高世仁の「諸悪莫作」日記

2017-02-23 毒積もる豊洲 この伝ならばタダ

 毒積もる豊洲 この伝ならばタダ  (埼玉県 小島福節)

 深くうなずきました。もちろん森友学園の話。敷地の「ゴミの撤去費用」なるものを引いて1割の価格で土地を売るのが認められるなら豊洲は・・当然そうなりますね。朝日川柳より。

 この問題、そうとう根が深そうだ。

 そもそも、埋設ゴミの処理工事をやったのか確認されていない。有害ゴミでなければ小学校用地で撤去は義務づけられていない。撤去がなされない前に、それを見込んだ値引き額で国有地を売った例がこれまでない。とにかく、怪しすぎるのである。

 「ゴミが実際に撤去されたかどうかや契約内容を改めて調査すべきだ」と国会で求められて、麻生副総理「地下埋設物は、売却相手方において適切に撤去したものだと聞いており、この土地は地下埋設物を考慮して評価され、すでに売却済みであり、実際に撤去されたかどうか契約上も確認を行う必要はないと考えている」と答弁。みえみえでかばっている。学校法人の理事長に対し、去年10月に、防衛大臣感謝状を贈っていたり、政府行政からの厚遇が目立つが、バックにいったい誰がいるのか。

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 金正男氏殺害で、実行犯の女性2人と北朝鮮帰国した男性4人に加え、マレーシア警察は、北朝鮮大使館の2等書記官と高麗航空職員の関与を明らかにした。

 北朝鮮大使館には工作員が配置され、テロにも出動するし、日本人拉致にも役割を担っている。

 かつてザイール北朝鮮大使館参事官で、韓国亡命した高ヨンチョル氏にインタビューしたとき、彼はこう言った。

 大使参事官、そして夫人を同行している書記官は外交部所属だが、通常、一等書記官は、お目付け役として秘密警察の保衛部が派遣する。商務部でも多くは労働党工作員か保衛部員。アタッシェ(専門担当官)はほとんど外交部以外の人間だ。

 「同じ大使館にいても、本当は何が任務なのかが分からない人がたくさんいるのです。大使館もコントロールできません。かれらは、本国のそれぞれの所属機関から指示を受けて動いています」。

 今回の暗殺作戦を大使館トップの大使が知らなかった可能性は十分にあり、「大使館ぐるみ」という表現は厳密ではない。

 ただ、大使館であれ、航空会社、銀行、商社であれ、北朝鮮が海外に出す機関には、必ず「工作員」が配置され、本国の所属組織からの指令一つでテロも行うことを忘れてはならない。

 言葉の真の意味で「ならず者国家」である。

2017-02-22 正男くんより「森友学園」事件の追及を

 きょうは私の誕生日。

 今年も、母親に電話で「産んで育ててくれてありがとう」と礼を言った。

 誕生日は、ここまで自分が生きてこれたことへの感謝の日と思っているので、お礼は第一番が母親だろう。大きく俯瞰すれば、宇宙が138億年かけて私を生み出してくれたということになる。すべてに感謝。

 特にケーキもない普通の日だったが、かみさんから(1年ほど前に無くして困っていた)自転車老眼鏡をプレゼントにもらった。もっとがんばれということかな。

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 連日、テレビでは朝から一日中、金正男とトランプの話題で、いい加減にしてほしいと思っていたら、斎藤美奈子氏が東京新聞できっちり書いてくれた。

 政権をゆるがすほどの大スキャンダルなのに、なぜ多くのメディアは追及しないのだろう。大阪府学校法人森友学園」の件である》ではじまるコラム「モデル校の開設」をお読みください。

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 収賄疑惑大臣や下着泥棒大臣を居座らせたのを反省して、メディアは奮起しないと。

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 そのコラムのすぐ下の記事にも目が行った。

 《ノンフィクション作家・奥野さん霊体験集》の見出し。

 奥野さんとは奥野修司さんで、大宅壮一賞も受賞した実力派ライター。

 その彼が「東日本大震災被災地で亡き人の魂と再会した遺族の霊体験の聞き取りを2012年から進めてきた」という。その取材が月末に『魂でもいいから、そばにいて  3.11後の霊体験を聞く』という本になる。

