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2016-05-24

Information Governance in Japan: Towards a New Comparative Paradigm

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Kenji E. Kushida, Yuko Kasuya, and Eiji Kawabata, eds., Information Governance in Japan: Towards a New Comparative Paradigm (SVNJ eBook series), Kindle Edition, 2016.

 初めての英語でのKindleバージョン(のような気がする)。私は第8章の"Cyber Security Governance in Japan: Two Strategies and a Basic Law"を担当。

 数年かけた共同研究プロジェクトの成果が出たことは喜ばしい。

 そして安い! なんと1.98米ドル! 著者たちに印税は入らないってことです。

2016-05-23

トマス・リッド、ベン・ブキャナン「サイバー攻撃を行うのは誰か」

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トマス・リッド、ベン・ブキャナン(土屋大洋訳)「サイバー攻撃を行うのは誰か」『戦略研究』第18号、2016年5月、59〜98頁。

 昨年6月、北京でワークショップに参加した。その際、英国キングス・カレッジのトマス・リッド教授と知り合いになり、論文の翻訳を頼まれた。このワークショップの数日後、中国版が出るとのことだった。時間がかかってしまったが、日本語版が完成し、戦略研究学会の機関誌『戦略研究』に載せていただくことができた。関係各位に感謝したい。

 原文の論文は以下にある。

http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/01402390.2014.977382#.V0JFnlcp-gQ

 著者によるこの論文の特設ページは以下である。

https://ridt.co/attributing-cyber-attacks/

 蛇足ながら、『戦略研究』第18号が出てからびっくりしたのは、翻訳論文のすぐ後に私の著書に関する書評論文が出ていたこと。

河野桂子「中国北朝鮮ロシアサイバー攻撃—日米欧の対応—」『戦略研究』第18号、2016年5月、99〜111頁。

 LACの伊東寛さんの『「第5の戦場」サイバー戦の脅威』と並んで拙著『サイバー・テロ 日米vs.中国』を取り上げてくださった。防衛研究所の河野先生、どうもありがとうございました。

 さらに蛇足ながら、同僚に言われて『国際安全保障』に別の本の書評が載っているのにも気づいた。

加藤朗「土屋大洋著『サイバーセキュリティと国際政治』(千倉書房、2015年4月)296頁」『国際安全保障]』第43巻第4号、2016年3月、92〜96頁。

 桜美林大学の加藤先生、どうもありがとうございました。

 とにかく、こういうのは突然出てくるのでびっくり。

2016-05-21

またソウル

 今年2回目の韓国ソウル。午前6時に家を出てソウルに向かうものの、結局、予定していた2人のうち1人には会えず残念。時間が空いたので、ソウルの街をうろうろ歩く。何度もソウルには来ているが、こんなに暇な時間を過ごすのは初めてのような気がする。適当に裏路地を歩いていると、いろいろな臭いが漂っていておもしろい。ランチの時間が終わって食堂街はけだるい休み時間という感じ。

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 ソウルはカフェがやたらと多い。3軒並んでカフェというとこもある。スターバックスのような外資だけでなく、席もない小さなカフェも多い。会社員らしき人たちがたむろしながらコーヒーを飲み、たばこを吸っている。私もそのうちの一つに入ってストロベリーのスムージーを頼んだら巨大なものが出てきた。なかなかおいしい。

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 ホテルに戻って会議主催者たちとの夕食会。なぜかイタリアンで、おいしいのだが、ソウルイタリアンというのもなんとなく寂しい。

 翌日は朝から高麗大学でThe 5th Asia Forum on Cyber Security and Privacy: Security and Privacy for Cloud Computing In Digital Ageという会議に参加。クラウドコンピューティングは私には苦手なトピックである。午前のパネルが終わって、昼食は弁当。大きくて食べきれない。

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 午後のセッションで私は司会。プレゼンターもコメンテーターもみんな法律学者なのでかなりやりにくい。

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 セッション終了後、まだ会議が終わっていないが、空港へ向かう。この日の夕食会は韓国料理の予定ということで残念だ。私は空港のフードコートでシーフード入りチゲ鍋をいただく。

