「ここは退屈迎えに来て」読了。

Twitterで見かけて、タイトルのひびきがよくて購読。

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て

地方都市の郊外をメインに、思春期にイケてたひとりの男性を対比として物語のいずこかに配置して描かれる女性たちのリアル。
東京から地元に帰ってきて就職して、現状の折り合いをつける女性からはじまる物語は、読み進めるに従って、語り手が変わり、年代と世代がさかのぼり
現実にたいしての理想や願望や欲望や妄想の比率が増してゆき、それゆえにか少女性が浮き彫りにされていく。
スト2本にいたっては、もはや三十路のおっさんと相成った自分にとってはファンタジーの領域。
とはいえ、そこだけだったらよくある地方都市在住少女があこがれるケータイ小説みたいなものなのだけれども、構成の妙でむしろそのカウンターのような作品になっているのが面白い。


参考文献のファスト風土速水健朗。まさかの「文化系のためのヒップホップ入門」からしてそうだけれども、作中で取り扱われるサブカルガジェットが自分に近すぎて、うまく俯瞰できない。
地方都市小説というジャンルで辻村深月の「鍵のない夢を見る」と読み比べたい。