酒井隆司 生活の道具

良質の労働が良質の社会を形成する。信州松本で家具と生活用具を作っています。

湖の男/アーナルデュル・インドリダソン


待ちわびていたA・インドリダソンの新作、やっと出ましたね。
とは言っても本国、アイスランドでは2004年に発行され、去年は最新作の15作目が出ているようです。
日本では3作目の『湿地』から、この『湖の男』まで計4作が読めます。


お気に入りの作家でどれも好きですが一番なのは『緑衣の女』で、この最新作はそれと肩を並べるくらいよかったです。
これまで読んだこのシリーズ、漢字一文字をあてるなら『哀』でしょうか。
過去を一つ一つ紐解いていくミステリー、哀しい物語です。


特捜部 Qや最近お気に入りになった犯罪心理捜査官セバスチャンが陽であるならこちらは陰。
全体に物静かで暗いイメージです。
主人公エーレンデュルの背負う過去。捨ててしまった家族。その子供たちとの関わり合い。
そして前作の「声』から登場した大切な女性。
それらが回を追うごとに変化していくのもこのシリーズの魅力です。


すでに発行されている次回作はいつになるのでしょう。
そういえばつい最近、映画『湿地』がDVD化されていて観ました。
キャスティングは映画の特捜部Qよりは全然よかったですね。
話の方はちょっと忘れていたこともあり少しわかりづらい部分もありましたが
まぁまぁよかったです。


蛇足ながらアイスランドでは羊の頭の料理があるようです。
湿地を読んだ時にそのシーンがあったかどうかは忘れましたが、湖の男ではその話が出てきます。
それで映画『湿地』でなんとエーレンデュルがそれを食べるシーンがあって目玉も掬って食べていました。
ちょっとカルチャーショック。
でも鯛の兜煮で目玉食べたことありますが。