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 機内では食事をパスして、横江公美さんの『崩壊するアメリカ』(ビジネス社、2016年)を読む。トランプ現象ってそういうことかと感心する。横江さんにはワシントンDCでいろいろお世話になった。ヘリテージ財団での成果がこうしてまとまったことはすばらしい。

 帰着した羽田空港が大混雑。JALANAハワイ便が重なってしまったらしい。荷物がなかなか出てこない。最終バスに乗って24時に帰宅。42時間の出張だった。

映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』

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 ハワイで1年間過ごしたのは、エドワード・スノーデンの足跡を追うためだった。彼が香港に現れる前の1年間を過ごしたのがハワイだった。

 ハワイ滞在中に公開された映画『CITIZENFOUR』を友人と観に行った。男二人で映画を観に行くのはいかがなものかと別の友人に笑われたが、ハワイと関わりの深いスノーデンの映画をハワイの人たちがどう観るかも興味があった。映画館にはそれほど多くの人は入っていなかったが、終わった後のフーッというため息が印象に残っている。

 字幕無しで見ていると分からないところもあり、もう一度見たいと思っていたが、今回ようやく日本でも公開されることになった。予告編がとても格好良い。

 事前に告白しておくと、配給のGAGAさんから事前にコンタクトをいただき、映画館で販売されるパンフレットに寄稿した他、宣伝用のコメントも提供しているので、このブログのエントリーは事実上の広告活動になっている。原稿料は定額なので、パンフレットの売り上げが伸びても私にたくさん印税が入るわけではないが、パンフレットにも目を通していただければうれしい。

 映画は最後のシーンが興味深い。別の告発者の存在が示唆されている。グリーンウォルドとスノーデンがやりとりするメモが意味深だ。

 上映館はそれほど多くないが、東京では青山と新宿で6月11日から観られる。上映館については以下を参照。

http://gaga.ne.jp/citizenfour/info/?page_id=20

2016-05-20

山口英先生

 かねてから病気療養中だった山口英先生がお亡くなりになりました。最初にお目にかかったのは文部科学省の裏にあったプレハブ小屋だったと思います。歯に衣着せぬ物言いに少なからず驚きました。

 その後、2009年に情報セキュリティ政策会議に推薦してくださり、いろいろアドバイスをくださいました。技術にも政治にもあれほど通じている希有な方でした。山口先生が切り開いてくださった日本政府の情報セキュリティサイバーセキュリティ対策を進めていかなくてはいけません。

 ご冥福をお祈りします。

2016-05-19

日米関係とアジア太平洋の安全保障:課題と展望

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 6月10日(金)の夜と11日(土)の終日、G-SECで「日米関係とアジア太平洋の安全保障:課題と展望」と題するシンポジウムが開かれます。日米からいろいろな方が報告します。私もサイバーセキュリティの話をします。同時通訳が入ります。事前登録が必要ですので、リンク先から申し込んでください。ページの一番下に申し込みフォームがあります。

http://blog.smu.edu/towercenter/events/sun-and-star-symposium/

2016-05-02

シンガポール

 シンガポールへ2泊の出張。もともとは会議の招待を受けていたのだが、いろいろあって会議への参加はキャンセル。しかし、ついでに設定してあった別件があって自費で渡航。すれ違いでなかなか会えなかった方と会うことができて良かった。

 さらについでにシンガポールで働く卒業生と夕食。地元の本当においしいシーフードの店に連れて行ってもらった。手をべとべとにしながらエビとカニをいただく。

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 こうして卒業生とゆっくり話ができるのは教師冥利に尽きる。彼がやっていることを聞くと大学での教育なんてほとんど役に立っていないんじゃないかという気もするが、立派に仕事をしてくれているのはうれしい限りだ。

 もっとついでに、海底ケーブルの陸揚局も2箇所見に行く。一つは堂々とケーブル陸揚局と看板が出ている。

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 もう一つは、タクシーの運転手もうろうろ迷い、ビルにもそれらしい表示は見当たらなかったが、どうやらこの建物のようだ。

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 公開情報とはいえ、怪しまれて捕まるとやっかいなので、早々に退散。

