観劇

久々の芝居見物だった。
 自分が音楽の録音に参加した、と云う事で御招待いただいたので、都内下北沢の本多劇場に行った。

 本多劇場に掛かる芝居やミュージカルの音楽は、何度かやった事があるし、小田急線の車窓からもよく見えるので、名前はよく知っていたのだが、実際に入ったのは初めてだった。
 この日は青年座の公演で、演目は「ブンナよ、木から下りてこい」。
 水上勉さんの作品をご自身の手で脚本化されたもののようで、既に1000回を優に超える公演回数を重ねているのだそうだ。
 パンフレットを見ると、以前の公演では、樋口康雄さん、林光さんが音楽を担当しておられたらしい、もちろんこれは見た事も聞いた事もないので、分からないが、どちらも今回の和田さんの音楽とは、全く違った雰囲気だったであろう事は、容易に想像出来る。
 そんな事で、全く、予備知識を持たずに劇場に入ったのだが、芝居はしっかり楽しむ事が出来た。
 会場には、子供からわたしのような年代の人まで、色んな世代の人たちが来ておられた、特に、高校生らしき若者が目立っていて、ちゃんと静かに観てくれるのかしら、などと余計な心配をしたりしていたのだが、全くの杞憂だった。 もしかすると、部活で演劇をやっているとか、将来、演劇を志している子達だったのかも知れない。

 芝居は、最初の数分間は、様子が読めなくて、ちょっと入って行きづらいところも有ったが、役者さん達のセリフが聞き取りやすかった事もあって、大人から子供まで、それぞれに楽しめる作品に仕上がっていたと思った。
 肝心の音楽だが、それほど鳴りっぱなしと云うわけではなくて、劇伴部分はむしろ少ない方ではないか、とも思われた。 と云うよりも、劇伴的な、つまり付随的、BGM的な使い方ではなくて、和田薫さんの音楽が、要所々々でドラマの進行上、非常に大きな役割を担っていて、数秒の音楽だけで、重要なポイントを表現しているのが、よく分かった。 言い換えれば音楽がモノを語っていた、と云う事だろうか。

 会場には、和田さんをはじめ、録音に参加しておられた河井英里さん、エンジニアの山田さんご夫妻、なども来ておられて、それぞれご挨拶も出来て、ラッキーであった。

 あと、音楽を聴いていて、チャンイーモウ監督の「Lovers」のサウンドかな、と思った箇所が有ったが、考えてみると、全く同じミュージシャン、つまり田代さん、梯さんが参加しておられるので、そんな一瞬が有っても不思議は無かったわけだ。


 それから、ブンナの音楽録音の現場の状況などは、↓のURLにアクセスすると、詳しいレポートがありますので、よろしければどうぞ。 No.388が、それです。

http://wwwi.netwave.or.jp/~popo/studio14/listtop-studio14.htm


★ 画像は当日会場でもらったプログラムからのもので、もし不都合があれば、引っ込めますので、ご一報下さい。