アニメごろごろ

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少年漫画とラノベにおけるラブコメの主人公の違い

ニセコイ 1 (ジャンプコミックス)

ニセコイ 1 (ジャンプコミックス)

少年漫画でなラブコメの主人公に結構な割合で好きな女子がいます。「ニセコイ」「恋染紅葉」「ToLOVEる」「スクールランブル」「きまぐれオレンジ☆ロード」も物語開始時か開始直後に主人公には好きな女子がいて、その子との距離を縮めようと努力する展開は王道。ラブコメではありませんが「リボーン」もこれと同じ構造でした。

これがライトノベルだと「僕は友達が少ない」「まよチキ!」の様に好きな女子どころかあまり恋愛に興味を持たない主人公が目立ちます。「変態王子と笑わない猫。」の主人公も女性のことが好きなだけで、特定の女性に好意を寄せたりはしていませんでした。「とらドラ!」など例外が幾らでもありますが、ラノベでは主人公に好きな女子がいないというのが定番のようです。こうした違いはどうして生まれるのか自分なりに仮説を立ててみました。


文章で読むか絵で見るかの違い
ラノベではあらゆる状況が文字で説明されますが、その際に主人公の視点で状況が語られることがあります。誰が何をしたとかヒロインがどんな表情をしているかが主人公の主観で説明される。これは物事を主人公の主観を排して起きている事を客観的に表現する漫画との違い。

主人公視点で語られる物語では主人公の思考を追体験する形になり、その過程で読者と主人公との同一化が行われやすいです。超極端な言い方をすれば主人公の経験していることを自分が経験しているかのように錯覚出来る。エロゲーだとプレイヤーにそう錯覚させやすくする為に、あえて主人公の絵を用意しない手法を取っていますね。

漫画やアニメだと大抵主人公も絵として描かれてるので、このエロゲーラノベで使われる手法と同じ効果は狙い難いです。実際エロゲーとしてプレイした時には主人公にイラつかなかったのに、アニメで見ると主人公を自分と別個の存在として認識してしまい主人公の身勝手な行動に腹が立つという人もいました。ちなみにそれは「WHITE ALBUM2」の話ですね。

前置きが長かったですが、ラノベでは主人公と同一化しやすい反面、もし主人公の好きなキャラが読者の好きなキャラと異なる場合には拒否反応が出やすいと思います。読者にとってどうでもいいキャラのことを主人公がどう感じているか長々と語られるのはキツイですからね。そうした事態が起こるのを阻止する為に、ラノベでは主人公が好きな女子を用意しないと考えられます。


読者層と出版社の方針の違い
ラノベの主な顧客層は所謂オタクが中心。恋愛に対しては色々と諦めているというか冷めている人達が多いこともあるので、好きな女子と付き合いたいなんて恋愛に積極的な主人公には共感し辛いのかもしれません。

これが少年漫画だとラノベよりも幅広い層が読むので、主人公像もわざわざオタク好みにする必要がありません。雑誌全体として熱血や積極性を感じられる主人公が多いので、ラブコメもそれに合わせて恋愛に積極的な主人公になりやすいのではないでしょうか。

まあ可能性に満ち溢れる小学生男子なんかも読む雑誌で恋愛に消極的過ぎる主人公を見せるのは、出版社としてもあまり好ましいとは思わないのもあるんじゃないかと。ジャンプなんかは友情、努力、勝利の三大原則を掲げているくらいですし、ラブコメの主人公にも受身なんかじゃなくて好きな女子に近付こうとする位の気概を持たせないといけないのでしょう。

「海賊王に俺はなる」とかそういう夢というか目標を持つことがラブコメの主人公にも必要だろみたいな感じではないかと。途中からは少年漫画もラノベと同じような複数の美少女から惚れられながらも誰も選ばないで、恋愛に興味あるのかないのかよう分からん展開にしたりしますが、出発点としては女性や恋愛に興味津々というのが少年漫画におけるラブコメの王道なんだと思います。