Emperor@TSUTAYA O-east

だからこのTSUTAYAってネーミングライツどうにかなんねーの?(二回目)
皇帝、再誕!!

あの!あの!あのブラックメタルを代表するEmperorがまさかの初来日ですよ!!!1stアルバムの「In the nightside eclipse」リリースから20周年ということで、記念ツアーをするために再結成を果たしたわけです。世界各地でもフェスティバル出演のみだしまさか来日なんて無いだろ(ドラマーのファウストが入国出来ないって話もあったし・・・)うと思っていた矢先にこれだよ!!そのファウストのピンチヒッターとしてまさかのタリムが急遽参加というサプライズでもって迎えられたわけですよ!全世界でもクラブショーで単独公演を行うのは日本だけ!東京公演のチケットは2日でソールドアウトというところに驚異的な人気と待望論が根強かったところが伺えますね。私的にもブラックメタルはエンペラーのベスト盤から入ったクチなので思い入れはそこそこありまして。でもまぁ、一番好きなのは2ndで(ry
会場に入ったら案の定黒T連中しか居なくて恐れおののく私(;´Д`)

  • Sigh




SET LIST
1.A Victory Of Dakini
2.The Transfiguration Fear
3.Purgatorium
4.The Soul Grave
5.Introitus/Kyrie
6.Inked In Blood
7.Me-Devil
突如エンペラーのツアーマネージャーが現れて煽りプレゼンの後にオープニングゲストとして迎えられたのは、所謂ノルウェイジャンブラックメタル黎明期のシーンから彼らと交流がある、国産ブラックメタルSigh。以前見た時はDr.Mikannibalさん(以下ミカンの人)も居ないし、ヴォーカルの川嶋(未来)さんも喉を気にしてなのか曲ごとに水飲んでてアマバン感丸出しでなんだかなーって思ってて。それが久々に見たらバンドとして大分ブラッシュアップされていてビックリしました。ギミックを多用した怪奇なメタルショーとして見応え充分。川嶋さんもフロントマンとして堂々としていたし、定番の火吹きやのパイロも多用して観客を楽しませようと躍起になってて微笑ましかったです。川嶋さんにミックミクにされてしまったぜ!それとミカンの人は事前の告知通り妊婦仕様の露出度の高いステージドレスを着て登場。序盤では頭巾を覆い被せてドルイド僧のような出で立ちでしたが、徐々に露出度が増加。血塗れになったり、堕天使の黒い羽を着たり、終いには妊娠中でポッコリお腹なのにもかかわらずお腹に低温ローソクを垂らしたりやりたい放題でしたw 

勿論当人のスキルも忘れていません。得意のサックスやクリーンヴォーカル(これは特に声量が凄かった)、そしてグロウルとマルチにこなしていました。流石博士(無関係)。
曲の方はといえばHangman's Hymnを中心としたスラッシーなセットでした。ここ最近の新作はライブで再現できないという理由もあるのでしょうが、やっぱり速い曲のほうが盛り上がるよね?という趣向もあるのでしょう。きっちり30分とあっという間でしたが、見応えのあるステージでした。

  • Emperor

エンペェーラーッ!エンペェーラーッ!



