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「表現の自由」を守るためのアウェアネス・リボン運動 「うぐいすリボン」

2016-08-12 民進党の表現規制公約は、一体どこから来たのか?(後編) このエントリーを含むブックマーク

いよいよ《後編》である。

《中編》では、エクパット東京警察庁生活安全局が、第三次男女共同参画基本計画児童ポルノ禁止法による漫画やアニメ規制など、多くのメディア規制条項を入れたにも関わらず、それらを福島みずほ男女共同参画担当相が大幅に削除・修正したエピソードを紹介した。

ただし全てが削除や修正されたわけでは無く、一部は残った。
その一つが後に問題になる

性・暴力表現が人々の心理・行動に与える影響についての調査方法を検討する。


という一文だ。
実はこの一文が、後の平成27年12月25日に閣議決定された第四次男女共同参画基本計画では、削除という展開を迎えていた。
では第三次男女共同参画計画と第四次男女共同参画計画では、一体何が変わったのか?


■第四次男女共同参画計画では、表現規制はどうなったのか?

まず第三次男女共同参画計画にあった『第13分野 メディアにおける男女共同参画の推進』が完全に削除され、『第10分野 教育・メディア等を通じた意識改革、理解の促進』に変更された。
この新たに作られた第10分野では、先述の第13分野にあったメディア規制要素が大幅に削除され、代わりに「男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」や、「特に男性や若者世代を対象とした固定的性別役割分担意識の解消のための広報・啓発」などの、国民的意識向上やそのための広報などが中心に置かれるようになった。
その結果、僅かに残ったメディア規制条項は以下の3点となった。

第四次男女共同参画計画『第10分野 教育・メディア等を通じた意識改革、理解の促進』
http://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/4th/pdf/2-10.pdf
(1)男女共同参画推進連携会議等の場を通じて、メディア各社の取組や課題を共有し、メディア自身による不適切な表現の防止に活用する。
(2)メディア産業の性・暴力表現について、DVD、ビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野を含め、自主規制等の取組を促進するとともに、表現の自由を十分尊重した上で、その流通・閲覧等に関する対策の在り方を検討する。
(3)メディアを通じて流れる様々な情報を国民が主体的に収集、判断する能力、また適切に発信する能力を身に付けるため、メディアリテラシーの向上を図る。


このように「意識の共有」「自主規制の促進」「メディアリテラシーの向上」と、規制らしい規制はほぼ無くなっている。

また第三次男女共同参画計画中間整理案)で大問題となった、『第9分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶』もその内容を大きく様変わりさせることになった。
実在の女性の人権保護(DVやストーカーSNSを発端とする際相手からの暴力、性犯罪、売買春、人身取引等暴力等)が中心となり、その結果メディア規制色は大幅に薄れた。
メディアにおける性・暴力表現への対応」でも、リベンジポルノが大きく取り上げられ、漫画やアニメ・ゲームなどへの言及は、以下の2点の自主規制についてのみとなった。

第四次男女共同参画計画『第7分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶』
http://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/4th/pdf/2-07.pdf
(2)わいせつな雑誌、コンピューターソフト、ビデオやインターネット上の情報について、法令に基づいた厳正な取締りに努めるほか、業界による自主規制などの取組を促す。
(4)メディア産業の性・暴力表現について、DVDやインターネット上での取扱いを含め、自主規制等の取組を促進する。


第三次男女共同参画計画『第13分野 メディアにおける男女共同参画の推進』にあった、「性・暴力表現が人々の心理・行動に与える影響についての調査方法を検討する。」は、第四次男女共同参画計画では綺麗サッパリ消え去った。
このように第四次男女共同参画計画が大きく様変わりした背景には、「そもそもポルノ規制問題を男女共同参画計画で扱うべきなのか?」という疑問が、委員から提示されたことが大きな要因となっている。

『第77回男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会』
平成27年2月13日(金)10:00〜12:00
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/gijiroku/pdf/bo77-g.pdf

・辻村会長(辻村みよ子 明治大学法科大学院教授)

そうすると、法改正になりまして(児童)ポルノ単純所持まで禁止ということになっておりまして、ことしの7月から施行されるということです。
あとはバーチャルポルノについてどうするかとか、さまざまな課題は残っておりますけれども、これについて女性に対する暴力の根絶というタイトルをつけてしまうとなかなか難しいですね。
もちろん児童ポルノの場合には男の子が当然入りますから、男性が加害者で、女性が被害者という頭で考えていくと非常に狭くなってしまいます。

でも、ここは女性の安心・安全というところに入れてしまうので、どうしても女性の話です。
ここに児童ポルノの話まで入れるとどういうふうに関係づけるのか難しいですね。
タイトルをつけながらも、やはりこういう問題も全部包摂しているということがわかるような書きぶりをしていかないと、第三次計画と大体比較されることになると思いますので、メディアとか、国民の意識とか、広い視点からまとめておくというのも一つの考え方だと思いますね。


端的に言えば、辻村氏はポルノを男性→女性に限定するのはおかしい。
『女性に対する暴力の根絶』という分野で扱うには難しいのではないか?と指摘しているのだ。

これに対する各委員からは、児童ポルノや性描写を描いた漫画やアニメ・ゲームなどを指す「バーチャルポルノ」への言及は無く、DV問題やセクシャルマイノリティ問題、性的トランスジェンダーの問題、性教育について等、実在する女性の人権問題への対応に関する意見が出された。
この一連のやりとりが第四次男女共同参画計画から、メディア規制色を払拭させる流れを作ったといえよう。
メディア規制ではなく、実在する人間の人権を考えるという方針は、本来の男女共同参画計画の姿に戻ったともいえる。
かくてメディア規制色がほぼ払拭された、第四次男女共同参画計画であったのだが、思わぬ形で復活することになる。


民主党、第四次男女共同参画計画の対案に表現規制条項を盛り込む。

2015年09月09日、民主党『第四次男女共同参画計画(素案)に対する提言集』を発表。
その中に、下記の一文が盛り込まれたのだ。

メディアにおける性・暴力表現について、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、バーチャルな分野を含め、技術の進展及び普及のスピードに対応した対策を検討し、推進すること。」


『【概要版】第四次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」に対する提言案』の中で民主党は、

https://www.dpj.or.jp/download/23274.pdf
民主党としては特に人権侵害の最たる性暴力に対する取り組みを重視し、性犯罪等の被害者に対する支援を強化すべきであると考えている。例えば、「第四次計画」においては、ワンストップセンターの設置目標を明記し、政府地方自治体の取組を強力に後押しすべきである。」


と延べ、『第四次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)に対する提言案』では以下の要望を出している。

https://www.dpj.or.jp/download/23275.pdf
P5
「「素案」においては、教育とメディアを統合し「10 教育・メディア等を通じた意識改革、理解の促進」にした。しかし、両者は全く異質な分野である。男女共同参画社会の実現に向けて教育とメディアのそれぞれの役割の重要性に鑑み、両者を分離した上で具体的な政策項目を明記すること。」
P9
子どもに対する性暴力・性犯罪の深刻性に鑑み、「第三次計画」の具体的施策を引き継ぎ、拡充すること。」
P10
メディアにおける性・暴力表現について、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、バーチャルな分野を含め、技術の進展及び普及のスピードに対応した対策を検討し、推進すること。


削除された『第13分野 メディアにおける男女共同参画の推進』の復活や、第三次男女共同参画計画の各種政策の引き継ぎ、のちに大きな問題となる性・暴力表現にへの調査条項など、メディア規制色の濃かった同計画への回帰へと舵を切っているのである。
しかも福島みずほ男女共同参画大臣が、規制の行きすぎを防ぐ歯止めとして盛り込んだ、「表現の自由を十分尊重した上で」の一文すら無いのだ。
明らかにポルノを筆頭とした性・暴力表現の規制を志向した内容であった。

この方向性は2016年参議院選挙公約という形でさらに加速化していく。
ポルノセックスワークを「性暴力」だと認定し、「犯罪であり断じて許されるものではない」と処断しているのである。

民進党政策集2016
https://www.minshin.or.jp/compilation/policies2016/50091#h3_35
ポルノ売買春痴漢等の被害からインターネット上の性犯罪、子ども高齢者・男性を対象とする性的虐待・暴力、あるいは性的指向性自認に関する暴力に至るまで、性暴力は、被害者の人権を著しく侵害し、心身を害する重大、深刻な被害が生ずる犯罪であり、断じて許されるものではありません。
さらに性暴力被害者は、就労が困難になるなど、格差を生む要因ともなっています。

メディアにおける性・暴力表現について、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、バーチャルな分野を含め、技術の進展及び普及のスピードに対応した対策を検討し、推進します。

売買春等における買い手を生まないための教育・啓発など、「女性の性を商品化する風潮」を変える取り組みを具体的に進めます。


この民進党参議院選挙公約は、ネット上で大きな反発を招いた。

民進党が「規制派に乗っ取られた?」選挙公約めぐりオタクたちに新たな混乱
おたぽる 7月1日(金)11時0分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160701-00010001-otapolz-ent
さて、今回の参院選で「表現規制」に興味を持つオタクたちを驚かせているのが、あたかも「規制派」に寝返ったかに見える民進党公約である。
同党が公開した「民進党政策集2016」には、次のような公約が掲げられている。
(略)
あたかも新たな「表現規制」を行うかのような公約。同党は民主党の時代から「表現規制」に関する立法に賛成する議員と反対する議員が同居する政党ではあった。しかし、近年ではどちらかというと規制には反対のほうが多数派と見られていた。
そうした中で、降って湧いた公約に、現在の参院選で「表現規制」に反対する民進党の候補を支持していた人々にも動揺が広がっているのである。

広瀬犬山猫 @poevil
https://twitter.com/poevil/status/746337917107240960
ほんとだ。民進党表現の自由を壊しにきましたね。アメリカデンマークメディアと犯罪の発生に相関性はないって結果が出てるのに、でっち上げるつもりなんでしょうか。

参考:
デンマーク法務省報告「漫画やアニメ児童性犯罪の因果関係は無い」 』
http://d.hatena.ne.jp/taka_take/20140910
>2012年7月23日、デンマーク法務省は「漫画やアニメなどの架空児童ポルノと、児童性犯罪の間に因果関係が無い」事を、調査結果として発表した。


上記のツイートは5000を越えるRTを集め、民進党の森たかゆき中野区議会議員困惑を表明した。

森たかゆき 中野区議会議員 @moritakayuki
https://twitter.com/moritakayuki/status/746878151523893248
私もこの文言が入ったのは非常に不本意です。
ただ、これですぐどうなる話ではなく、例えば法案として取りまとめるまでには様々なプロセスが必要です。
その意味で、民進党内に表現規制に慎重な立場の議員を増やす意義はさらに大きくなったと思います。


また、「売買春等における買い手を生まないための教育・啓発など、「女性の性を商品化する風潮」を変える取り組みを具体的に進めます。」という、民進党公約に対して、『セックスワーカーとして働く人たちが安全・健康に働けることを目指して活動するグループ SWASH』のメンバーである、要友紀子氏は強く反発。
2016年6月28日に公約撤回を求めて、同党に抗議文書を送ったことを発表した。

