桜草(2)

南茅部尾札部の著保内川林道に入った。小さく狭い川だけれど明るくKuさんとYaさんのカメラも忙しい。豊かな渓相の中を私はのんびりと歩く。乾いた風が強い。Kuさんが時折熊よけの声をだす。私もホイッスルを吹き鳴らす。熊が気になり一人で歩けるところではないが三人だと思えばついそのことも忘れる。

中流くらいだろうか。左岸の小沢の出口あたりにオオサクラソウがあった。傍らには風に震える花を見守るようにシラネアオイも咲いているがこちらも薄い灰青色の花びらを風にたわませている。海と山とその状況は全く違うが、銚子岬のユキワリコザクラも著保内林道のオオサクラソウも風の中だった。
 桜草は風が似合うことに気づいた。
  さくらそう風に揺るるを歌と言ふ   未曉