 両方ともチャンギ空港の近くで、海は空港を挟んで向こう側。さすがにマンホールを探すまでは無理だった。

2016-04-23

サイバー攻撃のアトリビューションは魅力的な仕事である

土屋大洋サイバー攻撃のアトリビューションは魅力的な仕事である」『Newsweek日本版』2016年4月22日。

 ここで紹介している論文を読んで、アトリビューションに対する見方がずいぶん変わりました。

2016-04-21

ハリウッドからボリウッドまで、ペンギンからシロクマまで:太平洋軍の研究プロジェクト

 ハワイに行くたびに遊びに行っているんだろうとご批判をいただくが、昨年出した『サイバーセキュリティと国際政治』(千倉書房)の前書きで書いたとおり、米国太平洋軍(PACOM)に関心を持ってきた。太平洋軍はアジア太平洋全域を管轄している。「ハリウッドからボリウッドまで、ペンギンからシロクマまで」と言われるように、米国西海岸からインド洋まで、そして北極海から南極大陸沿岸までの広大な地域を管轄としている。そして、その司令部がハワイにある。その管轄範囲には日本や朝鮮半島台湾も含まれており、東アジアの有事の際に使われる「米軍」とは太平洋軍のことに他ならない。

 ハワイに1年間いたとき、もし米中開戦ということになれば、かつての日本帝国海軍のように、中国人民解放軍ハワイをたたくだろうと確信めいた感覚を何度も得た。それぐらい、ハワイは軍事的な拠点として重要である。その感覚を共有する人は他にもいるようで、P・W・シンガーとオーガスト・コールが書いた『中国軍を駆逐せよ! ゴースト・フリート出撃す(上・下)』(二見文庫、2016年)では、サイバー攻撃を駆使して人民解放軍ハワイを占領してしまう。ハワイの土地勘が多少ある身としては、ああ、あそこかあ、と思うシーンがたくさんあった。サイバーセキュリティに関心のある方々には必読の小説である。

 昨年度から、慶應の「スーパーグローバル大学創成支援」事業の一環として「アジア太平洋地域の安全保障体制」というプロジェクトを動かしてきた。太平洋軍を研究するためのプロジェクトである。その1年目の成果を以下にまとめた。

http://web.sfc.keio.ac.jp/~taiyo/pacom/

 いずれこのページは正式な慶應の事業ページの下に移されると思うが、そちらができるまでの一時的なものとして作っておく。そのときにはもっとファンシーなデザインになるはずだが、今は必要最低限だけ。ハワイにあるイースト・ウエスト・センターのデニー・ロイさんと私のワーキングペーパーも載せた。ワーキングペーパーなので、まだまだクオリティの高い論文にはなっていない段階だが、ひとまず1年目の成果として掲載してある。

 なぜこんなに太平洋軍についての研究が少ないのかと思っていたが、やってみると、資料が限られている上に、太平洋軍そのものへのアクセスが厳しいことが原因だと気づかされた。ウェブ上にはそれなりに英語の資料があるが、行間を読まないと理解しにくい。行間を読むために現場の人たちの話を聞こうとしても、なかなか会うことができない。ワシントンDCでは人と会って情報交換するのが当たり前の文化だが、軍隊相手ではそうはいかない。ハワイの人はたいていフレンドリーだが、基地の中にいる軍人たちに会うのはとても難しい。まして、私は民間人であり、外国人でもあるから、彼らにとっては私と会うことにメリットはなく、むしろリスクでもある。ハワイでも日本でもいろいろな方々が支援してくださっているが、なかなかまとまった成果にはつながらない。

 とはいえ、飽きっぽい私としては、サイバーセキュリティ以外にもテーマを抱えておくことは重要なリサーチ・ハックでもある。サイバーセキュリティ、海底ケーブル、太平洋軍の三つが今のところの研究課題である。どこか一つで行き詰まったときに、一時的に別のテーマに切り替えておくと道が開けることがある。とはいえ、二兎ならぬ三兎を追うことでリソースが分散し、どれも成果が出ないことにもなりかねない。三つのテーマは緩やかにはつながっているので、うまく関連づけることだろう。

 太平洋軍については、今秋のSFCのオープンリサーチフォーラム(ORF)で、できれば公開シンポをやりたい。今年度もそのうちにハワイに行くことになると思うが、遊びに行くのではない。サーフィンは一度もしたことがない。

2016-03-31

日中韓の金融セクターのサイバーセキュリティ

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Motohiro Tsuchiya, "Cyber Security of Financial Sectors in Japan, South Korea and China," Ruth Taplin, ed., Managing Cyber Risk in the Financial Sector: Lessons from Asia, Europe and the USA, London: Routledge, 2016, pp. 96-111.

