兄弟


末っ子として甘やかされて育ったtacaQには姉と兄がいる。
それぞれが四十路となり、年末年始と盆の頃くらいにしか
お互い顔を合わせないせいもあるが
姉弟、兄弟間で頼ったり頼られたりするという感覚は皆無である。
仲が悪いというわけではないが、
基本的にドライが家風なtacaQ家ある。


さて最近、友人の弟が二十歳の誕生日を迎えたということで
酒に付き合わされた。
その友人の親は両方とも鬼籍に入っており、
数年前からその友人が親代わりに面倒を見るような形になっていた。
親代わりといっても、経済的な面倒よりも精神的な部分が殆どだったが
それでも感じたプレッシャーは並大抵ではなかったと思う。


友人はいつもより感情の起伏が激しく、その様に圧倒されて
素っ気なく「おめでとう、良かったね」としか云えなかったが
今まで味わったであろう労苦を思い浮かべた。
胸の裡を推し量ったりしてみたりしたが
所詮は苦労知らずの末っ子、
長子の気持ちなど理解できなるわけもない。


ただ思ったことはただ一つ。
草葉の陰から見ている友人の両親は
友人に多分こう云う筈だと


「良く頑張ったね」


友人は両親からあまり褒められたことがないと自嘲気味に語っていたが
それでも、いやだからこそ、そう云うだろう。