マンション管理士試験な日々(マン管&管理業務主任者試験)

2012-01-18

理解型勉強と過去問丸暗記型勉強

こんにちは

少し古い話題ですが

中小の上場企業の会計監査を手がけていた監査法人「隆盛監査法人」(東京都千代田区)が、昨年11月30日に東京地裁から破産手続き開始決定を受けたそうです。

負債総額は約2億5000万円で、監査法人の法的整理は初めてです。

監査法人はいうまでもなく公認会計士の集団なわけですが、それが倒産する時代がやってきたというわけです。

公認会計士の場合、最近では合格者の半分以上が監査法人への就職ができず露頭に迷う状態なわけですが、その状況で監査法人の倒産があるのですから、状況はとても厳しいです。

もっともこれは、弁護士とか不動産鑑定士とか司法書士とか、他の難関資格でも似たような状況です。

つまり

難しい試験に合格したのだから、そのご褒美として大きな利益が得られるとした考えは、時代遅れとなりました。

資格の世界も一般社会と同じく、競争もあれば、倒産もある。

資格は特権ではない。

改めて、受験には勝ったが、人生ボロボロなどということにならないよう、気を引き締めないといけないということを感じさせられました。

もちろん、私も当事者ですから気を引き締めて頑張るしかありません。


 

さてさて

試験も終わったことですし、しばらくは、資格を取得することから得られる現実的な利益について検討したいと思っております。

その

前提としてとても大切なことは、「何をどのように勉強したか?」です。

すなわち、理解型勉強なのか過去問丸暗記型勉強なのかの違いです。

理解型勉強であれば、勉強そのものが自分自身のさまざまな能力をアップさせることとなりますので、勉強すること自体に利益があります。

(ただし、それが十分な利益であるかどうかは別問題。時間対効果の検証となる。)

過去問丸暗記型勉強の場合、試験終了後、時間が経過すれば丸暗記知識は忘れてしまいますので、最終的に残るのは合格証書のみです。

つまり、この件については正しく理解していない人が多いように思われますが、過去問丸暗記型勉強は理解型勉強に比べて、とてもギャンブル性が高いリスキーな勉強法なのです。

理解型勉強であれば、合格証書の活用に失敗しても、自分自身のさまざまな能力をアップさせたという利益が残りますが、過去問丸暗記型勉強の場合、合格証書を活用しなければ、何の利益も残らず、投資時間が全部無駄になるからです。

「合格=成功」でもなく「資格=特権」でもない時代に、自己の能力アップにはまったく寄与しない合格証書獲得作業(過去問丸暗記)に、何百時間も投資して時間対効果の観点から採算が合うとは思えません。

だから、10年以上前から私は、過去問丸暗記型勉強ではなく理解型勉強を推奨しているのです。

 

 

 

では、具体的にその理解型勉強と過去問丸暗記型勉強はどう違うのでしょうか?

前にお話した例をもう一度使います。

マンション標準管理規約には

「理事及び監事は、マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。」(旧マンション標準管理規約35条2項)

というのがあります。受験生なら誰でも知っているような基本論点です。

これを

(問)理事及び監事の資格要件は?

(答)マンションに現に居住する組合員

と丸暗記するのが、過去問丸暗記型勉強です。

このやり方は、○×式の試験問題に正解するために、過去問の問いと答えを丸暗記しているだけなので、時間が経過すれば忘れるし、忘れたら何も残りません。

それに対して理解型勉強とは、制度の内容を把握し、制度趣旨(そのような制度が存在する理由)を理解することで、単なるクイズ知識ではなく、現実の事例や実務にも応用できるような知識を身につけることをいいます。

上記の例では、

役員の資格要件についてマンション標準管理規約では、.泪鵐轡腑鵑妨修傍鐔擦垢覘∩塙膂、という2つの条件をつけているのは、なぜなのか?

