「ザ・マスター」(2012)

第二次大戦終結後、帰還兵のフレディはアルコール依存を抜け出せず、トラブルを繰り返しては職場を転々とする日々を送っていた。そんなある日、酒に酔ったフレディは、港に停泊中の船にこっそり乗り込んでしまう。やがて船員に見つかり、“ザ・コーズ”という新興団体を率いる“マスター”の前に引き出される。意外にもマスターはフレディを歓迎し、いつしかフレディはマスターの右腕として行動を共にするようなるが…。

「宗教は不合理・非科学的なものであるがゆえに、信仰が成り立つ」という宗教学のぼんやりとした理解が役立つ映画でした。宗教における重要なファクターは科学的な理論を有することではなく、教祖がいかに優れたカリスマ性を有するかの一点であって、カリスマ性によって人々は盲目的に取り込まれていき、集団を形成していく。
マスターは純粋な信念と使命感を持っているのだろうけども、そのマスターも教祖である前に‘一人の人間’であって、支配的な妻に依存している。そのことが集団を世俗的にし、マスターとフレディの魂は結ばれながらも引き裂かれざるを得ない、みたいな話だと思う。

独断と偏見に基づく私的評価【★★☆☆:良】

「最高の人生のはじめ方」(2012)

有名な小説家モンテ・ワイルドホーンも、今ではアルコールにおぼれ創作意欲を完全に失っていた。孤独な毎日を過ごす彼に、甥のヘンリーは避暑地で夏を過ごすことを提案。モンテは美しい湖畔にあるキャビンを訪れるが、その隣家へ魅力的なシングルマザーのシャーロットが三人の娘を伴ってやってくる。シャーロットたちと徐々に交流を深めるようになるうち、モンテは、自分の中に創作意欲と優しい心が戻ってくるのを感じるのだった。

ものっそい偏屈な老人が徐々に心を開いて打ち解けていき、ずいぶんとまぁ柔和になっていく演技は、さすがモーガン・フリーマンというべきか。ストーリー的にはある意味で教科書的だけど、ウィットに富んだセリフ回しでなかなかの良作だと思います。
甥役は、モーガン・フリーマンの息子なのな。

独断と偏見に基づく私的評価【★★☆☆:良】