18

 八月十五日、マトゥサラとバトラーチェはアテネに来た。二人は、ポスターに、国立公園にてキングコングのロケが行われる、と書いてあるのを見た。そして国立公園に向かった。二人が道路を横断しようとした時、信号が赤になった。その時マトゥサラは信号機を「赤! 馬鹿野郎!」と罵った。その時全ての車が一世にクラクションを鳴らして走り始めた。すると二人は驚いて、大笑いした。
 その時動物園では、飼育員が見回りをしていた。その時ゴリラの檻の戸が開きっぱなしになってて、中が空であった。飼育員は「大変だーっ! ゴリラが逃げたぁー!」と叫んだ。
 その時国立公園では、スタッフ達がミニチュアのビルを用意していた。
 マトゥサラとバトラーチェは道を歩いていた。その時サイレンが鳴り始めた。そして数機の戦闘機が上空を飛び過ぎた。そしてゴリラが現われた。その時戦闘機がミサイルを発射した。するとそのゴリラは片手でミサイルを受け止めると、握り潰した。ミサイルは引き裂かれて爆発した。そしてゴリラは煙の中から現われて歩き始めた。そして戦車を持ち上げると戦闘機に投げつけて、再び歩き始めた。その時マトゥサラは、木の下に落ちている石を見つけると、そこに来て拾って帯を取った。そして「私は少女の様に細いわ。だけど巨人ゴリアテを、石を飛ばして倒したダビデも細かったわ」と言った。するとバトラーチェが「あんたの足は太いけどな」と言った。マトゥサラは「黙って!」と言ってバトラーチェを蹴ると、帯に石を入れて振り回し 始めた。ゴリラはマトゥサラの方に来ていた。そして彼女は石を飛ばした。しかし何も起こらなかった。そしてゴリラ地に倒れる事無く、はマトゥサラに近づいて来た。その時、木の中にいた鳥達が一斉に飛び立ち、そして木から石が彼女の頭の上に落ちた。そしてゴリラは彼女の目の前に来た。その時、長い髪を持つ、筋骨逞しい男がゴリラの前に立った。彼は「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァーッ!」というかけ声と共にパンチの連打をした。するとゴリラは吹っ飛んで行って、国立公園でミニチュアのビルの上に落ちた。そして、そのミニチュアビルから転がり落ちると、ドサッと地に落ちた。その時映画監督が「おおっ! いいシーンだ!」と叫んだ。そしてスタッフ達が集まって来て、そのゴリラを囲んだ。その時、ゴリラの着ぐるみを着た男もいた。彼はミニチュア戦闘機を仲間の一人に手渡すと、マスクを取った。彼は金髪で、肌は白かったが、その顔はゴリラにそっくりであってしかもマスクよりも迫力のある顔であった。
 その髪の長い男はマトゥサラに「お嬢さん。お怪我はありませんか。私はサムソンだ。私はプロレスの試合に出場する。観に来てくれないか」と言った。マトゥサラは「もしや、あなたはペリシテ人と御結婚なさいませんでしたか」と言った。すると彼は「はい。私の愛は戦争よりも強い」と言った。

17

 アルテミスが天界に戻って来た。その時アレスは軍服を着て匍匐前進をしていた。アルテミスはアレスに「プロレスのチケットを二枚手に入れたわ。一緒に見に行かない?」と言った。するとアレスは起き上がると「済まない。紛争が起こったので、私は弱い人間を守りに行かなくてはいけない。悪いが他の人と一緒に行ってくれ」と言った。アルテミスが「恐くはないの」と言うと、アレスは「人間が我々を傷つける事は出来ない。私は強い戦士として形作られたから、卑怯な強敵の志気を挫くために戦う」と言い、武装して地上に跳び降りた。