『ロミオ×ジュリエット』最終幕「祈り〜きみのいる世界〜」

 オフィーリアの死の接吻により、エスカラスに取り込まれるジュリエット。彼女を助けるため、ロミオは一人オフィーリアに挑む。刻々と崩壊が進むネオ・ヴェローナの運命は。




 正直、これをハッピーエンドとするかしないかで結構意見が分かれるような気もしますが、個人的には最良のハッピーエンドだと思います。
「世界は舞台」と言ったのはウィリーでありシェイクスピアなれど、その舞台そのものが崩れ、両者共に家名、村と言う束縛から解き放たれる=死というのは、この手の恋愛ものでは王道かつ最良の手段だと思うので。
 オフィーリアと戦い、その結果ロミオが先に死亡し、ジュリエットがエスカラスを芽吹かせて死亡と、原作とは逆になってますね。
 互いのすれ違った末の死とは違い、互いの行動の結果として、納得した死と言う点でも。
 しかし正直、ラストの手を繋ぐロミオとジュリエットがこの作品のすべてだと思います。この二人が愛し合ってその結果誰も触れられないものとして確立した事が一番ですよ。




 彼女達が守った世界で、それぞれ生きるキャラクター達のエピローグの人選がニクイ。
 いつか幸せになると誓うハーマイオニの手には薔薇とアイリス。ランスロットの妻と子どもは風を感じて、ティボルトは野生化して家族が出来たシエロに乗ってペトルーキオに弟達を乗せる。
 そしてウィリアムは、さらに優雅さ(笑)を増して物語の語り部としての役目を果たす。




 裏世界名作劇場初経験の自分でしたが、二クールずっと楽しめました。某ナイスボートのように深みに走りすぎる事無く、世界観やキャラクターも深読みできる余地のある懐の深い作品だったと思います。
 スタッフ・キャストの皆さん、お疲れ様でした!




 ……ネオ・ヴェローナが着水した瞬間に、何故か大爆笑してしまったのはここだけの秘密。本当に何でなんだろう……?