という部分についての理解が重要です。

まず、「.泪鵐轡腑鵑妨修傍鐔擦垢襦廚箸いν弖錣蓮¬魄の仕事として緊急時の対応が容易になることを期待した規定とされております。

日々のマンション管理において、緊急対応すべき業務というのは多くないと思いますが、緊急対応すべき業務が発生した場合、それは重大であるといえますので、頻度が少ないけど緊急対応に備えて「現に居住する」という要件を設定するには、一定の妥当性はあると考えます。

次に、「∩塙膂」という要件は、マンション管理組合が区分所有者の財産管理団体であることに由来します。

管理組合は、建物や管理費等の区分所有者の共有財産を管理しております。

で、区分所有者の財産管理団体の役員を区分所有者以外の者にさせるのは危険ではないか?リスクが大きいのではないか?ということなのです。

かなり高額の財産ですからお金に目がくらむということもあるでしょうから、区分所有者なら安心ともいえないのですが(理事長の財産横領事案というのがたまにありますので)、利害関係のない第三者よりは区分所有者がやるほうが安全であると考えるのは、一定の妥当性はあると思います。

ということで、「.泪鵐轡腑鵑妨修傍鐔擦垢襦廖岫∩塙膂」の要件が設けられた理由が明らかになりました。

それで、このような理由を勉強すればどんな良いことがあるかというと、現実の事案解決に役立つということです。

 

たとえば、あるマンション管理組合から、規約中の役員の資格要件について「資格要件を撤廃したい」という相談を受けた場合。

「.泪鵐轡腑鵑妨修傍鐔擦垢襦廚箸いν弖錣蓮業務の緊急性というところにあるのですから、管理会社や警備会社のサポートにより緊急時の対応に問題がないのであれば、この要件は無くしてもかまわないと判断できます。

また、「∩塙膂」の要件は、区分所有者の財産の管理を区分所有者以外の者にさせるのはリスクが大きいと考えるのであれば、保証措置とか業務チェック機能の充実とか図ることによって、この要件をなくし第三者管理を実現させる余地もあると判断できます。

という感じで、現実の規約を向き合っていけば、解決への道のりが見えてくると思います。

他に、賃貸化の進んだマンションではどうなのか?投資用のマンションではどうなのか?などの様々な問題も、上記基礎から考えていけばいいと思います。

余談ですが、昨今話題の第三者管理方式では、、「∩塙膂」の要件と関係があることが、これでわかります。

また、改正マンション標準管理規約では、「.泪鵐轡腑鵑妨修傍鐔擦垢襦廚箸いν弖錣撤廃されましたが、それが何故なのかについては、みなさんへの宿題ということにさせていただきます。

(宣伝ですが、マンション標準管理規約改正点解説講座ではその点を詳しく説明させていただいております。)

ということで

いずれにせよ、丸暗記知識では使い物になりません。

内容の理解があるから、現実社会で使える知識となるのです。

同じ時間を投資するなら、使える知識を身につけるべきではないのでしょうか。

現実社会の問題を議論したり解決したりするための道具として法律知識を身につければやりがいもあるし、そもそも楽しいじゃないですか。

不毛な丸暗記作業に何百時間も使うなんて、バカバカしくなると思います。

 

 

 

使える資格とか食える資格とか、いろいろ資格の価値について議論があると思います。

しかし、そもそも、現実社会で使い物にならない丸暗記勉強をしていたのでは、資格の価値以前に資格の活用のしようがないでしょう。

丸暗記知識では何のアドバイスもできないし、何の価値もない。

かつては、専門知識は「知る」こと自体大変な労力を要したので、知識を「知っている」ということそのものに、いくらかの価値がありました。

しかし、インターネットの検索システムが発達した現在、単に知識を「知っている」ということに、ほとんど価値はありません。

価値があるのは、知識の内容を深く理解し、応用し、運用できる能力です。

まずは、そのことに気がついて、理解型勉強をしてほしいと思います。

といいますか、

資格以外の他の業種で、意味のわからず内容の理解していない丸暗記知識を詰め込む勉強をしてどうにかなる業界というのは存在しないでしょう。

受験勉強の世界にだけ存在する異常な行動にすぎないのです。

過去問丸暗記型勉強は合格証書を獲得する作業にすぎないということを理解して、可能な限り丸暗記は避け、本来あるべき実力養成を開始していただきたいと思います。

過去のことは仕方ないですから、未来に向けてがんばりましょう。

人生、遅すぎることはないですからね。

 

 

さて、長くなりましたので今日はこれくらいにしておきますが、

次回は、どの程度の理解型勉強をしてきたかを判定するテストを作ってみたいと思います。

実力テストってやつです。

ではまた