 これも高い本で、95ポンド。今日のレートで15,340円。まあ、ほとんど売れないような気がする。

 私は日中韓の金融セクターとのことで、多少、専門分野を超えているのですが、欧米圏の人には分かりにくいだろうということもあって引き受けましたが、けっこう大変でした。

 英語で読んでもらえる原稿がしっかりした出版社から出るのは良いことです。

 もう一冊、来月にも英語の共著本がweb bookとして出るそうです。ありがたいことです。

海底ケーブル銀座としての東アジア

土屋大洋「海底ケーブル銀座としての東アジア」『東亜』第583号、2016年4月、6〜7頁。

 連載第2回です。

2016-03-26

ビュード

 年度末最後の出張はロンドンへ。今回はオープンなイベントはなく、RUSI(英国王立防衛安全保障研究所)でのクローズドのミーティング。前回11月に来た際、RUSIの研究者と食事会で一緒になり、サイバーセキュリティはクローズドでちゃんと話がほうが良いと言われ、そうしてもらった。日本の政策を説明した後、2時間がっちり議論。最後はネイティブ同士の弾丸トークになってしまい、ちょっとついて行けなかった。まだまだ英語力が足りない。

 実はこの日は、ブリュッセルでテロがあった日の午後。さすがイギリス人というべきか、動揺した顔は見せず、全く話にも出なかった。その日の午後のEvening Standard紙では、次のターゲットはイギリスかもしれないと煽り立てていたが、どうなるのだろう。たまたまメールが来た東欧の友人は、ヨーロッパはもうたやすく行けるところではなくなったという。

 泊まっていたパディントン駅の周辺は、ヒースロー空港からヒースローエクスプレスがつながっているので便利だが、ムスリム系の人たちが多く住むところとしても知られている。改めて見渡すと、以前に来たときよりも増えている気もする。特に、目だけを出して全身黒ずくめの女性が目に付く。テロによる私の偏見なのか、移民が増えているのか、判断しにくい。

 予備にとってあった一日が丸々空いた。どうしようかいろいろ悩み、友人たちにも相談したが、やはり海底ケーブルを見に行くことに。ブリテン島の最西端にポースカーノ(Porthcurno)という場所があり、19世紀に最初の大西洋ケーブルが陸揚げされたことを記念した電信博物館がある。しかし、冬の間は土日月しか開いていないらしいので断念。

 その代わりに現代の海底ケーブルがたくさんあがっているビュード(Bude)に行くことにする。パディントンから地下鉄ビクトリア駅へ出て、ガトウィック・エクスプレスに乗ってガトウィック空港へ。そこからflybeという格安航空でニューキー(Newquay)まで飛ぶ。小さなプロペラ機。Bombardier Q400らしい。「道路や鉄道より速い(Faster than road or rail)」っていうキャッチフレーズはどうかと思う。

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 1時間ちょっとで到着。そこからレンタカーでさらに1時間ほどでビュードへ。

 陸揚局の場所はhttp://www.stevenheaton.co.uk/SubmarineCableLandingsUK/?p=113で確認済み。そこへ直行すると本当にあった。意外にも住宅街のど真ん中で、そこら辺にいる住民たちの「何しに来た、アジア人?」っていう視線が痛い。何も悪いことはせず、敷地の外から建物を眺めて少しだけ写真を撮らせてもらう。

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 敷地の奥には海底ケーブルが巻かれたまま置かれており、建物の警告文にはBTの所有物と書いてあるので間違いない。

 ここは冷戦中の60年代に作られたとのことで、地下化されているようだ。地上の建物は掘っ立て小屋に近いが、敷地の芝生の所々に空気穴のようなものがある。冷戦中の陸揚局は核兵器対応のところが多いと聞くが、ここもそうなのだろうか。国営独占事業者の時代だからできたことだろう。現在の事業者の陸揚局はコスト削減最優先で、そこまでの余裕はないはずだ。

