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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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映画「ストロベリーショートケイクス」

魚喃キリコのコミックを映画化したものです。


30歳ぐらいのダメな女性4人が出てきます。デリヘル嬢とその受付、イラストレーターと夢見がちなOL。それぞれに違ったダメさ、違った依存心を持っていて、日々幸せになりたいなと願っています。


このおはなしの面白いところは4人が同時に絡むシーンがなくて、生活上では二人ずつしか同じ空間にいないんですが、物語の進行として、同じモチーフでシーンを繋いだり、誰かが手放したアイテムが他の人に渡り歩いたりして、世界がやんわりとつながっていることを示唆しているところです。映像のしりとりのようです。どこかに行き着くわけではないんだろうけど、誰かの何かがフックになって別の誰かの毎日をドライブさせます。


少しでもましな未来を生きたいのに、溜め息は減ることがなくて、それを誰かや何かのせいにしたところでなんの解決にもならなくて、そうやって溢れてこぼれ落ちた感情や行動が、別の誰かの心をまた少し揺さぶったりして。誰かを大事に想うことと、自分が誰よりも大事にされることというのはなるべくセットがいいに決まっているのに、それぞれを別々の何かで代用しては、そのことにまたぐったりと疲れている。依存というバックドアを作ることによって、自分を許し、モラトリアムの檻に閉じ込めます。それは出口のない螺旋なんだと思います。


ダメな女シリーズとしては以前に紹介した「さよならみどりちゃん」にも似ているんだけれども、もがいた上でより深みにはまっていっている点においては、この映画のほうが根が深い気がします。それによって、少しでもましなレベルに上がっていければいいんですが、何かを達成してスッキリしたような顔で終わる本作では、よく考えると結局全員成長してないので、残念な感じです。むしろダメさが増してます。そんな彼女たちを「ダメな奴」って笑えるように生きていけたらいいんでしょうけど、それがとにかく難しいっていうのがこの問題の根本的なところです。