- 作者: 大高忍
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/01/16
- メディア: コミック
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アルマトラン編が始まった頃にはシバが玉艶ではないのかと思った読者も多いのではないでしょうか。大高先生もそれを狙っていたのか玉艶の正体をシバだと思わせる仕掛けを幾つか仕込んでいました。この記事ではそれらの仕掛けについて記述していきます。
12巻には太陽を模した杖を持つウーゴと思われる男性と鳥を模した杖を持つ三つ編みのおさげの女性と黒色に塗られた謎の人物が登場。この時点では黒塗りの人物がソロモンを裏切ったマギの一人である様に見えますね。ちなみにここに描かれている男性がウーゴだという根拠として顎の形が似ているということが当時ファンの間では挙げられていました。
13巻の大聖母との戦いの最中に描かれたアラジンの母親。シルエットだけですが髪型はアラジンと同様に編んだ髪を垂らしていると判明します。この時点では髪型なんてどうでもいい情報ですが、これが後々に意味を持ってきます。
16巻の回想では月を模った杖を持つマギがソロモンと語らう姿が描かれています。これを見ると12巻では黒塗りだったマギの一人がアラジンの母親と同じ髪型だということが分かり、アラジンの母親がソロモンを裏切ったマギである可能性が出てきます。
20巻になると玉艶がアルマトランのマギであると告白します。アルマトラン時代の玉艶は月を模した杖といい髪型といい、黒塗りのマギとアラジンの母親に非常に近い外見をしています。断片的な情報ではありますがこれらを繋ぎ合わせると、玉艶がアラジンの母親と見る事も出来る様になっています。
22巻から始まったアルマトラン編の序盤には目が死んでいる月を模した杖を持つマギとそれを不安げな目で見るウーゴと鳥を模した杖を持つマギが描かれました。この話の少し後に目が死んでいる月のマギはシバ、鳥のマギはアルバと名前が明かされます。
シバはソロモンと出会った当初はイルイラーを崇拝するなどの思想的な偏りが見られ、また杖の形が月であることや成長後の髪形からもソロモンを裏切った玉艶の正体としては最有力だったのですが、アルマトラン編が進むにつれアルバの言動に怪しさが出始めアルバが玉艶では無いかと思える展開になってきます。決定的だったのはイルイラーに出会った時のアルバの反応でしょうね。あそこを見てアルバが玉艶だと確信した読者は多かったのではないでしょうか。
ただアルバが玉艶だとすると幾つか謎が残るので、そこが引っ掛かる方もいたと思います。具体的には玉艶と同じ月を模した杖を持っているのはシバの方であるとか、死んだ様な瞳でソロモンを見つめたりとシバからは明らかに怪しげな雰囲気が漂っているとか、アルマトラン時代の玉艶と髪型が同じなのはシバであるとかですね。
これらの謎は終盤になり一気に明かされます。シバの目が死んでいたのは自分の愛したソロモンが消えたことによる喪失感と、アルバ達との対立から来る心労により精神が病んでいたからであり、玉艶が月を模した杖を持っていたのは本来の所有者であるシバを殺し奪い取ったから、髪型が変わったのはシバとの死闘の最中におさげが切り飛ばされたからというものでした。こうやってまとめるとミスリードする描写が多数有り、可能な限りまで読者に玉艶の正体を悟らせない構成になっていたのだと改めて思いますね。