要友紀子@kanameyukiko
https://twitter.com/kanameyukiko/status/747671088453255169
買春防止教育や啓発は余計な政策ていうか、むしろこんなに害だと、選挙政策の撤回削除を求め、民進党に送りました。


現在、世界的にはセックスワーカーの権利尊重が叫ばれており、様々な国際団体から成人同士の合意に基づく売買春の合法化や、非犯罪化を求める声明が相次いで出されてる。

セックスワーカーの権利を支援するフェミニストマニフェスト
Published by swash on 7月 6th, 2016
http://swashweb.sakura.ne.jp/node/154
ヨーロッパセックスワーカーの権利に関する国際委員会が、3/8の国際女性デーに際して作った『セックスワーカーの権利を支援するフェミニスト・マニフェスト』の翻訳です。ヨーロッパ中央アジアの129のフェミニスト団体、クィア団体、移民団体、セックスワーカー団体等が、このマニフェスト賛同署名しています。

このマニフェスト署名者であるわたしたち、すなわち、女性の権利、フェミニスト及びセックスワーカーの権利を求める組織及び団体は、セックスワーカーの自己決定権を支持し、セックスワークを仕事と認めると表明する。
欧州中央アジアにおいて、女性の権利、リプロダクティブ・ライツジェンダー平等が脅かされている現在、わたしたちは、構造的、制度的暴力から、物理的、対人的な暴力まで、多種多様な形態の暴力に見舞われているセックスワーカーと連帯する。

セックスワーカーが直面している組織的な抑圧に対処するため、わたしたちは全てのフェミニストに対し、運動の中にセックスワーカーの声を組み込み、その声を拡大することに、そしてセックスワーカーの権利にとって有害であると証明済の法的枠組みの促進を阻止することに、その資源を集中するよう求める。

 わたしたちは、フェミニスト運動に対して、家父長制社会、資本主義社会、白人至上主義社会の内部にジェンダーの不公平を位置づけ、トランスの人々やセックスワーカー包摂するよう訴える。
わたしたちの社会の刑事司法制度は抑圧的なものであり、ゆえにわたしたちは、取り締まりを行い、罪に問い、刑務所に収監する活動を増強することが、女性、トランスの人々への暴力とジェンダーの不平等を解決する唯一の手段ではないと考える。
わたしたちは、経済的な不平等と、アクセス可能な社会保障網やサービスの欠如とを含めた女性及びトランスの人々への複雑な暴力に対するコミュニティの介入、長期的な組織化及び動員に信頼を置く。
(以下略)

アムネスティセックスワーカーの権利保護に関する方針と調査結果を公表
2016年5月26日
https://www.amnesty.or.jp/news/2016/0526_6061.html
方針は各国政府に対していくつかの点を要請している。例えば、危害、搾取、強要などからセックスワーカーを守る対策をとること、自分たちの生活と安全に関わる施策立法化を目指す取り組みにセックスワーカーを参画させること、差別撤廃とすべての人びとに教育と雇用の機会を提供することなどである。

またこの方針では、合意に基づくセックスワークの非犯罪化を勧告している。
買春、客引き、一般的なセックスワーク組織化など、関連行為を禁ずる法律も対象に含む。

このような法律はかえってセックスワーカーの安全を脅かし、彼らを利用し虐待する側の不処罰を招いていることが、証拠で明らかになっている。
セックスワーカーが、罰せられることを恐れて犯罪被害を警察に報告できない場合が多いためである。したがってセックスワークに関する法律は、もっぱら搾取虐待から人々を守ることに焦点を当てるべきで、すべてのセックスワークを禁止し、セックスワーカーを処罰するものであってはならない。


このような、ある種時代錯誤とも言われかねない公約を、なぜ民進党が採用したのかは、今のところ詳細な事実関係は不明である。
元漫画家の鎌やん氏が、現在親交を持つ民進党候補者に調査を依頼しているので、その続報が待たれる状況となっている。
ただ同氏が依頼した調査も結果が出るのか不明なので、筆者も独自に調べてみた。


■一体誰が民主党表現規制を吹き込んだのか?

ます事の発端は、すでに先述したように今回の発端は『第四次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)に対する提言案』に書かれた、メディア規制条項だ。
その提言案ををまとめたのは、民主党男女共同参画推進本部・内閣部門(男女共同参画子ども)会議である。
調べてみたところ、今回の件のヒントとなる会合を同会議が2015年6月11日に開いていたことが判明した。

男女共同参画推進本部・内閣部門合同会議が性犯罪被害者対策についてヒアリング
2015年06月11日
http://dpj-diversity.net/article/106900/%E7%94%B7%E5%A5%B3%E5%85%B1%E5%90%8C%E5%8F%82%E7%94%BB%E6%8E%A8%E9%80%B2%E6%9C%AC%E9%83%A8%E3%83%BB%E5%86%85%E9%96%A3%E9%83%A8%E9%96%80%E5%90%88%E5%90%8C%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E3%81%8C%E6%80%A7%E7%8A%AF%E7%BD%AA%E8%A2%AB%E5%AE%B3%E8%80%85%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%83%92%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0

男女共同参画推進本部と内閣部門(男女共同参画子ども)は11日午後、国会内で合同会議を開催し、性犯罪被害者対策について関係省庁、有識者よりヒアリングを行った。
会議ではまず、民主党政権下で策定された「第三次男女共同参画基本計画」において、性犯罪対策の推進と、強姦罪見直しなど性犯罪に関する罰則のあり方を検討するとされたことを踏まえ、現在の検討状況や各種の取り組みについて関係省庁から報告を受けた。
その上で、性犯罪被害者の現状や性暴力に対する包括的な法整備等について、「性暴力禁止法をつくろうネットワーク」共同代表の周藤由美子氏、戒能民江氏より説明を受けた。
現状の問題点や優先的に実施すべき課題について意見交換を行った後、必要な法制度を検討していくことが確認された。


この記事に記載されてる、「性犯罪被害者の現状や性暴力に対する包括的な法整備等」は現在、性暴力被害者支援法という形で野党5党が成立を目指して動いている状況である。
この性暴力被害者支援法は、実在する性暴力被害者を支援し、ケアするための法律で、それ自体は非常に良い内容となっている。

2016年05月12日
性暴力被害者支援法案野党5党が衆院に提出 
https://www.minshin.or.jp/article/109053

性暴力被害者の支援に関する法律案 概要
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/housei/pdf/190hou38siryou.pdf/$File/190hou38siryou.pdf


問題は、この時民主党がヒヤリングを行った団体である『性暴力禁止法をつくろうネットワーク』(以下、性暴力禁止法ネット)が、『ポルノ被害と性暴力を考える会』(以下、PAPS)と協力関係にある団体だということだ。

PAPSはポルノ全般はもちろん、漫画やアニメ・ゲームなどを法規制すべく活動してきたポルノ・買春問題研究会(以下、APP研)が母体となって作られた団体だ。

2013年には、森美術館で開催された個展『会田誠展:天才でごめんなさい』で展示された作品が、「性暴力に当たる」「女性の尊厳を著しく傷つける」として抗議活動を行い、森美術館に作品の撤去を申し入れている。
同団体は構成メンバーも被っており、金尻カズナ*1や森田成也はPAPSとAPP研の両方のメンバーとなっている。
APP研はラディカルフェミニズムを信奉する表現規制団体で、児童ポルノ禁止法ではエクパット東京と組んで表現規制推進活動を続けてきており、2009年のレイプレイ事件では規制に向けて主導的な働きをした。
APP研の共同代表角田由紀子は、レイプレイ問題で日本や国連女子差別撤廃条約委員会圧力をかけた国際人権団体イクオリティナウの理事であった。
またラディカルフェミニズムの思想的主導者の1人であるキャサリン・マッキノンも同団体の理事で、角田はマッキノンとも親交が深い。

性暴力ネットとPAPSの関係の深さは、2015年時点のPAPS公式HPでも確認できる。

PAPS公式HPより。
https://paps-jp.org/aboutus/todo/support/
現在、「性暴力禁止法をつくろうネットワーク」が学者、弁護士カウンセラー、現場の支援者、市民活動家などを中心に結成され、包括的な性暴力防止の法整備と被害者支援の体制づくりをめざして活動しています。このネットワークにはすでに500人以上の方が参加しています。


また性暴力禁止法ネットとPAPSは2016年7月2日に、ポルノ全体の規制を目指したイベントを開催してる。

性暴力禁止法をつくろうネットワークシンポジウム 
ポルノグラフィーと性暴力被害』

http://svkinshiho.blog.fc2.com/blog-entry-36.html
今回のシンポジウムでは、性暴力としてのポルノグラフィーを取り上げる。
ポルノグラフィーは、「わいせつ物」「わいせつな表現」としてとりあげられ、法的には刑法上の規制(わいせつ頒布罪)と憲法表現の自由の問題として議論されてきた。
性暴力禁止法ネットにおいても、性暴力としてのポルノグラフィーについて、真正面から向き合ってこなかったといえる。
本シンポでは、相談と裁判事例を通してみた制作・流通・消費の過程でのポルノ被害の実態と社会的・法的な認識の実相について学び、なぜ、いま、ポルノグラフィーを取り上げるのか、性差別問題としての核心は何か、ともに考えていきたい。
今回のシンポジウムを契機に、本ネットの最終目標である「包括的な性暴力禁止法」にポルノグラフィーをどう位置づけるか、検討へ向けた議論がまきおこることを願っている。

2016年)7月2日(土)18:00〜21:00(17時50分開場)
会場:文京区男女平等センター 研修室A   
参加費:500円

パネリスト  
金尻カズナ ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)
伊藤和子  弁護士
森田成也   ポルノ・買春問題研究会、大学非常勤講師
コーディネーター  
戒能民江 性暴力禁止法をつくろうネットワーク共同代表


性暴力禁止法ネットの共同代表のひとり、周藤由美子は任意団体『性暴力を許さない女の会』(代表:栗原洋子)にも所属しており、2010年からPAPSの前身であるAPP研と関係を持っている。

性暴力を許さない女の会
http://fields.canpan.info/organization/detail/1028251526
2010年11月ポルノ・買春問題研究会と共催・財団法人とよなか男女共同参画推進財団の協賛でシンポジウムポルノ規制はなぜ必要か」を開催
2012年7月に性暴力禁止法をつくろうネットワーク公開講座韓国の性暴力法制定運動」を共催

6月8日『橋下市長の「慰安婦」・性暴力発言を許さず 辞任を求める集会』報告 周藤由美子
2013.06.17 Mon
https://wan.or.jp/article/show/2180
6月8日に行われた『橋下市長の「慰安婦」・性暴力発言を許さず辞任を求める集会』の簡単な報告をしたいと思います。
賛同団体は当日までに69団体集まりました。
(略)
私が特に印象に残ったのは、自分が所属する団体でなんですが、性暴力を許さない女の会のものでした。


