よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

「退屈姫君伝シリーズ」米村圭伍

とってもキュートな姫君めだか。
めちゃくちゃ小っちゃな藩に嫁ぐ。
ヒマつぶしに江戸屋敷の不思議を解き明かそうとするうちお家断絶の危機に出会ってしまう。
持ち前の天真爛漫さと美貌と身勝手さで他人を自分のしたいことに引きずり込んでしまうとてもメーワクな存在であるからして色黒の小娘だがくノ一のお仙やアゴの大きな優柔不断なお庭番たちを巻き込んで田沼意次に挑戦することになるのだ。
退屈姫に退屈しない時代小説。

立川志らく・解説。

(2005年12月02日読了)


前に読んだ「退屈姫君伝」の続編。
時系列で言えば少し前になるのでしょうか。

幇間の一八がやってきた讃岐の小藩風見藩にはさまざまな奇妙なしきたりがありいろいろととまどわされます。
一八が知り合った冷飯(家督を継げない武家の息子)たちもまた風変わりにお気楽な連中で彼らと付き合っていくうちに一八はここにやってきた本来の目的を忘れてしまいそうになるのです。
そして藩の存亡をかけて冷飯たちの闘いが始まる(かもしれない)。

大崎善生・解説。

(2006年05月28日読了)


国もとで殿様失踪。
救出に向かった冷飯どもも行方知れずに。
例によって江戸屋敷で退屈していた正室めだか姫が「すてきすてき」と目を輝かせて殿さがしにやってくる。

「退屈姫君伝」と「風流冷飯伝」の登場人物が両方出てきますが冷飯伝の面々はめだか姫に食われぎみです。

ペリー萩野・解説。

(2006年06月04日読了)


あのお仙も成長して江戸の二大美女のひとりに数えられるようになってしまっています。
それはもう、隠密の手先としての仕事に支障が出るほど。
そして、もう一人のアイドルお藤との間に以前消滅した紀州の小藩にあった魔剣にまつわる意外なかかわりがあることもわかってきてめぐる因果の糸車がまわりはじめる。

これまでに読んだ他のシリーズとは異なりお気楽な明るさは少なくなりせつない哀しみのようなものが作品をおおっていました。

(2006年06月11日読了)


身分違いの恋を例によって「すてきすてき」としゃしゃりでて応援するめだか姫。


「恋に燃える」と「小町伝」の間のお話。
菊のコンテストをめぐってまたもや田沼一派と対決。
キャラ総出演。

(2009年07月13日読了)


