眠り
人(動物たちも)が人生の中の半分、いやそれ以上の多くの時間を占めている眠りについてあらゆる角度から見、鋭く抉ったお話にスポットを当てたmonkey businessの第二弾。
モンキー ビジネス 2008 Summer vol.2 眠り号
- 作者: 柴田元幸
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2008/07/19
- メディア: 単行本
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眠っているのは誰(何)か?というテーマで喜多村紀×きたむらさとし×柴田元幸の画家二人と文学研究者の対談が面白い。絵画を題材(眠り、又はそれに則するもの)として画家の視点、文学研究者の視点で話し合っている。
柴田 眠りっていうのは一種<アウト・トゥ・ランチ>見たいなものだろうってあったけど、同感で、ある種の不在感、「いない感」がありますよね。夢の場合は、そこにいる。覚醒した世界とは違うけど「そこ」がある。だから夢と眠りでは、在・不在の感じが違う。
紀 僕も眠りは不在ってことなのかなと思ったんだよね。そうすると、眠りの絵について話す、ということになれば不在を感じさせる絵について話すことになりますね。
さとし 表面的な見方かもしれないけど、いわゆる典型的西洋絵画って非常に覚醒的・意識的な世界でしょう。遠近法だとか。で西洋絵画の見方からすると、紀の絵のような水墨画的なものっていうのは、覚醒した意識とはちょっと違う世界といえると思うんですよね。もちろん抽象画の時代になったくると、西洋でもそういうものが増えてきてると思うけど、全体としては、覚醒よりも眠りに通じるような世界が東洋の絵、特にモノクロの水墨画なんかには感じられますね。 p9〜10 一部省略
起きている時はハッキリとした自分が感じられるのだけれども、眠っている時は一体だれが支配しているのか。また、不在の時の自分はどこに行ってしまったのかを考えた時、恐ろしさを感じた。
小澤英美、大和田俊之、都甲孝治、柴田元幸の四名が50選した眠り文学は大変参考になった。眠りの側からみた文学がどのようなものであるかという事が。
良いと思ったものをリストアップすると
- 『みずうみ』いしいしんじ
- 『山高帽子』内田百間 この話を元にした漫画版である山本直樹の『眠り姫』、映画化された七里圭の『眠り姫』も読み、観てみたい。
- 『まぶた』小川洋子
- 『眠れる美女』川端康成
- 『不眠症』スティーブン・キング
- 『不眠患者大会』チャールズ・シミック
- 『きつね月』多和田葉子
- 『ねむい』アントン・チェーホフ
- 『寝る方法』+『パブリング創世記』筒井康隆
- 『猫たちの眠り』パブロ・ネルーダ
- 『睡魔』ドナルド・バーセルミ
- 『シュノーケリング』ニコルソン・ベイカー
- 『自動起床装置』辺見庸
以上13作品。幻想的なものもあれば、現実的なものもあり、また社会風刺をしたものまである。眠りに対する様々な作家たちの思いが選者たちにより伝わった。少しずつ購入して読んでみようっと。