暗屯子の部屋

ミカンと温泉の街に潜み、IgA腎症と戦いながら研究と釣りに明け暮れている、ヒゲとメガネとは私のことです。

県との共同研究

大学で「産学官連携」という言葉が使われるようになって10年くらい経つ。
「産」とは民間企業など商業団体を、「学」は大学などの教育機関を、「官」は国や都道府県などを指す。
これまで基礎研究にとどまっていた大学などの教育・研究機関の研究成果を、民間企業と国、都道府県が連携することで、新技術や新技術の創出を図ろうという訳だ。
2004年制定の国立大学法人法および2006年制定の新教育基本法に研究成果の社会還元が大学の使命として明記されたことが「産学官連携」を加速することになったらしい。
 
自分はと言うとこれまでに「産学官連携」を一切してこなかった。
理由はいくつかあるが、その一つは研究室の立ち上げに追われていたからだ。
そもそも自分の研究は基礎研究であり産学官連携には向いていない。
したがって、産学官連携をすることになると新しい研究を立ち上げなければいけないうえ、満足な研究成果が得られるという保証はどこにもない。
研究室が立ち上がっていない状態では、成果が得られるか分からない研究に手を出す訳にはいかなかった。
もう一つの理由は、「本当に研究成果が事業化できるのだろうか?」という不安があったからである。
確かに大学の研究成果が事業化に成功したり実用化したものがある。
その一方で、箸にも棒にもかからない研究成果も少なくない。
産学官連携となると、「産」や「官」から研究費を獲得できるのだが、研究成果が出ないうちに研究費をもらうと申し訳ない気持ちになってしまう。
という訳で、新しい研究に挑戦するよりもまずは自分の足元を固めることに専念してきた。
 
ところが、研究室に新しい助教が着任したことで事情は一変する。
自分だけのことならまだしも、助教には産学官連携について経験しておいてもらわなければいけない。
それに、挑戦しない消極的な上司と思われたくはない。
と言うことで、今年ついに県との共同研究を始めることにした。
 
今日は県の研究所に実験サンプルを受け取りに行ってきた。
約束の時間の一時間前に着いてしまったので散歩して時間を潰す。
散歩となれば水辺というのが釣り人の習性だ。


先日の台風で増水したせいか、草がなぎ倒されていた。
ああ早く釣りに行きたい。