『敗戦』川島高峰(読売新聞社)

敗戦―占領軍への50万通の手紙
川島 高峰
読売新聞社
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昔、某MLでこの著者のメールを読んだことがあって、そのときの文章が「上から目線」だったため、嫌なやつだという印象が抜けない(笑:もちろん面識はない)。そういう先入観で読み始めたが、なかなか面白かった。内容自体は妥当だとしても露骨な価値判断がひょこっと顔を出すのはどうかと思うが、分析対象である「投書」だけでなく、背景の歴史事実なども勉強になった(米よこせデモとか)。著者ももちろん承知のことだとは思うが、GHQにわざわざ投書する人たちという意味でサンプルにあらかじめ偏りがあることをどう考えるかという問題はどうしても残る。この時期の人びとの天皇に対する見方というのはなかなか興味深く、現在の天皇制を考える上でもいろいろな示唆があるように思えた。