僕らはどこにも開かない

僕らはどこにも開かない (電撃文庫)
問題作……を自称する割には別に大したことなく、内容は普通のライトノベルだったと思う。ライトノベルにしては挿絵もなく異質なのだけど、下手に外れた萌え絵がつくよりは好感が持てる。主人公の特性や、ヒロインである香月美香の自称する魔法、松見璃々子のスキャニング、主人公の親友の谷原雅人の殺人願望などのキャラクター設定は面白い(西尾維新のキャラに近い)。殺人願望を持った少年が逆に殺されるという展開までは面白く、濃い味付けのされたキャラクター設定をどう生かすか期待していたが、中盤からあまり盛り上がらず淡々としていて人物に「必死さ」が感じられず、読後感もいまひとつしっくりとこないのが残念。物語の方向性は好みなので、作者の別の作品が出れば読んでみたい。