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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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CD「FAIRWAY」スーパーカー

FAIRWAY

FAIRWAY

冬の朝の光の中で坂道を登りながら、耳元でスーパーカーの新曲が鳴り始める興奮って言うのは、なんかもーなんつうか、他に言いようのない感慨があるわいな。鳥肌が立つ? 息を荒げる? 目の裏側に涙がびっしり込み上げる? 人生がフラッシュバックする? 生きててよかったなーって思える瞬間が何度も味わえるですよ。


耳鳴りのように聞こえてくるのはどこかの民族音楽? そんなスーパーカーのメンバー以外の声で始まるイントロを過ぎ、ドコドコって被ってくるヘッポコドラムにつんのめるみたいに爆音ギターが疾走! そこに拡がるのはやさしくニュートラルなナカコウのささやくような声と、それに寄り添うように離れないミキちゃんの甘酸っぱいコーラス。

安心を買った。

どうしてかココロを売って買った気がしてたら

゛安心はどこか退屈と似てた″

そんななぜに撃たれていた。

結局は今を忘れるなら

目の前のなれあいもためらいもありふれていると思っていたいだけ。

共感、とはちょっと違うんだけど、彼らの奏でる音やナカコウの感情のこもってない歌声がそっと耳に届く度に、彼らは僕の体温を、あるいは触れていたい柔らかさをあらかじめ知っているんじゃないかと思うような、そんな感触をいつも味わう。


カップリングには同じ曲のリミックスを3パターン収録。メンバーがいじったのも、それぞれの顔が見えるようないい出来だし、隙間なく繋げたような編集も、4種類の曲調が個性的なアレンジなだけに強い対比を見せている。


全体的にアッパーな音で埋め尽くされ、根拠のない高揚感が今までのどの曲にもないカラフルな印象を与える。ファーストアルバムの直球な若者らしさで(それは実際彼らなりの変化球であった訳だけれども)一気に10代や、失われた10代を取り戻したい20代のココロをわしづかみにした「スリーアウト・チェンジ」や、あの、90年代の混沌を一気に総括するみたいなメロウな名作のセカンド「JUMP UP」を過ぎて、その先にある新しい地平の景色を感じさせるには充分な出来。野心や、努力じゃない方法で、あるいは否定じゃないチカラや平熱の気持ちで強い光を放つ彼らは、時代の寵児って言うよりは、僕の目指したい未来そのものだな。