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2017-07-21

大規模サイバー攻撃は本当に北朝鮮によるものか

土屋大洋「大規模サイバー攻撃は本当に北朝鮮によるものか」『東亜』2017年7月号、6〜7頁。

 世の中では北朝鮮の第180部隊やラザルスによるものという見解が多いので、まちがっているかもしれませんが……

2017-07-02

護衛艦いずも

 海上自衛隊護衛艦いずもに体験乗艦する機会をいただいた。研究者5人、プレス10人、それにASEAN諸国の若手士官10人がシンガポールから乗り込み、南シナ海で訓練を行いながら4泊5日を過ごし、再びシンガポールに戻った。シンガポールまでの渡航費は自己負担、艦内での食事代も自己負担だが、こうした機会はめったにいただけることではない。

 ASEAN諸国の若手士官は防衛省ビエンチャン・ビジョンに基づいて、艦内でセミナーを受講したり、訓練に参加したりしていた。

 プレスの皆さんはASEANの若手士官たちの様子や艦内の様子を取材していた。すでにいくつか動画がYouTubeに載っている。

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 私たち研究者は自衛隊の皆さんにレクチャーしたり、訓練を見学させてもらったり、ASEANの若手軍人たちと懇談したりして過ごした。ゲスト用の個室をそれぞれ提供され、快適に過ごすことができた。

 朝5時55分に「総員起こし5分前」という号令が放送でかかるとみんな身支度(会場自衛隊では「身辺整理」と呼ぶ)を始め、6時に「総員起こし」の号令がかかる。6時15分から朝食、11時15分から昼食、17時15分から夕食と規則正しく動く。海上では携帯電話インターネットもつながらない。時々、艦橋で海図を見せていただきながら、位置を確認していく。

 朝晩は天気が崩れることが多いが、一晩だけ、南シナ海の満天の星空を見ることができた。赤道近くの星座はよく分からなかったが、あれだけの星を見たのはハワイマウイ島ハレアカラ山頂で見て以来だった。しかし、デジカメで星空は写せない。

 今回の私のベストショットは、夕暮れの海に飛び立つヘリコプターSH-60Kである。

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 艦内をいろいろ見学させてもらって改めて感じたのは、こうした大きな艦艇はチームワークで動かすしかないということ。艦橋で「おもーかーじ(右旋回)」と号令がかかると、その後ろにいる操舵手が実際に舵を切る。しかし、エンジンのスピードはずっと下の機械室で操作している。機械室では艦橋からの指示がジリンジリンと鳴るベルで伝えられ、操作盤のボタンを押してエンジンのスピードを調整する。機械室にいる人たちは窓もなく、外の様子が全く分からない。艦橋からの指示がおかしいと思ってもそれに絶対に服従する。そこに信頼関係がなければ操艦はできない。

 さまざまな人たちが役割分担をしながら護衛艦いずもは動いている。乗員だけで400人以上。いずもはすでに熊本の被災地支援に出動しているが、東日本大震災時のような大規模な災害も想定して数百人を収容できるようになっている。三食を確実に用意することに専念をする人、見張りに徹する人、ヘリコプターの整備に専心する人、たくさんの職種と階級に別れてチームワークは成り立っている。甲板より上にいて、常に外の様子が分かる人は半分もいないのではないか。船の下のほうに何層も降りていったところにあるエンジンルームは、常に轟音と熱がある。そこで何時間も過ごす乗員の皆さんのご苦労は計り知れない。

 ちょうど伊豆半島沖で米イージス艦フィッツジェラルドの事故があった直後で、艦艇を安全に動かすことの難しさが再認識されていたときだっただけに、非常に良い体験だった。海上自衛隊の皆さんの努力に敬意を表したい。そして、第1護衛隊群の伍賀群司令、いずもの甲斐艦長、大勢の乗組員の皆さんに感謝したい。