さらに、APP研の共同代表であった弁護士角田由紀子弁護士)と、性暴力ネット共同代表の戒能民江(お茶ノ水女子大名誉教授)は、2014年2月15日開催の日本学術会議公開シンポジウム『法の世界とジェンダー:司法と立法を変えることはできるのか?』や、2015年1月24日に開催されたシンポジウム『要保護女子の収容・保護・更生から女性の人権へ〜今こそ変えよう売春防止法〜』に共に登壇しており、さらに2014年9月29日に開催された院内集会『9/29@東京 これでいいの!?「女性の活躍法」 院内集会』では、二人そろって呼びかけ人として名を連ねている。

他にも、性暴力禁止法ネットとPAPSは、2013年5月22日の『女性の人権を尊重する政治を!橋下発言に抗議する緊急院内集会』、同年6月8日『橋下市長の「慰安婦」・性暴力発言を許さず 辞任を求める集会』などに賛同団体として名を連ねている。

実のところ性暴力禁止法ネットは2016年6月時点では、メディア規制に関して団体の公式見解としては特に言及してはいない。
同団体が公式HPで行った第4次男女共同参画計画へのパブリックコメント送付の呼びかけでも、メディア規制については触れていない。
ポルノ規制やメディア規制に初めて言及したのは同年7月2日のイベントでのことである。
ただしこの両団体の密接な関係ぶりをみれば分かる様に、思想的にはほぼ共鳴状態、賛同状態にあると考えていいだろう。


そろそろ結論といこう。
以上、述べた状況から次の可能性が考えられる。

一連のメディア規制条項は、PAPSの意を汲んだ性暴力禁止法ネットか、性暴力禁止法ネットを通してPAPSが要望した可能性。あるいはこれらの団体からロビーを受けたか、彼らの思想に共鳴した議員が盛り込んだ可能性が考えられるということだ。
ここでPAPSが出てくるのは、参議院選挙公約である『民進党政策集2016』に、ポルノセックスワークを社会悪とするPAPSの思想が、大きく反映されていることに由来すると思われるからである。

民進党政策集2016
https://www.minshin.or.jp/compilation/policies2016/50091#h3_35
ポルノ売買春痴漢等の被害からインターネット上の性犯罪、子ども高齢者・男性を対象とする性的虐待・暴力、あるいは性的指向性自認に関する暴力に至るまで、性暴力は、被害者の人権を著しく侵害し、心身を害する重大、深刻な被害が生ずる犯罪であり、断じて許されるものではありません。
さらに性暴力被害者は、就労が困難になるなど、格差を生む要因ともなっています。

メディアにおける性・暴力表現について、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、バーチャルな分野を含め、技術の進展及び普及のスピードに対応した対策を検討し、推進します。

アダルトビデオ(AV)やいわゆるJKビジネスにおける女性・子どもの被害防止、被害者救済・支援、加害者取締り等のために、実態把握を進めます。既存の法制度を適切に運用・周知するとともに、必要な改善策を検討します。

売買春等における買い手を生まないための教育・啓発など、「女性の性を商品化する風潮」を変える取り組みを具体的に進めます。


特に「アダルトビデオ(AV)やいわゆるJKビジネスにおける女性・子どもの被害防止、被害者救済・支援、加害者取締り等のために、実態把握を進めます。既存の法制度を適切に運用・周知するとともに、必要な改善策を検討します。」という一文は、まさに性暴力ネットとPAPSが取り組んでいるAV強要事件の問題そのものである。
また「ポルノ売買春(中略)に至るまで、性暴力は、被害者の人権を著しく侵害し、心身を害する重大、深刻な被害が生ずる犯罪であり、断じて許されるものではありません。」、「売買春等における買い手を生まないための教育・啓発など、「女性の性を商品化する風潮」を変える取り組み」という一文には、ポルノ売買春セックスワーク)を社会悪とするという、PAPSの思想を強く見て取れる。

性暴力禁止法ネットは2015年6月11日に、男女共同参画推進本部・内閣部門合同会議から性犯罪被害者対策についてのヒアリングを受けている。
政党からヒヤリングを受けるということは、政党やその所属議員に以前からロビーして、深い関係を作っているということを意味する。
つまり、彼らは当時の民主党の政策立案に影響力を与えられる力があったということになる。

民主党のヒヤリングに呼ばれるほどの地位を固めた性暴力禁止法ネットはその力を持って、2015年民主党の『第四次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)に対する提言案』に、第三次男女共同参画計画への再評価やメディア規制条項を盛り込ませ(無論これは先述したようにPAPSの要望によるものである可能性もあるだろう。)、さらに『民進党政策集2016』では特にPAPSの意向を入れ、メディア規制条項の他にポルノセックスワークを社会悪とする公約民進党に呑ませたと考えられる。

(※2016年8月12日追記:もうひとつの別の可能性としては、性暴力禁止法ネットの影響力を背景にPAPSが民進党にロビーし、上記の意向を飲ませた可能性も考えられる。)

なお以上の結論は、あくまで私が状況証拠から導いた推論であり、これが真実かどうかは現段階では不明であることを付記しておく。


民進党民主党)は表現規制推進政党なのか? それとも規制反対派政党なのか?

では民進党は規制推進政党になってしまったのだろうか?
それは否、と言えるだろう。

民進党の前身であった民主党枝野幸男民進党幹事長を筆頭に、児童ポルノ禁止法での漫画やアニメ規制に反対するなど、表現規制反対派としての実績がある。また今回の参議院選挙枝野幹事長は次のように述べている。

荻野幸太郎 @ogi_fuji_npo
https://twitter.com/ogi_fuji_npo/status/749429801341947904
先程の秋葉原の街頭演説で、枝野幹事長本人が、民主党政策集について、誤解を招きかねない表現があったが、アニメや漫画を規制しようというものではない、と明言。
11:29 - 2016年7月3日


では民進党表現規制反対政党なのだろうか?
それも否、といわざるを得ない。

確かに前身の民主党時代には規制反対派議員が多くいたが、一方で小宮山洋子水島広子を筆頭に、漫画やアニメ規制を推進する議員も多くいた。すなわち規制反対派と推進派が混在するのが民主党であり、それは現在でも変わらないであろう。
ただ今までは規制反対派議員の声が大きく、そちらに天秤が傾いていた、というだけの話である。

現在、漫画家赤松健先生や山田太郎参議院議員、そしてNPOうぐいすリボンやコンテンツ文化研究会の尽力で、今まで規制推進政党であった自民党内にも規制反対派が生まれる状況になっている。
事実、今回の参議院選挙ではそれまで公約に盛り込まれていた青少年健全育成基本法の制定を公約から下げ、政策集に掲載する程度に留めている。

また今回の参議院選挙では、山田太郎参議院議員個人得票で29万票という、自民党の一大票田である農協よりもはるかに多い異例の票数を集めたことにより、永田町に大きな衝撃を与え、メディア規制反対の世論の強さを政界に知らしめた。

二次元規制の備忘録
『【文字起こし】アニメ・漫画・ゲーム等の味方、山田太郎氏が今後の活動について説明
http://nijigenkisei.ldblog.jp/archives/48077303.html
山田太郎参議院議員(以下、山田太郎
「昨日(2016年7月19日)朝ですね、ちょっと官邸のほうに行って30分ぐらい話をしてきました。今後、いろんな事が明らかになると思います。
それから、MANGA議連(マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟)のほうも、今ちょっと具体的にはまだ詰めてないので、正確には言いにくいんですけども、今後MANGA議連もですね、議員では(なくなり)バッジがなくてもですね、手伝ってくということになりましたので。まあ、強くですね、MANGA議連の役員のほうから引き止めというかですね、『手伝って欲しい』と。
(略)
坂井秘書
「でも、コメントで出てたんですど、『29万票は無駄ではなかった』って書いてあったんですけど。こういうのに呼ばれるのってやっぱりそうですよね」
山田太郎
「そうそう」
坂井秘書
これが3万票や5万票だったらたぶん呼ばれないはずですので。アニメ・マンガ・ゲーム好きの人達からいろいろ支持を受けてるっていうバックボーンがあるから、たぶん、またもう一回、『MANGA議連も手伝ってくれ』みたいな、そういう話がある
山田太郎
「いやもう、これは僕の力というよりも、皆さんに背中を押してもらったと」
山田太郎
「あと、各党からですね、ネット戦略について、いろいろアンダーで問い合わせが多くですね、それについても。あとは、官邸に行ったので少し言うと、安倍さんも、あとは閣議でもみんなが『すごいね』と。JA(≒農協)より(票を)取っちゃったみたいな。話題になっているという
坂井秘書
「閣議で話題になるって相当ですよね」

『「ネットは票にならない」を覆した山田太郎さんの29万票』
和田政宗日本のこころを大切にする党 政調会長
http://ameblo.jp/wada-masamune/entry-12179765560.html
全国比例に新党改革から立候補した山田太郎参議院議員が29万票を獲得。
新党改革議席を獲得できず、結局落選となったが驚異的な数字。
しかもこのほとんど全てが、ネットユーザーや”オタク層”からの得票であり、「ネットは票にならない」という政治家メディアで言われていた「通説」が覆された。
山田さんは、前回のみんなの党での得票は3万票。
強固な後援会や全国団体が支援しているわけではなく、山田さんの密接なつながりで獲得している票は多くても5万票と推定できる。
その他の24万票が、ネットユーザーとオタク層からの得票となる。
多くの議員選挙の時だけネット生放送や動画を活用するが、山田さんも私も継続的に行ってきた。
その他の手法も含め、山田さんに大いに学びたいと思う。

山田太郎さんは我が党とともに、いわゆるヘイトスピーチ規制法案に、憲法表現の自由に関わる問題であること、過度な表現規制につながるとの観点から、反対している。
昨年の安保法制成立の際も、与野党5党合意に積極的に関わっており、実は我が党と統一名簿などで一緒に出来ないかという話があった。
結局、この構想はうまくいかなかったわけだが、私はこの話があった時から一緒にやるべきであったと思っていた。
一緒にやっていれば我が党などの連合体は1議席を獲得し、2議席目をうかがうという状況になっていた。
我が党はこうした戦略ミスもあり、支援して下さった方に大変申し訳ないことになった。

ネットにおいては、我が党のボギーてどこん候補も、地元の沖縄とネットでの活動だけであったが、沖縄で3200票、その他都道府県で32000票と、ネットの力を大いに発揮した。
もう一度ネットの力についてしっかり分析したいと思う。  


今、政界の空気は漫画やアニメに対しては、メディア規制反対に傾いているという見立てもできるかもしれない。

しかし一方で、PAPSのような規制推進派団体もそれを座視はしていない。
規制反対派の各関係者の尽力により、自民党がかつての表現規制一辺倒を改める気配を見せている一方で、規制派もまた自公メディア規制に反対してきた民主党、現民進党にこのように食い込んでおり、それが顕在化したのが今回の一連の公約問題なのである。