   「どこにも行かないよ」とほほ笑む39歳の妻と1歳の娘。

   56歳の兄から届いた「ありがとう」のメール。

   仮設住宅の天井に響く8歳の息子の足音。

   ハグしてくれる57歳の夫。

   イチゴが食べたい」とねだる3歳の孫。

 遺族は深い悲しみの中で、生きる力をもらうのだそうだ。奥野さんは、霊の存在を云々するよりも、その体験を素直に受け止める姿勢を貫いたという。

 奥野さんには何度かお会いして、取材対象への真剣な向き合い方を尊敬している。この本、読んでみたい。

2017-02-21 9条の力についての疑問

 

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近所の梅の老木がようやく花ひらいた。

 立春がすぎて節気は「雨水」(うすい)。この意味は、雪が雨に変わり、雪や氷は溶けて水となるということらしい。18日からが初候の「土脉潤起」(つちのしょう、うるおいおこる)、23日から次候、「霞始靆」(かすみ、はじめてたなびく)、28日から末候、「草木萠動」(そうもく、めばえいずる)。眠っていた生き物たちが目覚め、風景に霞やもやがかかり、新たな芽生えが見られる季節である。

 霞とは、春の霧のことで、それが夜に出ると朧(おぼろ)というそうだ。知らなかった。こういう季節ごとの現象の呼び名が日本語を豊かにしてきたのだろうが、自分はその教養を見につけていないな。

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 かつて紛争地での紛争処理にあたった伊勢崎賢治さん(東京外語大教授)がメルマガでこんな発言をしている。

 《侵略とかいわゆる「権利としての戦争」は9条ができるずっと前から国際法で違法化されています。侵略者を倒した五つの王様達が君臨する国連ができてそれは更に厳しくなり、敵国条項さえ未だ残されていますので、日本はフツーの国以上に「そういう戦争」をやりにくい国です。日本が「そういう戦争」をしていないのは、9条のお陰ではありません。日本人は、まず、この大いなる勘違いから解き放たれるべきです。

 戦後今まで起きた戦争は自衛権行使です。自衛権は悪用されます。しかし、9条は条文として、その悪用を抑止するには穴だらけでした。だって小泉政権以来、集団的自衛権もしっかりやってます。平和な国ジブチに半永久的な軍事基地を日米地位協定より派兵国に有利な地位協定を結んで造ってます。これ民主党政権の時です。そして、血税を、国土を、アメリカ自衛権行使に提供しています。世界で最も従属的な地位協定の下。

 自衛の悪用を抑止するどころか、国連憲章がやっと戦争を個別的/集団的自衛権に封じ込めたのに、必要最小限であれば交戦権行使ではない、つまり国際人道法上の交戦じゃない(同法で規制されない?!)という「9条の自衛権」を誰の断りもなく作った…日本は既に通常戦力世界第四位の軍事大国なのにです。

 9条ができた頃とは戦争自体が変容し、自衛権の悪用の阻止と、日本の軍事大国化への抑止に、9条の条文は無力だったと認める時が来たと思います。

 自衛隊が国際人道法違反の加害者になる事故がおこらないうちに。

 それを裁く国内法廷もないのに軍事組織を送った無法国家というレッテルが貼られる前に。》

 稲田防衛相の「憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではない」から「戦闘」と呼ばないなどの言葉遊び発言を聞くと、伊勢崎氏の指摘に耳を傾けざるをえない。

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 テレビでは、連日、金正男暗殺についてスタジオに識者を招いて評論している。

 きょうは、某局で、正男氏を暗殺することに北朝鮮にとってのどんな利害損得があるのかを論じていた。

 ある著名な北朝鮮通が、「我々から見ると、いっそう孤立を招き、北朝鮮にとって不利なことばかりに思えるのですが、北朝鮮当局には、我々の分からない深い利害の計算があるのでしょう」と論じていた。的外れだと思う。

 普通の独裁でない全体主義においては、指導者は「合目的的な考慮や単純な権力慾にわずらわされ」ず、「一切の政治的行動」が「まったく予測不可能なもの」とうつる。これはアーレントの言葉だが、北朝鮮にぴったりである。

 金正恩は権力にしがみつきたくて、自分の支配を米国に認めてもらいたいから核兵器を開発するのだ、とか、周到な計算づくテロを行っているという見方は最初から見当外れなのだ。

http://d.hatena.ne.jp/takase22/20100522

2017-02-17 平出和也さん植村直己賞受賞!