 一緒に乗艦した研究者たちの多くは、シンガポール港に帰港した際、「もっと乗っていたい」と言っていた。facebook中毒の同僚Hさんまでそう言っていたので驚いた。私は正直、「もう十分」という感じだった。私の名前は海上自衛隊向きだとよくからかわれるのだが、私に船乗りは務まらない。シンガポールから飛行機で帰国した後も体がユラユラしている感覚がなかなか抜けなかった。

2017-05-22

東京五輪をサイバーリスクから守る

川口貴久、土屋大洋東京五輪サイバーリスクから守る」『リスクマネジメントTODAY』第102号、2017年5月、4〜9頁。

 「サイバー攻撃時代を行く」という特集の一環です。

2017-04-26

デジタルメディアの奔流を誰が残しておくか

土屋大洋「デジタルメディアの奔流を誰が残しておくか」『MediaNet』第23号、2016年12月27日。

 湘南藤沢メディアセンター(簡単に言えばSFC図書館)の所長を拝命している関係で書かせてもらった原稿。年末に出たのを忘れていた。

 秋から続いていた仕事の波が一段落して、今週は比較的平穏だ。明日のテレビ出演がやや頭の痛いところだが、それが終われば連休だ。今週中に原稿の修正2本と論文査読1本やれば良い。連休が明けて5月末まで短い原稿を1本書くだけで良いみたいだ。講演や国際会議はいくつかあるが、なんとか乗り切れる気がしてきた。

2017-03-04

サイバーセキュリティにおける制裁のメニューの検討を

土屋大洋サイバーセキュリティにおける制裁のメニューの検討を」国際社会経済研究所、2017年3月。

 客員研究員をしている国際社会経済研究所にコラムを載せていただきました。

2017-02-14

Improving Cybersecurity Cooperation between the Governments of the United States and Japan

Linton Wells II, Motohiro Tsuchiya, and Riley Repko, "Improving Cybersecurity Cooperation between the Governments of the United States and Japan," SPFUSA, February 9, 2017.

 SPFUSAからの依頼で、共著で日米のサイバーセキュリティについて報告書を書きました。なかなか大変でした。

著者が語る

土屋大洋「著者が語る 『暴露の世紀 国家を揺るがすサイバーテロリズム』」『月刊公明』2017年3月号、79頁。

 自著について紹介する記事を書かせていただきました。オンラインでの閲覧はできないようです。言うまでもないことですが、寄稿によって支持政党を示すものではありません。

2017-02-05

タリン・マニュアル2.0

 長く待たれていたタリン・マニュアル2.0がリリースされた。amazonでも入手可能になっている。私はKindle版を入手した。この2.0は1.0の改訂版ではなく、1.0が戦時での国際法サイバースペースへの適用を扱っていたのに対し、2.0は平時の適用を扱っている。まだ読めていないが、読むのが楽しみだ。

 ワシントンDCでは今週8日にAtlantic Councilで出版記念イベントが開かれる。ワシントンにおられる方は是非参加してください。元気があったらネット中継を見よう。

2017-02-03

ハイブリッド戦争の到来

土屋大洋「ハイブリッド戦争の到来——サイバー攻撃が社会を混乱させる」『三田評論』2017年2月号、33〜36頁。

 『三田評論』は慶應の機関誌で、一般書店では手に入りにくいかもしれませんが、慶應義塾大学出版会ウェブで注文できます。2月号は「サイバーセキュリティの展望」という特集で、大塚海夫/三角育生/小宮山功一朗/村井純の各氏による座談会や、同僚の新保さんの寄稿もあります。