今回、こうも規制派にとって事態スムーズに進んだのは、性暴力禁止法ネットやPAPSの要望に共鳴した民進党議員が、公約に盛り込める立場だったこと。
さらにこれに気づいて止めようとするー団体や議員が不在であったこと。
そして一連の公約が国民からどういう反応が来るのか、それを予想しチェックする部署が民進党に無かったことが原因と考えられる。

事実、このメディア規制公約がネットを中心に大いに批判を集めたところ、後日、枝野幸男民進党幹事長が先述したように、秋葉原での街宣演説で火消しをする展開になってしまった。
表現規制反対派として有名な枝野幸男議員をして、後から事態を知ったというこの有様は、民進党公約をチェックしなかったか、チェックが非常に甘かったことを裏付けたといえるだろう。



■漫画やアニメ表現の自由を守るためにそれぞれが出来ること


今回の様な事態を二度と繰り返させずに、漫画やアニメ表現の自由を守り、メディア規制反対を求めるために人々は一体何ができるだろうか?
それは表現の自由を求める各個人が、各々出来る方法で政治にコミットしていくしかない。

例えば、ネット上においてはNPO『うぐいすリボン』やコンテンツ文化研究会山田太郎参議院議員の『表現の自由を守る会』などに寄付や会員登録を行って支援する。
寄付金は活動資金に、会員(サポーター)数は世論の目安になるから、これらは政治では最も重要な要素だ。

また地元においては、地元の国会議員(どの党でも構わない)の開催する国政報告会に参加し、地元に表現規制に反対する世論があることをアピールする。
また、自民党に積極的にロビイングを行っている赤松健先生の漫画『UQ HOLDER !』を買って、印税で貢献するのもいいだろう。

幸い現在は様々な活動方法が提示されている。

会員募集
山田太郎参議院議員の『表現の自由を守る会』
(リンクはサポーター登録窓口)
https://hyogen.jp/?page_id=19


寄付金募集中
コンテンツ文化研究会
HP寄付金振込口座案内あり)
http://icc-japan.blogspot.jp/

うぐいすリボン
郵便振替、銀行振込、クレジットカードコンビニ決済)
http://www.jfsribbon.org/p/blog-page_5.html


会員及び、寄付金募集中
うぐいすリボン
(賛助会員募集中。年間年間1口5000円、または月会費2500円コース〜月会費1万円コースまで)
https://kessai.canpan.info/org/uguisumembers/

山田太郎の”僕たちのニューカルチャー” 〜表現の自由を守ろう!〜』
(月会費1000円コース〜月会費1万円コースまで)
https://synapse.am/contents/monthly/yamadataro

「ネット選挙は票にならない」覆す 参院選29万票の山田太郎氏、落選後も「表現の自由守る活動続ける」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1608/10/news086.html
7月の参院選でネットユーザーの支持を受け、29万票を獲得しながら落選に終わった前参院議員山田太郎氏が8月9日、参院選の振り返りと今後についてブログで発表した。
今後も表現の自由を守る運動を継続し、ロビー活動などを続ける。活動資金は、新会社を立ち上げたりオンラインサロンを運営するなどして捻出する。
(略)
活動資金捻出のため、「ニューカルチャーラボ」という新会社を設立。マンガやアニメ・ゲームを「サブカルチャー」ではなく「ニューカルチャー」ととらえ、それらを当たり前のものとして受け入れている若者の消費動向や行動様式を分析し、その結果に基づいて政府や企業に働きかけるビジネスを展開する。

 新たに、オンラインサロン「山田太郎の僕たちのニューカルチャー」(月額1000円〜)をオープン。表現の自由についてのディスカッション情報提供を行う。

虹乃ユウキ @YuukiNijino
https://twitter.com/YuukiNijino/status/763542176915558402
二次元を守るために尽力してくれた山田太郎議員は、有料会員を募る事で集めた資金を元に活動を継続する意向です。
無償で、二次元を守る活動をして下さい」と言われたら誰でも困ると思うのです。
継続希望の意思表示として皆で会員登録しましょう


https://twitter.com/YuukiNijino/status/763550514629922816
もしこれで十分な資金が集まらないなら、山田太郎さんが二次元を守る活動の継続を断念しても仕方ないと思っています。
山田さんは元居た業界に必要とされている優秀な人だし、支援者が覚悟を示せないなら、申し訳なくて続けてくれなんて言えないです。


政治の成果は、尽力してくれる人々の日々の絶え間ない努力があって、初めてもたらされるものである。
それは表現の自由も変わらない。
今や自由は無料無労働では手に入らない時代となった。

表現規制派の政治力によって、漫画やアニメ表現の自由を奪われたくなければ、私達自身が日頃から僅かでもいいから労力と資金投資していくしか守る術はない。

<了>

*1:金尻カズナはAPP研やPAPSの他に、ECPATジャパン(エクパット東京)の運営委員を務め、またライトハウス(旧ポラリスプロジェクトジャパン)にも所属している。エクパット東京ライトハウス(旧ポラリスプロジェクトジャパン)は共に児ポ法による漫画やアニメ規制を目指す規制派団体で、国際的にも強い影響力を持つ。そのためたびたび外圧をしかけてきている。

2016-07-09 2016年参議院選挙、表現規制反対・慎重派候補一覧まとめ このエントリーを含むブックマーク

明日はいよいよ参議院選挙の投票日なので、こちらにも。
なお例の民進党公約

メディアにおける性・暴力表現について、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、バーチャルな分野を含め、技術の進展及び普及のスピードに対応した対策を検討し、推進します。

は、漫画やアニメを規制するものではないと、枝野幸男民進幹事長は明言してます。詳しくは下記まとめを参照のこと。


2016-07-08 民進党の表現規制公約は、一体どこから来たのか?(中編) このエントリーを含むブックマーク

前後編にまとめるつもりだったが、予想以上に長くなってしまったので、《前編《中編》《後編》の三編に分けさせていただいた。
なにとぞ御容赦のほどを。


では、気を取り直して《前編》の続きといこう。

まず後藤啓二や林陽子などの表現規制派達が、一体いつ頃『男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会』の委員になったのかを見てみよう。

女性に対する暴力に関する専門調査会 委員名簿
平成21年2月23日現在
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/siryo/pdf/bo47-2.pdf

伊藤 公雄 京都大学大学院教授
岩井 宜子 専修大学法科大学院教授・副院長
大津 恵子 日本キリスト教婦人矯風会理事
奥山 明良 成城大学教授
帯野 久美子  株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
神津 カンナ 作家
後藤 啓二 弁護士
後藤 弘子 千葉大学大学院教授
小西 聖子 武蔵野大学大学院教授
根本 崇 野田市長
林 陽子 弁護士
原 健一 佐賀県DV総合対策センター所長
平川 和子 東京フェミニストセラピィセンター所長
前田 雅英 首都大学東京法科大学院教授
諸澤 英道 学校法人常磐大学理事


平成21年2月23日時点で、後藤啓二や林陽子、大津恵子、そして前田雅英首都大学東京法科大学院教授までが、同調査委員会の委員に選出されている。。
つまり後藤啓二らが委員になったのは、麻生太郎総理大臣をしていた自民党政権時代だ。

さらに後藤啓二だけでなく、前田雅英も同調査委員会の委員になっていることに注目したい。
彼らはその前年の平成20年12月24日時点で、漫画やアニメなどを児童ポルノとして規制するよう答申を出した、あの第28期青少年問題協議会の委員にもなっているのだ。

第28期青少年問題協議会第一回総会
平成20年12月24日(水)
都庁第一本庁舎42階 特別会議室A
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/seisyounen/pdf/09_singi/28s1giji.pdf
「次に、学識経験者の委員をご紹介いたします。
内山絢子委員でございます。大葉ナナコ委員でございます。加藤諦三委員でございます。木村忠正委員でございます。
後藤啓二委員でございます。 新谷珠恵委員でございます。鈴木茂委員でございます。住田佳子委員でございます。
徳本広孝委員でございます。野田聖子委員でございます。 前田雅英委員でございます。安川雅史委員でございます。
吉川誠司委員でございます。 近藤彰郎委員は、本日ご欠席でございます。」


後藤啓二前田雅英がなぜ委員に選出されたのか?
あくまで推測の域を出ないが、警察庁生活安全局の影響があったのではないかと私個人は考えている。

当時は後に連立政権を組む民主党社民党国民新党参議院過半数を握っていて、来る総選挙では民主党勝利が確実視されていた。
民主党社民党表現規制に反対していて、単純所持規制だけでなく、漫画やアニメ、ゲームなどの創作物を児童ポルノ禁止法で規制することに特に反対していた。
むろん民主党内には小宮山洋子のように表現規規制に賛同する議員もいたが、党派的な勢力構図としては国政では後藤啓二をはじめ、エクパット東京日本ユニセフなど表現規制派の要求が非常に通りにくい状況にあった。

そこで警察庁生活安全局や後藤啓二前田雅英らは、規制に対して反対派や慎重派を排除した形で調査会や審議会を行い、メディア規制色一色に染め上がった答申を出し、国や地方自治体(都)に政策化させるという方針を打ち出したと思われる。

マンガ包囲網 ─政官業民一体で推進される表現規制の多重構造─(後編)
http://d.hatena.ne.jp/taka_take/20120804/1344084790

2005年8月に東京都青少年治安対策本部を発足させた竹花豊は、警察庁生活安全局部長として霞ヶ関に戻った後、2006年4月庁内に、『バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会』を発足。
座長には警察と密接な関わりを持つ前田雅英首都大学教授を据え、児童を性の対象とする漫画やアニメ、そして同人誌の規制をその最終報告書に盛り込んだ。
 次に竹花豊は2006年6月にインターネット上の違法・有害情報の通報を受け付ける『インターネットホットラインセンター』を発足させ、そして同団体をサポートするアソシエイツ団体に児童ポルノ担当としてエクパット東京を迎えた。


この様に、警察庁生活安全局―エクパット東京日本キリスト教婦人矯風会後藤啓二)―前田雅英の三者は、表現規制推進という立場で非常に密接な関係を持っている。
警察庁生活安全局の後ろ盾があれば、『女性に対する暴力に関する専門調査会』に後藤啓二前田雅英を送り込むことは造作もないだろうし、それどころか同専門調査会から、表現規制反対派や慎重派を排除することも難しくないだろう。
事実、同専門調査会だけでなく、第28期青少年問題協議会の委員選でも、表現規制に少しでも異を唱えそうな人物を徹底的に排除している。特に青少年問題協議会は、警察庁生活安全局の影響下にある東京都青少年治安対策本部の管轄なので、非常に簡単にそれができるのだ。

前回後藤啓二が規制のための布石を置いたと書いたが、それは訂正させていただく。
確かに彼は男女共同参画会議や都条例での規制で主導的役割を担ったが、この一連の規制への布石を主導したのは警察庁生活安全局とエクパット東京の両者と見るのが正しいだろう。


かくして第三次男女共同参画計画中間整理案)は、児童ポルノ禁止法での漫画やアニメ、ゲーム規制を筆頭に極めてメディア規制色の濃い内容となった。

通常ならパブコメ公聴会を経て、若干の修正が加わるものの、大筋は変わらないまま正式な案となる。
だから中間整理案がこのような内容になってしまった時点で、極めて危機的な状況であった。

