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2016-05-21

「魔法科高校の劣等生」の表紙が持つ定番の型から外す森夕先生


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「魔法科高校の劣等生」といえば深い絆で結ばれた達也と深雪のペアが印象的な作品。主人公とヒロインの他にも仲の良いペアやカップルはレオンハルトとエリカ、美月と幹比古、ほのかと雫、将輝と吉祥寺と何組もいます。そうした作風だからなのかラノベにありがちな女の子が単独で描かれる表紙は作られず、基本的には仲の良いペアか達也とその巻の中心人物が表紙に描かれる。

それがこの作品の表紙を作る際の決まり事なのか、原作小説も漫画も円盤も全てこの法則に則っています。ただしこれは絶対にそうしなければならないというものでもないみたいで、偶にこの法則から外れた表紙も見られるんですよね。それらを集めた画像を下に貼り付けました。
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巻数が少ないにも関わらず法則から外れた表紙が幾度も見られる「魔法科高校の優等生」。作画担当の森夕先生は何故この様な表紙を作るのか、それは深雪を特別な存在として描きたいからではないでしょうか。上記の法則に従いながら内容に合わせた表紙にするとしたら2巻はほのかと雫、3巻は真由美と摩利、4巻は壬生とエリカだけにするのが妥当な判断なのですが、実際にはそこに深雪が加わる形になりました。

ここからは作品のタイトルが示している優等生の深雪をどうしても入れたいという強い想いを感じますね。この時に深雪は手前の最も目立つ場所に描かれ、残りはおまけみたいに後ろの方にちょこんと描かれています。これはキャラとキャラの表紙に占める面積が同程度になる「魔法科高校の劣等生」とは全然違いますね。深雪と対等な立場に立てる者などいない。「魔法科高校の優等生」の表紙からはそんな印象を受けました。

2016-05-16

「Re:ゼロから始める異世界生活」イ文字解読の最終報告

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イ文字の解読表は何とか無事に完成しました。イ文字で書かれた文章はこれからもアニメの中で何度も出るはずなので、それらが出る度にこの記事で訳したものを書き残していこうと思います。最終回が終わるまで地味に更新を続ける予定。

7話 ベアトリスがスバルに渡した本
「四大精霊」「終焉の獣」「聖教の慈母」「最も美しい死神」

2016-05-15

「幽遊白書」から進化した「HUNTER×HUNTER」のコマ割と構図


漫画を描き続けていれば技術が磨かれ画力や絵柄は変わるものですが、それはコマ割や構図についても言える話で、冨樫義博先生は「幽遊白書」を描き始めた時にはどこにでもある基本に忠実なコマ割や構図が目立ちましたが、「ハンターハンター」の連載を開始した頃にもなると慣れてきたのか他の漫画家には見られない個性的な表現が増えてきました。

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目は口ほどに物を言う
横長のコマを用いてキャラの目元を映す。冨樫先生の表現技法の中でも独特かつ多用されているものがこれですね。会話が中心で身体の動きよりも表情を見せる事に重点が置かれる選挙編では、何十回も使われていたので記憶に残った方も多いのではないでしょうか。

口元まで描かれた方がどの様な感情を抱いているのかは表現しやすいですが、冨樫先生はそこまで描かずとも瞳の光の入れ方や背景に貼るトーン、眉毛の形やデフォルメの度合いや汗のかかせ方で心の機微は表現出来るという風に考えているのかもしれませんね。

冨樫先生が意図しているのかは定かではありませんが、この表現にはページを読み易い様に区切る効果があると思います。漫画は基本的にはページの右上、左、右下、左の順番で視線を移動させて読みますが、時には右上、下、左上、下の順番で読むなど視線が上に戻る事もあります。

横幅を目一杯使用したコマを読む時にはそうした複雑な読み方は行わずに、4コマ漫画と同様に素直に上から下に読めばいいだけです。そうした読む順番を悩ませない画面を整理する役目も果たすコマがあると、コマ数が増えてごちゃごちゃしてきた時でも読者に負担を掛けずに読ませられます。


