2008-06-07 とりあえず何も考えずに書く
■[コンテンツ][チラ裏] 雷句先生の件で「足りてないな」と思うこと
(株)小学館を提訴。 雷句誠の今日このごろ。/ウェブリブログ
7、8年前だったと思うのですが、小学館の選考の一環で、5日間だけ、漫画編集者の部署でバイトしたことがあります。
選考自体は、自分の表現筋力の無さを思い知らされるだけの苦いものだったのですが、経験としては、非常に得がたいものがありました。
最終日、現役マンガ編集者の皆様と飲む機会がありまして、現場の裏話をいっぱいうかがいました。有名な漫画家さんの実名がバンバン出て、スリリングでもありました。
「○○はホントに原稿が遅い」とか「アイツはほっとくと全然アイデアを自分でださないんだ」とか、愚痴かよwwwと思わせるdisりがあるかと思えば、
「夜中に電話があるわけ、『もう書けません』って、ほんで声がおかしいなって思ったら泣いてるわけだよ」
「『バカっ!!泣くな!』っていって、なだめたりすかしたりしながら、そっから朝まで、そんなことばっかりだよ」
というように「親以上だなぁ」と思わせる親身さが垣間見えたりしてました。
んで、飲んでてわかったことがありました。
まくしたてる人とか静かに語る人とか、発露の仕方はもちろん違いましたが、「どうやったら面白いものが出来るか」を彼らは常に考えていました。「作家と妥協しない」とはっきりおっしゃる方もありました。
その昔、伊集院光が「俺は映画監督には向いていない」とラジオでしゃべっていたことがあります。
「役者とか相手の事務所とかの顔色をうかがってしまう」という主旨のことをおっしゃってました。
僕もわりと人の顔色を見て引いちゃう人間なので、「編集者は向いてなかったなぁ」としみじみしました。
相手とガチンコでぶつかり合い、時に相手をねじ伏せるぐらいの個性と熱意をもって、パートナーと作品をつくりあげる。
ちょっと飲んだだけですけど、小学館のマンガ編集者は個性的で面白い人ばかりで
「今回の件は雷句先生の思い込みがひどいんじゃないかな」
当時の僕なら、そう思ったと思います。
それで、ここからが本題なのですが、
僕も遅まきながら社会に出まして、しばらく働いていて物事の見方が変わってまいりました。
「マンガ編集者」というシステムが「揉め事を生産しやすいシステム」で、今回の件は起こるべくして起きたのではないかと思っています。
プロジェクトを推進する時、相手とは険悪になる
長期にわたるプロジェクトを進めた経験のある方ならわかっていただけると思うのですが、プロジェクトを進めるうちに大体相手の担当者と険悪になります。仕様をつめたり、所掌を決めたりする時に「それは出来ません」とか「不可能です」とか「追加料金が発生します」とか色々色々いう人間を好きになれるはずがないですよね。お客様に「こんなん社長に見せたら、俺が首になるわ!!」とか「顔も見たくない」と言われたこともありますし、悪い話を持ってくる人の顔は、普通の人でも段々見ただけで嫌になってくるものです。
ましてや漫画家さんにとって、夜となく昼となく必死で考えたネームを没にする編集者の顔のなんと憎いことか!!!(たぶん)
例え良い作品を作るためと割り切っていても、感情に良くないものが溜まっていくに決まってます! いわんや割り切れない人をや。
漫画家も編集者も個性が強い人が多いので、合わなかったときのストレスは本当に悲惨だと思います。
営業マンもデキる営業マンほど個性が強くて、合わないお客さんにはトコトンだめですから。
ただこれは仕事をしていく上では多かれ少なかれあるものです。
モノを作る過程では、駄目なものは駄目だし、やれば出来ることはやるべきなのです。
感情にはどんどん負荷がかかっていきますが、仕方が無いのです。
では、どうやってそのわだかまりを解くの?
というような条件がすぐ浮かびます。
なかでも工期が長い工事は、先方の担当者と顔を付き合わせる時間も長くなって感情的なトラブルにもなりがちです。
そういう時どうするか。
節目節目で慰労会と称して飲みに行くことが多いです。(といっても全部プロジェクトが終わった後が一番多いですが)
先方がつり好きだったら釣りに行くし、(別に釣りバカ日誌に引っ掛けてるわけじゃありません。リアルな話です)ゴルフ好きならゴルフに行ったりします。
まあ要は接待ですね。
「なんだ、そんなことか」とおっしゃるかもしれませんが、これが意外と馬鹿にならないものでして、仕事から離れると人の違う面が見えてきたりして、ちょっと違う感慨も湧いてくるものなのですよ。
んで「あの時は大変だったな」とか「ありがとうございます」とか「すみませんでした」とか色々しゃべっている内に、なんとなく嫌な気持ちも解けていくもんです。
別に飲みに行くまでしなくても、定期的にフォローをいれてれば、感情の爆弾を爆発させることは無いと思います。
ただ、スケジュールが厳しい週刊連載で感情のフォローまで気を配るのはなかなか難しいのではないかと思います。
まして雷句先生は7年もの長期連載。
つもりつもったものがあるでしょう。
昼も夜もなく、オンとオフの切り替えもあまり無いような「マンガのシステム」がフォローのタイミングさえもを失わせているのでは無いでしょうか。
んで、(前置きが長すぎましたが)もう一度今回の件を眺めてみますと
最終的には「心のわだかまりを、こんなにこじれるまで発展させることが会社として駄目」
なんだかんだで、雷句先生、心のパワーが溜まって最強呪文を唱えちゃってますよ〜
そうなる前にもうちょっとなんかフォローなかったんすかね?
骨折した時、連載終了した時、カラー原稿がなくなっていることがわかった時、いくらでもリカバリーのタイミングがあるのに全部悪い方に振っているのは、毒フラグでも食いましたか?
まあ原稿なくした話が片付いてないのに、「小学館で仕事するしない」の話を出してくるなんて、「感情のマネッジメント」をする気ゼロだと思いますけどね。
ダメ押ししてどうするんだっての。
法務部の管轄になるまで事を荒立てた時点で、編集部としては面子丸つぶれだと思いますけど、会社組織としてもありえない事例だと思いますね。
小学館に足りてないと思うもの
僕思うに、人が足りてないんじゃないですか?
作家への感情のフォローが手薄になるってのは、作家一人にかけられる時間が少なくなってるとしか思えないんですよ。
7年前お会いした人たちの熱意を見ていると。
うちの営業の人たちがトラブルを抱えるのは、大抵仕事を詰め過ぎて、先方への対応が雑になった場合ですよ。
あとフォローする部署をつくるか悪者になる部署をつくるかするのもいいかも
同じ社内なのに「悪役」と「味方」と分けてロールプレイをするのも「小芝居」といいながら案外効果的なものですよ。
「壁ぎわ税務官」でも、鐘野成樹は自分のキャラクターでは攻略できないターゲットを、まったく違うタイプの税務官をつれてきて攻略してましたよね。
あんな感じです。個性が強い人が多いとトラブルも多いしね。
最後に
長くなりましたが、僕が最後に言いたいのは、サンデーで連載している
「神のみぞ知るセカイ」は面白い
ってことです。女の子はかわいいし、主人公は変人でいいやつだし、お話はギャルゲーだし、ネタが尽きなければ言うこと無いです。
アイドルの正体が「影が薄くなる女の子」で無いことを祈って、明日もまた楽しくマンガを読みましょう!
らんらんる〜
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