ところが不幸中の幸いというか、非常に幸運だったのが社民党福島みずほ参議院議員が、この参画計画の責任者である男女共同参画担当相だったことだ。
福島みずほ議員児童ポルノ禁止法問題初期から、漫画やアニメへの規制に反対してきた筋金入りの反対派で、2003年には連絡網AMINGO-AMI)が中心となって市民有志が行った、『児童保護に名を借りた創作物の規制に反対する請願署名』署名紹介議員になってもらっている。

第三次男女共同参画計画中間整理案の危険性に気づいた表現規制反対派の人々は、パブコメで抗議や反対の声を上げる一方、2010年5月8日(土)に開催された公聴会で、福島みずほ男女共同参画担当相に直にこの問題を訴えることにした。
それが下記のレポである。

『第3次男女共同参画基本計画策定の公聴会参加レポ』
http://togetter.com/li/19528

LOVE&PEACE「東京参加レポ。『第3次男女共同参画基本計画策定に向けて』」
http://boy0.blog52.fc2.com/blog-entry-24.html

■午後の部//静かに他人の意見を聞いている参加者が多い。男性が午前より10人程多い。
藤本氏のあと、4名がメディア規制に関する発言をした。

藤本由香里
第8分野「女性に対するあらゆる暴力の根絶と、
第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」に関して意見を伝えることができ、なんとか責任を果たした気分。福島大臣もいらしていて、後でご挨拶もできました。
(AM May 8th webの1つ上からツイートなさってます。 http://twitter.com/honeyhoney13)

私の発言
「海外諸国の規制に足並みを揃えようとして、外務省をはじめ、日本ユニセフ、警察筋が必死で実在被害と同列で、創作物を規制しようとしているが、それはおかしい」
「各県で、外務省の資料を使った規制が始まろうとしていることに、疑念を抱いている」
「日本は世界に比べて、とても性犯罪は少ない。本日の資料に、そのデータは載っていないが、インターネットではどんどん資料も、記録も広まっている」
「創作物、漫画、コンピューターグラフィックは日本の誇る産業。もっと大事に考えてほしい」
と発言。

大学生女性
児童ポルノ根絶はどんどんやってほしいが、創作物を犯罪に結びつけるのは浅慮だ」
メディア規制に対する審議内容が、あいまいすぎる。もっとよく時間をかけて」と発言。

社会人男性
日本は諸外国よりも、性犯罪が少ないにも関わらず、創作物の規制をしようとしている。出版規制、所持規制の厳しい国ほど犯罪人口は多いという、れっきとした証拠があるのに。マンガの中に書かれてある内容で、被害者は出ない。創作活動と、児童ポルノは別もの」と発言。

社会人女性
都議会の前田委員は【東京都青少年健全育成条例の議事録】の中ではっきりと、『マイノリティの意見など聞く必要はない』と発言しているが、そんな人間が、この男女共同参画基本計画にも委員として参加していることに疑問を感じる」と発言。
会議室に感嘆のささやきが広がっていた。
 (メディア規制についてではなかったですが、5/17の集会にもいらっしゃる反対派の方でした)

午後も、たくさんの意見が飛び交いましたが、終わり間際に『メディア規制について』の発言が
立て続けに(私は一人で参加。ほかの人達も、きっとそう。藤本さんの参加を私は知りませんでした)
出たせいか、ラストの委員一言ずつの発言が、午前とまったく違った。


福島みずほ大臣
 手を挙げた全ての方の意見が聞けなくて残念と、冒頭で謝罪
 孤独死は悲しい。一人でも生きていける社会の実現を目指している。
 貧困についての設定目標を政府は掲げるべき。女性の、社会への進出をもっと推進したい。
 最後に、表現の自由について。
 『表現の自由に関しての意見をたくさんいただいた。このことを重く受け止めたい。個人の尊厳の尊重を定めた法関係とあわせて、もっととパブコメなどとあわせて、よく考えるべきだと思う』 と発言。

委員長代理の 鹿島 敬氏
 (メモを一枚紛失してしまったので、うろ覚えですが)
 『表現の自由メディア規制については、二年前の国際会議で日本は集中攻撃を受けた。それの結果報告が、今年5月に迫っているので、この件を早くまとめようとしている人達もいる。海外から見られている』
…とか発言してたことしか覚えてない。ごめんなさい。

最初はもっと、弁護士の林陽子委員が、メディア規制で『女性の尊厳』とかに関わってくると予想していたんですが、まったく発言なし。


この2010年5月は、非実在青少年規制を盛り込んだ東京都青少年健全育成条例改正案が都議会の議題に上がり、それを巡って世論が大きく沸騰していた時期でもあった。
この問題は永田町にも届いており、この都条例と同様の動きが男女共同参画計画にも潜り込んでいたことが、この公聴会の場でついに暴かれたのである。
事態の重要性を認識した福島みずほ男女共同参画担当相は、問題となった箇所を大幅に削除・修正するという大胆な対応するに至った。

中間整理案と、閣議決定された正式な計画案(以下、閣議決定案)を実際に比較してみよう。
まず第8分野(閣議決定案では第9分野)「女性に対するあらゆる暴力の根絶」からだ。

第3次男女共同参画基本計画中間整理案)P35 「第8分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000063626
第3次男女共同参画基本計画閣議決定案)「第9分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶」
http://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/3rd/pdf/3-12.pdf

中間整理案
1 これまでの施策の効果と、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」が十分に進まなかった理由
配偶者暴力防止法を始めとする法制度、行政側の取組や体制整備等は一定程度進展しているが、女性に対する暴力そのものに対する社会全般の認識は必ずしも向上しておらず、様々な形態による被害の発生も総じて高水準にある。
特に、性犯罪・性暴力については、誰にも相談できなかったケースや低年齢時の被害も多く、また、メディアにおける有害情報の氾濫等情報化の進展による新たな課題も発生している。


閣議決定
<基本的考え方>
女性に対する暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であり、その回復を図ることは国の責務であるとともに、男女共同参画社会を形成していく上で克服すべき重要な課題である。
特に、インターネット携帯電話の普及により、女性に対する暴力は多様化してきており、こうした課題に対しては、新たな視点から迅速かつ効果的に対応していくことが求められる。
また、子ども高齢者障害者、外国人等はそれぞれ異なる背景事情や影響を有していることから、これらの被害者の支援に当たっては様々な困難を伴うものであることにも十分配慮し、暴力の形態や被害者の属性等に応じてきめ細かく対応することが不可欠となっている。
こうした状況を踏まえ、女性に対する暴力を根絶するため、社会的認識の徹底等根絶のための基盤整備を行うとともに、配偶者からの暴力、性犯罪等、暴力の形態に応じた幅広い取組を総合的に推進する。


中間整理案の『「女性に対するあらゆる暴力の根絶」が十分に進まなかった理由』を削除し、『基本的考え方』に変更。
その上で「メディアにおける有害情報の氾濫等情報化」という一文も削除している。

中間整理案
1 女性に対する暴力の予防と根絶のための基盤づくり
(1) 施策の基本的方向
女性に対する暴力は重大な人権侵害であり、特に、一部メディアに氾濫する性・暴力表現は、男女が平等でお互いの尊厳を重んじ対等な関係づくりを進める男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものである。
これらも含めて、暴力を容認しない社会風土を醸成するための啓発を強力に推進する。
また、被害者が相談しやすい体制づくりを通じて、被害の潜在化を防止するとともに、官民連携の促進等により被害者の心身の回復等効果的な被害者支援を進める。


閣議決定
1 女性に対する暴力の予防と根絶のための基盤づくり
施策の基本的方向
女性に対する暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であり、男女が平等でお互いの尊厳を重んじ対等な関係づくりを進める男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものである。このため、暴力を容認しない社会風土を醸成するための啓発を強力に推進する。
また、被害者が相談しやすい体制づくりを通じて、被害の潜在化を防止するとともに、官民連携の促進等により被害者の心身の回復等効果的な被害者支援を進める。


「特に、一部メディアに氾濫する性・暴力表現は」という一文が削除されている。
また「女性に対する暴力は、犯罪となる行為をも含む」という一文に変えることで、実在する女性への保護を全面に打ち出している。

中間整理案
子どもに対する性暴力の根絶に向けた対策の推進
(3) 児童ポルノの根絶に向けて、国民運動の実施、インターネット上の流通防止対策の推進や閲覧防止対策の検討等総合的な対策を検討・推進するとともに、児童ポルノ法の見直しや写真・映像と同程度に写実的な漫画・コンピュータグラフィックスによるものの規制の在り方について検討する。


閣議決定
児童ポルノ対策の推進
・平成22年7月に策定された「児童ポルノ排除総合対策」に基づき、児童ポルノの排除に向けた国民運動の推進、インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の推進などに取り組む。また、児童買春・児童ポルノ法については、見直し議論資するよう、必要な対応を行う。
子どもに対する性・暴力表現について、DVD、ビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野を含め、メディア産業の自主規制等の取組を促進するとともに、
表現の自由を十分尊重した上で、その流通・閲覧等に関する対策の在り方を検討する。


問題となっていた児童ポルノ禁止法による漫画やアニメ、ゲームなどへの創作物規制を狙った一文である、「写真・映像と同程度に写実的な漫画・コンピュータグラフィックスによるものの規制の在り方について検討する」をバッサリと削除。
メディア規制部分に関しては自主規制の促進に切り替え、「表現の自由を十分尊重」という一文を入れ、新規立法による法規制の反対を明確に打ち出している。
ここで後藤啓二の企みが完全粉砕されたわけだ。

中間整理案
メディアにおける性・暴力表現への対応
(1) 施策の基本的方向
女性をもっぱら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける表現は、女性に対する人権侵害であり、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものである。
こうした性・暴力表現については、インターネットの普及等を通じて発信主体が社会一般に拡大していることに加え、パソコンゲームバーチャルな分野においても、国際的に重大な懸念が表明されるコンテンツの流通が現実問題となっていることから、有効な対策を講じる。

(2) 具体的な取組
(1) 女性をもっぱら性的ないしは暴力行為の対象としたメディアにおける性・暴力表現は、それ自体が「人権侵害」であるという観点から広報啓発を行うとともに、メディア・リテラシー向上のための取組を推進する。
(2) 性・暴力表現が人々の心理・行動に与える影響についての調査方法を検討する。
(3) インターネット上の児童ポルノ画像の流通防止対策を推進するとともに、ブロッキングの導入等閲覧防止対策を検討する。
(4) メディア産業の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進、DVDやビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。


閣議決定
メディアにおける性・暴力表現への対応
施策の基本的方向
女性を専ら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける性・暴力表現は、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものであり、女性に対する人権侵害となるものもある。
こうした性・暴力表現については、インターネットの普及等を通じて発信主体が社会一般に拡大していることに加え、パソコンゲームバーチャルな分野においても、国際的に重大な懸念が表明されるコンテンツの流通が現実問題となっていることから、表現の自由を十分尊重した上で有効な対策を講じる。