 海岸線までは1.5キロほどか。一番近いと思われるBlack Rock Beachへ。かなり遠浅の海岸になっているが、その名の通り黒っぽい岩がゴロゴロしている。岩がなく、砂が続くところもあるので、そこにケーブルが通っているのかと考えながら海岸をうろうろするが手がかりはなし。犬を散歩させている人たちがとても多い。近くのカフェで昼食。大きなボールに出てきた熱々のトマトスープがうれしい。

 念のために、隣のビーチにも行ってみる。ここはサーファーが多い。ウェットスーツに着替えている人たちがたくさんいる。案内板を見ると、さっきのビーチは犬を遊ばせて良いが、こちらはダメとのこと。ふとライフガード小屋の横を見ると、大きな標識のようなものが立っている。岸側に向いているのではなく、海を向いている。海側に出て見上げてみると、「TELEPHONE CABLE」と書いてある。これが海底ケーブルの場所だ。

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 ケーブルが引き上げられているウィドゥムス・ベイ(Widemouthと書いてワイドマウスではなくウィドゥムスと発音するらしい)を見下ろす岬の上に立つ。まさに断崖絶壁で、柵もないので下を見下ろすのが怖い。花束がたむけてあるのがなんとも。そこから南側のベイを見下ろすと、確かに湾(ベイ)になっていて、ケーブルを引き上げるには良い場所だろうなと思える。ただ、岩が多すぎるのではという気もする。

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 そして岬の上から反対の北側を向くと、なんとはるか先にGCHQ(政府通信本部)の基地が見えるではないか。地図で確認すると車道で15キロぐらい。直線では10キロぐらいだろうか。肉眼で確認できたのはうれしい。カメラの精度がもっと良ければきれいにとれたのにと残念。近づいてみたいところだが、外国人がおいそれと近づけるところではないので、ここで我慢。

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 ロンドンに戻り、その晩は勢いで「テムズ川バビロン」と呼ばれるSIS(MI6)本部も見に行く。『007 スカイフォール』で爆破されてしまい、『007 スペクター』ではもう一度爆破されてしまうが、本物は健在だった。

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2016-03-17

サンタモニカ

 ホノルルから戻って数日ですぐにカリフォルニア州サンタモニカへ。

 成田からロサンゼルス空港に飛ぶ際、機内で同僚の神保謙さんと一緒になる。二人とも同じ会議へ参加予定。ロサンゼルス空港からサンタモニカまではタクシーで30分ぐらい。私の頭の中では桜田淳子の「サンタモニカの風」が吹き始める(古!)。サンタモニカに来るのは初めてだ。

 ホテルにチェックインして荷物を置いた後、神保さんを無理矢理誘って予約しておいたZipcarに乗り、ソニー・ピクチャーズへ。日曜日なので見学コースは見られないが、ここが大規模なサイバー攻撃の舞台となったかと思うと感慨深い。

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 そこからさらに30分ほど車を走らせて、海底ケーブルが陸揚げされているビーチへ。調べてあった情報と照らし合わせると、二つのマンホールが怪しい。

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 陸揚局が入っているとされる建物も確認。手のひら認証が付いた扉もあった。こんなセキュリティで大丈夫なのかなあと改めて心配になる。

 今回の訪問の目的は、RAND研究所で開かれる「U.S.-Japan Alliance Conference: Strengthening Strategic Cooperation」という会議への参加。当初知らされていなかったチャック・ヘーゲル国防長官と小野寺五典元防衛大臣も参加。RAND研究所といえば、インターネットの原型となるARPANETを構想したところとして知られている。当時の建物は残っておらず、洗練された新しい建物になっている。

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RAND研究所の外観

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基調講演する小野寺元防衛大臣

 私の出番はサイバーセキュリティについてのセッション。日米の取り組みの可能性について話す。下の写真は神保さんが撮ってくれたもの。一番左がRANDのマーチン・リビキ、その横が私、右から二番目がJPCERT/CC伊藤友里恵さん、一番右がRANDのスコット・ハロルド。

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 二日目はヘーゲル前国防長官の基調講演。下の写真はスコットの質問に答えているところ。