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再放送です。

 「体感!グレートネイチャーSP「ヒマラヤ造山帯〜世界最深・カリガンダキ河をゆく」

放送:NHK BSプレミアム 2017年2月19日(日)午後1時(90分)

 なぜ、地球にここだけ8千m峰が集中しているのか?深さ数千メートル<世界最深の谷>の底へ決死の下降!そこで発見した<謎の赤い結晶>からヒマラヤ大隆起のメカニズムが導かれる。さらに、1万mを超える<スーパーヒマラヤ>の痕跡を求め、幻の王国・ムスタンへ!そこで目の当たりにしたS字の<謎の大褶曲層>が物語るものとは!?ヒマラヤ大奇観を堪能、その誕生の真説に迫る。

 そしてこの番組で撮影、リポートをお願いした平出和也さんが、植村直己冒険賞を受賞したというニュースが飛び込んできた!

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 「世界的な冒険家だった故植村直己さんを記念した冒険賞の2016年受賞者が16日に発表され、数々の困難な未踏ルートを開拓してきた登山家で、山岳カメラマンの平出(ひらいで)和也さん(37)が選ばれた。

 平出さんは東海大山岳部出身。2008年秋にインド北部カメット(7756メートル)南東壁の初登攀(とうはん)に成功し、09年に登山界のアカデミー賞といわれる「ピオレドール(黄金のピッケル)賞」を日本人として初受賞した。カメラマンとしての評価も高く、13年には世界最高齢の80歳でエベレストに登った三浦雄一郎さんの登頂の様子を撮影した。

 賞の選考委員会は「誰にもまねできない冒険と撮影を両立している」。平出さんは「これまでに多くの仲間を失って何度も登山をやめたいと思ったが、志半ばで途絶えたパートナーたちのためにも、これからも冒険を続けたい」と話した。」朝日新聞

 クライミングパートナーの谷口けいさんを2015年に失った痛手を乗り越えて、挑戦を続けている。

http://d.hatena.ne.jp/takase22/20151222

 1月2日の平出さんのリポートを見逃した方はぜひ再放送をご覧ください。

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 金正男が暗殺された。北朝鮮の犯行であることは間違いない。かの国が「普通の独裁国」ではないことが、誰の目にのもはっきり見えただろう。

 私たちは、金正哲金正恩の兄弟のジュネーブの学校を特定して恩師らにも取材し、当時の彼らの写真をいち早く入手したが、金正男には手つかずだった。そこで、ある時、北京のあるホテルに金正男が来るという情報にもとづいて、女性ディレクターとカメラマンをそのホテルのロビーで3日~4日、張り込みを命じたことがあった。結局彼は現れず、完全な空振りとなった。なつかしい思い出である。

 空港や街角でプレスの質問に答える彼の表情は、そのへんにいる気のいいおじさんのようだ。暗殺された今、「とてもいい人だった」「北朝鮮改革開放の希望だった」と褒めたたえる声がメディアにあふれているが、ちょっと待って。三浦小太郎さんの指摘を読んでほしい。

 「金正男氏が殺害されたことはもちろんひどい話なのですが、労働党幹部にせよ金正男氏にせよ、やはり特権階級であることに違いはありません。多くの罪もない民衆が誤った政策により餓死したり、収容所で殺されたり、脱北してもこの寒さの中で死んでいくことは、ほとんど報じられることもなく見捨てられていきます。そのことを、報道関係者の方々は、決して忘れずに報じてほしいと思います。

 私は金正男や、これは韓国で病気で亡くなった黄長氏などについてあまりいい感情を持っていませんでした。彼らは金正日金正恩よりは「開明的」な人間であったのかもしれませんが、民衆の苦しみや弾圧への痛みとは全く無縁な人々に思え(彼らの立場なら、もう少し何とか事態を改善する努力をすべきだったのに)かつ、彼らの発想は要するに親中国であり、中国的な改革開放を北朝鮮に上からもたらすことしか考えておらず、さらに言えば、中国の従属国となることをも肯定しているように(最後に黄長が来日した時の講演はほとんどそれに近いものでした)感じられたのです。いまチベットウイグル南モンゴルで起きていることを思えば、到底私には受け入れられる意見ではありませんでした。

