高世仁の「諸悪莫作」日記

2016-12-10 吉田首相はほんとに真珠湾に行ったのか

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 モミジでなくとも美しい紅葉はある。

 赤みがかった褐色が見事な近所の林の巨木。私は樹木の種類には疎いが、たぶんコナラではないかな。きょう、東京は風が強かったから落葉が進んだことだろう。

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 現職首相として真珠湾を訪問するのは、安倍首相が初めてなのかどうか。

 朝日新聞が反応した。

 安倍晋三首相が米ハワイ真珠湾を訪問することについて、朝日新聞は6日付朝刊で「日本の現職首相真珠湾を訪れるのは初めて」と報じました。これに対し、「他の新聞で、1951年に吉田茂首相真珠湾に立ち寄ったという記事を読んだことがある」などのご指摘が本社お客様オフィスに寄せられました。》として以下、答えている。

 《(略)6日付の読売新聞は「51年9月に吉田茂首相(当時)が立ち寄ったとの記録が一部に残る」と指摘しました。吉田氏はサンフランシスコ講和会議の出席前後にハワイを訪問しており、同年9月13日付の読売新聞は「吉田さん、真珠湾訪問」との見出しで、帰路にハワイへ寄った際、太平洋艦隊司令官と会うため12日に真珠湾を訪れたとしています。

 事実確認のため、当時の朝日新聞記事などを調べました。吉田氏がホノルルに立ち寄ったという記事はありましたが、真珠湾に行ったかは確認できませんでした。吉田氏の著作「回想十年」の講和会議前後の記述も調べましたが、ハワイ訪問への言及はありませんでした。

 読売新聞報道を受け、外務省は改めて事実関係を確認。7日、「51年に吉田首相ホノルルを訪問している」としたうえで、「真珠湾での公式行事については確認されていません」と説明しました。

 菅義偉官房長官は8日の記者会見で「真珠湾は範囲が広大なこともあって、吉田首相が訪問したかどうか、何らかの行事を行ったかどうかについては確認できない」と述べました。そのうえで、51年当時、真珠湾攻撃の追悼施設「アリゾナ記念館」は建設されていなかったことから、「アリゾナ記念館において現職の首相が慰霊を行うことは今回が初めて。また、米大統領とともに真珠湾を訪問することも初めて」と説明しました。

 新しい事実関係がわかれば、改めて報じます。》(9日)

 1951年9月13日付の読売新聞には具体的にこう書かれている。

 《(12日)朝食をとったのち同九時三十分ホテルを出てロング・ハワイ州知事、ラドフォード米太平洋艦隊司令官ハワイ陸軍司令官オーランド中将の順序で公式訪問し、それぞれハワイ滞在中の好意に感謝したが、ラドフォード中将真珠湾に訪ねた時は感慨深げだった。 http://d.hatena.ne.jp/takase22/20161208

 他の新聞が報じておらず、公式記録にも載っていないとは、いったいどうしたことか。日本の首相真珠湾を訪れるというのは、特筆すべきニュースであるはずだ。まさか、読売新聞の「誤報」(虚報)じゃないだろうな。ここにきて、とても気になってくる。

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  タイ警察が不敬罪疑惑でBBCのバンコク事務所に入った件。問題になったのは、今月1日にBBCがサイトに掲載した”Profile: Thailand's new King Vajiralongkorn” (プロフィール:タイの新国王ワチラロンコン)だ。

 タイの国王は、立憲君主制とはいえ絶大な権力をもつ。300〜400億ドル(3〜4兆円)とされる莫大な王室資産に対する決定権があり、5000人の近衛兵を独自に指揮できる。

