エンジニアの未来サミット 0905 エンジニア・サバイバル

イベントの名前が好きです。2回目になるエンジニアの未来サミット 0905 エンジニア・サバイバルに参加してきました。

本イベントは、就職前の学生さんや社会人1、2年目の若手エンジニアさんを対象にしています。しかし、私は社会人6年目で、転職経験が2回あります。少し違った見解で感想をまとめてみます。

前回の反省を踏まえての企画だったと思います。テーマに対する討論がまとまっていて、聞いていて、とても分かり易かったです。

第一部 おしえて! アルファギーク - エンジニアが幸せになる方法

MS の楠さん(id:mkusunok)を私は存じていなくて、

ここでは一人だけコードを書く仕事ではない人かな。ライターをやっていたが、食えないと思った。IT が面白そうだと思ってこっちに来た。

と自己紹介されていたので「何しに来たんだ、この人?」と、私のアンチ MS な姿勢もあったりしたのですが(^ ^;;、討論のやり取りを聞いていて、OSS な世界の人だけだと見えないような見解のお話が聞けました。楠さんが参加されたことで、討論の内容に厚みが増したように私は思います。パネラーに楠さんを選出されたのはとても良かったと私は思います。

討論の中で、宮川さんやバタラさんという凄いエンジニアのお話がありました。会社に凄い人がいた。エンジニアにとって、これは本当にラッキーな事です。そして、その方のお話をするときは過去形で、凄い人は何を求めて、どうしてどこかへ行ったのかが私は気になりました。

メンタルヘルスが重要だとか、多重下請け構造がダメだとか、そういうお話の中で、楠さんが

また最近は(悪い)内部情報が出ていっていい人を取りづらくなるので、改善されていると思う。

もっと突っ込んで経済合理的に改善の方向へ向かうようなお話をされていた気がします。経営層から見ても、人(エンジニア)を大事にしないと会社や業界が成り立たないって事が認知されつつあるのかなと、少し嬉しかったです。人が辞めたら、ベンチャー系の企業はキャリアエージェントに相談すれば良い、大手企業は派遣社員を雇えば良いというのが本音な気がします。私は、エンジニアが自分を守るのは自身の技術力のみだと考えていて、経営層を信頼していないのでこういう視点はなかったです。

第二部 弾 vs. 個性派エンジニア - サバイバル討論

山崎さんがいたから、成り立ったセッションだと、私は思っています。弾さんがいて、高井さんも分かっているのか分かっていないのか、よく分からないコメントをされている中で、山崎さんが話を本題に戻したりとか、大事な事とか、おもしろい経験談とか、学生さんにも分かり易い言葉で説明されていたと私は感じました。何よりも人柄が良かったです。営業をされていたキャリアからくるものかなとも思いました。

山崎さんは、サーバ運用をメインにされている(いた?)方とお伺いしました。私も以前、データセンタの運用に携わっていました。メインフレームと IA サーバの運用経験から、はっきり言って、運用は辛いです。開発者を何度恨んだ事か(^ ^;;

開発者は納期が来れば、良くも悪くもプロジェクトが終わります。運用はサービスインした日から、終わりのない日々が続きます(顧客が解約してくれれば終わりますけどね)。終わりのないプロジェクトは辛いです。どれだけやっても「守りきって引き分け」です。

山崎さんも相当に辛い経験をしていると容易に推測されます。しかし、あの場では、失敗談を面白おかしく、さらには、明るく元気にやって行きましょうと、自らそういう雰囲気を醸し出していました。そして、山崎さんがまとめとして書かれた、

(ホワイトボードに「一回きりだし必死に頑張りましょう。そうしたら何とかなるし」)ダラダラやってもしょうがない。必死にやってもうまくいくとは限らないけど、うまくいくときは必死にやったとき。もっと日本を明るくしようよ。

が全てを物語っています。若い方が、お仕事をしていて辛いことがあったときに、この言葉を思い出してほしいですね。

あと1つ、第二部で気になったのが井上さんですね。井上さん自身に問題があるわけではありません。IPA 未踏ユースに採択される技術力があって、若くて元気も良い。私は初見ですが、人柄も良く、考え方もしっかりしていて、素晴らしいエンジニアだと感じました。言わば、スーパーエンジニア、天才の1人ですね。しかしながら、あの若さで既に遥かな高みに辿り着いてしまっているため、あの場にいたほとんどの人にとって彼はモデルケースにならない気がしました。というのは、彼は mixi で自由にやりたい事をさせてもらえると思いますし、実際、成果を出す実力を既に持っているからです。

全体の感想

少し前に SEA & FSIJ 合同フォーラム 〜Google's Summer of Code 2009〜 に参加して、g新部さんとお話したときに、ブログを書かなくなった理由として、こんな事を仰っていました。

ブログに書いてある内容は、ほんの一部分であって、それを読んだ人がそれだけやれば良いと考えてしまうケースがあることに抵抗がある。本当の本当に大事なことは自分で調べて、勉強して、苦労して分かることが多い。だから、あえて表現しないことも大事な気がする。

この引用は私が回想しながら書いているので語弊があるかもしれませんが、このような事を仰っていました。このイベントに参加して、私はg新部さんの言葉を思い返しました。

パネラーの方々は、IT 業界で成功している、有名なエンジニアばかりです。たかだか2時間のセッションでこんな難しいテーマを表現する事によって、それが若い方々の参考になるのかどうかが疑問です。要は、パネラーの方々の技術力を身に着ける、トラブルに対応する、お仕事で成果を出すのが、その実情よりも容易に聞こえてしまうのではないか、と私は感じました。

やや否定的に書いてしまいましたが、希望を持って、一生懸命頑張れば、必ず良いことがあると私も思います。これはもうエンジニアに限らず、全ての職種に対してそうだと思います。私も IT 業界でエンジニアを続けていくので、より良い業界になれば良いなと思いますし、また、私自身、そういう業界を担っていきたいです。

リファレンス:
エンジニアの未来サミットに参加した
エンジニアの未来サミット0905見た
「エンジニアの未来サミット 0905」私的不完全議事録
エンジニアの未来サミット0905に行ってきた