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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

CD「Heavenly」AIR

takanabe1998-08-31



リリースを来月に控えた3rdアルバムからの先行シングル。ミディアムなテンポと裏腹に何度も表情を変えるドラムパターン、そこにたゆとう風のような声が気持ちいい。


AIRと言えば、偽フリッパーズとまで言われたギターポップユニット「スパイラルライフ」を突然に解散して、甘いだけのメロディや緻密なアレンジなんかよりもっとロックの初期衝動を取り戻そうと始めたひとりユニットなんだけど、ここまで来てやっと「今じぶんが表現したいこと」と「今の自分が表現できること」がかみ合ってきた気がしたね。


1stMaxi、1st、2ndとどれも違った趣があって僕は好きだけど、最初の2枚のおもしろさが「スパイラルでため込んでたフラストレーションの発散」、3枚目が「音楽的ビット数を下げて、身も心も猿になろうっていう前向きなやけっぱち」だとすれば、おそらくこのシングルから先に見えてくる景色は「すべての殻がはがれ落ちた等身大の自分」なんだろうと思った。


AIRであることの我が人生」ってなタイトルが付いた前のアルバムだけど、それはむしろ今作以降にふさわしいタイトルになるだろう。むやみに叫んだり、たくさんのノイズをかぶせてみたり、中学生みたいなパンクもいいけど、それらはどれも過去を否定し捨て去るための通過儀式だったってことが今わかる。この歌にはスパイラル初期の頃のみずみずしさにも似た「車谷の音楽」が溢れている。今までのすべての自分が等距離にいて、そっと井戸をのぞき込んでいるような静寂、落ち着き。


「TODAY」「MY RHYME」の時には正直言ってほとんど伝わってこなかった彼自身のピュアネスが、抜けた肩の力のせいか、遙かなリアリティを持って語り始めた。