風見藩に関する簡単なリストを下に置きます。


【垢付丸】徳川家康が秦栖藩の藩祖石動勝正に下賜し永代安堵の証とした刀。一種のお墨付きなので、この刀がある限り秦栖藩には手が出せない。
【池崎源五】風見藩士。冷飯。釣りが趣味で?いつも糸をたれているので顔は真っ黒。
【石動正良】秦栖藩主。20歳。30歳の気位の高い側室を押し付けられて迷惑。
【今崎庄平】風見藩士。冷飯。もやしのようにひょろ長くあばた顔。一八がつけたニックネームは「うにこうる(ユニコーン)」。数馬のところに将棋をさしにくる。
【入江屋長五郎】金比羅さんに願かけして江戸に出て一代で海産物問屋をなした商人。この人の代参として一八は讃岐にやってきた(ということになっている)。
【一八】冷飯伝の主人公。風見藩にやってきている幇間。じつは公儀隠密の手先。
【五十宮倫子/いそのみや・ともこ】徳川家治の嫁。貴族の姫。
【鴬笛】これを3回吹いたらお仙が飛び降りてくる?でもうまく吹けない。ポーポケト。ポーポケト。ケトケト。
【薄墨】秦栖藩奥女中。妊娠中。垢付丸を盗んだとされる。
宇奈月頼母】風見藩筆頭家老。お堅い。
【お糸】からむし長屋に住む娘。女郎屋に売られそうになっている。
【於盈】秦栖藩主石動正良の側室。30歳。公家(西近衛家)の三女でプライドが高い。正室でなく側室なのが気に入らない。
【大田直次郎】18歳にして漢詩の用語辞典を著し注目され、平賀源内にも気に入られる。あることでお仙に殺意を抱かれてしまう。実在の人物らしく後の大田南畝
【お仙】真っ黒に日焼けした少女。谷中笠森稲荷の水茶屋鍵屋で働いている。じつはお庭番倉地政之助の手下のくノ一。むささび五兵衛とからすの娘。一八の腹ちがいの妹。釣独楽(ヨーヨー)を武器に使うスケバン刑事。いつの間にかめだか姫の友人(保護者?)に。のちに美女として知られるようになる。実在の人物のようです。
【小野忠治郎】菊を作っている武士。
【お藤】お仙と並び称される美女。元武家の娘で気性はとてもいい。お仙との意外なつながりがあきらかになっていく。実在の人物のようです。
【おふく】風見藩いある旅篭、梅屋の飯盛女。大関を張れるほどの巨体。江戸から来た男をつまみ食いするのが趣味。
【御色多由也(オユロタユヤ)】徐福が日本で使った名前。皇帝の命により不老不死の妙薬探しの旅に出た。あちこちに伝説の残っている人。
【風見藩】讃岐にある2万5千石の小藩でめだか姫の嫁ぎ先。城を中心に男は左回りに、女は右回りにしか進んではならない。また武士は手ぬぐいで頬かむりしてはならないなど奇妙な決まりがいっぱいある。ほとんどは先々代の藩主光猶院が作った。城の向きと大手門の位置が逆。江戸上屋敷には六つの不思議がある。
【風見藩江戸上屋敷の六不思議】普通は七不思議だが小藩ゆえに大藩に遠慮して六不思議にとどめている。そうです。(1)抜け穴はありやなしや(2)中間長屋の幽霊(3)廊下の足音すがたは見えず(4)井戸底の簪(5)下は築地で在所が知れぬ(6)ろくは有れどもしちは無し。
【からす】お仙の母で釣り独楽を教えた。熊野のくのいち。
【からむし長屋】貧乏人たちの住むところ。でもみなさん元気。
【神波剣四郎】将棋不可の風見藩にあって将棋のことばかり考えている藩士。冷飯。駒を成らすか成らさないかの見極めがうまく「不成(ならず)の剣四郎」の異名を持つ。
吉左衛門】からむし長屋の因業大家にして銭亀屋という質屋も営む。お糸を女郎屋にたたき売ろうと画策した。
【倉地政之助】アゴのでかいお庭番。気は小さくまあ無能に近い。
【高覧】金満寺の破戒坊主。あやしげな眼術を使う。
【小朝】めだか姫付きの女中だがずぼらでエラそうにしている。
【光猶院】→時羽光晴
【ココ】風見藩江戸上屋敷に住まうネコ。あるときカコに昇進?する。ネズミを捕ったらネコに昇進できるらしい。物語が終わるまでにはネコに昇進できるでしょうか?
権助】秦栖藩の牢番の老人。
【西条綱道】陸奥磐内藩50万石の藩主にしてめだか姫の父。めだか姫を嫁がせるには何か思惑があるようだが?
【榊原香奈】榊原拓麿の姉。泣きぼくろが印象的な娘。数馬と幼少の頃少しかかわりあり。メチャクチャ将棋が強く弟の天才拓麿ですら足元にも及ばない。
榊原拓磨】風見藩の藩士。超美形で物騒なファンクラブが10以上ある。冷飯。将棋の才がある。めだか姫の将棋の家庭教師になるはずだったが。
【里見兼継】秦栖藩筆頭家老。秦栖藩はこの人でもっているといった風情。仕事第一のクールな人だが悪人ではない。剣の腕は立つ。