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 最後のパネルに神保さんが登場。下の写真の一番左はワシントンDCシンクタンクのアトランティック・カウンシルのロジャー・クリフ、その隣がスティムソン・センター辰巳由紀さん、そして神保さんとスコット。

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 会議終了後、RAND研究所についてツアーをしてもらい、解散。

 買い物をしてからブラブラと歩いて、サンタモニカ名物の海に突き出した桟橋で海に沈む夕日を眺める。桟橋には観光客の他にたくさん釣り人がいて、鯖のような魚が入れ食い状態だった。私も釣りたかった。

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 最後の夕食は、頑としてRANDに土地を売らなかったレストランChez Jayでステーキとエビをいただく。ちょうどテレビでは大統領選挙の予備選の開票結果を流していてスコットの解説を聞くことができた。

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Zippy's

 昨年から始めた共同研究プロジェクトのためにハワイホノルルへ。

 まずはお世話になっている同級生の大塚領事御夫妻とランチ。到着日の昼ということもあり、こちらは眠い。どこへ行こうかとなって、ふと、Zippy’sの名前が浮かぶ。ハワイで有名なファミレスチェーンだが、1年間の滞在時には一度も行くことができなかった。ここはファミレスながらポイントが高いと聞いていたので、一度は行ってみたいと思っていたので、急遽行くことに。かなりメニューの選択に悩むが、定番のロコモコ

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 ラーメン風のどんぶり。少しかけているところもハワイ風のご愛敬。栄養バランスを無視したこの食べ物にしびれてしまう。

 翌日は、Zippy'sとは何も関係ないZipcarを借りる。ボストンで入会したZipcar。会員を続けていて良かった。ようやくハワイにも入ったのだ。ワイキキのホテルに停まっているZipcarをピックアップして、まだ見ていなかったところを回る。まずはえひめ丸の記念碑。だいたいの場所は知っていたが、ちゃんと確認していなかった。昨年、中谷防衛大臣ハワイを訪問されたときにも献花をされていたので、一度行っておこうと思い、訪ねる。

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 帰国の機中で

中村邦子「米太平洋軍の同盟マネージメント対策と市民社会との連携―えひめ丸事故とその後の友好関係―」『外務省調査月報』2008年。

を読んだが、本当につらい事件だ。本文・脚注に知り合いの名前がいくつか出てきて、「この人たちも関わっていたのか」と感慨深くなる。

 真珠湾攻撃前に森村正こと吉川猛夫が入り浸って真珠湾に出入りする艦船を監視したという春潮楼の建物も外から少しだけ見学。今は「夏の家」という店になり、中で食事をするには団体での予約が必要らしい。

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 吉川については、昨年、以下の本が出ている。これは前に本人が書いた回顧録を整理し直したものだ。

吉川猛夫『私は真珠湾のスパイだった』毎日ワンズ、2015年。

 他にもいくつかまわって、昼食は中華街香港粥麺家へ。ここは阿川家御用達で、阿川佐和子さんの本の中でも紹介されていたと思う。つけ麺(つゆを撮り忘れた)とダック。

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 プロジェクト関連の訪問とミーティングをこなして、イースト・ウエスト・センターも再訪。プロジェクトのメンバーのデニー・ロイさんたちと打ち合わせ。

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 最後の夕食は、一緒に行った同僚の西野純也さんとベトナム料理のフォーをいただく。

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 こうしてみると食べてばかりだが、オフレコでいろいろ意見を聞き、滅多に行けない場所にも行くことができたので、慌ただしいが充実した出張だった。なかなかお目にかかれなかった新しい総領事にもお目にかかれて良かった。

2016-02-25

日中共同プロジェクト報告会

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 毎年恒例になりつつあるサイバーセキュリティについての日中共同プロジェクトの報告会。招待制三田キャンパスのG-SECで開催。

 今回はなかなかきわどい質問が出て、中国側もそれなりに真摯に答えてくれておもしろかった。

 来週29日(月)には同じく三田キャンパスで「サイバーセキュリティ国際シンポジウム - 重要インフラ対策とTOKYO2020に向けた戦略 - 」開催予定。こちらはオープン。まだ参加を受け付けているもよう。私は何もしないで聞くだけ。11月からしゃべり続け、書き続けだったので、もうネタ切れ。Newsweek日本版の連載も止まっている。

