華氏451度へのカウントダウン このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

「表現の自由」を守るためのアウェアネス・リボン運動 「うぐいすリボン」

2016-07-08 民進党の表現規制公約は、一体どこから来たのか?(中編) このエントリーを含むブックマーク

前後編にまとめるつもりだったが、予想以上に長くなってしまったので、《前編《中編》《後編》の三編に分けさせていただいた。
なにとぞ御容赦のほどを。


では、気を取り直して《前編》の続きといこう。

まず後藤啓二や林陽子などの表現規制派達が、一体いつ頃『男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会』の委員になったのかを見てみよう。

女性に対する暴力に関する専門調査会 委員名簿
平成21年2月23日現在
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/siryo/pdf/bo47-2.pdf

伊藤 公雄 京都大学大学院教授
岩井 宜子 専修大学法科大学院教授・副院長
大津 恵子 日本キリスト教婦人矯風会理事
奥山 明良 成城大学教授
帯野 久美子  株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
神津 カンナ 作家
後藤 啓二 弁護士
後藤 弘子 千葉大学大学院教授
小西 聖子 武蔵野大学大学院教授
根本 崇 野田市長
林 陽子 弁護士
原 健一 佐賀県DV総合対策センター所長
平川 和子 東京フェミニストセラピィセンター所長
前田 雅英 首都大学東京法科大学院教授
諸澤 英道 学校法人常磐大学理事


平成21年2月23日時点で、後藤啓二や林陽子、大津恵子、そして前田雅英首都大学東京法科大学院教授までが、同調査委員会の委員に選出されている。。
つまり後藤啓二らが委員になったのは、麻生太郎総理大臣をしていた自民党政権時代だ。

さらに後藤啓二だけでなく、前田雅英も同調査委員会の委員になっていることに注目したい。
彼らはその前年の平成20年12月24日時点で、漫画やアニメなどを児童ポルノとして規制するよう答申を出した、あの第28期青少年問題協議会の委員にもなっているのだ。

第28期青少年問題協議会第一回総会
平成20年12月24日(水)
都庁第一本庁舎42階 特別会議室A
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/seisyounen/pdf/09_singi/28s1giji.pdf
「次に、学識経験者の委員をご紹介いたします。
内山絢子委員でございます。大葉ナナコ委員でございます。加藤諦三委員でございます。木村忠正委員でございます。
後藤啓二委員でございます。 新谷珠恵委員でございます。鈴木茂委員でございます。住田佳子委員でございます。
徳本広孝委員でございます。野田聖子委員でございます。 前田雅英委員でございます。安川雅史委員でございます。
吉川誠司委員でございます。 近藤彰郎委員は、本日ご欠席でございます。」


後藤啓二前田雅英がなぜ委員に選出されたのか?
あくまで推測の域を出ないが、警察庁生活安全局の影響があったのではないかと私個人は考えている。

当時は後に連立政権を組む民主党社民党国民新党参議院過半数を握っていて、来る総選挙では民主党勝利が確実視されていた。
民主党社民党表現規制に反対していて、単純所持規制だけでなく、漫画やアニメ、ゲームなどの創作物を児童ポルノ禁止法で規制することに特に反対していた。
むろん民主党内には小宮山洋子のように表現規規制に賛同する議員もいたが、党派的な勢力構図としては国政では後藤啓二をはじめ、エクパット東京日本ユニセフなど表現規制派の要求が非常に通りにくい状況にあった。

そこで警察庁生活安全局や後藤啓二前田雅英らは、規制に対して反対派や慎重派を排除した形で調査会や審議会を行い、メディア規制色一色に染め上がった答申を出し、国や地方自治体(都)に政策化させるという方針を打ち出したと思われる。

マンガ包囲網 ─政官業民一体で推進される表現規制の多重構造─(後編)
http://d.hatena.ne.jp/taka_take/20120804/1344084790

2005年8月に東京都青少年治安対策本部を発足させた竹花豊は、警察庁生活安全局部長として霞ヶ関に戻った後、2006年4月庁内に、『バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会』を発足。
座長には警察と密接な関わりを持つ前田雅英首都大学教授を据え、児童を性の対象とする漫画やアニメ、そして同人誌の規制をその最終報告書に盛り込んだ。
 次に竹花豊は2006年6月にインターネット上の違法・有害情報の通報を受け付ける『インターネットホットラインセンター』を発足させ、そして同団体をサポートするアソシエイツ団体に児童ポルノ担当としてエクパット東京を迎えた。