ア 広報啓発の推進
・女性を専ら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける性・暴力表現は、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものであるという観点から広報啓発を行うとともに、メディア・リテラシー向上のための取組を推進する。

イ 流通防止対策の推進等
・様々なメディアにおける性に関する情報や性を売り物とする営業において、不法事案の積極的な取締り等による環境浄化を図る。
地方公共団体青少年保護育成条例等について地方公共団体に各種の助言や情報提供を行う。
性や暴力に関する有害図書類等が青少年販売されないよう関係団体へ働きかけることなどを推進する。

わいせつな雑誌、コンピューターソフト、ビデオやインターネット上の情報について、法令に基づいた厳正な取締りに努めるほか、業界による自主規制などの取組を促す。

インターネット上の児童ポルノ画像や盗撮画像等の流通防止対策を推進する。さらに、関係事業者によるブロッキング自主的導入に向けた環境整備等、
インターネット上の児童ポルノ画像の閲覧防止対策を推進する。

ウ 調査研究等
・性・暴力表現が人々の心理・行動に与える影響についての調査方法を検討する。
メディア産業の性・暴力表現について、DVD、ビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野を含め、自主規制等の取組を促進するとともに、表現の自由を十分尊重した上で、その流通・閲覧等に関する対策の在り方を検討する。


冒頭の「女性をもっぱら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける表現は、女性に対する人権侵害であり」という一文の、「女性に対する人権侵害であり」を削除し、「ポルノは女性への人権侵害」という専門調査会の矯風会委員フェミニスト委員の主張を退けている。
また「パソコンゲームバーチャルな分野においても〜」一文には「表現の自由を十分尊重した上で」という一文を加え、規制への歯止めをかけている。

「性・暴力表現は、それ自体が「人権侵害」であるという観点から」という一文を、「性・暴力表現は、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するもの」に」変更。
ここでもやはり「ポルノは女性への人権侵害」という主張を退けている。

さらに「DVDやビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。」という、新規立法による法規制を前提とした一文を削除し、「メディア産業の性・暴力表現について、DVD、ビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野を含め、自主規制等の取組を促進するとともに、表現の自由を十分尊重した上で、その流通・閲覧等に関する対策の在り方を検討する。」と、自主規制とゾーニング主体とした内容に変えている。

次に第12分野(閣議決定案では第13分野)「メディアにおける男女共同参画の推進」を見てみよう。

『第3次男女共同参画基本計画中間整理案)』P52 第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000063626
『第3次男女共同参画基本計画閣議決定案)』 第13分野「メディアにおける男女共同参画の推進」
http://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/3rd/pdf/3-16.pdf

中間整理案
(5)メディア業界の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進やDVDやビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。


閣議決定
(2)性・暴力表現を扱ったメディアの、青少年やこれに接することを望まない者からの隔離
・性・暴力表現を扱った出版物、コンピューターソフト等については、青少年の健全育成のために、出版、販売等の関係業界への自主的な取組の徹底、青少年保護育成条例における有害図書類の指定制度の効果的な運用、地域の環境浄化を図るための啓発活動等の方策を推進する。
・これらの方策の一層の推進に資するために、メディアの実態や青少年に与える影響、諸外国における取組の動向等について調査研究に努める。

インターネット等新たなメディアにおけるルールの確立に向けた検討
(1)現行法令による取締りの強化
インターネット等新たなメディアにおけるわいせつ情報や性の商品化に対しては、インターネット・ホットラインセンターからの通報等に基づき、刑法第175条、児童買春・児童ポルノ法等現行法令適用による取締りを強化する。

(2)インターネット等新たなメディアにおける情報の規制等及び利用環境整備の在り方等に関する検討
メディア産業の性・暴力表現について、DVD、ビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野を含め、自主規制等の取組を促進するとともに、表現の自由を十分尊重した上で、その流通・閲覧等に関する対策の在り方を検討する。

情報発信を制限することなく、インターネットにおける不適切な情報を排除するための受信者による自主管理システムの開発、普及を行う。
・性・暴力表現など女性の人権を侵害する情報を含むインターネット上の違法有害な情報の流通に対して、「インターネット上における違法・有害情報への対応に関する研究会」を設置し、有識者電気通信事業者消費者代表者等の参加を得て、表現の自由通信の秘密に配慮しつつ、プロバイダ等による自主的対応及びこれを支援する方策についての検討を進める。また、迷惑通信への対応、苦情処理体制の整備などの利用環境整備の在り方についても検討する。


ここでも新規立法による法規制を前提とした中間整理案の一文を全面削除。
現行刑法による取り締まりや、青少年健全育成条例中心の取り組み、業界の自主規制を中心とした取り組みに変更し、メディア規制色を大幅に落としている。

なお「「インターネット上における違法・有害情報への対応に関する研究会」を設置し」という一文があるが、これは総務省が以前から設置している研究会で、そこの報告書を見ても、業界の自主規制とフィルタリングが中心という穏当な内容になっている。

○「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会 最終報告書」(平成18年9月)
総務省 総合通信基盤局 消費者行政
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/shohi/pdf/060912_2_12-4.pdf
内閣官房 違法・有害情報に対する政府等の取組
http://www.it-anshin.go.jp/policy/report.html


この一連の大幅な削除や修正に、この専門調査会でメディア規制が推進されると思っていた人々は、当然ことながら激怒した。
彼らは後日、福島みずほ男女共同参画担当相に「女性の人権よりも表現の自由を優先させるのですか!」と詰め寄ったそうだが、福島大臣は彼らの抗議を毅然とはねのけたそうだ。
これは当時、私が最前線の人から聞いた話である。

さらに《後編》に続く。

2016-06-30 民進党の表現規制公約は、一体どこから来たのか?(前編) このエントリーを含むブックマーク

2016年参議院選挙で、民進党が以下のような公約を発表し、特にネット上で批判を招いている。

メディアにおける性・暴力表現について、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、バーチャルな分野を含め、技術の進展及び普及のスピードに対応した対策を検討し、推進します。

https://www.minshin.or.jp/compilation/policies2016/50091


端的にいえば、性・暴力表現を規制するための調査を行うと読める。しかも表現の自由に配慮する等の文言は全く無い。
一体これはどこから出てきたのか?
結論から言うと、これは児童ポルノ禁止法からではなく、平成22年12月17日に閣議決定された『第三次男女共同参画基本計画』の第9分野『女性に対するあらゆる暴力の根絶』からだ。

同分野では以下のように記述されている。

http://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/3rd/pdf/3-12.pdf
メディアにおける性・暴力表現への対応
施策の基本的方向
女性を専ら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける性・暴力表現は、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものであり、女性に対する人権侵害となるものもある。
こうした性・暴力表現については、インターネットの普及等を通じて発信主体が社会一般に拡大していることに加え、パソコンゲームバーチャルな分野においても、国際的に重大な懸念が表明されるコンテンツの流通が現実問題となっていることから、表現の自由を十分尊重した上で有効な対策を講じる。

ウ 調査研究等
・性・暴力表現が人々の心理・行動に与える影響についての調査方法を検討する。
メディア産業の性・暴力表現について、DVD、ビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野を含め、自主規制等の取組を促進するとともに、表現の自由を十分尊重した上で、その流通・閲覧等に関する対策の在り方を検討する。


しかしこれは様々な紆余曲折を経て、非常に穏当な書き方になったもので、中間報告に当たる『第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)』では極めて問題の多い内容だった。

『第三次男女共同参画基本計画 第8分野「女性に対するあらゆる暴力の根絶」』
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/kihon/sanjikeikaku/chukanseiri/pdf/honbun2-8.pdf

児童ポルノの根絶に向けて、国民運動の実施、インターネット上の流通防止対策の推進や閲覧防止対策の検討等総合的な対策を検討・推進するとともに、児童ポルノ法の見直しや写真・映像と同程度に写実的な漫画・コンピュータグラフィックスによるものの規制の在り方について検討する


この様に中間整理案では、漫画やアニメ、ゲームなどを児童ポルノとして規制すべし、という文言が明確に書かれている。
ところがこの中間整理案でのメディア規制条項はここだけに留まらない。

メディアにおける性・暴力表現への対応
(2) 具体的な取組
―性をもっぱら性的ないしは暴力行為の対象としたメディアにおける性・暴力表現は、それ自体が「人権侵害」であるという観点から広報啓発を行うとともに、メディア・リテラシー向上のための取組を推進する。
性・暴力表現が人々の心理・行動に与える影響についての調査方法を検討する。
インターネット上の児童ポルノ画像の流通防止対策を推進するとともに、ブロッキングの導入等閲覧防止対策を検討する。
メディア産業の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進、DVDやビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。


このように性・暴力表現自体が人権侵害であると断定した上で、性・暴力表現の影響調査だけに留まらず、DVDやビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野における性・暴力表現の規制まで主張している。
この様に極めて過激メディア規制条項が第三次男女共同参画基本計画に入り込んだのには理由がある。
それはこの当時の内閣府男女共同参画局『女性に対する暴力に関する専門調査会』のメンバーを見れば分かる。

第47回男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会議事要旨
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/yousi/bo47-y.html
日時: 平成21年8月11日(火) 15:00〜17:00
場所: 永田町合同庁舎第一共用会議室
出席者

会長 岩井 宜子 専修大学法科大学院教授・副院長
委員 伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
大津 恵子 日本キリスト教婦人矯風会理事
同 奥山 明良 成城大学教授
同 神津 カンナ 作家
同 後藤 啓二 弁護士
同 後藤 弘子 千葉大学大学院教授
同 小西 聖子 武蔵野大学大学院教授
同 林 陽子 弁護士
同 原 健一 佐賀県DV総合対策センター所長
同 平川 和子 東京フェミニストセラピィセンター所長
同 諸澤 英道 学校法人常磐大学理事


勘のいい方はもうお気づきだろう。
なんと長年児ポ法での創作物規制を推進してきた、エクパット東京(現エクパットジャパン)の顧問弁護士後藤啓二委員に名を連ねているのだ。
さらにエクパット東京の母体である日本キリスト教婦人矯風会理事もいる上に、エロゲが犯罪組織の資金源になっていると主張した、林陽子弁護士までいるのだ。

第12回男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会議事要旨
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/yousi/bo12-y.html

(林委員)
調教ゲームや強姦ビデオなどの製造販売が、犯罪組織の資金源になっているということを明らかにすれば、このような問題に対する社会の見る目も変わってくるのではないか。
また、強姦罪について、被害者側の落ち度を指摘して刑を低くする、損害賠償額を低くするということが多く見受けられるので、ジェンダーの視点をもう少し司法の中にも入れていく ことが必要ではないか。


なぜ後藤啓二が、この『男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会』にいるのか?
2009年に開催された同専門調査会と時を同じくして、東京都ではあの悪名高い”非実在青少年”規制条例を生み出した第28期青少年問題協議会が開催されている。
後藤啓二はそこでも委員にその名を連ねていた。(http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20091001/1254336124、第28期東京都青少年問題協議会 第1回総会議事録 http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/seisyounen/pdf/09_singi/28s1giji.pdf

この後藤による一連の行動の狙いは何なのか?