2016-02-12

ソウル1泊2日

 またもや1泊2日で韓国へ。

 往路の飛行機が早く着いたので、ホテルの近所の韓国料理屋に飛び込んで昼食。日本語のメニューも英語のメニューもないので適当に指さしで注文。牡蠣などのシーフードが入った味噌汁風の鍋が出てきた。おいしかった。

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 今年後半に行われるイベントの打ち合わせ。日中韓で膝詰めで議論し、ビールワインウイスキーで詳細を詰め(た気にな)る。また体重が増えた。

 前回よりも帰国便を遅くしたので朝の余裕があって良かった。

2016-01-28

サイバーセキュリティ政策をめぐる中国政府の内側

土屋大洋サイバーセキュリティ政策をめぐる中国政府の内側」『Newsweek日本版』2016年1月21日。

 連載第12回。中国は難しい。本当の黒幕はいるのか、いないのか……。いるほうが分かりやすいのだが……。

 学期末の採点で忙しくなっているので、連載はしばらくお休みです。

2016-01-18

NYのダム、ウクライナの変電所...サイバー攻撃で狙われる制御システム

土屋大洋NYのダム、ウクライナの変電所...サイバー攻撃で狙われる制御システム」『Newsweek日本版』2016年1月8日。

 ウクライナのニュースはもっと日本でも大きく取り上げられても良いはずなのに、日本のメディアは比較的静かな感じがします(フジテレビの夕方のニュース番組で津田大介さんが取り上げておられましたが)。ワシントンDCでのワークショップでは誰もが言及していました。

 コラムの前半部分に関連する番組が1月24日(日)夜11時半からNHKEテレ)の「サイエンスZERO」で放送されます。制御システムのセキュリティについて解説があります。ちょっと恥ずかしい登場の仕方で、私も出演します。

2016-01-16

ワシントンDC

 3泊5日でワシントンDCへ。なんと、往路の機内で知り合い3人に会う。彼らは私とは別の会議。驚いた。

 到着日の翌日はフリーにしておいた。年末年始の仕事が忙しく、かなりへばり気味だったので、食事以外のアポは入れなかった。

 ホテルやカフェで仕事をする合間、授業のネタ探しも兼ねて本屋に行こうとするが、12th StreetにあったはずのBarnes & Nobleが閉店してしまっている。とても残念だ。18th StreetにあったBordersもずいぶん前に閉店した。

 頼みの綱は、学術系に強いReiter’s Booksだが、ここも移転し、店がとても小さくなっていて、本の数もとても少ない。かなり残念。

 良かったのは、新しいReiter's Booksの店舗に行くことで、世界銀行IMFのビルを確認できたことだ。知識としてワシントンDCにあることは知っていたが、ようやく位置を確認できた。

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 足を伸ばして、地下鉄オレンジ・ラインのクラレンドンにあるBarnes & Nobleものぞくが、ここも一般書が中心なので、授業に役立つ学術系の本はあまりない。

 夜、会食の後、ワシントンDC三田会の集まりにも15分だけ参加。会場のバーがいっぱいで席がない上に、時差と疲労で飲める状態でもなく、翌朝一番のワークショップでの報告の準備もできていないので、早々に退散。それでも、旧友の顔を見て、思わぬ人に会えたのも良かった。

 ホワイトハウス近くのバーを出ると、外で雪が舞っていて、きれいだなーという気分と勘弁してくれーという気分が一緒におそってきたが、すぐにやんでしまった。

 今回のメインはクローズドのワークショップ。日中韓米露の研究者が集まり、サイバーセキュリティと戦略的安定性について議論。オフレコとのことなので、みんな言いたい放題言っていて、けっこうおもしろかった。懐かしい顔にも何人か会えた。

 新しいプロジェクトも立ち上げることになりそうだ。またワシントンDCに来る機会もできるだろう。

 土曜日の朝にSFCで仕事があったので、ワークショップ終了後の金曜日の夜の便でLAに飛び、そこから羽田行きの便に乗る。直行便なら14時間ぐらいなのに、乗り継ぎにすると合計で20時間ぐらいかかる。なんだか残念だ。