この様に、警察庁生活安全局―エクパット東京日本キリスト教婦人矯風会後藤啓二)―前田雅英の三者は、表現規制推進という立場で非常に密接な関係を持っている。
警察庁生活安全局の後ろ盾があれば、『女性に対する暴力に関する専門調査会』に後藤啓二前田雅英を送り込むことは造作もないだろうし、それどころか同専門調査会から、表現規制反対派や慎重派を排除することも難しくないだろう。
事実、同専門調査会だけでなく、第28期青少年問題協議会の委員選でも、表現規制に少しでも異を唱えそうな人物を徹底的に排除している。特に青少年問題協議会は、警察庁生活安全局の影響下にある東京都青少年治安対策本部の管轄なので、非常に簡単にそれができるのだ。

前回後藤啓二が規制のための布石を置いたと書いたが、それは訂正させていただく。
確かに彼は男女共同参画会議や都条例での規制で主導的役割を担ったが、この一連の規制への布石を主導したのは警察庁生活安全局とエクパット東京の両者と見るのが正しいだろう。


かくして第三次男女共同参画計画中間整理案)は、児童ポルノ禁止法での漫画やアニメ、ゲーム規制を筆頭に極めてメディア規制色の濃い内容となった。

通常ならパブコメ公聴会を経て、若干の修正が加わるものの、大筋は変わらないまま正式な案となる。
だから中間整理案がこのような内容になってしまった時点で、極めて危機的な状況であった。

ところが不幸中の幸いというか、非常に幸運だったのが社民党福島みずほ参議院議員が、この参画計画の責任者である男女共同参画担当相だったことだ。
福島みずほ議員児童ポルノ禁止法問題初期から、漫画やアニメへの規制に反対してきた筋金入りの反対派で、2003年には連絡網AMINGO-AMI)が中心となって市民有志が行った、『児童保護に名を借りた創作物の規制に反対する請願署名』署名紹介議員になってもらっている。

第三次男女共同参画計画中間整理案の危険性に気づいた表現規制反対派の人々は、パブコメで抗議や反対の声を上げる一方、2010年5月8日(土)に開催された公聴会で、福島みずほ男女共同参画担当相に直にこの問題を訴えることにした。
それが下記のレポである。

『第3次男女共同参画基本計画策定の公聴会参加レポ』
http://togetter.com/li/19528

LOVE&PEACE「東京参加レポ。『第3次男女共同参画基本計画策定に向けて』」
http://boy0.blog52.fc2.com/blog-entry-24.html

■午後の部//静かに他人の意見を聞いている参加者が多い。男性が午前より10人程多い。
藤本氏のあと、4名がメディア規制に関する発言をした。

藤本由香里
第8分野「女性に対するあらゆる暴力の根絶と、
第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」に関して意見を伝えることができ、なんとか責任を果たした気分。福島大臣もいらしていて、後でご挨拶もできました。
(AM May 8th webの1つ上からツイートなさってます。 http://twitter.com/honeyhoney13)

私の発言
「海外諸国の規制に足並みを揃えようとして、外務省をはじめ、日本ユニセフ、警察筋が必死で実在被害と同列で、創作物を規制しようとしているが、それはおかしい」
「各県で、外務省の資料を使った規制が始まろうとしていることに、疑念を抱いている」
「日本は世界に比べて、とても性犯罪は少ない。本日の資料に、そのデータは載っていないが、インターネットではどんどん資料も、記録も広まっている」
「創作物、漫画、コンピューターグラフィックは日本の誇る産業。もっと大事に考えてほしい」
と発言。

大学生女性
児童ポルノ根絶はどんどんやってほしいが、創作物を犯罪に結びつけるのは浅慮だ」
メディア規制に対する審議内容が、あいまいすぎる。もっとよく時間をかけて」と発言。

社会人男性
日本は諸外国よりも、性犯罪が少ないにも関わらず、創作物の規制をしようとしている。出版規制、所持規制の厳しい国ほど犯罪人口は多いという、れっきとした証拠があるのに。マンガの中に書かれてある内容で、被害者は出ない。創作活動と、児童ポルノは別もの」と発言。

社会人女性
都議会の前田委員は【東京都青少年健全育成条例の議事録】の中ではっきりと、『マイノリティの意見など聞く必要はない』と発言しているが、そんな人間が、この男女共同参画基本計画にも委員として参加していることに疑問を感じる」と発言。
会議室に感嘆のささやきが広がっていた。
 (メディア規制についてではなかったですが、5/17の集会にもいらっしゃる反対派の方でした)

