フンザ お宅訪問

村人に誘われて、お宅にお邪魔をする。
ここいらの伝統家屋であり、興味深い。
立方体の箱のような内部構造で木の骨組み、土で造られた壁と天井。
真ん中の簡易ストーブに火がたかれ、煙突がそのまま天井に突き刺さっている。
天井中央の明かり取り窓から自然光が入ってくる。

入口は冬の寒さを想定してか小さく作られ、ちょっと屈んで入らなければ
ならない。
この土地ではイスラム教が信奉され、やはり男女の線引きがなされる。
入口入って左側は女性のスペース、右側が男性スペースという具合だ。
そのスペースはそれぞれ一段高くなっているので判り易い。

盛り上げて固められた土の床に絨毯が敷かれ、そこが男女別の団欒スペース
として機能している。
また団欒スペースは寝台としても機能するように出来ている。
寝る時も両サイドに寄って、性別で固まって眠る。
このお宅ではこの全部合わせて6畳程のスペースに夫婦二人と小さい息子二人、
娘二人と生活をしていると言っていた。

人の温もりも暖房システムの一部として組み込まなければならない程に、
冬が激烈に寒い地域なのだろう。
家自体も隣接する家々と壁を共有する長屋的な構造であり、斜面に造られて
いるので立体的な面白みがある。
この全体としてのかたちは、熱を逃がさない為の工夫でもあり、集団で暮らす
利便性の問題もあり、自然環境の厳しい土地での住宅は社会性昆虫の巣に
自然とすがたが似てくるようである。


お宅では伝統的なパンと、お茶をごちそうになった。
パンは味の無い、素朴な食感のものだった。
お茶は所謂、ブラックティーで、塩が入っていた。
生活習慣から塩分を摂る仕組みも、山間部ならでは。
色々と興味深い。