色即ぜねれいしょん

色即ぜねれいしょん [DVD]

09年の作品。みうらじゅん原作、田口トモロヲ監督。みんな大好きなMJ。ぼくももちろん大好き。『アイデン＆ティティ』も『アウトドア般若心経』も『カスハガ』も。そしてこの映画もむちゃくちゃ面白いわけです。
映画を見ていて、大学の夏休みに沖縄の離島に行ったなぁと思い出させられました。あのときもこの映画みたいに、船で帰るひとを港まで送って、船から投げられたテープの片端をにぎって手を振っていた…そんなまさに青春がよみがえりました(あれは映画の世界だけじゃないんです!!)。ぼくもその一人なのでよく分かったのですが、離島で数日を過ごすと、ほんとうにじぶんの世界が一気にひろがったような気持ちになるのです。反対に家に帰ると何も変わっていないような自分も待っているのですが、それでももう変わる種はしっかり植えられていて、その後主人公が大きく成長していく姿にぼくは共感して見ていました。
この映画だと、その大きく成長する瞬間は、いつもの何気ない授業中に訪れます。先生の退屈な「色即是空」の解説で突然ロックに目覚めてしまう。強引なようでいて、こういう何気ない誰かのことばが、実は大きく人生に影響していることってあると思います。大切なことはいつも大事そうに言われるわけではない。ほんとうにタイミングよく、自分のなかに入ってくるかどうか。そんなふうにすっと彼に「色即是空」が入り込んだのが分かって、とてもうまさを感じました。また「色即是空」を「今を生きる、ということ」と言ったのも、見事だと思いました。
岸田くんの「音楽は武器や」のことばもいいし、ノーブラの臼田あさ美がきれいでした。高校生〜大学生には見てほしい映画です。