上半期ベスト13枚+α ※7/24追記

さーて7月も初週が終わった所で後出しながら上半期ベストでもまとめてみようかなぁ、と(ヘラヘラ 今年はアレですね、ファッキンアベノミクスの影響でまだ買えてない新作もあるのですが、待っていても埒があかないのでとりあえずここで一区切り。
上半期印象に残ったアルバムを13枚ピックアップ。おまけで次点のやつとあえて外したやつとか。今回も例によってアルファベット順に並べます。
※バンド名・アルバム名・リリースレーベルの順(国内盤が出てれば両方表記)

  • Altar of Plagues - Teethed Glory & Injury [Profound Lore/Daymare Recordings]


ジャケがくねってるヤツは当たりの法則(適当
前作の叙情的なポストブラックから一転、ドス黒い音塊をぶち当てる作風へ変貌。ライナーノーツに書いてある所を引用するなら、ISIS,jesu辺りの美意識に影響を受けつつSatyriconのミッドテンポ雰囲気路線を彼らなりに解釈してたのがこれかなぁ、と。多分に以前スプリットを出したYear of No Lightの影響も受けてそう。独特のスラッジ風味も加味していて聴いていると( ゚д゚)ハッ!!とさせられることもしばしば。今年は何かと同世代のDeafheavenが持ち上げられてますが(一応後述)、あっちも素晴らしいですが聴いていておもしろいのはこっちかなと。

  • Black Boned Angel - The End [Handmade birds]


夕焼けジャケは当たりの法則(これまた適当
オーストラリアのドローンドゥームデュオの文字通り最終作。これがまた苛烈なヘヴィードローンで傑作。三曲で60分。二曲目のSUNN O)))jesuの邂逅(大げさかw)を彷彿とさせる曲や、三曲目のオペラヴォイスとギタードローンのハーモニーなどグッと来る展開があって聴いていて飽きないです。夕焼けを見ていたら自分も燃えていたが、自分も敢えてそれを受け入れてしまおう、そんな壮絶なアルバム。国内だと大して出回ってない気がするので海外通販するかこういう系統を取り扱ってる国内ディストロ辺りに問い合わせてみるか適当に。

  • boris - 目をそらした瞬間-the thing which solomon overloked extra- [Daymare Recordings]


オレたちの五月蝿いborisが帰ってきた!
以前LPで出したシリーズの初CD化。それにともなって新作もレコーディングして収録ということで。実際のところ四枚組みBOXのボーナス的扱いなのですが、これがまた音量音圧的に異常で素晴らしい!
なんとか昔を思い出せるように昔に近づけて録ったらしいですが(実際にはあの感じを出すのは無理だったらしい)、超絶轟音ヘヴィロックで凶悪の一言w このバンドがかの「眼球を揺らす音圧」なんて呼ばれてたことを今一度思い出しましたよ・・・w 小文字名義の実験色の強い曲とは言うものの、ここで鳴らされてるのは明らかに大文字名義のBORISでした。これは先の新作も楽しみだなぁ、と。

  • Cult of Luna - Vertikal [Density Records]


ISIS亡き後、新時代のポストメタルの王者の帰還。スウェーデンの雄が五年ぶりにリリースした今作。正直前作があまり好みで無かったのであまり期待して無かったのですが、これは全力支持!
Cult of Lunaよ、僕は歩兵でいい!
・・・はい。作風としては基本のポストメタルにフュージョン色の効いたキーボードを導入するなど、創意工夫がなされてましたね。押し寄せるトレモロリフの波にも抗い難かったです。というかこのアルバムの評価を決定的にしたのは別にあって、彼らがフィンランドの極寒の吹雪の中でアコースティックセッションを敢行したことですねー。もう完敗。いや完敗。


フェンリッツ&ノクターノカルト「オレたちが本当のヘヴィメタルを教えてやる(ゴゴゴゴゴ・・・!」
と言ったかどうか知りませんが、先行曲の"Leave No Cross Unturned"が公開された時にネット上が騒然としたのも記憶に新しいですね。何をどうトチ狂ったのか知りませんが、これまでの「パンクスローン」路線からパワーメタル・スピードメタルなサウンドの変貌。これはこれで面白いのでいいと思います!!音の方は、
おあああああ!!!!!!メッタ―ル!!!!!!
以上。


もはやマスコアとはDillinger Escape Plan単一バンドを指す、そんな事になっていたこのバンドの通算五作目。今回は四人でレコーディングしたことも功を奏したのか、とてもコンパクトに手堅く纏められている印象が。サウンドは複雑怪奇なのにシンプルかつポップに聴かせてくれるのは彼らの手腕通りだったのか?それぐらい勘ぐりたくなる傑作。歌メロ曲もアルバムの流れを遮ることなく配置されてるのも好印象。このアルバムについて例えると、10しか入らない箱に15〜20ぐらい物を詰めてみたら意外と綺麗に入ることに気づくそんなアルバムか(意味を察してくれ頼む 2ndから試行錯誤を繰り返してやっとここにたどり着いたか?とも言えそう。DEPについてよく批判に上がるのがマイク・パットンがやってたFaith no moreとMr.bungleとFantomasが通った道をなぞってるだけってっていうのはよく聞きます。だけどそれを高次元でやれてるのはこのバンドだけでしょ?これだけはどうして言いたかった。

