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修羅の日記 (公開試運転中) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2013-12-16

続・金沢に新諸国鉄道を訪ねる【2】〜濁川(にごりがわ)のトラス橋

| 続・金沢に新諸国鉄道を訪ねる【2】〜濁川(にごりがわ)のトラス橋を含むブックマーク 続・金沢に新諸国鉄道を訪ねる【2】〜濁川(にごりがわ)のトラス橋のブックマークコメント

■Kさんとの短い時間の会話の中で、とりあえず拾って残しておきたいと考えたのが模型のモデルとなった濁川の木製トラス橋の話です。

f:id:syura_muramasa:20131215000633j:image:w300:left■先のTMS(1969年9月255号)の記事のミステリアスな終わり方、宝物さがしのように思わせぶりな濁川線の桟道やトラス橋は今は消滅してありません。濁川温泉も無くなりました。それらを偲ぶ廃線跡探索もできません。

■なぜなら1984年の長野県西部地震で起きた「御岳崩れ」と呼ばれる山体崩壊によって濁川上流から下黒沢の王滝川あたりまで、すべてをのみこんで一気に大地が動き地形が一変したからです。

●長野県西部地震と山体崩壊 http://www5d.biglobe.ne.jp/~kabataf/picture_saigai/picture_saigai3.htm

■現在、王滝村中心部も被害を受け流れ込んだ大量の土砂を何年もかかり浚渫、それが松原公園となっていますが、中心部から滝越に至るところで、まるで湖(※上のリンク先の絵)のようになっているところがかつての「絶景だった下黒沢(※)」のなれの果てです。

※とても印象的だったNHK新日本紀行「木曽森林鉄道」のオープニング画像も下黒沢から濁川線を歩き高くなった所から俯瞰で列車を撮影しています。もっともKさんによれば後年は木が育ってああいう画は撮影できなかったとか。

f:id:syura_muramasa:20131216193945j:image:w200:left■Kさんが今も記憶に強く残っているのは、一つは助六谷に至る鯎(うぐい)川線の180度ターンの樽が沢、こわごわ渡った中の沢橋など下を観ると怖いほどのダイナミックなシーンですが、もう一つに先のTMSで木曽行きのきっかけとなった濁川線を挙げておられます。

■昭和44年の時点ではTMSにも写真がある吊り橋が落ちたりして濁川温泉や木橋のある濁川線上部へのアクセスは王滝川沿いから林道を使いアクセスしていたと聞きました。

■左の写真は林道からの俯瞰。林道は谷筋より高い位置にあり、この斜面を下りて川原へアクセスします。

■この川の名は濁川と「伝上川」。御岳から流れる水は強い酸性でイワナなどが住まない川だったらしい。写真にはトラス橋や河原を走る桟道が見えます。それにしても想像するに、かなりの急斜面。道なんかありませんから降りるポイントを探すのすら難しかったのではないかと思われます。

■河原から
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■濁川橋
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■伝上川橋(昭和44年)
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■このトラス組みも林鉄によくある、現場職人の知恵で施工されているのではないかと想像するわけですが、Kさんによれば「自分も理科系なので容易にわかるが、トラスの交差角は90°、それに桁についてはトラスが支える真ん中部分と両端部分の寸法は三等分されている。それから外れると力学的におかしいことになる。」ということですので模型を作る場合はヘンな形にならないように注意が必要かもしれません。桁の三等分は先の中の沢橋のモデルでも上が無いだけで同様の力学的原理だそうですので、これからおつくりになる際には、せいぜい気をつけましょう!

f:id:syura_muramasa:20131216193944j:image:w200:left■板を踏み抜いてしまいそうな桟道。山筋に沿ってカーブしながら遥か向こうには山並みが、こういうシーンにぐっときてします。山が急に迫っていたり、岩が切り立ったりして、やむなく避けているところに臨機応変にこういう桟道を河原に組んで配置、対応したのでしょうね。

■Kさんは先に書きましたように8ミリも持参しているので、できるだけ軽いカメラを持って行ったそうで、白黒やカラーのリバーサルフィルムを枚数が稼げるハーフサイズカメラに詰めて撮影することが多かったそうです。20回の木曽行きで得られた白川線や鯎(うぐい)川線などの写真は非常に貴重なもので、ネコ社「木曽谷の森林鉄道」の改定の際にも提供されています。

■カラー写真があるのは模型を作る際のイメージづくりには、とても役立ちます。「木曽谷」の本の酒井の5t機関車が樽が沢橋をわたるカラー写真には気持ちが高ぶりますよねー!今はデジタル技術によるカラーの補正でとてもきれいです。

■プロラボではないので大したことできませんが桟道の色合いも寒い冬の廃線跡のわびしさが伝わってきます。

木曽谷の森林鉄道

木曽谷の森林鉄道



■最後にKさんも撮影の際に宿泊したという野趣あふれる温泉。ランプの宿として人気が高かった濁川温泉も山体崩壊で流されてしまいました。今もそれを惜しむ記事がネット上に散見されます。これらを見れば見るほど一度、湯に身体をつけてみたかったと思い、かつての情景を偲び、この稿を終わります。

 ●失われた秘境『濁川温泉』 http://www2.ocn.ne.jp/~nhata/picture2.html
 ●信泉会 濁川温泉の旅 http://www.dynax.co.jp/sinsen/ssk/report/ssk_82f.html
 ●Uncle-Fukuさん「濁川温泉」http://unclefuku.web.fc2.com/unclefuku/rails/kiso/nigoidx1.htm