「ビルマ軍政と日本」集会―人権の政治利用

takase222007-11-03

 10月28日の「ビルマ軍政と日本−日本外交を動かそう!」緊急集会に行った。
 そこで日本政府への対ビルマ外交の要求スローガンを見たとき、私はデジャブのような感覚に襲われた。
 
 日本政府は、民衆を弾圧する政権には、援助をやめろ!
 代わりに制裁を科し、政策転換を促せ!
 人道援助は国内に対してではなく、弾圧を逃れてきた難民に行え! 
などなど。

 これは拉致問題の集会で目にする対北朝鮮外交のスローガンと同じではないか!
 ところが、決定的に違うのは、運動を後押しする政治家の顔ぶれである。
 28日の集会では、社民党党首の福島瑞穂氏が挨拶した。国会議員としてビルマ民主化への連帯署名に参加したのは福島氏のほか、江田五月川田龍平千葉景子、辻本清美、保坂展人の各氏ら9人。

 「拉致議連」の先生方が圧倒的に「靖国」参拝派で占められているの対して、こちらは護憲派が勢ぞろい。なんとも見事な《棲み分け》である。この「ねじれ」には歴史的な背景があり、これについては折に触れて書いていくが、両派ともに、「ねじれ」を自覚していないからタチが悪い。
 「人権」は政治利用され、ダブルスタンダードがまかり通っている。

 護憲派は、中国と朝鮮半島の問題になると急に腰砕けになる。そして、ビルマの軍政には人権制裁を叫びつつ、北朝鮮になると人権問題は吹っ飛んで、早く国交を結びましょうと主張したりする。つい数年前まで、最悪の人権侵害ともいえる拉致問題に背を向けてきたことは周知の通りだ。

 一方、拉致問題に熱心な保守系の政治家のなかには、ミャンマー軍政と「友好」関係を築こうとする人もいる。
 97年2月国会ではじめて横田めぐみさんに関する質問をした、「拉致議連」の幹部、西村真悟議員は、「日本・ミャンマー友好議員連盟」の幹事長兼事務局長である。

 北朝鮮ミャンマーと違うのは、「闘っている民衆」が見えないことだ。それは、北朝鮮の抑圧がミャンマーのそれよりもはるかに厳しいからだ。民衆による集団的な抵抗はもとより、個人的な抗議さえもできない。北朝鮮にはアウンサンスーチーは存在できないのだ。
 
 福島瑞穂氏の、28日の集会のブログにこうあった。
 「身近なアジアで、人がこんなに弾圧されていいわけがない。アジアの国々は、本当に問題をかかえている。日本の政治こそが問われている」。
 その姿勢をぜひ北朝鮮問題でも堅持してもらいたい。

(写真は、壇上での体験証言。左から、司会の田辺寿夫氏、ビルマ僧、学生連盟ポンミントゥン氏、カレン族女性、アラカン族男性)