午後も、たくさんの意見が飛び交いましたが、終わり間際に『メディア規制について』の発言が
立て続けに(私は一人で参加。ほかの人達も、きっとそう。藤本さんの参加を私は知りませんでした)
出たせいか、ラストの委員一言ずつの発言が、午前とまったく違った。


福島みずほ大臣
 手を挙げた全ての方の意見が聞けなくて残念と、冒頭で謝罪
 孤独死は悲しい。一人でも生きていける社会の実現を目指している。
 貧困についての設定目標を政府は掲げるべき。女性の、社会への進出をもっと推進したい。
 最後に、表現の自由について。
 『表現の自由に関しての意見をたくさんいただいた。このことを重く受け止めたい。個人の尊厳の尊重を定めた法関係とあわせて、もっととパブコメなどとあわせて、よく考えるべきだと思う』 と発言。

委員長代理の 鹿島 敬氏
 (メモを一枚紛失してしまったので、うろ覚えですが)
 『表現の自由メディア規制については、二年前の国際会議で日本は集中攻撃を受けた。それの結果報告が、今年5月に迫っているので、この件を早くまとめようとしている人達もいる。海外から見られている』
…とか発言してたことしか覚えてない。ごめんなさい。

最初はもっと、弁護士の林陽子委員が、メディア規制で『女性の尊厳』とかに関わってくると予想していたんですが、まったく発言なし。


この2010年5月は、非実在青少年規制を盛り込んだ東京都青少年健全育成条例改正案が都議会の議題に上がり、それを巡って世論が大きく沸騰していた時期でもあった。
この問題は永田町にも届いており、この都条例と同様の動きが男女共同参画計画にも潜り込んでいたことが、この公聴会の場でついに暴かれたのである。
事態の重要性を認識した福島みずほ男女共同参画担当相は、問題となった箇所を大幅に削除・修正するという大胆な対応するに至った。

中間整理案と、閣議決定された正式な計画案(以下、閣議決定案)を実際に比較してみよう。
まず第8分野(閣議決定案では第9分野)「女性に対するあらゆる暴力の根絶」からだ。

第3次男女共同参画基本計画中間整理案)P35 「第8分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000063626
第3次男女共同参画基本計画閣議決定案)「第9分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶」
http://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/3rd/pdf/3-12.pdf

中間整理案
1 これまでの施策の効果と、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」が十分に進まなかった理由
配偶者暴力防止法を始めとする法制度、行政側の取組や体制整備等は一定程度進展しているが、女性に対する暴力そのものに対する社会全般の認識は必ずしも向上しておらず、様々な形態による被害の発生も総じて高水準にある。
特に、性犯罪・性暴力については、誰にも相談できなかったケースや低年齢時の被害も多く、また、メディアにおける有害情報の氾濫等情報化の進展による新たな課題も発生している。


閣議決定
<基本的考え方>
女性に対する暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であり、その回復を図ることは国の責務であるとともに、男女共同参画社会を形成していく上で克服すべき重要な課題である。
特に、インターネット携帯電話の普及により、女性に対する暴力は多様化してきており、こうした課題に対しては、新たな視点から迅速かつ効果的に対応していくことが求められる。
また、子ども高齢者障害者、外国人等はそれぞれ異なる背景事情や影響を有していることから、これらの被害者の支援に当たっては様々な困難を伴うものであることにも十分配慮し、暴力の形態や被害者の属性等に応じてきめ細かく対応することが不可欠となっている。
こうした状況を踏まえ、女性に対する暴力を根絶するため、社会的認識の徹底等根絶のための基盤整備を行うとともに、配偶者からの暴力、性犯罪等、暴力の形態に応じた幅広い取組を総合的に推進する。


中間整理案の『「女性に対するあらゆる暴力の根絶」が十分に進まなかった理由』を削除し、『基本的考え方』に変更。
その上で「メディアにおける有害情報の氾濫等情報化」という一文も削除している。

中間整理案
1 女性に対する暴力の予防と根絶のための基盤づくり
(1) 施策の基本的方向
女性に対する暴力は重大な人権侵害であり、特に、一部メディアに氾濫する性・暴力表現は、男女が平等でお互いの尊厳を重んじ対等な関係づくりを進める男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものである。
これらも含めて、暴力を容認しない社会風土を醸成するための啓発を強力に推進する。
また、被害者が相談しやすい体制づくりを通じて、被害の潜在化を防止するとともに、官民連携の促進等により被害者の心身の回復等効果的な被害者支援を進める。