 他には国分良成防衛大学校校長の「防衛大学校と慶應義塾」という講演録が注目ですね。

2017-01-17

日中韓サイバーセキュリティ・トラック2協議

土屋大洋日中韓サイバーセキュリティ・トラック2協議」『東亜』2017年1月号、6〜7頁。

 11月にソウルで行った協議のことを書きました。オンラインでも読めます。

 そのソウルでお目にかかった毎日新聞の米村耕一ソウル支局長も書いておられます。米村支局長は慶應SFC(総合政策学部)の卒業生です。

2017-01-14

暴露が続くアメリカ政治――ロシアが仕掛ける「情報攻撃」

土屋大洋暴露が続くアメリカ政治――ロシアが仕掛ける『情報攻撃』」『Newsweek日本版』2017年1月14日。

 そして、これが先ほど公開されました。ちょっと似たような内容ですが、新しい動きが出てきたので。

 ついでに本日(2017年1月14日)の読売新聞の若江雅子編集員による「解説スペシャル 偽ニュース 『SNS謀略』」でもコメントを載せていただいています。オンラインで読むにはログインが必要なようです。

サイバー戦場の霧を晴らす

土屋大洋サイバー戦場の霧を晴らす」日本国際問題研究所編『国際問題』2017年1・2月合併号。

「安全保障と技術の新展開」という特集号で、以下の皆さんの原稿もセットです。

安全保障の空間的変容 / 鈴木一人

無人化システム・ロボティクスと安全保障 / 神保 謙

技術と安全保障 米国の国防イノベーションにおけるオートノミー導入構想 / 森  聡

ウクライナ危機にみるロシアの介入戦略 ハイブリッド戦略とは何か / 小泉 悠

2016-12-02

暴露の世紀

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土屋大洋暴露の世紀 国家を揺るがすサイバーテロリズム角川新書、2016年。

 4月の末にお話をいただいて、夏と秋を使って書き、まとめてきた本が出版された。本当に年内に出るとは思わなかった。

 この間、ほとんどブログを更新できなかったが、8月にはハワイのイースト・ウエスト・センターに戻り、原稿のとりまとめと加筆・修正を行う時間がとれた。9月は北京シンガポールベルリン、パリ、ビリニュスリトアニア)を回ってきた。10月はロンドンのキングス・カレッジ・ロンドンでワークショップに参加した。

 この頃から疲れが出て体調が悪くなった。ロンドン行きは、夜遅くに羽田空港まで初校ゲラを届けていただいたが、ひどい風邪を引きながら香港経由で20時間かけてロンドンまで行き、現地で風邪薬が切れてしまい、ひどい状態になった。帰路の香港で、たまらず空港の足裏マッサージに入ってみたら、これが劇的に効いて少し体調が良くなった。

 しかし、ロンドンの往復時にチェックするはずだった初校ゲラが進まず、秋学期になって始まった英語の授業の準備にも追われ、11月初めにソウルに行った後にぎっくり腰になった。ここでも再校ゲラのチェックが進まず、どんどん他の仕事が遅れ、今は二つ、締切に遅れている仕事がある。次の出張が来る前に、その二つをどうしても終えておかなくてはいけないが、できる見通しが立たない。

 訪問してきた各地でいろいろおもしろいこともあったが、ここで書けなかったのが残念だ。

 この本は、これまで出してきた本と少し路線が違う(と本人は思っている)。あまり学問的な裏付けは意識せず、現場重視で書いている。主要参考文献は少し挙げてあるが、脚注は全くない。写真がたくさん入っているが、すべて自前で撮った写真である。水中カメラで撮った海底ケーブルの写真もある。コントラストが弱いので印刷は無理かと思ったが、見事に処理していただいた。

 担当してくださったKADOKAWAの皆さんに感謝したい。

政府はサイバー空間を守れるか

 めずらしく、たぶん初めて、対談が活字になりました。相手をしてくださったのは、外務省サイバー安全保障政策室の室長の齋藤敦さんです。

土屋大洋、齋藤敦「政府サイバー空間を守れるか」『外交』第40号、2016年11月、49〜60頁。

2016-09-04

U.S.–Japan Alliance Conference: Strengthening Strategic Cooperation

Harold, Scott Warren, Martin C. Libicki, Motohiro Tsuchiya, Yurie Ito, Roger Cliff, Ken Jimbo and Yuki Tatsumi. U.S.–Japan Alliance Conference: Strengthening Strategic Cooperation. Santa Monica, CA: RAND Corporation, 2016. http://www.rand.org/pubs/conf_proceedings/CF351.html.

