Eternal Blue - 遙かなる巡礼の記録 -

2012-02-05

テルマエ・ロマエ舞台検証 (ローマ:パンテオン編)

古代ローマを舞台としたテルマエ・ロマエ。作画はお世辞にも褒められたものではありませんがw、何気に実在の建造物がしっかりと描かれている背景もあります。その1つが、アニメ本編のタイトルに使われたこの画像


これは古代ローマ時代に建てられた「パンテオン」でローマ市内に実在します。後代になって内部に施された幾らかの装飾を除けば、古代ローマ時代の姿のまま現在に遺る唯一の建造物と言われています。このパンテオンがテルマエ・ロマエに登場したのは、劇中に登場した皇帝ハドリアヌスが建造したことに由来するのかもしれません。





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写真はこちら。手持ちの写真を流用したものなのでアングルは合いませんが、背景画像が比較的忠実に再現されたものであることは分かるかと思います。




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中に入って見上げるとこんな感じになります。丸いドーム状の天井と、ドーム頂上部に採光のために開けられた開口部が特徴的ですね。このドーム状の天井と開口部から差し込む光は建物内部に実に神秘的な雰囲気を醸し出しています。この象徴的な空間性のためか、私は内部に足を踏み入れた瞬間にその荘厳な雰囲気に圧倒されました。写真でこれを伝え切れていないのが実に歯がゆい。







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ところで、古代ローマ時代の建造物のほとんどは長い年月の間に失われてしまい、現在は遺跡・廃墟となって残るのみです。その理由は自然風化だけではありません。古代末期から中世にかけて吹き荒れた狂信的なキリスト教徒による破壊行為や、教会建築のための「採石場」として建造部材を持ち去られてしまったことの方が影響は大きいようです。あのコロッセオでさえ、部材を引き剥がされてしまい現代に遺るのは当時の半分ほどに過ぎません。


では、何故パンテオンは破壊を免れたのか。それは、パンテオンが堅固なつくりで破壊するのが困難であったという理由に加えて、キリスト教の教会に転用されていたためだそうです。当時の狂信的なキリスト教徒たちが異教の建造物であるにも関わらず教会として転用する気になったのは、前述したあの内部の象徴的な空間性ゆえではないか、などと想像することも出来るかもしれません。







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パンテオンを建造した皇帝ハドリアヌスです。テルマエ・ロマエの劇中にも登場しましたね。ローマ帝国全盛期を築き上げた五賢帝の一人としても有名なこのハドリアヌスは、劇中でも描かれたように独創的な芸術を好んだそうです。塩野七生さんは著作「ローマ人の物語」文庫版25巻「賢帝の世紀(中)」で、ハドリアヌスとパンテオンについて次のように述べています。


「その中央に立ち、円屋根の真中に開く窓から、これだけはローマ時代と変わらない染まるように蒼い空を眺めながら、真円を考えついたときのハドリアヌスは、それこそ飛び上がる想いではなかったか、と思ってしまう。自分は天才だ、と思ったのではないか。 … そして、このように思った瞬間に彼は、芸術愛好家を超越して芸術家になったのである。」


テルマエ・ロマエの主人公・ルシウスが活躍した紀元130年頃は、まさにハドリアヌスの統治真っ盛り。そのハドリアヌス渾身の傑作であるパンテオンが本作のタイトル画像として意図的に選ばれたのならば大したものだと思います。

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