DVDで「明日の記憶」を観ました。去年もおととしも若年性アルツハイマーが軸になってる映画はたくさん出て、ちょっと食傷気味。でもこの作品は観終わってみると若年性アルツハイマーの話じゃなかった気がする。単に団塊世代が定年退職したのと変わらない話だ(おそらく広報的な売りはそこなんだ)。若年性アルツハイマーであるべき必然性は全然ない。広告代理店の売れっ子部長で、でかい家と、樋口可南子みたいな綺麗な奥さんとかわいくて馬鹿な娘がいて、それが退職をきっかけに大きく破綻していく話しかと言うとそうでもなく、男が現役を退くと言う現実だけをやんわりと受け入れなくてはいけなくなるってだけの、地味な話だ。人生の勝ち組が少々悲しい目に合ったって、悲しくもなんともない。でもなんと言うか、その地味に悲しいことが積み重なって、「当たり前の日々」が出来ていて、それを受け入れながら進んでいくのが「夫婦」や「家族」というコミュニティなんだと考えると、その点において、演出もエピソードの積み重ねもとても丁寧だったな、と思えた。樋口可南子の困った笑顔って本当に完璧すぎると思う。あと大滝秀治はぜったい森の妖精だったと思う。70点。
映画「キッチンストーリー」
キッチン・ストーリー [DVD]posted with amazlet at 09.12.11
DVDで「キッチンストーリー」を観ました。北欧の映画は色がとにかく綺麗なのと、オトナの機微のようなものを描くのがとても丁寧で好きだ。あるキッチンメーカーが、キッチンの導線をリサーチするために、冬の間、ずっと一般人の家に居座る。でも導線が乱れないように会話もしてはいけない。テニスの審判のような椅子に座って、ずっと住人の生活を見つめる。それはとても奇妙な姿で、二人の間の空気のちょっとした動きさえ、見ている僕らを笑わせてしまう。住人はおじいちゃんで、監視員も禿げたおっさん、舞台はほとんどキッチンのみっていう華のない組み合わせなのに、90分飽きずに見終えることができるのは相当な腕だなと思った。あと見終えて、監督のインタビューを見たんだけども、人生観のふかーいところがすごいしっかりしている人で、それを説教くさく説明せずにさらっと感じさせるだけの演出がとにかくオトナだと思った。ノルウェーとスウェーデンの間の確執が分かれば、さらに深く面白いんだろうけど、分からなくてもめちゃめちゃ面白い。78点。
CrushPak
http://www.core77.com/blog/object_culture/crushpak_5803.asp
スプーンなしで食べれるゼリー状のものパッケージ。