アニメごろごろ

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「アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~」ここまでは来られたキミを肯定する物語

How can I be calm。ファンなら観るしかない傑作でした。

最終回が放送されてから7年近く経った後、夢中で追い掛けていたキャラの数年後の姿が描かれ、キャラが観客に向けて語りかけて人生を肯定する。

そのような映画体験はかつてメインターゲットであった女性は言うまでもなく、長年アニメを観てきた大人でも中々得られないのではないでしょうか。自分にとっては10年後も記憶に残される良い思い出になりました。

 

大人になるとはどういうことか
テレビシリーズで何度も使われていた「大人」という言葉。今までは「大人っぽくってセクシーで」や「ちょっと大人でカフェオレも」と外見や嗜好に関する話が多くありましたが、本作品ではそうした表面的な部分から少し踏み込んだ生き方で「大人」を語るようになりました。

大人になってもアイドルをメインに活動を続けているいちご。冗談を言って場を和ませるなど明るい性格は健在ですが、仲間と楽しく働いていた頃と比べて責任感は強くなったように見えました。

スタッフに支えられる人からスタッフを導く人へ変わり、ツアーでの演出を一人で持ち帰って考える。既にファンに見せられる程度の出来にはなっていたようですが、そこで満足しないで仕事に取り組みます。そうした期限まで粘って品質を向上させる姿に天羽先生や何川先生が重なって見えました。

 

役者の世界に飛び込んだ蘭。BMWに乗って現れる格好いい女性に見えますが、役者歴はしおんより何歩も出遅れています。

バーテンダー役を通じて覚えたシェイクをいちごは褒めているとはいえ、やはり山に篭って忍者までしていた人を知っていると差を感じてしまいそうですね。ただそうした状況でもトライスターにいた時の様に焦ることなく、一から地道に積み上げていけるのは彼女の成長と言えるでしょう。

昔は「夜8時以降は食べない」と決めていた蘭が遅くまで鍋や酒を味わっていることについて、個人的には自分に甘くなったり余裕が無くなったというより、友人との貴重な時間を大切にするようになったのではないかと解釈しています。

 

南カリフォルニア大学で勉強中のあおい。難易度の比較は難しいですが、世界大学ランキングでは京都大学と同程度の大学ですから、そこで勉強する彼女はかなり優秀と言えるでしょう。

自分に自信を持てないとしても学ぶ場に難関校を選ぶという志の高さは、スターライト学園の編入試験を受けた時から変わりませんね。

作中でいちごと蘭がソレイユのメンバーで撮った卒業写真を眺めて力を貰っていたのに対して、アメリカで知り合った人達との写真を眺めていたあおい。描かれていないだけでアメリカでの大切な思い出はあるでしょうし、それらを懐かしむこともあるのでしょう。今の自分の背中を押してくれる思い出は日本だけではない。

 

鍋パーティーで酒に酔うユリカ。第一印象では駄目な大人にも思えましたが、プライベートの場では徹底して仕事の話を出さないプロ意識の高い人でした。

守秘義務など大人には色々あって外に話せないことが多く、その為に友人にも相談が出来ないこともあるものですから、鍋パーティーを仕事の話ではなく楽しく喋る場としていたユリカは良い働きをしていたのではないでしょうか。

今回、最後の最後まで「ユリカ様」らしい姿しか見せていませんでしたが、酷く酔った状態でも性格が変わって見えないことから、恐らくあれこそが今の素の姿なのでしょう。

大人に成長した描写として年齢制限ある飲酒は安易な表現に思われるかもしれませんが、ユリカがユリカ様に近づいたことを表現する手段として飲酒は見事な選択でした。

 

実在感を追い求めた卒業記念ライブ

過去を振り返るように場面が転換して始まる卒業記念ライブ。公開前はルミナスとソレイユの新曲だけだろうと思っていましたが、「Signalize!」まであるという贅沢な内容でした。

卒業記念ライブのステージは三方向に伸びた階段やバックスクリーンなど基本設計が共通という労力の削減にも思える作りですが、長年アイカツシリーズに携わってきたスタッフが作るだけあって侮れません。公開直後には気が付けないようになっていますが、上記の特徴は私達が現実で観ていたミュージックフェスタFINALのステージと一致しています。

何時から一致させるつもりで作業を進めていたかは不明ですが、要はステージの基本設計を共通にしたことによって、現実の観客が作中の観客と同じ様な景色を体験することが出来るんですよね。卒業記念ライブでのいちごの観客の人生を肯定するような台詞のみならず、こうした細部の演出でも観客との繋がりを重んじた作品であったと思います。

 

最後に「10th」と「未来へのSTARWAY」から名を付けられたであろう「海辺の閣下」のツェーンとミラウェイの台詞を引用して終わりたいと思います。しばらくいちご達とは会えなくなりますが、また奇跡が起きるといいですね。

ツェーン「きっと会えるわ。だって今こうしてることだって奇跡。あの時には思いもしなかった奇跡だもの」

ミラウェイ「最高に素敵な、ね」

ツェーン「ええ!だからまた奇跡が起きるかもしれないでしょう?」

ミラウェイ「……ああ、そうだね。だけど忘れないで」

ツェーン「…?」

ミラウェイ「たとえしばらく会えなくても君と僕らの絆は、何も変わりやしない」

 

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