閣議決定
1 女性に対する暴力の予防と根絶のための基盤づくり
施策の基本的方向
女性に対する暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であり、男女が平等でお互いの尊厳を重んじ対等な関係づくりを進める男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものである。このため、暴力を容認しない社会風土を醸成するための啓発を強力に推進する。
また、被害者が相談しやすい体制づくりを通じて、被害の潜在化を防止するとともに、官民連携の促進等により被害者の心身の回復等効果的な被害者支援を進める。


「特に、一部メディアに氾濫する性・暴力表現は」という一文が削除されている。
また「女性に対する暴力は、犯罪となる行為をも含む」という一文に変えることで、実在する女性への保護を全面に打ち出している。

中間整理案
子どもに対する性暴力の根絶に向けた対策の推進
(3) 児童ポルノの根絶に向けて、国民運動の実施、インターネット上の流通防止対策の推進や閲覧防止対策の検討等総合的な対策を検討・推進するとともに、児童ポルノ法の見直しや写真・映像と同程度に写実的な漫画・コンピュータグラフィックスによるものの規制の在り方について検討する。


閣議決定
児童ポルノ対策の推進
・平成22年7月に策定された「児童ポルノ排除総合対策」に基づき、児童ポルノの排除に向けた国民運動の推進、インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の推進などに取り組む。また、児童買春・児童ポルノ法については、見直し議論資するよう、必要な対応を行う。
子どもに対する性・暴力表現について、DVD、ビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野を含め、メディア産業の自主規制等の取組を促進するとともに、
表現の自由を十分尊重した上で、その流通・閲覧等に関する対策の在り方を検討する。


問題となっていた児童ポルノ禁止法による漫画やアニメ、ゲームなどへの創作物規制を狙った一文である、「写真・映像と同程度に写実的な漫画・コンピュータグラフィックスによるものの規制の在り方について検討する」をバッサリと削除。
メディア規制部分に関しては自主規制の促進に切り替え、「表現の自由を十分尊重」という一文を入れ、新規立法による法規制の反対を明確に打ち出している。
ここで後藤啓二の企みが完全粉砕されたわけだ。

中間整理案
メディアにおける性・暴力表現への対応
(1) 施策の基本的方向
女性をもっぱら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける表現は、女性に対する人権侵害であり、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものである。
こうした性・暴力表現については、インターネットの普及等を通じて発信主体が社会一般に拡大していることに加え、パソコンゲームバーチャルな分野においても、国際的に重大な懸念が表明されるコンテンツの流通が現実問題となっていることから、有効な対策を講じる。

(2) 具体的な取組
(1) 女性をもっぱら性的ないしは暴力行為の対象としたメディアにおける性・暴力表現は、それ自体が「人権侵害」であるという観点から広報啓発を行うとともに、メディア・リテラシー向上のための取組を推進する。
(2) 性・暴力表現が人々の心理・行動に与える影響についての調査方法を検討する。
(3) インターネット上の児童ポルノ画像の流通防止対策を推進するとともに、ブロッキングの導入等閲覧防止対策を検討する。
(4) メディア産業の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進、DVDやビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。


閣議決定
メディアにおける性・暴力表現への対応
施策の基本的方向
女性を専ら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける性・暴力表現は、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものであり、女性に対する人権侵害となるものもある。
こうした性・暴力表現については、インターネットの普及等を通じて発信主体が社会一般に拡大していることに加え、パソコンゲームバーチャルな分野においても、国際的に重大な懸念が表明されるコンテンツの流通が現実問題となっていることから、表現の自由を十分尊重した上で有効な対策を講じる。

ア 広報啓発の推進
・女性を専ら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける性・暴力表現は、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものであるという観点から広報啓発を行うとともに、メディア・リテラシー向上のための取組を推進する。

イ 流通防止対策の推進等
・様々なメディアにおける性に関する情報や性を売り物とする営業において、不法事案の積極的な取締り等による環境浄化を図る。
地方公共団体青少年保護育成条例等について地方公共団体に各種の助言や情報提供を行う。
性や暴力に関する有害図書類等が青少年に販売されないよう関係団体へ働きかけることなどを推進する。

わいせつな雑誌、コンピューターソフト、ビデオやインターネット上の情報について、法令に基づいた厳正な取締りに努めるほか、業界による自主規制などの取組を促す。

インターネット上の児童ポルノ画像や盗撮画像等の流通防止対策を推進する。さらに、関係事業者によるブロッキング自主的導入に向けた環境整備等、
インターネット上の児童ポルノ画像の閲覧防止対策を推進する。

ウ 調査研究等
・性・暴力表現が人々の心理・行動に与える影響についての調査方法を検討する。
メディア産業の性・暴力表現について、DVD、ビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野を含め、自主規制等の取組を促進するとともに、表現の自由を十分尊重した上で、その流通・閲覧等に関する対策の在り方を検討する。