これはあくまで推論だが、児童ポルノ禁止法での漫画やアニメなどの創作物への規制が頓挫、あるいは頓挫する可能性が高くなった場合に備えて、彼は二重のセーフティを置いたと考えるのが妥当だろう。
まず男女共同参画計画だが、これは内閣閣議決定して承認するので、そこに書かれた内容は政府方針となる。
つまり男女共同参画計画児童ポルノ禁止法による創作物規制を盛り込み、それが閣議で承認されることで政府の後ろ盾を得、議員政党の反対を押し切る狙いがあったと思われる。

事実、後藤啓二は『第52回男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会』に提出した資料の中で、漫画やアニメなどの創作物を児童ポルノとして規制するよう提言しており、これはそのまま中間整理案に採用されている。

『資料2 後藤(啓)委員からの御意見 (※起草WGにおいて検討途上のもの)』
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/siryo/pdf/bo52-2.pdf
(5) 広報啓発活動を始めとする国民運動の実施、インターネット上の児童ポルノ場像の流通・閲覧防止対策等、児童ポルノの排除に向けた総合的な対策を検討・推進するとともに、併せて取締り強化のための児童ポルノ法の
見直し単純所持罪の新設、写真・映像と同程度に写実的な漫画・コンピュータグラフィックスによるものの規制等)について検討。


さらにもし中央立法で規制が不可能になったとしても、都条例創作物規制を行うことで、実質的に中央立法と同じ効果を出すのを狙ったと考えられる。それがいわゆる”非実在青少年”規制の条例だ。
特に都条例を定める第28期青少年問題協議会では、後藤啓二の盟友の前田雅英が陣頭指揮を取っていた上に、反対意見をいう識者を全面排除していたから、ある意味磐石の態勢であったといえよう。
この様に彼は創作物規制を実現化するために、布石をいくつも置いていたのだ。

では第三次男女共同参画計画中間整理案)を定めた、男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会では、どのように議論が進んでいったのか見てみよう。

第三次男女共同参画計画を定める最初の会議である、平成21年8月11日の『第47回男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会』では、まず後藤啓二と林陽子がネット上のポルノ問題に言及し、それを受けて諸澤英道ポルノコミック規制を主張するという展開になっている。

http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/gijiroku/bo47-g.html
後藤啓二
直接のそういう無理やりの性交とは違うかもしれませんが、ダブることがあるんですけれども、先ほども出しました児童ポルノというような問題。
これの多くがインターネット上でだれでも見られるような形で蔓延している。
それは子ども自体が無理やり撮られたものがずっとインターネット上に流通していることで、永遠に大変な精神的な被害、すさまじい暴力にさらされているという問題もあるわけでありまして、そうしたことも性暴力といいますか、女性に対する暴力の一つとして、これは物すごい数に上ると思うんですけれども、検討をするべき課題ではないかと思っております。


・林陽子
先ほど後藤(啓)委員からも御指摘がありましたcyber victimizationと呼ばれているような、いろんなポルノグラフィーとか、インターネット上での人権侵害といったことにどう対処するかということは、必ずしも第2次基本計画では入っていなかったのではないかと思います。


諸澤英道
委員に便乗するわけではないんですが、資料5で第1次から更に第2次でどういうふうに、その後の新しい状況を反映していくかということに関連して、この資料5で、ある程度、整理していただいているわけですが、その中の特に、例えば具体的な取組みの4番目のバーチャルの問題、それから、論点例の5番目で、これは恐らく全員が共有している問題意識だと思うんですが、私はもっと踏み込むべきではないかという気がしております。
実は昨年、フィンランドオランダドイツというような北欧の国の小中高校の視察へ行ったんですが、日本のコミックが非常によく売れている。
それで、行く先々で決まったように、「日本のポルノはどうして性表現が自由奔放というのか、何でもありというので困る。
学校の現場では、これを読ませないようにしているんだけれども、日本の社会はそういう問題について、つまりそういうポルノコミックが社会に存在していることについて、日本の人たちはどういう認識なのか。」ということを行く先々で聞かれるわけです。

気がついてみれば、日本というのは、この点ですごく、表現の自由ということが戦後、最大限尊重されてきて、結果としてこういう問題が常に遠慮していたと思うんです。
ポルノグラフィーの問題も、ポルノと言われているものの中でも日本のポルノの特徴が、いわゆる暴力による強姦を扱ったポルノグラフィーというものが非常に日本のポルノの特色になっている。
これは多くの国で原則禁止なんです。ポルノグラフィーはいいけれども、暴力による強姦表現の自由などという問題ではないというコンセンサスが特に先進国の多くで存在していると思うんです。
やはり今まで、聖域というのか、どうもメディアや言論界に遠慮していて、そういう問題について何か突っ込んだ議論をどうもしないような気がしてならないんですが、私たちとしてはやはり、女性に対する暴力という問題に関して、特に青少年に悪い影響を与える性表現、特に暴力による性行為というものに対して、もっとはっきりした意思表示をすべきではないかという気がいたします。


さらに平成21年10月26日の『第49回男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会』では、林陽子のほかにキリスト教婦人矯風会理事大津恵子や、フェミニストの平川和子までもが、ポルノは女性への人権侵害・女性への差別であるとメディア規制論をブチあげている。

http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/gijiroku/bo49-g.html
・林陽子
メディア苦情処理機関について総務省内閣府にお尋ねします。メディアにおける、特に女性に対する暴力表現というのが、今後、国内人権機関をつくるに当たっても重要な論点になっていく部分だと思いますので、深く研究が必要ではないかと思っております。

今回、総務省から、質問16への回答として、テレビ局各社の倫理綱領において、人権性差別を言及しているものの御回答がありましたが、例えばポルノグラフィであるとか、女性に対する暴力表現についても、これらの綱領に基づいて、例えば苦情処理を受けるという仕組みがあるのでしょうか。
例えば放送と人権についての委員会などが存在しますけれども、個人の名誉が毀損されたということではなくて、ある番組が女性に対して暴力的であると。
こういった暴力表現をしてもらっては困るというような申立てを受理してくれる機関は存在するのでしょうか

同じく内閣府に対しては、テレビ以外の媒体の、特に雑誌・週刊誌に対して、今、新聞社は各社、読者委員会という形でそれなりの苦情処理を受け付ける体制を整えつつあると思いますが、私は雑誌メディアが大きな問題として残っていくのではないかと思っています。
そうしたときに、ある週刊誌の見出しや記事、ヌードのグラビアなどが極めて女性差別的であるといったことを受けとめて、専門家ないし独立なパネルが審査をしてアドバイスを出してくれるというような仕組みは今どのくらいあって、かつ官庁とそういう雑誌の業界団体とはどの程度対話が進行中なのでしょうか。


大津恵子
私のほうからですけれども、簡単に買える雑誌、書店やコンビニで売っている雑誌などをあるところから見させていただいたときに、いわゆる漫画であっても、子どもや女性に対してのレイプの実態というものが書かれている。
これは雑誌にしてもそうですけれども、出版、言論の自由のところでのハードルがきついからそれが許されているのか、その辺がわかりにくくて、明らかに、たとえ個人がわからなくても、そういうものに対してなぜ禁止されないのかということを伺いたいと思います。

それから、友人でドイツから帰ってきた人が、日本がビデオでレイプのものを見ることができるけれども、日本はレイプ被害に対してもっときちんと、ビデオであろうと何であろうと規制をしていくべきではないかという質問を私のほうに投げかけられましたので、それの回答もお願いいたします。


・平川和
ポルノに関しては女性に対する人権侵害だと私は思っているのですが、DV被害者から聞く話では、ポルノDVDを見ながら性暴力行為が妻に対して行われています。
さらにその場面を子どもたちに見るように強制するというような実態があるのですね。
そのあたりを含めて、先ほどから問題になっているような表現の自由ということとの関連もあるかもしれないのですけれども、実際に現場では女性たちが人権侵害にあっている現実に直面していますし、子どもたちもその目撃ということで非常に大きな被害を受けているということがありますので、そのあたりを何とか考えていただけないかと思っております。


・後藤弘子
ポルノグラフィについては後ほどというお話だったのですけど、第2次の基本計画で「ポルノグラフィ」という項目は項目立てしていなかったんですよね。
それについて、ポルノグラフィについて、今、平川さんがおっしゃったように、私も女性に対する暴力だと思うんですけれども、ポルノグラフィについて項目立てをするべきだと私は思っています。
今の話だと、女性に対する暴力のところでもポルノグラフィについて正面から議論ができないし、メディアのところだと、私たちが担当するべきなのは青少年に対してという形になってしまうような気がして。
ポルノグラフィについて、女性の暴力であるといった形を今回の基本計画には盛り込めないかというふうに考えています。


これらに加え、先述した後藤の提言である、漫画やアニメなどの創作物の規制が盛り込まれ、かくて第三次男女共同参画計画中間整理案は、先述したように非常にメディア規制色の濃いものになった。

それがいかに撤回され、緩和していったのか?
そして第四次男女共同参画計画ではどうなったのか?
なぜ民進党選挙公約メディア規制条項が紛れ込んだのか?

それは《後編》で語ろうと思う。

2014-09-10 デンマーク法務省報告「漫画やアニメと児童性犯罪の因果関係は無い」 このエントリーを含むブックマーク

2012年7月23日、デンマーク法務省は「漫画やアニメなどの架空児童ポルノと、児童性犯罪の間に因果関係が無い」事を、調査結果として発表した。
デンマークにおけるに関する研究報告について、経緯と報告書の結論を簡潔にまとめると以下の通りになる。

1.2010年6月、デンマーク法務省が自国の性科学クリニック(Sexologisk Klinik)に対して、架空児童ポルノの所持等が、人々を児童性的虐待行為へと導く可能性があるかどうかを明らかにするように要求した。
2.2010年9月、性科学クリニックは同業の機関や海外の専門家にコンタクトを取り、広範囲にわたる文献検索も行った結果、架空児童ポルノの所持が、児童性的虐待の実行につながるとする証拠は現在のところ存在しないと結論づけた。
3.性科学クリニックは、架空の児童ポルノの流通と所持の禁止を延長する事は困難と考えられる、と結論した。
4.2012年、デンマーク議会は、この調査結果を根拠として架空の児童ポルノは違法なものでは無い、と結論した。
5.コペンハーゲンポスト紙がこの件について報じ、世界が知るところとなった。記事のURLコペンハーゲンポスト紙の記事は現在は読めないが、nyhederne.tv2で読める)