 3月にサンタモニカのRANDで行われた会議の報告書がまとまったとのこと。半年間、何度もレビューがありました。こういうところから何かを出すのは大変なんですね。

2016-08-28

SSUフォーラム

 今夏は出張が多いのですが、合間に東京大学政策ビジョン研究センター安全保障研究ユニットに呼んでいただき、お話しする予定です。しかし、よく見ると英語じゃん……

日時: 2016年9月7日(水)10:30-12:00

場所: 伊藤国際学術研究センター 3F 中教室

講演: Cyber Security and International Order

講演者: Caroline Baylon AXA情報セキュリティ研究部主査

土屋大洋 慶應義塾大学教授

言語: 英語

定員: 60名

主催: 東京大学政策ビジョン研究センター安全保障研究ユニット

http://pari.u-tokyo.ac.jp/unit/ssu/events/index.html

2016-07-16

新たな暗号戦争が始まりつつある

土屋大洋「新たな暗号戦争が始まりつつある」『東亜』第589号、2016年7月、6〜7頁。

 連載の第3回です。

2016-06-26

ベルリン

 2008年〜09年にMITでお世話になったリチャード・サミュエルズ教授ドイツベルリンで日本のグランド・ストラテジーに関するワークショップを開催するというので参加した。サミュエルズ教授にお目にかかるのは6〜7年ぶりだろうか。

 私は相変わらずサイバーセキュリティの話をする。日本からの参加者は私の他に8人。すべて知り合いの方々だったので旧交を温めることができた。諸外国からの参加者は11人。それに地元のオブザーバーが出たり入ったりする。

 しかし、部屋も暖かかった。というか、暑かった。ベルリンは今年一番の暑さで30度超え。ベルリン自由大学の狭い部屋にはエアコンがなく、30人がぎゅうぎゅう詰め。風もほとんど入らない。サウナ状態での2日間だった。会議中にこんなに汗をかいたのは久しぶりだ。震災後の日本でもないと思う。その分思い出に残るワークショップになった。

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 3年かけて本にするとのことだが、脱落しないようにしないと。

 そうそう、ワークショップの1日目がイギリス国民投票の日だった。2日目の朝、みんな結果に苦笑い。そして、何が起きるのだろうかとため息。いろいろな影響がアジアにもあるだろう。次の英国首相になると見込まれているボリス・ジョンソンと現在の首相のデイビッド・キャメロンを幼い頃から比較する番組がBBCで流れている。EUからイギリスが抜けることによるインパクトも数字で具体的に何度も流していて、BBCが結果に失望していることをなんとなく感じさせる。

 2日目のワークショップ終了後、日本の大使の差し入れで、会議場でレセプション。私は頭が痛くなるので滅多にワインを飲まないが、このときは冷たい白ワインがとてもおいしかった。それともドイツワインが口に合うのか。その後、防衛駐在官のNさんにドイツ料理の店に連れて行ってもらう。シーズン最後という巨大なホワイトアスパラガス、アイスヴァイン他の肉盛り合わせ、それにビールを堪能した。

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 今年前半はとにかくたくさん国際シンポジウム、国際ワークショップに出た。これでいったん打ち止め。7月と8月はお断りして、7月は授業をしっかりやって採点をする。8月は充電と原稿書き。9月からまた海外回りを再開する予定。

2016-06-16

スノーデンが暴いた米英の「特別な関係」、さらに深まる

土屋大洋スノーデンが暴いた米英の『特別な関係』、さらに深まる」『Newsweek日本版』2016年6月15日。

 先日のワシントンDCでのサイバー犯罪シンポジウムに基づくものです。

 連載19回目という中途半端ですが、しばらく(少なくとも夏の間は)この連載はお休みになります。