 ワチラロンコン新国王は、この権力者の地位に相応しいのか、とBBCは疑問を投げかけている。勇気ある記事である。

http://www.bbc.com/news/world-asia-38126928

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 いくつか抜粋すると。

王位継承者たるに相応しいかにつき疑問が呈されてきた」「女遊びやギャンブル、不法ビジネスなどのうわさが絶えない」

 1977年、いとこと結婚して一女が生まれた。一方、79年から87年にかけて若い女優との間に五子をもうけ94年に結婚するも、96年に離婚し5人の子どものうち4人の息子を認知しないと宣言。2001年には侍女と結婚し一男をもうけた」

 「ところが2014年、その三番目の妻は離婚され、彼女の両親を含む親戚9人が逮捕された。その一族と近い関係にあったある警察官僚は拘束中、窓から落ちて死亡した」

 「その容疑は皇太子(現国王)の権威を悪用したことで、皇太子と親しい他の人々も同じ容疑で逮捕され、著名な占い師と別の警察官僚の二人が、去年暮れ、逮捕後に死亡している」

 皇太子はタイ航空のフライトアテンダントの女性と愛人関係になるが、その彼女に近衛兵部隊の中将の位を与え、ペットのプードル犬「フーフー」を空軍大将にした」(しかし、どうやって、犬に軍の階級を与えられるのか?異様過ぎて想像がついていかない)

 ここに挙げられているのは、公になった話だけで、他にも、例えば、三番目の妻を全裸にしたスキャンダラスなパーティの動画が流出したなど、数えきれない不祥事があり、ひそひそ話で庶民にはみな知れ渡っている。報道機関も触れられないのは、不敬罪の存在だけでなく、新国王の周りに不可解な死が頻発している不気味さもある。王室のダークサイドは非常に怖いのだ。

 これで「尊敬しろ」といわれても無理だろう。

 国王は政治・軍事経済の権力を牛耳る勢力のトップであるが、内部の勢力バランスは流動化している。もし国王の権威が地に堕ちた場合、政変で統制がとれなくなる事態があるかもしれない。

2016-12-09 タイ警察が不敬罪でBBCに立入り捜査

やっぱりか。朴槿恵大統領弾劾訴追案が国会で可決された。

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時間が経つにつれ追及に加速度的に勢いがついて、集会はフェスティバルのようになり、「セウォル号事件直後、美容師を呼んでわざとボサボサのヘアスタイルにした」(SBS報道)など、耳を疑う疑惑まで取りざたされるさまを見て、もう弾劾以外の途はなくなったと思ってはいた。

テレビのスタジオで、もし否決されたら、との質問に、辺真一氏が「暴動になります」と間をおかずに断言したが、集会の様子を映像で見て、たしかにそうだろうな、と納得した。雪崩をうったような民衆の動きは、もう「革命」と言っていい。マルコス大統領を追い出した1986年のフィリピン「2月革命」を思い出させる。あのときは、自身感動しながら民衆の渦のなかにいた。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20090803

だが、韓国の政変は、北朝鮮を含めた朝鮮半島情勢として見なければならないから、世論の通りに事態が動いてよかったとは簡単にいえない。北朝鮮の指導者がこの事態を千載一遇のチャンスと見ているのは確実で、ある狙いをもった「工作」を仕掛けてきているはずだ。それはテロ武力衝突より、水面下の政局誘導のようなものの可能性が高いと思うが、不測の事態が起きる懸念もある。しかも、「北朝鮮韓国や日本と戦争しても米国は介入しない」と言うトランプが米国大統領に就任するというタイミングである。そういう視点から今の韓国をみていくと怖いものがある。

それにしても、弾劾訴追案可決直後の集会参加者の喜びよう、楽しげな様子はどうだ。なかには感動のあまり泣いている人たちもいる。自分たちの直接行動で政治を変えたと実感した若い人たちは、これからどういう社会をつくっていくのだろう。ソウルの街頭からの中継映像を見ながら、アンビバレントな思いを抱いていた。

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 パクチー料理の人気が高まっているとのニュース。日本人のタイへの親近感も大きくなっている。タイは「微笑みの国」といわれ、穏やかでちょっといい加減な人々が住んでいるというイメージがあるが、タイの別の一面を見せたのが報道機関に対する「不敬罪」捜査が始まったというニュースだ。

