁ。
■[映画感想・し] 11/3/11 026(1806) 『新ゾンビ』 (ビデオ/98年独/オラフ・イッテンバッハ監督)

《解説》
『バーニング・ムーン』『ハウス・オブ・ブラッド』等、ひたすらに血と内臓がブリョブリョ出るホラーを撮り続ける一方、人体破壊描写の腕を買われて他監督の作品で特撮を任されたりもしている、オラフ・イッテンバッハの監督・脚本によるデタラメなホラー。
原題『PREMUTOS』。
太古の昔、ルシファーより前に神に反逆した堕天使“プリムトス”は、邪神となって世界中に災厄を撒き散らしていた。
1023年、プリムトスはインドで大虐殺を巻き起こしている最中に一人の戦士によって討たれるのだが、その後もペストの大流行を巻き起こしたり魔女ブームを仕掛けたりと、歴史の暗黒面に干渉し続ける。
そして1942年、ドイツ・インゴルシュタットに住むルドルフ[〜ロナルド・フールマン]という男が、プリムトスを復活させる鍵となる魔導書(?)を入手する。
ルドルフは死んだ妻を蘇らせようと、その魔導書を参考に死体復活の実験を繰り返していたが、ルドルフの派手な墓荒らしはやがて周囲にバレてしまう。
怒り狂った町の人々は、武器を手にしてルドルフの家へと押し入り、そこの地下室でゾンビ化した死者の群れと遭遇するハメに。
ルドルフは実験の末に完成した秘薬を投与して妻を蘇らせるのだが、魔道書が若干不完全だったのが災いしてか、妻は復活後数十秒で爆発。
その後、押し寄せた群集によってルドルフは血祭りに上げられ、プリムトスの魔道書と秘薬はそのまま失われる…
それから数十年後のインゴルシュタット。
自分の誕生日を記念して庭に木を植えようとしていた軍隊大好きおじさんウォルター[〜クリストファー・ステイシー]は、作業中に古めかしい箱を掘り出してそれを自宅へと持ち帰る。
一方、ウォルターの息子マティアス[〜オラフ・イッテンバッハ]は、自転車でコケたりサッカーの試合でチンコを負傷したりで気絶するような状況に陥ると、毎回のように中世のヨーロッパや独ソ戦中のスターリングラードを舞台にした奇妙な夢を見る。
病院での治療を受け、母親インゲ[〜Ingid Fischer]の運転する車で自宅に戻ったマティアスは、痛みを堪えつつまずは横になって休もうとするのだが、ウォルターが掘り出した箱に入っていた謎の薬を引っくり返し、それがチンコにかかって悶絶させられるハメに。
ウォルターは息子に大ダメージを受けて寝込んだ息子を気遣い「お前こういうの好きそうだし、ヒマ潰しに読んでみろ」と薬と一緒に箱に入っていた本をマティアスに渡す。
その本はかつてルドルフが所有していた魔道書で、マティアスはそれを読み進める内に現実と夢の境界を見失ってゆく。
そんなマティアスを放置してウォルターの誕生パーティが準備され、ライヒンバーガー家にはウォルターの友人クリスチャン[〜フィデリス・アトゥマ]、高飛車金持ち女エディス[〜アンケ・ファーブル]、その夫ユゴー[〜アンドレ・ストライ]、ユゴーの元恋人ターニャ[〜エリア・ウェルマン]らが招かれる。
エディスのウザイにも程がある振る舞いによってパーティがギスギスした雰囲気で進行していた頃、マティアスは突如出現した鉄条網と鉄パイプと針金によって全身をズタズタにされ、プリムトス復活の憑代にされてしまう。
プリムトスとなったマティアスは母親のインゲを殺害した後に大量のゾンビを復活させ、そのゾンビ軍団を飲み屋に突入させて大量虐殺を行い、それからどういうワケか再び自宅を襲撃。
異変に気付いたウォルターと来客達は地下室に籠もり、ウォルターが趣味で買い集めた武器を駆使しながら、ゾンビの大群を相手に血みどろの死闘へと突入する…(実際の映画はもっと散らかっているのですが、強引に整頓してみました)
他の主な登場人物に、マティアスの姉ロジーナ[〜ハイケ・ミュンスターマン]、隣人のサンドラ[〜スザンヌ・グルター]など。
《感想》
10年くらい前に観た時には、観客を馬鹿にしてるとしか思えない壊れっぷりにクラクラするばかりでしたが、改めて観てみると“観客を馬鹿にしている”というか“監督がかなりの馬鹿”だってコトが痛感できる、破綻とやっつけと意味不明が軽やかな足取りでタンゴを踊ってるような、そんな作品だと気付かされました。
物語の核となる部分を堕天使プリムトスという“ぼくのかんがえたちょうつよいぼす”的存在に丸投げしてしまうのはイイにしても、このプリムトスが何をしたいのかが伝わってこない(説明はされるのだが、行動が伴ってない)わ、本当に凄い力を持っているかどうかも怪しい(作り手の表現力が追い付いていない)わでパスが通っておらず、何の話なのかよく分かりません。
歴史上の様々な場面で惨劇を引き起こしてきた悪の化身が現代に蘇って大暴れ、というコンセプトは果てしなくベタなんですけど、設定にスケール感を出す手法としては悪くないので、ココで有名な事件やら戦争やらのエピソードを用意しておけば、プリムトスの目的や能力を観客に周知させるのも簡単だったと思われます。
なのに、その絶好のタイミングでオリジナルの創作エピソードを持ち出す余計なマネをやらかしている辺りが、この作品が馬鹿映画扱いされる所以ですね。
ゴア描写は毎度のように尋常ならざる作り込みでして、所々で金の無さが窺える箇所があったりもしますが、それでも低予算ホラーとカテゴライズされる作品としてはありえないレベルの質と量で人体破壊シーンを用意し、汁気たっぷりの殺戮祭りを延々と繰り広げている、イッテンバッハの病んだ情熱には鬼気迫るモノが感じられます。
気合が入り過ぎているせいか、ゴアシーンが開始されるとその他の全てが停滞し、ただでさえマズいコトになっている話運びが、輪をかけてガタガタになってしまう、という大問題もあったりするワケですが、それはそれとして。
そんなゴアシーンの凶暴さと、《前フリもへったくれもない戦車登場で大勝利》という超展開で有名な、頭が悪いにも限度がある終盤の存在もあって、馬鹿スラッシャーとしてはかなり良質と言えるんじゃないかと。
映画としては正直ヒドいですし、“オカルト映画”や“ゾンビ映画”を期待しても開いた口が塞がらなくなる末路を迎えるでしょうが、監督の作風を理解しているのならば十二分に楽しめると思います。【2】