冒頭の「女性をもっぱら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける表現は、女性に対する人権侵害であり」という一文の、「女性に対する人権侵害であり」を削除し、「ポルノは女性への人権侵害」という専門調査会の矯風会委員フェミニスト委員の主張を退けている。
また「パソコンゲームバーチャルな分野においても〜」一文には「表現の自由を十分尊重した上で」という一文を加え、規制への歯止めをかけている。

「性・暴力表現は、それ自体が「人権侵害」であるという観点から」という一文を、「性・暴力表現は、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するもの」に」変更。
ここでもやはり「ポルノは女性への人権侵害」という主張を退けている。

さらに「DVDやビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。」という、新規立法による法規制を前提とした一文を削除し、「メディア産業の性・暴力表現について、DVD、ビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野を含め、自主規制等の取組を促進するとともに、表現の自由を十分尊重した上で、その流通・閲覧等に関する対策の在り方を検討する。」と、自主規制とゾーニング主体とした内容に変えている。

次に第12分野(閣議決定案では第13分野)「メディアにおける男女共同参画の推進」を見てみよう。

『第3次男女共同参画基本計画中間整理案)』P52 第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000063626
『第3次男女共同参画基本計画閣議決定案)』 第13分野「メディアにおける男女共同参画の推進」
http://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/3rd/pdf/3-16.pdf

中間整理案
(5)メディア業界の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進やDVDやビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。


閣議決定
(2)性・暴力表現を扱ったメディアの、青少年やこれに接することを望まない者からの隔離
・性・暴力表現を扱った出版物、コンピューターソフト等については、青少年の健全育成のために、出版、販売等の関係業界への自主的な取組の徹底、青少年保護育成条例における有害図書類の指定制度の効果的な運用、地域の環境浄化を図るための啓発活動等の方策を推進する。
・これらの方策の一層の推進に資するために、メディアの実態や青少年に与える影響、諸外国における取組の動向等について調査研究に努める。

インターネット等新たなメディアにおけるルールの確立に向けた検討
(1)現行法令による取締りの強化
インターネット等新たなメディアにおけるわいせつ情報や性の商品化に対しては、インターネット・ホットラインセンターからの通報等に基づき、刑法第175条、児童買春・児童ポルノ法等現行法令適用による取締りを強化する。

(2)インターネット等新たなメディアにおける情報の規制等及び利用環境整備の在り方等に関する検討
メディア産業の性・暴力表現について、DVD、ビデオ、パソコンゲームバーチャルな分野を含め、自主規制等の取組を促進するとともに、表現の自由を十分尊重した上で、その流通・閲覧等に関する対策の在り方を検討する。

情報発信を制限することなく、インターネットにおける不適切な情報を排除するための受信者による自主管理システムの開発、普及を行う。
・性・暴力表現など女性の人権を侵害する情報を含むインターネット上の違法有害な情報の流通に対して、「インターネット上における違法・有害情報への対応に関する研究会」を設置し、有識者電気通信事業者消費者代表者等の参加を得て、表現の自由通信の秘密に配慮しつつ、プロバイダ等による自主的対応及びこれを支援する方策についての検討を進める。また、迷惑通信への対応、苦情処理体制の整備などの利用環境整備の在り方についても検討する。


ここでも新規立法による法規制を前提とした中間整理案の一文を全面削除。
現行刑法による取り締まりや、青少年健全育成条例中心の取り組み、業界の自主規制を中心とした取り組みに変更し、メディア規制色を大幅に落としている。

なお「「インターネット上における違法・有害情報への対応に関する研究会」を設置し」という一文があるが、これは総務省が以前から設置している研究会で、そこの報告書を見ても、業界の自主規制とフィルタリングが中心という穏当な内容になっている。

○「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会 最終報告書」(平成18年9月)
総務省 総合通信基盤局 消費者行政
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/shohi/pdf/060912_2_12-4.pdf
内閣官房 違法・有害情報に対する政府等の取組
http://www.it-anshin.go.jp/policy/report.html


この一連の大幅な削除や修正に、この専門調査会でメディア規制が推進されると思っていた人々は、当然ことながら激怒した。
彼らは後日、福島みずほ男女共同参画担当相に「女性の人権よりも表現の自由を優先させるのですか!」と詰め寄ったそうだが、福島大臣は彼らの抗議を毅然とはねのけたそうだ。
これは当時、私が最前線の人から聞いた話である。

さらに《後編》に続く。