 《ワチラロンコン新国王の経歴に関する報道が国王に対する中傷、侮辱にあたる可能性があるとして、タイ警察は8日までに、英BBCのバンコク事務所に立ち入るなど不敬容疑で捜査を開始した。

 問題となっているのは、新国王即位を受けてBBCが1日にウェブサイトに掲載した「プロフィル・タイのワチラロンコン新国王」の記事。学歴などとともに人物像を報じた。翌日にタイ語サイトに翻訳・掲載されて国王支持者らから批判の声が上がった。警察は容疑の詳細を明かしていないが、素行に関するうわさの部分などが不敬罪にあたると判断した模様だ。(略)7日にプラユット暫定首相が「タイに事務所を持ち、タイ人記者がいる以上、外国メディアであってもタイの法律に違反すれば訴追する」と警告した。この日、警察がBBCのバンコク事務所を訪ね、関係者から事情を聴いたという。警察はこれに先立つ3日、このBBC記事をフェイスブックに投稿した男性活動家(25)を不敬容疑で逮捕している。新国王即位後初めての不敬事件とみられている。(略)

 タイの不敬罪刑法に規定され、国王、王妃らに対して中傷、侮辱、あるいは敵意をあらわにした者を3〜15年の禁錮刑に処すると定めている。》朝日新聞

 逮捕されたタイ人は、記事をただフェイスブックに載せただけだ。知られざるタイの強面の一面だが、新国王即位直後に不敬罪という伝家の宝刀を抜かざるを得ないほど、今回の国王の交代はセンシティブなのだ。前国王の逝去は確実にタイのカントリーリスクを増大させている。

http://d.hatena.ne.jp/takase22/20161014

 その問題のBBCの記事を次回紹介したい。

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 ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典氏が、ストックホルム滞在中に会う人たちへのお土産は日本酒で、選んだのがわが山形県の「出羽桜」の純米大吟醸だという。さすが酒好き。出羽桜は私もよく飲むが、最近は置いている店が増えて注文しやすい。とても美味しい酒だと思う。12月は東京都内各地で出羽桜の試飲会をやっているので、興味ある人は味わってみてください。

https://www.dewazakura.co.jp/news/2016/news2016-68.htm

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 うちの作品ではないのですが、あさっての日曜、11日の夜9時から、NHKスペシャル「自閉症の君が教えてくれたこと」が放送されます。このブログで何度も紹介してきた東田直樹さんのドキュメンタリーです。人間とはなにかということを深く考えさせられると思います。おすすめです。http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586825/

2016-12-08 金正恩の処刑場を空から特定

f:id:takase22:20161207095149j:image:w150:left 歩道が落ちた銀杏に覆われている。

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 週刊文春』が2週連続で、ジャーナリスト横田増生氏のユニクロ潜入ルポを載せた。発端は、横田氏が『ユニクロ帝国の光と影』という本を出したこと。ユニクロは名誉棄損で訴え、結局敗訴したが、柳井社長は「悪口を言っているのは僕と会ったことがない人がほとんど。会社見学をしてもらって、あるいは社員やアルバイトとしてうちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたいですね」と雑誌対談で発言した。そこで横田氏、アルバイトに応募し去年10月から1年にわたって実際に働いたのだ。久しぶりにこういう根性のすわった取材を見ると、こちらも元気になる。

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 きょうはパールハーバー攻撃の75年記念日。

 安倍首相は27日に現地に向かう予定で、これが「現職首相として真珠湾を初めて訪問」すると報道されていた。しかし、すでに65年前の1951年9月12日(現地時間)に、吉田茂首相真珠湾を訪れていた。

https://www.buzzfeed.com/kotahatachi/first-time-ever?utm_term=.xlYbb6qxm6#.caR22NO6pN