SET LIST
1.Into The Infinity Of Thoughts
2.The Burning Shadows Of Silence
3.Cosmic Keys To My Creations & Times
4.Beyond The Great Vast Forest
5.Towards The Pantheon
6.The Majesty Of The Nightsky
7.I Am The Black Wizards
8.Inno A Satana
〜アンコール〜
9.The Ancient Queen
10.Wrath of The Tyrant
11.A Fine Day To Die (Bathory Cover)
またしてもエンペラーのツアマネが現れて煽りプレゼンをしつつメンバーを呼びこむ。1stアルバム冒頭の不穏なイントロが流れる中メンバーが登場。他のメンバーはメタル然とした感じながらも、やっぱりイーサーン(Vo,Gt)が大学の教授のような出で立ちw 一曲目は当然"Into The Infinity Of Thoughts"から。タリム(Dr)の爆走ドラムを皮切りに疾走しつつ冷ややかなシンセとトレモロリフが被さって展開していくこの曲。当然といえば当然なのですが、イーサーンの見た目とその口から吐き出す金切りスクリームのギャップに驚く。確かイーサーンとサモス(Gt)が1stアルバムを作った時は二人とも18〜19歳だったと思うのですが、ギリギリティーンエージャーの時に作ったアルバムを再現するのは懐かしさと同時に気恥ずかしさもあるのかな?と思ったり。中盤のギャー!っと混沌とした展開からブレイクダウンしてシンセのメロディが華を添えるパートも良かったです。
次はまたもタリムのフロアタムを多用した脈動するドラムから始まり、トレモロリフのブリザードが襲う"The Burning Shadows Of Silence"。イーサーンのソロバンドでバックバンドを務め、今回シンセサイザー担当のメンバーとしてツアーに帯同しているLeprousのエイナー(Key)も縁の下の力持ち的ポジションながらバンドサウンドに多大な貢献をしていたように思われます。短髪ながらも何度もヘドバンしながら弾いてて印象的だったのも確か。でも見た目がM字ハ(ry そしてカミソリのように切れ味鋭いシュレッドリフのフレーズが耳に焼き付いて離れない"Cosmic Keys To My Creations & Times"へ!これを見に来た! この曲も冷たいシンセの音色が特徴的なのですが、所謂オーケストレーションなアレンジでは無くパワーコードのみでひんやり包み込むアレンジなんですね。ここにノルウェイジャン・ブラックメタルの本家本元を垣間見た気がします。
それから"Beyond The Great Vast Fores"、荘厳としたイントロに導かれる"Towards The Pantheon"、冒頭からブラックメタルの凶暴性を押し出し、中盤ではコールドブリザードなメロディに包まれつつポエトリーリーディングも交えたりとドラマティックな展開を魅せる"The Majesty Of The Nightsky"と続きます。
ここで他のメンバーに触れておきましょう。サモスは定位置で淡々とギターを弾いていた印象。まぁ、元々ステージアクションが派手な人ではないですが。風でなびく長髪が北欧人らしいセクシーさを醸し出していたようなw セクスデーモン(Ba)といえば前日に体調不良を嘆いていた(FB情報)ものの、蓋を開けてみればガニ股で扇風機ヘドバンをかましつつ、グロウルでコーラスするなど万全ぶりをアピール。流石Myrkskogの1stで超人的なドラミングを繰り出していた鉄人。本人的には自分はドラマーだと思っていないそうですがw そしてドラマーのタリム。今回急遽日本ツアーに参加して暫く振りに要塞ドラムキットに着くということでブランクが懸念されましたが、こんなもんチョロいぜ!とでも言いそうなタイトなドラミングを披露!本人的にも手余りにすら感じていたのではないでしょうか。トレードマークといえそうな高速ブラストも無かったですしね。


ショーも終盤に差し掛かり、皆さんお待ちかねの"I Am The Black Wizards"へ!この曲はブラックメタル史における至高のイントロであることは言うまでもないですね!珍しくイーサーン自ら曲の冒頭でサークルピットを煽るなど、バンドにとっても特別な曲であることが伺えます。ここで待ってましたと言わんばかりにモッシャー大発生!僕は大人しく見ていましたがw それにしてもいやぁ・・・感慨深いですよホントに。ブラックメタルの代名詞的バンドのド名曲を聞ける日が来るとは・・・ これを見に来た!(二回目) 曲の終盤ではSatyriconのMother northと同様にメロディーをなぞった「オーオーオー♪」という勇壮なコーラスも発生していましたね。イーサーンも聞き耳を立てて煽っていました。これがこの日のハイライトの一つ。そして当然次は"Inno A Satana"へ。またもイーサーンが冒頭で叫ぶわけですよ、
イヌアー?

\サターナー!/

イヌアアアー?

\サタアアーナー!!!/

イヌッ!アッ! サターナアアアアッ!!!!
とファンとコール&レスポンスして演奏へ。これを見に来た!(三回目) 他の曲とは違いクリーンヴォーカルを交えつつスクリームと交互に歌い上げて徐々に雰囲気を高めていくこの曲。曲終盤では荘厳としたコーラスとブラストビートに導かれて終焉を迎えていくわけですが、凍てつくトレモロリフと寒々しいシンセの音色がコーラスパートをより引き立てていたようにも思います。イーヌーアー、サァターナーと会場が歌声につつまれたのがこの日のもう一つのハイライト。ここで一度本編が終了し、アンコールへ。アンコールでは1stアルバム以前の「Wrath of the tyrant EP」より、極初期のプリミティブなナンバーの"The Ancient Queen"と"Wrath of The Tyrant"をプレイ。この曲を書いた時はまだ高校生ぐらいの年頃だったかと思うのですが、既にこの時点でブラックメタルの青写真を築いていた事に驚き。今改めて再現される事によって、極初期から確かな演奏力が備わっていた事の証明になったと感じました。極めつけはラストのバソリーのカヴァーの"A Fine Day To Die"。牧歌的なイントロから始まり、邪悪かつ独特な酩酊感のあるミッドテンポのスラッシュソングへと変貌するこの曲。あろうことかイーサーンが歌いながらライトハンド奏法でピロピロ弾いていましたw 流石イーサーン!いやイーサーン先生と呼ばせてください!最後の最後でイーサーン先生の音楽スキルの変遷を見せつけられる事になろうとは・・・w 
とまぁ、これでライブは終了。こうして来日が実現できた事は奇跡としか言いようがないですが、Emperorのバンドとしての歴史的価値とそれ以上にノルウェイジャンブラックメタルの資料的側面を垣間見たライブだったように思えます。恐らくは二度とないような気がしますが、もしまた来日してくれるならば2ndアルバムの再現ツアーでもやってくれたらなーwと思う次第。20年という時を経て今よみがえる90'sブラックメタルの原点をまざまざと見せつけられた良いライブでした。