 しかし、ある日本在住の脱北者が、中国でひどい扱いを受けたことは認めたうえで、今の北朝鮮は、とりあえず中国が支配して改革開放だけでもしてほしい、というのを聴いたとき、今の北朝鮮を内部から改革すること、民衆が立ち上がって独裁政権を倒すことなどが到底無理ならば、たとえ中国支配下でもそれはそれで今よりはいい、という、絶望的な立場からの願望として、中国程度の自由と豊かさがほしい、という意味として、中国の支配をも望んでしまうような心理が、現在の苦境にある北朝鮮民衆の中には一定程度あるのだろうなと思いました。こうして「親中派」もしくは金正男のように、中国が利用しそうな人間をことごとく抹殺しようとしている金正恩の姿は、そのような民衆の意志に対する逆の反映なのかもしれません。」https://www.facebook.com/kotaro.miura.96?fref=ts

2017-02-16 なくなるものは、なくなるんじゃ!

この間の身辺雑記。

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1月28日、ペルー大使館にて、写真家の高野潤展。

昨年亡くなった、アンデスやインカの写真で知られる高野さんを偲ぶ写真展に行った。実に美しいアンデスの写真に見入った。高野さんは、写真家を選んだきっかけをこう語っている。

《20代前半、目的が定まらず、日々砂を噛むような生活を送っていた私は、ある日、岸洋子さんの「希望」をラジオで聞いた。

「希望を求めて、私はまた旅に出る、汽車に乗る。―私の旅は答えのない旅、返事のない旅―」というような詩は衝撃的であった。この歌を聞いたとき、私はなぜか、アンデスに向かってエスペランサ(希望)を追い求める旅を生涯続けようと思った。それは一瞬の決意であった。

 そうした旅を持続させるために、どんな職業がいいかと考えたとき、思い浮かんだのが写真家だった。そのために昼は働きながら夜間の写真学校に2年通った。」

ロマンを追い続けた人生。うらやましい。

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1月29日、東京都立多摩図書館開館。

雑誌の所蔵についてはたぶん日本一でのこの図書館は、以前立川にあったが移転のため、長く閉まっていた。この日、私の自宅のある西国分寺で、立派な新しい建物で開館、お披露目となった。ロビーにゆるキャラや子どもがたくさんいたが、子供の読書活動を推進する「児童青少年資料サービス」もウリにするという。

私のお目当ては、中江有里さんのトークショーだった。中江有里といえば読書。ブックレビューをやっていたころは年200冊、読書量が減った今でも年100冊は読むという。いろんな楽しい本をめぐる話に、読書欲をかきたてられた。

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1月30日、民俗学者宮本常一先生の37回忌。

毎年、うちの近くのお寺で開かれる。今年も関東を中心に40人ほどの参加者があった。先生の故郷、山口県周防大島では「水仙忌」と呼ばれ法要があるという。かみさんが「地平線通信」454号に一文を載せているので関心のある方はどうぞ。http://www.chiheisen.net/

『あるく、みる、きく』を先生と一緒に創刊した写真家の菅沼清美さんが、宴席で隣になり、こんな話を聞かせてくれた。

あるとき、菅沼さんが、いろんな風物や伝統が次々になくなっていくのを憂えると、先生は怖い目をして

「なくなるものは、なくなるんじゃ!」と大きな声で言った。

あの怖い目を今も覚えているが、先生がどういう思いでそういったのか、よくわからないまま今にいたっている、と。

なるほど、考えさせられる。先生の思想のベースには大きな楽観=達観があったように思われる。

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三輪主彦さんが手に持っているのは、5月に行なわれたG7伊勢志摩サミットで、オバマさんメルケルさんたちにお土産として贈られた「志摩という国」という豪華本。著者は宮本常一さんと三輪主彦さん。いまから36年前に、志摩博物館の小冊子に書いた文章を再録したものだそうだが、日本の代表として宮本先生の文章が選ばれたのはすばらしい。

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