 吉田首相はサンフランシスコ講和条約を受諾すべく、9月上旬に渡米。その往路と復路でそれぞれハワイに立ち寄っており、真珠湾を訪れたのは帰り道だった。往路では、国立太平洋記念墓地(パンチ・ボウル)を訪問し、慰霊もしている。

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 Buzzfeedというネットニュースには真珠湾訪問を伝える9月13日読売夕刊の記事が紹介されている。サンフランシスコ講和条約受諾の行き帰りに訪問するとは時宜にかなっている。しかし、記事が小さいのが意外だった。安倍首相は、さあ行くぞ、とキャンペーンのように盛り上げて訪問するのだが、あの当時の日本はあまり肩に力が入っていなかったのか。

 それにしても、基本的な事実関係で主要メディアがそろって勘違いしていたのには驚いた。意外にチェックが甘いな。

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 久しぶりに北朝鮮に関する興味深い検証記事を読んだ。

 高英起(コヨンギ)氏の「衛星情報で追い詰める…北朝鮮「集団虐殺」の動かぬ証拠」。衛星写真の分析で処刑現場を特定したという。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/kohyoungki/20161208-00065230/

2014年10月、平壌に近い姜健(カンゴン)総合軍官学校を撮影した写真を見ると、広場に何らかの物体10個が一列に並べられている。それに向かって6門のZPU-4対空機銃が並べられていて、その後ろには、射撃の様子を観察するためと見られる場所が設けられている(下の写真)。

 この画像を米政府系のラジオ・フリー・アジアRFA)に提供した米北朝鮮人権委員会(HRNK)のグレッグ・スカラチュー事務総長によれば、「対空機銃を使って公開処刑を行っている状況に間違いない」と語っている。

 そして、アジアプレスは同年10月、北朝鮮の内部情報に基づく「平壌労働党幹部を集団銃殺か 金正恩氏の指導に違反」と題した記事の中で、10人の労働党幹部が同軍官学校で処刑されたと報じており、HRNKの分析と時期的に符合するのだ。》

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 RFAの記事に載っていた衛星写真には、targets (処刑された人物らしい)とそれを狙う対空機銃らしきもの(矢印)、viewing area(観覧席)が観察される。

http://www.rfa.org/english/news/korea/korea-aircraft-04292015182715.html/

 対空機銃とは、大口径の機関砲だから、遺体は原型をとどめずにバラバラの小片になって吹っ飛んだろう。それを見物して金正恩はどんな表情をしていたのか。

 北朝鮮の闇がこうしてまたひとつ暴かれた。

2016-12-06 金融制裁はなぜ「効く」のか

f:id:takase22:20161206095855j:image:w180:right 師走、節気は明日から大雪(だいせつ)。初候は「閉塞成冬」(そらさむく、ふゆとなる)、11日からは次候「熊蟄穴」(くま、あなにこもる)。16日からは末候「鱖魚群」(さけのうお、むらがる)。鮭が産卵で生まれた川に里帰りする様子だという。きょうは、会社の近くの銀杏並木が音をたてるような感じで葉を落とし、夜には歩道に厚く溜まっていた。真冬に入っていく。

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 先日のブログで、カジノ法案⇒トランブ⇒アトランティックシティ⇒北朝鮮偽ドル事件⇒金融制裁と話を進めてきた。北朝鮮に対する制裁をどうしようか、どういう制裁が「効く」のかという議論があるので、金融制裁とは何かの基本を書いてみよう。

 北朝鮮に対する金融制裁というと、もう十年以上前の2005年9月、マカオの銀行BDA「バンコ・デルタ・アジア」(写真)の北朝鮮関連口座計2400万ドルが凍結された事件が知られている。

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 これはよく「米国政府がマカオの銀行の北朝鮮口座を凍結した」と解説されるが、その表現は間違いだ。いくらアメリカでも他国の民間銀行に手を突っ込むことなどできない。

