ポントワーズ


久しぶりに夢を見た。

見知らぬ駅に降り立つ。人通りの少ない駅前の商店街をあてもなく歩く。季節は春、或いは秋。知り合いの家を訪ねているような気もするし、バスに乗り換えるために停車場を探しているような気もする。街はずれのビルボードに地図を見つける。下北半島の根元辺りの街にいるらしい。青森に来るのは、北海道への往路と復路に通過して以来だ。三十年近く前になる。とすると、俺は随分と遠くまで来たことになる。でも今頃、俺はこんなところでなにをしているのだろう?もう一度地図を見つめる。上の方に山がある。恐山だ。そうか、そこへ行こうとしていたのかもしれない。その霊山のことはどこかで読んだことがある。「人は死ねばお山さ行ぐ」らしい。その「お山」が恐山だ。とすると、俺はもう死んでいるのか?そうかもしれないな。でも、そう考えると、理由もなくもやもやしていた不安がふっと消えていくから不思議だ。雲はどんよりと低く今にも雨が降りだしそう。もう一度地図で斧のような下北半島の形と現在位置を確認して、それから今来た道を駅の方に引き返した。

そんな夢だった。