【志織】隼人の妻。
【鈴木春信】絵師。多色摺りの錦絵を考案した。ライバルは鳥居清満。実在の人物、らしい。
【諏訪】29歳の老女でめだか姫の乳母みたいなもんで風見藩にもついてきた。
田沼意次】いろいろと有名な人。だいたい悪党として描かれることが多い。今回もあまりいい役ではない。「賄賂を受け取るのは職務の励みである」と言ったとか言わないとか。風見藩を取りつぶせる理由を探している。
田沼意知田沼意次の息子。イヤなやつ。父親のような大物ではないがイヤガラセはできる。
【月世】記憶喪失のはかなげな美女。ある日突如風見城の天守閣で倒れているのを直重に発見され直後に側室となった。
【天童小文五】めだか姫の将棋の師匠になった六段の一見お相撲さん。動くたびにほっぺがぷりんと揺れるところがチャームポイント。
【時羽直重】めだか姫が嫁いだ相手で讃岐の2万5千石風見藩主。先々代と同じような何をしでかすかわからない危うさを持っているようだ。
【時羽直周(なおちか)】先代藩主。諡は、何を言っても「そうせい」の聡聖院。
【時羽直光】時羽直重の弟。素浪人の格好をする趣味が?
【時羽光晴】風見藩の先々代藩主。思いつきで動いてしまい50年ほど前に奇妙なきまりをいろいろと作った。諡は「ああ言えばこう言う」の光猶院。
徳川家治】日本の王様。遊戯書画に夢中で田沼意次の勝手にされている軟弱な人という評価になっているらしい。将棋は強く6段の腕前とか。めだかとけっこう仲がいい。
【飛旗数馬】風見藩の藩士。冷飯。何事につけ見るのが道楽でなにか面白いことはないかと毎日お城の周りをぐるぐる左回りに回っている。一八と出会ったときは鶏の数を数えていた。お人よしのようだが一八にそばをおごらせたつわ物。
【飛旗隼人】数馬の兄。記録方(藩の歴史を記録する人)。生まれた順が逆でもまったく同じキャラクタになったと思われるほど数馬にそっくり。
【豊与/とよ】中澤真吾の妻。
【中澤小平太】菊を作っている武士。真吾の弟。
【中澤真吾】菊を作っている武士。
【鳴滝半平太】風見藩士。冷飯。体が大きく気がやさしい。「おじょも」というニックネームがついている。「おじょも」とは隣の丸亀伝説のモンスター。
【根黒久斎】風見藩の江戸留守居役兼奥家老で口やかましい。
【畠田杢内】秦栖藩奥家老。於盈に頭が上がらない。
【秦栖藩】紀州の小藩。和歌山藩の中に飛び地のように存在して、ちょっとジャマ。
八五郎】浮世絵の摺師。
【樋口忍】樋口清衛右門の娘。美人だが過去に二人の夫に逃げられている。なにか原因があるらしい。
【人】人と他の動物のちがいは一八に言わせると「嘘をつく」。数馬に言わせると「嘘を許せる」。
【姫若天眼通】大名の姫さまや若さまのランキングづけをした番付。未婚のときのめだか姫の評価は極々大凶で最下位。
【万寿姫/ますひめ】徳川家治と五十宮倫子の娘。
【冷飯】武家の長男以外の男子。要するに家督を継げずなにもすることがなくただただ冷や飯を食らっているだけの連中。
【穂積次兵衛】薄墨の腹の中の子の父親。
【松五郎】浮世絵の彫師。腕はいいが頭がにぶい。
【むささび五兵衛】倉地家に仕える草の者。ふだんは谷中笠森稲荷の水茶屋鍵屋のおやじ。お仙および一八の父。
陸奥磐内藩】東北の雄藩で50万石でめだか姫の出身地。
【めだか姫】退屈姫の主人公。陸奥磐内藩50万石西条綱道の末娘で生まれたときから奇矯なところがあり讃岐の2万5千石風見藩主時羽直重に嫁いでも姫っぽいまま。持ち前の天真爛漫さと美貌と身勝手さで他人を自分のしたいことに引きずり込んでしまうとてもメーワクな存在。
【八橋】於盈のそばについている老女。鶴のように痩せている。
【矢橋卓蔵】菊を作っている武士。手習い歌を作るのが趣味のむっつりした男。
【山田忠蔵】風見藩士。冷飯。平家蟹のような男。一八がつけたニックネームは「藻屑蟹(もくぞう)」。
【養泉院】風見藩先代藩主の未亡人でなにごとにも消極的で「わらわはようせん」と言うから養泉院。ちなみに先代藩主の時羽直周の諡は、何を行っても「そうせい」の聡聖院。先々代藩主は「ああ言えばこう言う」の光猶院。
【横井秀作】風見藩の武士で勘定役。大勢兄弟がいる。かもしれない?
【六破羅景望】風見藩に突然現れ藩を波乱に陥れ牛耳っているらしい悪役?公家の末裔。直重と同じ年。父は六破羅高望という人で、以前はさる大名の行儀指南役をしていて失墜したという話だが?