 米財務省が行ったのは、BDAを「マネーロンダリングの主要懸念先」に指定し、米国金融機関に対して、「BDAへのコレスポンデント口座(略してコルレス口座)サービスを禁止する」可能性を公表したことだった。つまり、米国の銀行に対する措置だったのだ。

 この「コルレス口座」こそ、金融制裁を理解する要である

 例えば、私が東京のJ銀行からマカオの友人に1000ドル送金するとする。このとき、ドル札を飛行機で日本からマカオに運ぶわけではもちろんない。仕組みはこうだ。

 J銀行はニューヨークの米銀に口座を持っている。これをコルレス口座といい、その米銀をJ銀行にとってのコルレス銀行と呼ぶ。J銀行はそのコルレス銀行と、マカオのM銀行がコルレス口座を持つ別の米銀に連絡する。すると、二つの米銀の間で、J銀行のコルレス口座から1000ドルがM銀行のコルレス口座に振り込まれる。日本からマカオへのドル送金は、ニューヨークの二つの銀行のコルレス座間の帳簿の付け替えで行われるのだ。

 話を簡単にするために、J銀行とM銀行が同じ米銀にコルレス口座を持っている場合(これはよくあることだ)を考えてみると、ドル決済はその米銀の中ですんでしまう。世界中の米ドルによる送金や決済、資金運用は、すべてコルレス口座を通じて処理するしかない。

 米財務省が、米国金融機関に対して、マカオのBDAという特定の銀行名を挙げて「コルレス口座ザービスをするな」と言えばどうなるか。BDAはドル決済ができなくなってしまうのだ。米ドルを扱えないというのは銀行にとって命とり。BDAで取り付け騒ぎが起きたのは当然である。すぐにマカオ政庁が介入して北朝鮮の口座を凍結したのだった。アメリカに恭順の意を示したのである。

 金融制裁というのは、北朝鮮に対するアクションではなく、米国の銀行に、ターゲットにした金融機関(BDAなど北朝鮮に便宜をはかっているとみなされた銀行など)とドル取引をさせないというものである。マカオのBDAの口座にあった2400万ドルはわずか25億円ほどで、問題の焦点ではなかった。これは単なる見せしめであって、アメリカの狙いは、世界中の銀行に対して、北朝鮮の便宜をはかると君たちもこうなるよ、と脅しをかけたわけである。これにはどの銀行も震え上がった。北朝鮮関係の口座を開くことさえ尻込みし、結果、北朝鮮資金の移動や運用が非常に困難になった。当時は、中国の主要銀行さえもが北朝鮮関連の口座を開くのをやめたのだった。

 BDA事件は北朝鮮指導部をパニックに陥れ、暴れさせた。翌年の2006年7月にはミサイル発射、そして10月9日には最初の核実験を強行した。北朝鮮外務省が10月3日に出した核実験予告声明は悲鳴に近いものだった。

《今日、朝鮮半島では日増しに増大する米国核戦争脅威と極悪な制裁圧力策動によって、我々の国家の最高利益と安全が重大に侵害され、朝鮮民族の生死存亡をかけた厳しい情勢がつくりだされている。・・・米国の反共和国孤立・圧殺策動が極限点を越えた最悪の状況へと突き進んでいる諸般の情勢にかんがみ、我々はこれ以上、手をこまねいて事態を傍観することはできなくなった》。

 朝鮮民族の生死存亡をかけた厳しい情勢」「極限点を越えた最悪の状況」・・・・ここまで追い詰めるのなら、核実験でも何でもやっちゃうぞ!というわけだ。

 ブッシュ政権は、この脅しで一気に腰砕けになり、翌2007年春、BDAにあった預金は凍結を解除され北朝鮮に渡ったのだった。

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 この一連の経緯は、非常に興味深く、いまあらためて研究してみる価値があると思うが、関心のある方は、全然売れなかった拙著『金正日「闇ドル帝国」の壊死』(光文社)をお読みください。アマゾンで「1円」(とほほ)で中古本が出ています。