  • Iceage - You're Nothing [Matador:Escho/Hostess]


デンマークコペンハーゲンアンダーグラウンドパンクシーンから放たれた若きバンドの二作目。今回から名門のマタドールに移籍してどうなるかと思ってたけど、またしてもガッツポーズw 前作同様にブラックメタルに影響を受けたノイズまみれのポスト・パンクサウンドは健在。強いて言えば若干ガレージ・パンクよりになったかも? 相変わらず変な音はするし、ヴォーカルのエライアスはヤケクソ気味だし最高。また来日してくれるなら、ホステスウィークエンダーとかじゃなく単独で尚且つちっちゃいハコでみたいなーと思いました。

  • The Haxan Cloak - Excavation [Triangle]


「我々は燦々と輝く太陽の下、失われた影を追い求めている」
そんなテーマ性を帯びているのがメタルでは無く、インダストリアルテクノ/エクスペリメンタル界隈という状況でして。昨年に話題をかっさらったAndy Stottや、Demdike Stare,Vatican Shadow,Raime等のインダストリアルリヴァイヴァルの流れを受けてリリースされたのが今作。aurora borealisよりリリースされた前作が生楽器を中心に構成されていたのに対し、今作を解体に次ぐ再解体でインダストリアル・ベースミュージック寄りに。それでもドローン色は更に増していて驚き。一曲目の打音連打を聴いた時、このアルバムのヤバさを直感的に察しましたね。ほぼ直球的に死を連想させるジャケも印象的。テクノ界隈がこうも死を連想させるのは珍しいのでは?それで僕が思うに、ドリームポップ/チルウェイヴ/ヴェイパーウェーブなどの明るい音楽(便宜上として)がとりざたされる一方、こういうひたすら深淵を見つめた暗黒ダンスミュージックも広がりを見せるのかなとも思います。感覚的にはドゥームメタル/ドローンメタル辺りのベクトルとも合致すると思っているので、その辺辺りが好きな人にも是非。

  • Locrian - Return to Annihilation [Relapse]


エクスペリメンタル・ポストドゥーム/ドローンメタルバンドのLocrianがまさかのリラプス移籍を果たしてから、再発二枚を挟んで初の新作。恐らく通算五枚目。
これがまたジャケ同様、スティーブン・キングの「ミスト」を彷彿させる何が飛び出してくるかわからない闇鍋ポスト・ドゥームサウンドで最高なのです。一瞬マイブラかと錯覚しつつも数秒後の呻き声であっ・・・(察しとなるドリーミーな一曲目や、仏教チャント→ドローン→情念が篭ったヘヴィロックの流れが秀逸な四曲目、そしてピアノ・アコギ・MOOG・メロトロンなど様々な楽器が織りなし、終盤で怒涛の展開を見せるラストのエピックなナンバーなどとてつもないモノが収められてるアルバム。全七曲40分強で繰り返し聴けるのも好印象。私的には今年を代表する一枚だと思う。

  • Nails - Abandon All Life [Southern Lord]


アメリカは西海岸より放たれた激烈デスメタリック・ハードコアバンドの二作目。どうしてこのバンドはこうも初期イヤーエイク愛に包まれているのか!基本となるメタリック・ハードコアサウンドに初期ナパームデスと初期エントゥームドがバトルしているビッグリーグの様!今作より四人編成になってデスメタル色もなんとなく増加したようにも思う。ダーッ!とブラストしたと思えば一瞬のうちにクラスティーなライクエントゥームドな感じになるのもこのバンドならではかと。忙しい社会人も優しい収録時間17分のブルータルアサルト。みんなこれを聴いて死にましょう卍

  • Primitive Man - Scorn [Throatruiner]


ヴォッ?ヴォッ!ヴァーッ!ヴォッヴォッ!(骨の砕ける音)
去年辺りから一部で話題になっていたブラッケンドスラッジ/ブラッケンドクラストバンドのデビュー作。Primitive man(原始人)という名の通り、言語感覚が通用しない野人にひたすら撲殺されてレイプされるような壮絶なスラッジサウンド。今年は他にもMossやSeven Sisters of Sleepなどいろいろドゥーム/スラッジ系が豊作でしたが、とりあえず僕はコレ。ところであまりに凄かったのか、この度リラプス移籍&再発&国内盤リリース(9月頃)も決まったそうです。そらそうだ、これ凄いもの。試聴&購入はbandcampでも出来ますよ。