上記研究の報告書の日本語訳が以下のものである。

5.2. 児童ポルノアニメ

児童ポルノ流通の犯罪化から後の所持の犯罪化については、当初から現在まで、流通及び所持には流通所持されている児童ポルノの製作時に児童が必然的に性的虐待を受けてしまうという事実が特に動機となってきた。
流通及び所持の犯罪化を通じ、児童ポルノの製作時に発生する児童への性的虐待行為の要因を減らす等の方法により、児童ポルノ素材の需要の抑制をねらう事がこの目的である。
児童ポルノの流通が児童性的虐待の拡大に影響を与えるかどうかに関する児童ポルノ犯罪化についての議論では、1980年の最初の犯罪化から現在に至るまで、常に2つの反対意見が存在してきた。

一つめの見解では、児童ポルノの流通自体が実際の児童に対する性的虐待を促していると言われている。この見解によると、児童ポルノの流通自体が児童性的虐待に寄与してきたとされている(児童ポルノの製作とは無関係)。
別の見解によれば、児童に性的魅力を感じる人々や実際に児童に暴行する可能性のある人々は、児童ポルノを使用する事をいくらかの性的嗜好のはけ口としており、これにより全体的な児童に対する性的虐待が減少するとされていることから、児童ポルノの所持が実際の児童に対する性的虐待の誘因となる確率は低いとされている。
化学クリニック、そして訪問治療ネットワークは、刑法議会での検討事項として扱われる架空児童ポルノに関する声明を発表した。
この声明は、報告書の付録3として複製されている。

この声明によると実写などと同等、またはほぼ同程度の写実的な描写がない架空児童ポルノの所持が、人々を児童に対する性的暴行に誘導する寄与因子となり得るという事を明らかにした学術研究はないとされている。

さらにこの声明では、実際の児童わいせつ画像の使用と児童性的虐待の関係性についての研究は、近年になるまで広範囲で行なわれてはこなかったと結論づけている。過去の研究では、実在する児童わいせつ画像の使用が児童性的虐待の寄与因子となり得るハイリスクグループの存在を示しているが、このハイリスクグループ外の人々にとっては、実在する児童わいせつ画像の使用自体が児童性的虐待につながる事は少ないであろうということを示している。
この声明では、実写などと同等、またはほぼ同程度の写実的な描写のない架空児童ポルノの所持が、児童性的虐待の実行につながるとする証拠は現在のところ存在しないと結論づけている。

刑法議会は、現在の刑法235条内で児童ポルノに関し、18歳未満の実在する児童わいせつな写真等に加えて、18歳未満であるように見える人々を複製写真とほぼ同じような視覚的表現で再現した架空の視覚的表現を同じく禁止していると指摘している。複製写真と完全に同等とみなされるコンピューター上で生成操作されるアニメーションは、既に児童ポルノの流通所持の禁止令により禁止されている。これは、実在の発行者の存在なくコンピューターで生成された表現、もしくは児童または成人のわいせつ画像等を使用した、画像処理が行なわれる事なく作成された架空児童ポルノ適用される。

実在の児童を使った児童ポルノに極度に類似した架空児童ポルノは、児童ポルノ流通所持の禁止令により既に禁止されている。したがってこの禁止法には、第一印象からその使用目的と効果を考慮した際に、実際の児童を使用した児童ポルノに極度に類似していると考えられる架空児童ポルノは既に含まれている。

さらに刑法議会は、実際の児童の写真的描写に酷似していない架空児童ポルノの所持が、児童性的虐待の寄与因子になり得ると示唆表明している学術研究は存在しないと指摘している。
この背景のもと、刑法議会は実際の児童の実写的表現と酷似した描写が行なわれていないアニメ化された児童ポルノを含む既存の特定の架空児童ポルノ流通所持禁止法の延長について正当化することは困難であろうという見解を表明している。

児童ポルノの流通の禁止、そして後の所持の禁止については、1980年から一貫して児童をあらゆる性的虐待から保護するという目的がある一方で、この目的は例えば明示的に児童に対する性犯罪を空想させ、不快であるとも考えられることから、社会共通の道徳性を守るものではないともされる。

刑法議会の見解では、社会の中のそのような倫理を保護するためだけにこの犯罪化を実現することは、非常に広範囲に及ぶ事であり、またこのような理由での物事の犯罪化は現在のデンマーク法律の下では行なわれていないとしている。例えばノルウェーとは対照的に、デンマークでは成人のみが出演する暴力的ポルノは禁止されていない。

刑法議会はまた、アニメ化された児童ポルノ児童性犯罪の明確な誘因となると判断された場合、そのような素材の公共への配布は刑法第136条第1項により、最高刑として罰金または懲役最大4年の刑罰が課せられるであろうと指摘している。

結論として、このような背景の下、刑法議会は現在の状態を大きく上回る数の児童ポルノアニメを禁止令に含める法律拡張を目的とする刑法第235条の変更は推奨していない。

出典:http://jm.schultzboghandel.dk/upload/microsites/jm/ebooks/bet1534/bet/helepubl.html#23.5.2 (魚拓
PDFhttp://t.co/yqNT45xR

上記報告書にある「付録3」が以下の声明である。
イエールン・ベック・イエッセン臨床心理学者・外部准教授、トルキル・セーレンセン教授・医師エリス・クリステンセン警視・臨床准教授(訪問治療ネットワークのコーディネーター)が、デンマーク法務省に提出した声明、『架空児童ポルノに関する陳述の申出について』の日本語訳。

架空児童ポルノに関する陳述の申出について

法務省は、2010年6月23日付けの性科学クリニックおよび訪問治療ネットワーク宛の手紙の中で、写実的描写の無いもの、または実写に酷似していない描写等の架空児童ポルノの所持等が人々を児童性的虐待行為へと導く可能性があるかどうかを明らかにする陳述を提出するように要求しました。

要求を受けたこれらの機関は、この手紙に対応するため同業の機関や海外の専門家にコンタクトをとりました。また、広範囲にわたる文献検索も行なわれました。加えて、性科学クリニックと訪問治療ネットワークから数人の従業員が、2010年9月1〜4日の間、IATSO(性犯罪者の治療のための国際協会)によって開催された会議に参加しました。オスロで開催されたこの会議のタイトルは"性犯罪者の治療における新たな視点:治療への挑戦としての修復的司法法律問題、人道主義"でした。この会議で発表された関連研究はこの回答内で参照されています。

我々の知識によると、この質問に関連する科学研究は一切存在せず、これにより"児童ポルノ"と呼ばれる児童性的虐待の架空画像の消費行為のみが人々を児童性的虐待行為へと導く可能性があるとの証拠は存在しないと結論づけざるを得ません。児童性的虐待の(ノンフィクション)写真やフィルム材料の使用/誤用の調査がこの会議で発表されたため、この分野は今後の研究対象となり得ます。科学的にこの分野を調査する事への関心が高まっています。

以下、この分野における最近の研究の簡単な要約です:

キングストンら(2008) 1は、加害者と被害者の間に実際の身体的性的接触(ハンズオン)があった性犯罪で有罪となった者を検査し、過去に違法ポルノ材料の使用をしてきた性犯罪者の方がこれらを使用してこなかった者よりも過去同様の性質の犯罪の再犯率が高い事から、このグループ内での児童性的虐待画像の消費は関連危険因子であると発見しました。

セトとエケ(2005)2は、201名の児童性的虐待者達を対象にした研究に基づき、児童性的虐待画像の乱用者が実際に身体的接触のある犯行に及ぶ確率は未確認だと表明しました。彼らは研究で、前科のある人々は法に反する虐待や暴行を再度行なう確率が著しく高いという事実を発見しました。現在の有罪判決以前にも性的暴行の前科のある児童性的虐待画像の乱用者は、一般的および性的犯罪の両方で再犯を犯す可能性が高いとされます。

エンドラスら(2009)3は、スイスでの研究で、児童性的虐待画像のインターネット上での消費者は実際の身体的接触のある児童虐待を行なう大きなリスクがあるかどうかを査定しようと試みてきました。この研究では、児童性的虐待の違法画像の所持で有罪判決を受けた231名の男性を対象に調査を行いました。この研究で、11名(5%)の男性に暴力および性的虐待の両方もしくは一方の暴行行為の前科があり、2名(1%)に児童性的虐待を含む性的暴行の前科があり、8名(3%)に加害者と被害者の間に一切の身体的な性的接触の無い(ハンズオフ)性的暴行の前科があり、1名に非性的暴行の前科があったと示しました。このグループに行なわれた再犯の査定では、7名(3%)の調査対象者が暴力および性的虐待の両方もしくは一方の再犯があり、9名(4%)が実際の性的接触の無い暴行、そして2名(1%)に実際の身体的接触のある性的暴行の再犯がありました。
エンドラスらはこれに基づき、児童性的虐待画像の消費行為は、少なくとも実際の身体的接触を伴う性的暴行の前科の無かった人々にとって、これだけで彼らが実際の身体的接触を伴う性的暴行に及ぶ危険因子にはならないと結論づけました。調査対象の大半は実際の身体的接触を伴う暴力または虐待の前科はありませんでした。研究者達は、彼らが実際の身体的接触を伴う性的暴行及び虐待を行っておらず、ゆえに児童ポルノの使用の今後の見通しは明るいと推定しています。
オスロの会議で、エンドラスら3は上記の研究へのフォローアップを行いました。児童性的虐待画像の保持で有罪判決を受けた231名の男性グループは再調査され、以降6年の間にこれらの誰一人として実際の身体的接触を伴う暴行で有罪となった者はいなかった事が判明しました。これらの人々の大半は、性的またはそれ以外の犯罪歴はありませんでした。

非架空児童性的虐待画像に関する実証文献は、このような素材の消費行為が実際の身体的接触を伴う性的暴行を誘発する重大なリスクとなる可能性があるという事の明確な証拠を示していません。いくつかの研究では(例、エンドラル20094 , ベンツ 2010 5)、児童性的虐待画像の乱用者は特別なグループを構成すると予測していると発表しています。

これらの乱用者の数人が、たとえ実際の身体的接触のある暴行も犯していたとしても、これらの乱用者の大半はおそらくほぼ暴行を犯していないとの議論もあります。多くの研究で示されている通り、実際の身体的接触が発生した事件の前科者がノンフィクション児童性的虐待画像を乱用していた場合、過去と同様の性質の犯罪を再び犯すリスクが発生します。
児童性的虐待画像の乱用または消費行為自体は、実際の身体的接触が伴う児童性的虐待の指標とはなり得ないと見られています。

前述したように、この分野の研究はここ数年で急増しています。さらに、より大規模な研究が予防目的のために行なわれる必要があります。過去の研究では、ノンフィクション児童性的虐待画像を乱用し暴行を行なう可能性のあるハイリスクグループの存在を示しているようです。これらの参照した研究によると、児童ポルノ画像の乱用が単独で性的暴行の犯行につながる事についての確信はないようです。

"実写等と同様またはほぼ同程度の写実的な描写の無い架空児童ポルノの所持が、児童性的虐待の実行につながる"という事を示す文書は現時点では存在しないようです。

出典:http://jm.schultzboghandel.dk/upload/microsites/jm/ebooks/bet1534/bet/helepubl.html#kap31
PDF:http://t.co/6O7a9wG1


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この記事は漂流地点報告管理人のayanamiさんのご協力の元、作成しました。