2016-12-04 エシカル消費で銀行を変える

f:id:takase22:20161204115435j:image:w200:rightきょうは弟が東久留米市に開院する診療所の内覧会に行ってきた。

 「なごみ内科診療所」という。もう看板の文字からしてなごんでいるではないか。

 長くホスピスで働いてきた弟が開院する診療所では、外来のほか、看取りをふくむ24時間365日の訪問診療、緩和ケアを行う。また、日本ではまだ珍しいスピリッチュアルケアやアニマルセラピーも導入する。きょう、小さな白いセラピー犬がデビューして見学に来た高齢者に可愛がられていた。

http://www.nagomi-naika.com/

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 診療所のモットーは「地域・生活に密着したかかりつけ医」「その方の人生を尊重した全人的医療・ケア」というもので、いま最も求められている方向性だと思う。

 身内の欲目かもしれないが、弟は実に真面目な医師で、患者さんからの付け届けは一切受け取らないし、必要ない薬は出さない。人当たりもいいので、困りごとを抱えた患者さんの相談相手に適任だと思う。「地域の灯の一つになるように」と応援の言葉を送ってきた。

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 午後は「世界に学ぶエシカル消費スウェーデンの銀行を変えた消費者のチカラ」というシンポジウムへ。

 最近、エシカルという言葉を聞くようになったが、「倫理的」「道徳上」という意味で、例えば「エシカル消費」というと、あるモノを買うとき、通常、値段(安いかどうか)や品質(例えば、美味しいかどうか)などで判断するが、そこにエシカルな基準(つまり倫理的に正しく生産されたかどうか)も入れましょうというわけだ。

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 はじめて知ったのだが、日本の銀行からは、

 核兵器などの非人道的兵器をつくる企業に1兆4,000億円

 労働問題を起こしてきた「ブラック企業」に3,000億円

 環境破壊に加担してきた企業に4兆8,000億円ものお金が流れているそうだ。

 《このお金の流れを止めるために、私たちには何が出来るでしょうか?》という問題意識をもった人たちが、Fair Finance Guide Japanという運動を立ち上げ、日本の金融機関を格付けしたり、銀行にメールしたりと働かけをはじめている。ちなみに日本の金融機関は全体に点数が低いのだが、その中でも、日本郵政が10点満点で0.4と最低だった。ゆうちょから口座を引き上げようかな。

http://fairfinance.jp/

 この運動が進んでいる欧米では、消費者が声を上げ、大手銀行にエシカルな「ルール」―「非人道的兵器には融資をしない」、「違法伐採には投資しない」、「気候変動への加担を減らす」などを作らせているという。

 きょうのシンポは、スウェーデンでの銀行のルール作りを仕掛けてきた活動家ヤコブケーニッヒ氏を招いて、日本における銀行のエシカルなルール作りのために何が出来るか、何が必要か、何から始められるかを考えるというもので、非常に勉強になった。

 スウェーデンでは、消費者に、エコロジーサステナビリティ(持続可能性)、社会的公正などの価値観が共有されていて、銀行に8500通もの手紙(その98%が批判意見)を送ることで、銀行が急速に投資方針を変えたという。

 従来の不買運動などのレベルを超えて、消費者運動のターゲットを銀行など金融機関に向けることで、社会に巨大な影響を与えることができるというのは、まさにコロンブスの卵で「ガッテン!」だった。

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 国境なき医師団」の白川優子さんがイエメン仲間からで歓迎されたとFBに投稿。

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 イエメン首都サナアからの地獄のドライブを経て辿り着いた先はタイーズという前線地域から20キロ。現地のみんながお金を出し合ってこんなに大きなケーキで素敵な歓迎会を開いてくれました。これからは一歩も外には出れない監獄状態となりますが、こういう人間同士の胸が熱くなる触れ合いがあるので頑張れます!》

 応援します!

https://www.facebook.com/yuko.shirakawa.77?fref=ts