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2008-08-11

ストリートビューよりはるかに怖いもの


「監視社会」に対するネット上の反応には奇妙な印象を受ける。ある情報が、個人に対する危険性を持っているのか、あるいは社会全体に対する危険性を持っているのかということを峻別していない。そして「気持ち悪い」だとかいうような感覚的な反応をしているように見えるのである。ある情報を使って実際に何ができるのか、どのように危険なのかということを細かく考えることが必要なのではないだろうか。

ストリートビューが持っているのは、社会全体に対する危険性である。すでに指摘されているように、泥棒が街をすべて歩かなくても盗みに入りやすそうな家を探すことができる。あるいは大げさな話をすると、どこかの国の軍隊が東京を占領しようと考えたときに使えるだろう。あのデータを使えば、実戦に近い形での演習をバーチャル空間で実施できるかも知れないからである。

その一方で個人に対する危険性はそれほど大きくはない。実はストリートビューで僕の自宅周辺も撮影されている。しかし、僕の自宅の画像だけで何かができるとも思えないのである。僕の自宅に誰が出入りしているか、僕が出勤・帰宅するのはおおむね何時ごろか、などといった情報を知るためには実際に自宅前に張り込むことが必要になろう。ストリートビューではこのようなことはできない。僕を気に入らない誰かが僕を狙ってきたときにストリートビューの情報が使えるかどうかというと疑問が残るわけである。建物の外観で生活水準を知ることができるというが、それはこれまでもできたことを素早くできるようにしたということである。

ストリートビューで顔が写ってしまった人が削除を求めたり訴訟を起こしたりしているが、それは文字通り「偶然」写ってしまった人たちによるものである。このプライバシー侵害はたしかに深刻な問題なのだろうけれど、ストリートビューが持っている本質的な問題ではないと思う。

むしろ個人に対する危険性をはらんでいるのは、さまざまな施設に設置されている防犯カメラ、監視カメラといった存在である。全国のコンビニに置いてある防犯カメラの情報を集約・解析すれば、ある人がどこで生活しているのかを知ることができるだろう。駅に設置されている監視カメラの情報を集めれば、勤務先を推測する手がかりになる。最近では新幹線内にも防犯カメラが設置されているという。長期的に解析すれば、ある人の田舎(出身地)がどこなのかといったことまでも推測できるだろう。

幸いにしてこれらの情報は個人情報として厳重に管理されている(はずである)。監視社会反対を唱える市民団体のひとたちが質問状を出しており、それに関連したメディアからの取材で鉄道会社から「個人情報として厳正に取り扱う」という言質をとっているからだ。新幹線に防犯カメラが設置されたとき、ネット上で「やましいことはしてないからどんどん監視して欲しい」といった意見があったことは残念である。ストリートビューなんかよりも、はるかにひとりひとりに対する深刻な脅威になりえる情報だからである。

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