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小さなコマに縛られずに外に出る
戦闘時に迫力を出す為には「史上最強の弟子ケンイチ」の松江名俊先生が好んで用いる見開き1ページや大きなコマを使うのも手ではありますが、それ以外に複数のコマを使うからこそ出せる迫力というのも幾つかあります。キルアとサブの戦闘では遠近法を活かして手前に描かれた本来なら小さな玩具のヨーヨーを巨大に見せて、当たれば痛い程度では済まなそうな力強さをヨーヨーに宿しています。それに加えてヨーヨーをコマから飛び出す様に描いておけば、読者に立体感を感じさせる事が可能になるので、手前に迫り来るヨーヨーの勢いがさらに増します。

もしもこの2コマをそれぞれ1ページで表現した場合は後者の効果は得られませんし、2コマ目の方には状況的に迫力のあるヨーヨーが画面内に入らない為に、サブの顎に命中した時にその威力を読者が感じ難いという欠点が生まれます。これは1ページを丸々消費する大きなコマを使いさえすれば、迫力が出せるわけではない事が分かる良い例だと思います。
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ヨーヨーの時とは違いコマから飛び出すどころか、最初からどのコマにも収められていないゲンスルー。他所のコマにキャラが僅かに飛び出すのは他の漫画家にもある事ですが、このゲンスルーみたいに蹴りを入れた足でゴンのいるコマを分割する程に侵食するのは珍しい。このコマに収められていない状態はネテロとメルエムの戦闘など「ハンターハンター」では何度も出てきます。

小さなコマに縛られずに大胆にはみ出させる。画面に情報を詰め込み過ぎな「ワンピース」の尾田栄一郎先生がこれをやると何処に何が描かれているのかが分かり難いものになりますが、背景や服装の細部まで描かない傾向が強い冨樫先生の場合はその程度の事では読み難いものになる心配はありません。この画像からは上手な表現だけを真似ても無意味で、自分の絵柄に適した表現がある事を感じさせられますね。


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目にも止まらない速い動きの見せ方
マフィアの目の前から一瞬で姿を消したフェイタンとフィンクス。上記の場面では銃を向けるマフィアを動かさずにフェイタンとフィンクスを動かす事で、マフィアでは反応不可能な速度で移動している事を表現しています。見れば分かるからわざわざ言うまでもないですけど、目で語る表現はここにもありますね。

アングルを固定したままにするのは、上と下のコマで状況的に変化したものが何処にあるかを強調する効果の他にも、漫画内における時間の流れを遅めてそこで描かれているものが一瞬の出来事である印象を強める効果があります。この表現は戦闘開始直後のクロロとシルバとゼノにも見られますね。冨樫先生が素早い動きを表現する方法はこれ以外にもあります。
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それがこの画像の下の方にあるクロロとシルバとゼノの攻防。シルバの方に気を取られたクロロの隙を突いて攻撃を仕掛けようとするゼノ、そのゼノの行動に気付いてクロロが視線を移した時、ゼノの手から攻撃が放たれる瞬間が見える。このコマとコマの間には白い余白は作られず、隣り合うコマは細い線だけで仕切られています。コマとコマの距離は時間的な間も意味するので、それを極限まで細める事によって彼等の行動が、僅かな時間の中で起きた出来事という風に演出。

これは冨樫先生以外もそこそこ用いる表現で、大抵の場合は作中で何か衝撃の事態が起きて、それに同時に反応する複数のキャラの表情を見せる際に使いますね。冨樫先生がこの表現を戦闘で使う例としては、ドッジボールにおける念人形の高速パス、ジャジャ拳を連続使用してナックルを背後から殴る瞬間が挙げられます。蝙蝠を捕まえたキメラアントの女王が描かれた場面では、先述したアングルの固定とコマの間を詰める表現の両方を用いていました。

漫画の表現技法というものは非常に精練されているおかげで、普段は特にそれを意識しないでもすんなりと読めてしまいますが、意識して読むと漫画家の癖が見えてきて面白いですね。例えば「To LOVEる」の矢吹健太朗先生なんかはコマとコマを微妙に重ねたり、片目だけを映した小さなコマを大きなコマの上に乗せるのが好きなんですけど、それを知るだけで終わらずにどうしてそれを用いるのか理由まで読み解けると、漫画の面白さがもっと分かる様になるのかなと最近はそんな事を考えています。
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「HUNTER×HUNTER」のキメラアント編が爆発オチを選んだ理由 - アニメ見ながらごろごろしたい