 ワシントンDCからLAまでの機内では、疲れて仕事ができる状態ではなかったので、買ったまま読んでいなかった『工学部ヒラノ教授』と『工学部ヒラノ教授のアメリカ武者修行』を読む。どっちもとても参考になったが、特にアメリカの大学制度について詳しく書いてある後者が印象的だ。アメリカの場合、研究者は一度競争から落ちるとカムバックできないらしい。一流大学で教員&研究者になるには、一流大学で学位を取った後、3年+3年の有期の間に論文を量産しないといけない。そこで躓くと、後は転げ落ちて、教育マシーンになるか、何者でもないという意味で透明人間になるという。工学系の話が書いてあるが、文系も似たようなものなんだろうか。

 LAから羽田の便は、一眠りしてから、何か映画はないかと探し、『The Man from U.N.C.L.E.』を見る。完全エンタメ志向の映画。CIAとKGBが協力するという現実にはない設定なので、インテリジェンス活動の研究の参考にはならないが、ヒュー・グラントがおもしろい役をしていた。

 それに比べて、先日ちゃんと映画館で観た『007 SPECTRE』は、アクションのところはともかく、政治的な設定はけっこうおもしろい。Five EyesならぬNine Eyesが構想されており、日本も入っている。

 そして、007が辞任することが匂わされているが、エンドロールの最後には「James Bond will return.」と書いてあったのも意味深。さすがにシリーズがこれで終わりではないのだろう。

サイバーインテリジェンス活動のフロンティア

土屋大洋サイバーインテリジェンス活動のフロンティア」『東亜』第583号、2016年1月、6〜7頁。

 アジアとはあまり関係ない内容なんですが、『東亜』に書かせていただきました。「COMPASS」という連載もので、4ヵ月に1度、執筆機会が回ってくるようです。次は5月号でしょうか。

 驚いたことに、ウェブPDFでそのまま載るんですね。

2016-01-08

サンフランシスコへ

 年賀状、全然出しておりません。申し訳ありません。昨年は海外生活だったので出しませんでした。今年は、全然告知していなかった私が悪いのですが、喪中でした。しかし、単なる怠惰です。すみません。

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 大晦日、いくつかの仕事を何とか片付け、終わらなかった仕事を抱えたまま、脱出するように飛行機に乗り、サンフランシスコへ。飛行機に乗っている間に日本は元旦になったものの、到着したサンフランシスコはまだ大晦日。フィッシャーマンズワーフの花火でも見ようかと思ったが、眠いので眠ってしまう。元旦はゴールデンゲートブリッジを間近に見るなどして過ごし、夜は旧友と食事。

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 翌日、ワインで有名なナパ・バレーを目指し、ナパ・バレー・ワイン・トレインに乗る。ナパ・バレーワイン畑を見ながら行って帰ってくるだけ。往路は展望車でオードブルをつまみながらワインを飲む。復路は食堂車に移り、メインディッシュを堪能する。

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という楽しい旅のはずだったが、往路で飲んだワイン1.5杯とオードブルで満腹になり、電車の揺れもあって気持ち悪くなる。メインディッシュのステーキは持ち帰り用の箱の中へ。私はやはりワインよりビールが体に合うらしい。

 3日から仕事再開。学生の卒論や修論の添削をし、メールに対応し、原稿を書く。夜は日米の国際会議の参加者による夕食会。基調講演は元海軍提督。

 4日は終日、日米の経済学者たちと議論。1月3日から5日までアメリカ経済学会サンフランシスコで開かれており、それに合わせて日米のスタッフも含めて30名程度の小さめの会議が開かれた。

 私は経済学者ではないのだが、なぜかサイバーセキュリティのパネルに招いてもらった。アメリカ側の研究者から、サイバー犯罪の被害よりも詐欺や脱税なんかのコストのほうが大きいからサイバー犯罪対策なんてやらなくて良い、サイバー戦争なんて世界の終わりのことは考えても意味がない、と指摘され、考えさせられた。

 経済学者はできるだけ費用と便益に換算して考えようとする。私は学部の1年生のときの経済学で単位をとれなかったので、経済学の発想はできないらしい。

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