  • Savages - Silence Yourself [Matador/Hostess]


このチョイスの中で一番浮いてるのがコレ。UKより四人組ガールズポスト・パンクのデビュー作。最初は妙に回りで騒がれたりしてるのでピッチフォークを熱心にチェックしてる層が過剰ハイプしてるだけじゃねーの?(プゲラウヒョー と思っていて。でフジロック(私、今年は3日通しで行きます)に出るし一応チェックしてみるかーと思って聴いてみたらあまりにもかっこいいポスト・パンクサウンドで驚いた・・・w スイマセン、ジャンピング土下座するので許してくれ・・・
基本的にはJoy Divisionに影響を受けたポスト・パンクサウンドなのだけど、メッセージ性の強い歌詞や、鬼気迫るライブパフォーマンスなどが注目を集めてるみたいですね。(特にヴォーカルの人がハードコア蓮舫っぽい。)これはライブがたのしみだわー!

  • Shining - One One One [prosthetic:Indie Recordings]


エクストリーム・アヴァンギャルドジャズメタルバンドの最新作。通算六枚目。今作は前作の「Black Jazz」からプロデューサーにSean Beavanを起用して以降プログジャズ色が減退し、より90'USインダストリアルメタル色が強くなった印象が。このSean Beavanって人、ナインインチネイルズのミックスやマリリン・マンソンの全盛期のプロデューサーだったり、USインダストリアルメタルを影で支えた人なのですよ。やはりというかメンバー本人も確信犯的にそのことを認識しており、狙ってこういうサウンドにしてきたみたいです。ただこのバンドはジャズ・バンドから変貌を遂げた人たちなので、各人にスキルが備わっていて有りがちな感じに陥らないのが素晴らしい。大分ロッキンな感じも加味されて聴こえますが、デジデジとインダストリアルなところに怒涛の変拍子や吹き叫ぶサックスなど、根本的には変わってないのかなぁ、と。 マンソンのホーリーウッド三部作が好きだった人に特におすすめ。

とまぁ、これで13枚。
で問題のアレ。DeafheavenのSunbatherですよ。

中身自体は決して悪くないのですが、妙にスノッブな層が持ち上げていたり、それに反発するようにコア層が貶めたりしていてなんだかなぁ・・・っていうのが率直な感想。普通に聴けば素晴らしいアルバムなのですが、ただちょっと長いかな(汗 合間合間にインスト曲が挿入されてる辺り、アナログ盤で腰を据えて聴くのが理想かなぁ、と。ジャケを先ごろの来日公演も素晴らしかった激情コアバンドの、Touché AmoréのギタリストのNick Steinhardtをデザインしてるのですがこの辺はあまり触れてるところが無いのはどうしてなのか。それはともかく、激情コアとUSヘヴィロック(時折ドギャー!っと疾走したりするところ)の流れをシューゲイザーブラックに落とし込んだ良作であることには間違いないかと思います。

他にいろいろ振り返ってみると、マイブラの何年かぶりの新作はあんまりおもしろくなかったです。あとUncle Acid & The deadbeatsの新作は期待していたよりも良くなくて頭を抱えました・・・ 何も狙ってローファイにしなくても。前作が良すぎたのか。あとNIN再始動ですっかり影が薄くなったトレント嫁とのユニットのHow to Destroy Angelsもうーん・・・だった。ここには挙げてないのですがASGっていうリラプスのストーナーロックバンドの新作も良かったですね。そういえばまだChruch of Miseryの新作もKylesaの新作も買って無いので買った中身が良かったら勝手に差し替えるかも。もしくはねじ込むかも。

で、EPでよかったのがコレ。

  • YOUNG AND IN THE WAY​/​WITHDRAWAL Split 7" bandcamp

新進気鋭の両者によるモダンハードコアとブラッケンドクラスト/ハードコアブラックメタルの強烈なスプリット。これは凄いですよ。特にYAITWのもはやノイズブラック辺りにも接近したサウンドは異常。WithdrawlのIntegrity直系なブルータルハードコアサウンドもヤバい。
あとテクノ界隈で今注目を集めているDemdike stareのTestpressingシリーズが前衛インダストリアルテクノで物凄く刺激的でした。#001と#002は買ったのですが後者のインダストリアルmeetsウィッチハウスmeetsドラムンベースがもう異常。こればっか最近回してる感。因みに今のところアナログ盤オンリーリリースでデジタルリリースは無いみたいですねぇ。

こうやって書いてる頃にもう#003がリリースされたみたいだ(白目 毎月ヴァイナルリリースとかなんなの・・・

今年後半にもまだまだいろいろされると思いますが、また年末にでも。

※7/24追記 上の13枚から一曲ずつチョイスしてミックスを作っておいたので良かったらどうぞ。
my-best-albums-of-2013-so-far